12 / 19
譲れないものとアクシデント
しおりを挟む
授業の終わりを伝えると、皆倒れ込むように地面に突っ伏し…っていう揶揄だけど、まああながち間違いじゃない。
どこまでも追いかけて来るゴーレム残り二体を、何とか皆で消したと同時にチャイムが鳴ったのだ。
「こ、殺されるかと思った……」
「兄が居なかったらまた来るからね~」
「「それは勘弁してください!!」」
手を振るも皆返すような気力は無い。
見応えがある授業だったなと自画自賛しつつも、俺は頭の片隅に主人公の一言が残ってたままだった。
別に望んでこうなった訳じゃない。
所詮俺はモブの一人だし、今の状況自体がバグなのだ。
主人公が現れるまで…なんて思ってたけど、培ってしまった縁を切る事は容易くなかった。
だからこそ、今こうなっている。
これじゃまるで俺が主人公だ。
そんな訳ないのに、そう思わされてしまう事ばかりが起こる。
主人公は未だに俺を睨んでくるし、かと言って俺にはどうにも出来ない。
それに…俺は慕ってくれてる相手を無下にしたくないのが本音。
甘えだって分かってる。
分かってて、俺は甘えてる。
授業で荒れた箇所を直しながら、俺は今後の身の振り方を考えるしかなかった。
─────────────────────
「最近ね、やけに私に絡んでくる一年生の子が居るんだよ」
「!?」
アルバートの一言に、俺は飲み込みかけたサンドイッチの一部を喉に詰まらせ、咳き込んでしまった。
「大丈夫?リオ」
「だ、大丈夫、大丈夫だから続けて…」
本当は色々な意味で大丈夫じゃない。
いや、やっと行動に移したんだな、随分遅かったけれど…やっぱりアルバートルートか。
分かっていた事だ。
所詮俺は、主人公とアルバートが結ばれる為の繋ぎなのだから。
「嗚呼…それで、今度のパーティーで踊ってくれないかと誘われたんだ。最初はエスコートして欲しいって頼まれたんだけど、断ったらそう提案してきてね」
…、ん?断った?
「え、エスコートしないの…?」
「?リオが居るから当たり前じゃないか」
きょとんとした顔も可愛いアルバート…じゃなくて!
俺はてっきりいつの間にか二人の仲が進展しているのだとばかり思ってた…。
アルバートの口振りからするにその可能性はない。
「そっか…」
どこか、ホッとしてる自分がいた。
本当は物語上、身を引かなくちゃいけないんだろうけど、俺にはやっぱり出来ない。
「私にはリオが居れば十分だから」
そう言って頭を引き寄せて撫でてくれるアルバート。
これだけの事で、嬉しくて、大好きって気持ちが溢れてくる。
「…ありがとう、アル」
「なにが?」
「ううん、なんでもない」
俺はアルバートの婚約者。
この場所だけは、譲りたくないと思ってしまった。
「殿下の婚約者ってアンタか?」
翌日、学園で自分よりかなり体格の大きな男子生徒に声をかけられた。
「そうだけど…、誰、ですか…?」
身に覚えのない顔に困惑していると、他にも取り巻きが居たらしく、気付かなかった俺は両サイドから捕まってしまった。
「え、!?ちょ、なに!?」
「安心しろ、アンタにとっても悪くない話だと思うぜ」
どう考えても悪い話しか見えない!
最悪な事に、ここは人通りが少ない廊下。
見渡す限りやはり誰もいない。
「やだ…!は、離して…!!」
俺の言葉は届かず、抵抗虚しく知らない男子達にどこかに引き摺られていった。
どこまでも追いかけて来るゴーレム残り二体を、何とか皆で消したと同時にチャイムが鳴ったのだ。
「こ、殺されるかと思った……」
「兄が居なかったらまた来るからね~」
「「それは勘弁してください!!」」
手を振るも皆返すような気力は無い。
見応えがある授業だったなと自画自賛しつつも、俺は頭の片隅に主人公の一言が残ってたままだった。
別に望んでこうなった訳じゃない。
所詮俺はモブの一人だし、今の状況自体がバグなのだ。
主人公が現れるまで…なんて思ってたけど、培ってしまった縁を切る事は容易くなかった。
だからこそ、今こうなっている。
これじゃまるで俺が主人公だ。
そんな訳ないのに、そう思わされてしまう事ばかりが起こる。
主人公は未だに俺を睨んでくるし、かと言って俺にはどうにも出来ない。
それに…俺は慕ってくれてる相手を無下にしたくないのが本音。
甘えだって分かってる。
分かってて、俺は甘えてる。
授業で荒れた箇所を直しながら、俺は今後の身の振り方を考えるしかなかった。
─────────────────────
「最近ね、やけに私に絡んでくる一年生の子が居るんだよ」
「!?」
アルバートの一言に、俺は飲み込みかけたサンドイッチの一部を喉に詰まらせ、咳き込んでしまった。
「大丈夫?リオ」
「だ、大丈夫、大丈夫だから続けて…」
本当は色々な意味で大丈夫じゃない。
いや、やっと行動に移したんだな、随分遅かったけれど…やっぱりアルバートルートか。
分かっていた事だ。
所詮俺は、主人公とアルバートが結ばれる為の繋ぎなのだから。
「嗚呼…それで、今度のパーティーで踊ってくれないかと誘われたんだ。最初はエスコートして欲しいって頼まれたんだけど、断ったらそう提案してきてね」
…、ん?断った?
「え、エスコートしないの…?」
「?リオが居るから当たり前じゃないか」
きょとんとした顔も可愛いアルバート…じゃなくて!
俺はてっきりいつの間にか二人の仲が進展しているのだとばかり思ってた…。
アルバートの口振りからするにその可能性はない。
「そっか…」
どこか、ホッとしてる自分がいた。
本当は物語上、身を引かなくちゃいけないんだろうけど、俺にはやっぱり出来ない。
「私にはリオが居れば十分だから」
そう言って頭を引き寄せて撫でてくれるアルバート。
これだけの事で、嬉しくて、大好きって気持ちが溢れてくる。
「…ありがとう、アル」
「なにが?」
「ううん、なんでもない」
俺はアルバートの婚約者。
この場所だけは、譲りたくないと思ってしまった。
「殿下の婚約者ってアンタか?」
翌日、学園で自分よりかなり体格の大きな男子生徒に声をかけられた。
「そうだけど…、誰、ですか…?」
身に覚えのない顔に困惑していると、他にも取り巻きが居たらしく、気付かなかった俺は両サイドから捕まってしまった。
「え、!?ちょ、なに!?」
「安心しろ、アンタにとっても悪くない話だと思うぜ」
どう考えても悪い話しか見えない!
最悪な事に、ここは人通りが少ない廊下。
見渡す限りやはり誰もいない。
「やだ…!は、離して…!!」
俺の言葉は届かず、抵抗虚しく知らない男子達にどこかに引き摺られていった。
154
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~
ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。
――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ!
※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。
悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかないオタクのはなし
はかまる
BL
転生してみたものの気がつけば好きな小説のモブになっていてしかもストーリーのド終盤。
今まさに悪役が追放されそうになっているところを阻止したくなっちゃったオタクの話。
悪役が幸せに学園を卒業できるよう見守るはずがなんだか――――なんだか悪役の様子がおかしくなっちゃったオタクの話。
ヤンデレ(メンヘラ)×推しが幸せになってほしいオタク
異世界転生した悪役令息にざまぁされて断罪ルートに入った元主人公の僕がオメガバースBLゲームの世界から逃げるまで
0take
BL
ふとひらめいたオメガバースもの短編です。
登場人物はネームレス。
きっと似たような話が沢山あると思いますが、ご容赦下さい。
内容はタイトル通りです。
※2025/08/04追記
お気に入りやしおり、イイねやエールをありがとうございます! 嬉しいです!
悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかない ~推しは間もなく退場予定~
はかまる
BL
ぼっちオタク高校生が転生したのはなんと大大大好きな恋愛小説。
…の、モブになっていた。しかも気づいた時点で既にストーリーはド終盤。
今まさに悪役のシルヴァ・ヴェントスが追放されそうになっている。
推しであるシルヴァの追放を阻止したい前世の記憶がゴリゴリあるオタク、アルス・チェルディは追放イベントを失敗に終わらせ強制的に悪役に学園生活を続行させる。
その後、悪役が幸せに学園を卒業できるようオタ活をしながら見守っていくはずが、なんだか悪役シルヴァの自分への態度が段々とおかしくなってきて……?
【CP】ヤンデレ?攻め×オタク包容力受け
短い話になりますがお付き合い頂けると嬉しいです。1日2回更新。
かっこいい攻めはいない不器用な青い恋。
(元となるSSから加筆した作品になります)
『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。
春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。
チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。
……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ?
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――?
見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。
同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨
俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。
黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。
※このお話だけでも読める内容ですが、
同じくアルファポリスさんで公開しております
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
と合わせて読んでいただけると、
10倍くらい楽しんでいただけると思います。
同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。
魔法と剣で戦う世界のお話。
幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、
魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、
家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。
魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、
「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、
二人で剣の特訓を始めたが、
その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・
これは病気か!?
持病があっても騎士団に入団できるのか!?
と不安になるラルフ。
ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!?
ツッコミどころの多い攻めと、
謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの
異世界ラブコメBLです。
健全な全年齢です。笑
マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる