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第二部
カレッジ領
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※本日2話同時更新していますのでご注意ください。
季節が変わるくらい留守にしてしまったカレッジ領に帰ってきたリオとフレドリックを、ハント代行官とケイが迎えてくれた。
いつの間にか屋敷の門に近い庭に騎士団の詰め所が出来ていたし、なんならフレドリックたちの部屋も整えられていた。リオはとりあえず荷を解いて、コリーとミックに手伝ってもらってあちこちにお土産を配り歩いた。
そして驚いたのが、リオの部屋が三階にあるフレドリックの部屋の隣に移っていた。荷物の移動はリオ本人の指示待ちではあったが、いつの間にか代行官邸のファミリーエリアである三階に整えられていたのである。それに合わせてケイとアニーの部屋もファミリーエリアの西端に移っていた。ハント代行官は独身で単身でカレッジ領に来たのでファミリーエリアががら空きだったのが幸いだった、とケイは言っていた。
「リオには俺の補佐をしてもらうことになったから」
「え?俺まだ未成年ですけど」
「どうせ将来カレッジ領の運営に関わることになるんだ、二年くらい早く実務についても問題ないだろう」
フレドリックに思わず突っ込んだら、何を言っているんだと言わんばかりの表情でそう返された。確かに将来代行官を補佐していきたいと望んではいたけれども、それはもっと遠くの未来の話だと思っていたのだ。
「そうですよ。せっかく学園に行かずに実務を学べるのだから、そうしなさい。フレドリック様もそれなりにこちらに留まるんですよね?」
「ああ、父上もまだまだ元気だからね」
「そういうわけですよ、リオ様。優秀と名高いフレドリック様もいらっしゃったことだし、頑張りましょう」
「うう、代行官もそういうのなら頑張る……」
「リオ、コリーとミックとケイを連れて行っていいから部屋の引っ越しをしてしまうといい。その間俺はハント代行官に色々報告しておくことがあるから」
「わかった。ごめんね、コリーとミックもついたばかりなのに色々頼んじゃって」
「いえいえ、この程度大したことないですよ」
「そうですよ、移動も座っていただけでしたし」
「ありがと。じゃあ行ってきます」
執務室に残る二人に見送られて四人でリオの部屋へ向かう。
今までリオの部屋だった部屋は代行官邸の一階の端にあった。
三室並びの部屋で真ん中のリビングがある部屋からでないと両脇の部屋に入れないようになっている。角部屋はリオの部屋で反対側は夫婦の部屋となっていた。リオの部屋にはレオンの家族の遺品などがあり、それらを不用意に見られないように廊下から直接入れないような配置となった。またリオとしてこの屋敷に戻ってきた時リオはまだ五歳だったからケイたちと一緒に生活するのが自然であろうとウォルターズ公爵が部屋の改装を指示してくれたのだ。表向き、ケイへの褒賞となっていた。
同行している三人はリオの諸々を知っているから、見られて困るものもなかった。リオの部屋にはレオンであった頃の思い出も少し置いているのでフレドリックはコリーとミックにも手伝いを頼んでくれたのだろう。今回侍従としてきた三人はリオがレオンであったこと、魂の迷い人であることもすべて知っているそうである。フレドリックの侍従であるケネスはケネス・マイルズといい、公爵家の侍従長のマイルズの甥であり、公爵領邸で侍従長の手ほどきを受けていた。リオもライラと共によく遊んでもらっていたので旧知の仲である。
カレッジ領について色々話しながら用意されていた箱に部屋の物を入れる。大人三人とリオで三往復したが一時間ほどでリオの荷物はすっきり移動された。その荷物も夕食の時間までに棚や箪笥、机にすべてが収められていた。
そういえば、ハント代行官は使用人食堂で一緒に食事を取っていたのだけれども、フレドリックはどうするんだろう?と思っていたらどうやら郷に入れば郷に従えとばかりに同じ扱いでいいらしい。ケイが片付けの時もう少し公爵令息っぽくしてほしい、とぼやいていた。
