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#3 正式加入
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翌日の放課後――――
「お前、赤楚っていうんだな」
「ひぇ、く、黒崎さん!? どうしてここに」
「いや、クラスメイトだからな」
……そうだったのか。確かに同級生ではあったけれど。出席番号の早い私は、正直ほかのクラスメイトの自己紹介をまともに聞いていない。緊張でガタガタだったから。
「ほら、今日もお茶会に行くぞ」
「お茶会?」
「あの恥ずかしい集まりだよ。……まぁ、非公認の集まりをお茶会って呼ぶことが多くてな」
まぁ、AV研なんて大っぴらには言えないけれど……恥ずかしいと分かってても参加する黒崎さんって……。
「あの集まり、毎日やってるんですか?」
「まぁ、不定期だな。今日はその……白石がお前を気に入ったからな。連れてこいって言われてんだよ」
白石先輩が……どうして? 廊下を進んでいると、その答えを黒崎さんが教えてくれた。
「お前、昨日白石のケーキを美味いって言っただろ? あれ、本気か?」
昨日出されたパウンドケーキのことを思い出す。実は、と切り出して正直な思いを伝える。
「よく分からない場所に緊張して、あんまり味のことは覚えてなくて……」
「あぁ……そうか。白石はさ、見てくれはいいだろ? 肌もきれいで乳もでかくて」
「え、えぇ」
「そのために本人はいろいろ努力してるんだよ。あのケーキも野菜味だし、砂糖控えめだし、好き嫌い分かれるんだよな。だからちゃんと美味しいって言うヤツ少ないんだわ」
それだけの理由で気に入られてしまったのか……ここは素直に実は味を覚えてなくてと言うよりほかないのかも。でもなんか白石先輩には惹きつけられるものがあるというか……。
なんてことを考えているうちに旧校舎の一室へやってきてしまった。適当な空室に看板をかけて活動しているようで、昨日とは違う部屋だった。
「お、昨日の新人ちゃんじゃん。また来てくれて嬉しいぞ!」
室内には青木先輩と白石先輩と初めて見る小柄だけどむっちりとした人がいた。
「初めましてだね。私は高等部二年の武藤和珠音だよ」
「かじゅ、好きなAVのジャンルを言ってやれ」
「そうだねぇ、コスプレものかな」
武藤先輩の自己紹介を聞いている間に、白石先輩がケーキを出してくれた。昨日のケーキは少しオレンジ色っぽかったけれど、今日のケーキはなにやら緑色。
「これは……?」
「春キャベツのパウンドケーキよ。けっこう美味しいのよ?」
「い、いただきます」
昨日のオレンジ色はトマトかニンジンだったのかな……。今回はキャベツの姿がまだ少し残っているけれど、フォークで切り分けて食べてみると、これが意外と美味しい。
「これ、私けっこう好きです。食感が面白いしキャベツの甘みが優しくて……」
「嬉しいわぁ。この人たち肉食だからあんまり喜んでくれないのよ。お礼に抱かせてあげてもいいわよ?」
「あんたが一番肉食やろがい!!」
青木先輩のツッコミが炸裂して白石先輩のたわわなおっぱいが揺れる。すごい光景だ。
「そろそろ君の自己紹介を聞きたいなぁ」
青木先輩に代わりハンディカムを構える武藤先輩。
「いや、だからなんで撮影するんですか」
「記念……? ほら、いいからクラスと名前を教えてよ」
「もう……一年五組の赤楚万梨です」
「好きなAVのジャンルは?」
「み、見たことないです!!」
これだけはきっちり主張しておかねば。
「じゃあ、どうしてここに?」
「えっと、AVがオーディオビジュアルの略だと思って。私、おじいちゃんが遺してくれたレコードを何枚か持っていて、それが再生できるんじゃないかと思って」
「なるほど……レコードプレーヤーだったらうちにあるわよ」
そう言ってくれたのは白石先輩だった。
「確かに、久遠の家は金持ちでいろいろあるからなぁ」
「じゃあ、ケーキのお礼に今度招待するわね」
「いや、その必要はない。今週末の活動は久遠の家でやるぞ!」
レコードのためという理由ではあるが、連絡先を交換し私もとうとうAV研のメンバーになってしまったのだった。
「お前、赤楚っていうんだな」
「ひぇ、く、黒崎さん!? どうしてここに」
「いや、クラスメイトだからな」
……そうだったのか。確かに同級生ではあったけれど。出席番号の早い私は、正直ほかのクラスメイトの自己紹介をまともに聞いていない。緊張でガタガタだったから。
「ほら、今日もお茶会に行くぞ」
「お茶会?」
「あの恥ずかしい集まりだよ。……まぁ、非公認の集まりをお茶会って呼ぶことが多くてな」
まぁ、AV研なんて大っぴらには言えないけれど……恥ずかしいと分かってても参加する黒崎さんって……。
「あの集まり、毎日やってるんですか?」
「まぁ、不定期だな。今日はその……白石がお前を気に入ったからな。連れてこいって言われてんだよ」
白石先輩が……どうして? 廊下を進んでいると、その答えを黒崎さんが教えてくれた。
「お前、昨日白石のケーキを美味いって言っただろ? あれ、本気か?」
昨日出されたパウンドケーキのことを思い出す。実は、と切り出して正直な思いを伝える。
「よく分からない場所に緊張して、あんまり味のことは覚えてなくて……」
「あぁ……そうか。白石はさ、見てくれはいいだろ? 肌もきれいで乳もでかくて」
「え、えぇ」
「そのために本人はいろいろ努力してるんだよ。あのケーキも野菜味だし、砂糖控えめだし、好き嫌い分かれるんだよな。だからちゃんと美味しいって言うヤツ少ないんだわ」
それだけの理由で気に入られてしまったのか……ここは素直に実は味を覚えてなくてと言うよりほかないのかも。でもなんか白石先輩には惹きつけられるものがあるというか……。
なんてことを考えているうちに旧校舎の一室へやってきてしまった。適当な空室に看板をかけて活動しているようで、昨日とは違う部屋だった。
「お、昨日の新人ちゃんじゃん。また来てくれて嬉しいぞ!」
室内には青木先輩と白石先輩と初めて見る小柄だけどむっちりとした人がいた。
「初めましてだね。私は高等部二年の武藤和珠音だよ」
「かじゅ、好きなAVのジャンルを言ってやれ」
「そうだねぇ、コスプレものかな」
武藤先輩の自己紹介を聞いている間に、白石先輩がケーキを出してくれた。昨日のケーキは少しオレンジ色っぽかったけれど、今日のケーキはなにやら緑色。
「これは……?」
「春キャベツのパウンドケーキよ。けっこう美味しいのよ?」
「い、いただきます」
昨日のオレンジ色はトマトかニンジンだったのかな……。今回はキャベツの姿がまだ少し残っているけれど、フォークで切り分けて食べてみると、これが意外と美味しい。
「これ、私けっこう好きです。食感が面白いしキャベツの甘みが優しくて……」
「嬉しいわぁ。この人たち肉食だからあんまり喜んでくれないのよ。お礼に抱かせてあげてもいいわよ?」
「あんたが一番肉食やろがい!!」
青木先輩のツッコミが炸裂して白石先輩のたわわなおっぱいが揺れる。すごい光景だ。
「そろそろ君の自己紹介を聞きたいなぁ」
青木先輩に代わりハンディカムを構える武藤先輩。
「いや、だからなんで撮影するんですか」
「記念……? ほら、いいからクラスと名前を教えてよ」
「もう……一年五組の赤楚万梨です」
「好きなAVのジャンルは?」
「み、見たことないです!!」
これだけはきっちり主張しておかねば。
「じゃあ、どうしてここに?」
「えっと、AVがオーディオビジュアルの略だと思って。私、おじいちゃんが遺してくれたレコードを何枚か持っていて、それが再生できるんじゃないかと思って」
「なるほど……レコードプレーヤーだったらうちにあるわよ」
そう言ってくれたのは白石先輩だった。
「確かに、久遠の家は金持ちでいろいろあるからなぁ」
「じゃあ、ケーキのお礼に今度招待するわね」
「いや、その必要はない。今週末の活動は久遠の家でやるぞ!」
レコードのためという理由ではあるが、連絡先を交換し私もとうとうAV研のメンバーになってしまったのだった。
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