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第一話 プロローグ/目覚め
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夢を見ているのだろうか。もしそうだとしたら、これは圧倒的にふざけた夢に思える。目の前にいるのは純白の衣を身に纏った美女。女神を名乗り、俺に異世界へ行かないかと誘っている。テンプレと言ってしまえばそれまでだが、俺に特殊な能力を授けるとも言っている。だが……その能力は『同性とキスをすることで、対象の知識や能力を得る』というもの。男とキスなんて真っ平ごめんだと撥ね付けた俺に与えられた選択肢というのが、
A ガチホモに転生。
B ガチレズに転生。
という二択だ。ちなみに、前者の場合22歳のイケメンになり、後者の場合は16歳の美少女になれるそうだ。どうせ夢だ。いっそのこと、美少女になってみるのも悪くない。そんな思いで、女神を名乗る彼女にBを選ぶと告げた。俺の夢は、そこで終わった。
19歳の大学一年生かつ一人暮らし一年生である俺、見原(みはら)優留(ゆうる)が目を覚ましたのはまだまだ日の昇る前だと思っていた。自分の部屋で眠ったはずの自分が、どこか違う場所にいると感じたのは、背中に当たる感触がベッドのそれと大きく異なるから、というのが1つだ。そしてもう一つ、誰かの寝息が聞えるということだ。しかも、かなり近くから。目だけを動かして辺りを見てみると、窓のないこの部屋は四隅に有る蝋燭の火だけが光源のようだ。俺がいる場所は祭壇のように一段高い場所らしく、寝息は俺がいる場所より低い位置から聞えてくる。体を起こして探索を続けようとした俺だが、ある違和感に気付いた。背中をくすぐる髪のような何か。いや、髪の毛だと断定しよう。背中を見ようと首を動かすと、俺は衝撃的な事実を目の当たりにした。まず、全裸であること。真下を向くと視線を妨害する肌色の塊があること。視認は出来ないが、19年間もの時間を共に生きて、生殖活動に使ってやれず終いだった相棒は失われているだろう。
「夢じゃなかったああああ!!!!」
夢での選択肢を悔いているわけではない。ではないんだが……。両手を地面について現状を理解しようと努力する。……あ、指きれい。って、そうじゃなくて!
「Ejrmupieslriq?」
落ち込んだ俺……もはや俺とか言っちゃいけないか。まぁいい。俺の叫び声が収束した部屋で、誰かの声が聞えた。ただ、何を言っていたかは分からなかったが。どうやら、先ほどまで寝ていた何者かがおきたらしい。
「Movrypzrryupi」
おいおい、異世界に転生したのに言語が通じないってどういうこと? ただ、その容姿が少しだけ見えた。どうやら、少女のようだ。日本人とは根本的な顔のつくりが違うため、正確さは不明だが年齢は10代前半といったところか。若いというより、幼いと言ったほうが適切だろう。髪色や瞳の色は炎に照らされているせいか、何色かは正直ピンと来ない色をしている。身にまとうは炎に照らされてオレンジに見えるローブ。
「こ、こんにちは。見原優留です。君は?」
叫んだ時は気にしなかったというか、気にする余裕がなかったけど……すごく可愛い声してるなぁ、自分。
「Osztrtor.Qardloddzr!」
うん、何を言っているのかサッパリわからん。でも、目の前にいる少女は瞳を閉じてキス待ちのような顔をしている。そうか、能力を発揮する時なのか!