「大体貴族の子息だって学園で七年従者なしで一人生活すればそれなりに馴染むものなんだよ。好き勝手過ごしていた貴族の子供を謙虚にさせることを目的としてた教育が行われるからね。三年も経てば街中で普通に買い食いするくらいに育つよ」
「――ええ、貴族たれ的な教育じゃないの」
「もちろん貴族的な教育も行われるけれど、それ以外にもしっかり学ぶよ。最後まで文句を言う貴族はいるけどね、そういう家の印象は良くない。自領の暮らしを上から下まで知らないと統治は出来ないから」
「うーん、魂の迷い人の影響を感じるかもしれないフランク具合」
「そうだね。何代か前の迷い人が学園改革したらしいから、そのせいかも」
公爵令息が代行官の仕事を学ぶために長期滞在する、という知らせに邸内が緊張に包まれていたが、フレドリックの態度が柔らかかったせいか、一週間もすれば今までと同じ空気になっていた。
「……リオ、明日だけれども」
「ん?なに?」
リオは何となくお手伝いをしていた状態だが、カレッジ領に帰ってきてからみっちりと代行官の仕事を教えられるようになった。主に午前中みっちり仕事を教えてもらい、午後から与えられた課題をこなす。けれども明日の午後は予定が空けられていた。
「明日の本邸参りに同行させてもらっても?」
明日は久しぶりにカレッジ領で過ごす月命日だった。だからいつも通り一人で旧領主邸に行くつもりではあったが、フレドリックの申し出に首を傾げた。
「うん、いいよ」
「一応ケネスとコリーとミックも連れていきたい。説明しなくていい、ただ同行させてもらえば」
「ん、わかった」
カレッジ領に来た三人もするりと屋敷に馴染んでいる。コリーとミックはケネスとケイに色々と教えてもらっているらしかった。そういえば、あそこに案内していなかったけれど、しばらくカレッジ領にいるのだったら一度訪れてもいいだろう。
カレッジ領は十年前の惨劇から立ち直りつつある。
新しい風が、吹こうとしていた。
季節が変わるくらい留守にしてしまったカレッジ領に帰ってきたリオとフレドリックを、ハント代行官とケイが迎えてくれた。
いつの間にか屋敷の門に近い庭に騎士団の詰め所が出来ていたし、なんならフレドリックたちの部屋も整えられていた。リオはとりあえず荷を解いて、コリーとミックに手伝ってもらってあちこちにお土産を配り歩いた。
そして驚いたのが、リオの部屋が三階にあるフレドリックの部屋の隣に移っていた。荷物の移動はリオ本人の指示待ちではあったが、いつの間にか代行官邸のファミリーエリアである三階に整えられていたのである。それに合わせてケイとアニーの部屋もファミリーエリアの西端に移っていた。ハント代行官は独身で単身でカレッジ領に来たのでファミリーエリアががら空きだったのが幸いだった、とケイは言っていた。
「リオには俺の補佐をしてもらうことになったから」
「え?俺まだ未成年ですけど」
「どうせ将来カレッジ領の運営に関わることになるんだ、二年くらい早く実務についても問題ないだろう」
フレドリックに思わず突っ込んだら、何を言っているんだと言わんばかりの表情でそう返された。確かに将来代行官を補佐していきたいと望んではいたけれども、それはもっと遠くの未来の話だと思っていたのだ。
「そうですよ。せっかく学園に行かずに実務を学べるのだから、そうしなさい。フレドリック様もそれなりにこちらに留まるんですよね?」
「ああ、父上もまだまだ元気だからね」
「そういうわけですよ、リオ様。優秀と名高いフレドリック様もいらっしゃったことだし、頑張りましょう」
「うう、代行官もそういうのなら頑張る……」
「リオ、コリーとミックとケイを連れて行っていいから部屋の引っ越しをしてしまうといい。その間俺はハント代行官に色々報告しておくことがあるから」
「わかった。ごめんね、コリーとミックもついたばかりなのに色々頼んじゃって」
「いえいえ、この程度大したことないですよ」
「そうですよ、移動も座っていただけでしたし」
