188 / 192
外伝61話 精神操作
しおりを挟むシムの無双を見たガルドは、真っ先にエルナを逃す事を考えた。
「エルナさん!逃げてくれっす!貴方が死んだらルーナさんも生き返れない!」
「で、ですがガルドさん……」
「大丈夫です……癪ですが、鈴木さんが戻ってくるまでの間時間稼ぎくらいは……」
「NO、出来るとでも?」
シムは一瞬でガルドの頭に蹴りを入れる。
「くっ!」
直前で腕を挟みダメージを軽減したガルドだったが、威力の大きさのあまり、吹き飛ばされた。
だが、ここで自分がリタイアしたら全員が死ぬ。
すぐさま『縮地』で前線に戻るガルド。
ガルドが飛ばされてから前線に戻るまでにかかった時間はコンマ1秒である。
しかし……
「遅いですよ。もう2人死にました」
「!!」
既に田中とクリフはそれぞれ頭から流血して死んでおり、残るは恭弥、ガルド、エルナ、マレトの4人だ。
「マレト!今すぐ……」
「………うん」
ガルドが指示する前にマレトはスキルを発動してシムを除いた全員を瞬間移動させた。
次の瞬間、4人は一瞬で見た事のない場所に移動していた。
周りは木が生い茂っていて、小鳥の囀りが聞こえてくる。
「ここは……」
「何処ですか?マレトさん。見たところケインさんの故郷であるザルガドリスの森に似ていますが……」
「えーっと……そのぉ……」
「何処ですか?」
「ひっ!」
「あぁ、すみません。怒ってないので落ち着いて、ゆっくり話してください」
「は、はい……えっと、ここは地球という星の岐阜県岐阜市にある金華山……?という山の中です」
「山……ですか。ここは異星なんですね?」
「はい」
「ならばシムも簡単には追って……いや、奴ならすぐに勘付くかもしれないです。マレトさん、すぐに瞬間移動出来る準備をして下さい」
「……分かりました」
「エルナさん、恐らくシムの口ぶりからして鈴木さんが復活するまでにかかる時間は5分……長くて10分といったところでしょう。それまで何としても奴から逃げ続けますよ。って、聞いてますか?」
先程のショックからまだ立ち直れていないエルナは肩を震わしていた。
だが、伊達に修羅場を潜り抜けてはいない。
少しするとゆっくりと立ち上がりコクリと頷いた。
「聞いてください。シムから逃げるためには見てから反応じゃ不可能です。奴はきっとルーナさんから模倣した何らかの探知系の能力で今俺達の位置を探っています。見つけた瞬間に『縮地』でここまで来るでしょう。だから……恭弥さん!」
「は、はい?」
「貴方は魔力吸収が使えますね?」
「はい」
「ならば魔力の流れを掴む事などは出来ないっすか?」
「魔力の流れ?」
「はい。縮地は空間を移動するその性質上、使った後にその場に魔力の乱れが残る。だから魔力の乱れを察知出来れば、瞬間に瞬間移動すれば……」
「なるほど……やってみます」
「Hu……馬鹿ですか?貴方は。『魔力吸収』の効果はあくまで魔力の吸収ですよ?」
突然後ろにシムが現れた。
だが、ガルドは慌てる様子はない。
それどころか笑っている。
「引っかかりましたね?」
ガルドはシムの頭を押さえつけてあのスキルを発動した。
「『精神操作』!」
かつて魔王軍四天王であったテクストの精神操作。魔王であるガルドは当然四天王の能力も使えるので使用可能だ。
ガルドは初めから逃げるつもりなどなかった。
元々シムを倒すつもりであったのだ。
シムを油断させる様な会話をすれば、人間を舐めているシムは間違いなく不用意に出てくる。
そう踏んだガルドはいつでも『精神操作』を支える準備をしておきながら、隙だらけなように見せて備えていたのだ。
それに騙されたシムはまんまとガルドの『精神操作』を喰らってしまったというわけだ。
だが……
「な、なぜ効かないっすか!?」
「NO、残念でしたね……発想は悪くなかったですが、ワタシにはルーナから奪った『スキル制御』があります」
「そんな馬鹿な!『スキル制御』は自分のスキルしか操作できないはず……」
「『全能神』で改造したのですよ。他者からのスキルにも干渉できる様にね。まあ、こちらにも色々と制限はありますが、今回はうまく行って助かりましたよ」
「くっ!マレト!俺がこいつと戦って時間を稼ぐから速く3人を安全な場所へ逃してください!」
「わ、分かった!」
こうして、マレトとエルナと恭弥はまたしても瞬間移動したのだ。
(さてと……何秒もちますかね?俺の命)
0
あなたにおすすめの小説
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?
ばふぉりん
ファンタジー
中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!
「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」
「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」
これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる