【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎

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譲れないものとアクシデント

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授業の終わりを伝えると、皆倒れ込むように地面に突っ伏し…っていう揶揄だけど、まああながち間違いじゃない。
どこまでも追いかけて来るゴーレム残り二体を、何とか皆で消したと同時にチャイムが鳴ったのだ。

「こ、殺されるかと思った……」
「兄が居なかったらまた来るからね~」
「「それは勘弁してください!!」」

手を振るも皆返すような気力は無い。
見応えがある授業だったなと自画自賛しつつも、俺は頭の片隅に主人公の一言が残ってたままだった。

別に望んでこうなった訳じゃない。
所詮俺はモブの一人だし、今の状況自体がバグなのだ。
主人公が現れるまで…なんて思ってたけど、培ってしまった縁を切る事は容易くなかった。
だからこそ、今こうなっている。

これじゃまるで俺が主人公だ。

そんな訳ないのに、そう思わされてしまう事ばかりが起こる。

主人公は未だに俺を睨んでくるし、かと言って俺にはどうにも出来ない。
それに…俺は慕ってくれてる相手を無下にしたくないのが本音。
甘えだって分かってる。
分かってて、俺は甘えてる。

授業で荒れた箇所を直しながら、俺は今後の身の振り方を考えるしかなかった。




​───────​───────​───────


「最近ね、やけに私に絡んでくる一年生の子が居るんだよ」
「!?」

アルバートの一言に、俺は飲み込みかけたサンドイッチの一部を喉に詰まらせ、咳き込んでしまった。

「大丈夫?リオ」
「だ、大丈夫、大丈夫だから続けて…」

本当は色々な意味で大丈夫じゃない。
いや、やっと行動に移したんだな、随分遅かったけれど…やっぱりアルバートルートか。
分かっていた事だ。

所詮俺は、主人公とアルバートが結ばれる為の繋ぎなのだから。


「嗚呼…それで、今度のパーティーで踊ってくれないかと誘われたんだ。最初はエスコートして欲しいって頼まれたんだけど、断ったらそう提案してきてね」


…、ん?断った?


「え、エスコートしないの…?」
「?リオが居るから当たり前じゃないか」

きょとんとした顔も可愛いアルバート…じゃなくて!
俺はてっきりいつの間にか二人の仲が進展しているのだとばかり思ってた…。
アルバートの口振りからするにその可能性はない。

「そっか…」

どこか、ホッとしてる自分がいた。
本当は物語上、身を引かなくちゃいけないんだろうけど、俺にはやっぱり出来ない。

「私にはリオが居れば十分だから」

そう言って頭を引き寄せて撫でてくれるアルバート。
これだけの事で、嬉しくて、大好きって気持ちが溢れてくる。

「…ありがとう、アル」
「なにが?」
「ううん、なんでもない」

俺はアルバートの婚約者。
この場所だけは、譲りたくないと思ってしまった。









「殿下の婚約者ってアンタか?」

翌日、学園で自分よりかなり体格の大きな男子生徒に声をかけられた。

「そうだけど…、誰、ですか…?」

身に覚えのない顔に困惑していると、他にも取り巻きが居たらしく、気付かなかった俺は両サイドから捕まってしまった。

「え、!?ちょ、なに!?」
「安心しろ、アンタにとっても悪くない話だと思うぜ」

どう考えても悪い話しか見えない!
最悪な事に、ここは人通りが少ない廊下。
見渡す限りやはり誰もいない。

「やだ…!は、離して…!!」

俺の言葉は届かず、抵抗虚しく知らない男子達にどこかに引き摺られていった。
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