「す、するよ……」
自分の言葉が通じないのは分かっている。でも、何か言わないと自分の踏ん切りがつかないのだ。瑞々しそうな唇に自分のそれを重ねる。ただ、体格の変わった自分の体を上手くコントロールできず、押し倒すような形になってしまった。
「んちゅ……!!」
唇が触れ合う。ただそれだけの行為。なのに、今の自分は今までにないくらい興奮している。押し倒したせいで目の前の少女のローブは肌蹴ていた。なんと、彼女はローブの下に何も着ていなかったのだ。膨らみの始まっていない胸には、桜色の突起だけが影を落としている。それを指で弾きながら、少女の唇をひたすらに貪る。それはもう、キスというより性行為に近いように思えた。それから、どれだけの時間が経ったかは分からない。一瞬のようで永遠のような時間は、少女の絶頂で幕を閉じた。
A ガチホモに転生。
B ガチレズに転生。
という二択だ。ちなみに、前者の場合22歳のイケメンになり、後者の場合は16歳の美少女になれるそうだ。どうせ夢だ。いっそのこと、美少女になってみるのも悪くない。そんな思いで、女神を名乗る彼女にBを選ぶと告げた。俺の夢は、そこで終わった。
19歳の大学一年生かつ一人暮らし一年生である俺、見原(みはら)優留(ゆうる)が目を覚ましたのはまだまだ日の昇る前だと思っていた。自分の部屋で眠ったはずの自分が、どこか違う場所にいると感じたのは、背中に当たる感触がベッドのそれと大きく異なるから、というのが1つだ。そしてもう一つ、誰かの寝息が聞えるということだ。しかも、かなり近くから。目だけを動かして辺りを見てみると、窓のないこの部屋は四隅に有る蝋燭の火だけが光源のようだ。俺がいる場所は祭壇のように一段高い場所らしく、寝息は俺がいる場所より低い位置から聞えてくる。体を起こして探索を続けようとした俺だが、ある違和感に気付いた。背中をくすぐる髪のような何か。いや、髪の毛だと断定しよう。背中を見ようと首を動かすと、俺は衝撃的な事実を目の当たりにした。まず、全裸であること。真下を向くと視線を妨害する肌色の塊があること。視認は出来ないが、19年間もの時間を共に生きて、生殖活動に使ってやれず終いだった相棒は失われているだろう。
「夢じゃなかったああああ!!!!」
夢での選択肢を悔いているわけではない。ではないんだが……。両手を地面について現状を理解しようと努力する。……あ、指きれい。って、そうじゃなくて!
「Ejrmupieslriq?」
落ち込んだ俺……もはや俺とか言っちゃいけないか。まぁいい。俺の叫び声が収束した部屋で、誰かの声が聞えた。ただ、何を言っていたかは分からなかったが。どうやら、先ほどまで寝ていた何者かがおきたらしい。
「Movrypzrryupi」
おいおい、異世界に転生したのに言語が通じないってどういうこと? ただ、その容姿が少しだけ見えた。どうやら、少女のようだ。日本人とは根本的な顔のつくりが違うため、正確さは不明だが年齢は10代前半といったところか。若いというより、幼いと言ったほうが適切だろう。髪色や瞳の色は炎に照らされているせいか、何色かは正直ピンと来ない色をしている。身にまとうは炎に照らされてオレンジに見えるローブ。
「こ、こんにちは。見原優留です。君は?」
叫んだ時は気にしなかったというか、気にする余裕がなかったけど……すごく可愛い声してるなぁ、自分。
「Osztrtor.Qardloddzr!」
うん、何を言っているのかサッパリわからん。でも、目の前にいる少女は瞳を閉じてキス待ちのような顔をしている。そうか、能力を発揮する時なのか!
「す、するよ……」
自分の言葉が通じないのは分かっている。でも、何か言わないと自分の踏ん切りがつかないのだ。瑞々しそうな唇に自分のそれを重ねる。ただ、体格の変わった自分の体を上手くコントロールできず、押し倒すような形になってしまった。
「んちゅ……!!」
唇が触れ合う。ただそれだけの行為。なのに、今の自分は今までにないくらい興奮している。押し倒したせいで目の前の少女のローブは肌蹴ていた。なんと、彼女はローブの下に何も着ていなかったのだ。膨らみの始まっていない胸には、桜色の突起だけが影を落としている。それを指で弾きながら、少女の唇をひたすらに貪る。それはもう、キスというより性行為に近いように思えた。それから、どれだけの時間が経ったかは分からない。一瞬のようで永遠のような時間は、少女の絶頂で幕を閉じた。
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