「ありがと。じゃあ行ってきます」
執務室に残る二人に見送られて四人でリオの部屋へ向かう。
今までリオの部屋だった部屋は代行官邸の一階の端にあった。
三室並びの部屋で真ん中のリビングがある部屋からでないと両脇の部屋に入れないようになっている。角部屋はリオの部屋で反対側は夫婦の部屋となっていた。リオの部屋にはレオンの家族の遺品などがあり、それらを不用意に見られないように廊下から直接入れないような配置となった。またリオとしてこの屋敷に戻ってきた時リオはまだ五歳だったからケイたちと一緒に生活するのが自然であろうとウォルターズ公爵が部屋の改装を指示してくれたのだ。表向き、ケイへの褒賞となっていた。
同行している三人はリオの諸々を知っているから、見られて困るものもなかった。リオの部屋にはレオンであった頃の思い出も少し置いているのでフレドリックはコリーとミックにも手伝いを頼んでくれたのだろう。今回侍従としてきた三人はリオがレオンであったこと、魂の迷い人であることもすべて知っているそうである。フレドリックの侍従であるケネスはケネス・マイルズといい、公爵家の侍従長のマイルズの甥であり、公爵領邸で侍従長の手ほどきを受けていた。リオもライラと共によく遊んでもらっていたので旧知の仲である。
カレッジ領について色々話しながら用意されていた箱に部屋の物を入れる。大人三人とリオで三往復したが一時間ほどでリオの荷物はすっきり移動された。その荷物も夕食の時間までに棚や箪笥、机にすべてが収められていた。
そういえば、ハント代行官は使用人食堂で一緒に食事を取っていたのだけれども、フレドリックはどうするんだろう?と思っていたらどうやら郷に入れば郷に従えとばかりに同じ扱いでいいらしい。ケイが片付けの時もう少し公爵令息っぽくしてほしい、とぼやいていた。
「大体貴族の子息だって学園で七年従者なしで一人生活すればそれなりに馴染むものなんだよ。好き勝手過ごしていた貴族の子供を謙虚にさせることを目的としてた教育が行われるからね。三年も経てば街中で普通に買い食いするくらいに育つよ」
「――ええ、貴族たれ的な教育じゃないの」
「もちろん貴族的な教育も行われるけれど、それ以外にもしっかり学ぶよ。最後まで文句を言う貴族はいるけどね、そういう家の印象は良くない。自領の暮らしを上から下まで知らないと統治は出来ないから」
「うーん、魂の迷い人の影響を感じるかもしれないフランク具合」
「そうだね。何代か前の迷い人が学園改革したらしいから、そのせいかも」
公爵令息が代行官の仕事を学ぶために長期滞在する、という知らせに邸内が緊張に包まれていたが、フレドリックの態度が柔らかかったせいか、一週間もすれば今までと同じ空気になっていた。
「……リオ、明日だけれども」
「ん?なに?」
リオは何となくお手伝いをしていた状態だが、カレッジ領に帰ってきてからみっちりと代行官の仕事を教えられるようになった。主に午前中みっちり仕事を教えてもらい、午後から与えられた課題をこなす。けれども明日の午後は予定が空けられていた。
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明日は久しぶりにカレッジ領で過ごす月命日だった。だからいつも通り一人で旧領主邸に行くつもりではあったが、フレドリックの申し出に首を傾げた。
「うん、いいよ」
「一応ケネスとコリーとミックも連れていきたい。説明しなくていい、ただ同行させてもらえば」
「ん、わかった」
カレッジ領に来た三人もするりと屋敷に馴染んでいる。コリーとミックはケネスとケイに色々と教えてもらっているらしかった。そういえば、あそこに案内していなかったけれど、しばらくカレッジ領にいるのだったら一度訪れてもいいだろう。
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新しい風が、吹こうとしていた。
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