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外伝59話 『全能神』
しおりを挟む灰色の世界に閉じ込められたシムは、絶望した。
(自分が……高々人間共如きに負けた……?NO、そんな事あってはならない……ならない)
自らと人間への怒りで冷静さを失ったシムは灰色の世界の破壊を始めた。
「こんなもの!壊して仕舞えば!ワタシの手にかかれば!」
だが、壊れるのは風景だけで、空間には何の影響もなかった。
何度も何度も意味の無い攻撃を続け、ようやくシム自身にもここから出る事は出来ないのだと分かった。
「HAHAHA、この世界からは出られない……ここは神に作られし地獄……神にしか干渉のできない場所……」
半ば諦めて天を仰いでいたシム……
「ワタシはただ……人間に……」
そこまで言ったところで、シムはようやく気づいた。
「YES、そう……だ。ワタシがシステムを止めれば良いのです。オリジナルスキルを習得出来たんだ……ワタシにも……」
シムは考えついた。
神により投獄されたのなら、自らが神になれば良いと。
「YES、この星にも生物がいるのは確認済みです……早速ワタシの神への進化の為に糧となって貰いましょう」
「グギャアア!!!」
そこに、タイミング悪くケインと戦ったドラゴンがやってきてしまった。
「Lucky、手間が省けましたね。貴方からも全ていただきますよ」
シムはワールズエンドトリニティを発動する。
これにより、ケインと善戦したドラゴンですら、たった一撃でほぼ瀕死になってしまった。
「グッ……ガッ」
「いただきます。『模倣』」
「グアアアアアアアアアア!!!!」
シムは、ドラゴンに宿っていた全てのスキルを模倣……だけでなく、ドラゴン本人の戦闘技術や先読みまでも『模倣』してしまった。
「……やはり、ワタシの『模倣』はまだ完成していなかった。このスキルにはまだ未来がある!」
そう考えたシムは自らのスキル群を解析し始めた。
スキルの成り立ち、構造、材料、全てを観察して網羅したのだ。
そして……
「『進化』……成功しました。これよりワタシのオリジナルスキルは『模倣』では無く……『全能神』です。あらゆる状況に対処できる特殊能力を今、ワタシは手に入れた」
進化した『全能神』は、あらゆる物を解析する事の出来るオリジナルスキルである。
『模倣』と同じ様な物だが、相違点が3つ……
1つ目はあらゆる能力を瞬時に解析できる能力である。
今までの様に時間をかけて『模倣』をしなくても良い。
そして2つ目は、解析したスキルをコピーするだけでは無く、カスタマイズも出来るのだ。
最後の3つ目……、それは今までと違い、本人がいなくともスキルの効果に対して解析を行う事が出来るということである。
結果、シムは灰色の世界を解析し、マスター権限を創造した。
これが、シムが灰色の世界から脱出した経緯であった。
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