【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎

文字の大きさ
14 / 19

思いがけない出来事

しおりを挟む
ドタドタと複数の足音。
体育館倉庫のドアを開け…、…いやバタンと聞こえた音は扉が倒れた音だったようで、蹴り倒して現れたのは。



「ぁ、…アル…、…ユーリ?え、セシル?レオ兄も、なんで??」
「なんだお前ら!…って、やべ、殿下!?」


流石の王子の登場に慌てて俺の上から退こうとする男。
外にも見張りがいたらしく、数人伸びているのが見えた。多分…いや、ほぼレオ兄が倒したのだろう。一部が氷漬けにされている。
ユーリとセシルは周りを固めていた男子生徒達を、そしてアルは俺から退いて逃げようとしていた男の腕を捻り上げ拘束した。

「すご…」

それは一瞬だった。
示し合わせたかのような連携プレーに、思わず声が漏れる。

「リオ!!」

アルバートが捻り上げた男の腕を見えない何かで拘束した後、もう用済みとばかりにそこら辺に倒して俺の元に駆け寄って、抱き寄せられた。

「…アル、なんで…?」
「リオを探していたら、聞き捨てならない言葉が聞こえてね。吐かせたら此処だと言われたんだ。……間に合ってよかった」

アルバートの言ってることがよく分からないけど、つまり俺を陥れようとした人を捕まえたってこと?それで俺を助けに……?

「は、はは…やだな、…もう」
「…リオ?」


俺は名前もなかったただのモブ。
前世の記憶を取り戻して、主人公じゃないって知って落胆して、…でも。 


アルが、何年も焦がれた大好きなアルが、傍に居てくれた。



レオ兄も、ユーリも、セシルも、みんな助けに来てくれて。
俺は。


俺は主人公じゃないのに、こんなに幸せなんていいのだろうか。

そんな事を考えながらも、構わずぎゅうとアルバートに強く抱き着く。

「ありがとう、…!…アルっ」
「リオ…怪我はない?」
「大丈夫。みんなもありがとう、ユーリ、セシル、レオ兄!」

男子生徒を手枷で身動きを取れなくしてから、みんな俺の方を見つめて、良かったと言ってくれた。

「それでなんだが、リオ、ちょっといいか?」
「なに?レオ兄」
「アルバート殿下が聞いた不穏な話をしていた主犯格を連れてきたんだ。多分、お前も知ってる人だと思うぞ」

え、それって…身近な人に恨み持たれていたってことだよね…?
…あれ、心当たりが…。

目の前に一人の生徒が後ろ手に掴まれた状態で俺の前に現れる。
その人物は、やっぱり。


「…、ユウ、君」


レオ兄に取り押さえされていた人物。

それは間違いなくこの作品の主人公である、ユウ。
その人だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかないオタクのはなし

はかまる
BL
転生してみたものの気がつけば好きな小説のモブになっていてしかもストーリーのド終盤。 今まさに悪役が追放されそうになっているところを阻止したくなっちゃったオタクの話。 悪役が幸せに学園を卒業できるよう見守るはずがなんだか――――なんだか悪役の様子がおかしくなっちゃったオタクの話。 ヤンデレ(メンヘラ)×推しが幸せになってほしいオタク

異世界転生した悪役令息にざまぁされて断罪ルートに入った元主人公の僕がオメガバースBLゲームの世界から逃げるまで

0take
BL
ふとひらめいたオメガバースもの短編です。 登場人物はネームレス。 きっと似たような話が沢山あると思いますが、ご容赦下さい。 内容はタイトル通りです。 ※2025/08/04追記 お気に入りやしおり、イイねやエールをありがとうございます! 嬉しいです!

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかない ~推しは間もなく退場予定~

はかまる
BL
ぼっちオタク高校生が転生したのはなんと大大大好きな恋愛小説。 …の、モブになっていた。しかも気づいた時点で既にストーリーはド終盤。 今まさに悪役のシルヴァ・ヴェントスが追放されそうになっている。 推しであるシルヴァの追放を阻止したい前世の記憶がゴリゴリあるオタク、アルス・チェルディは追放イベントを失敗に終わらせ強制的に悪役に学園生活を続行させる。 その後、悪役が幸せに学園を卒業できるようオタ活をしながら見守っていくはずが、なんだか悪役シルヴァの自分への態度が段々とおかしくなってきて……? 【CP】ヤンデレ?攻め×オタク包容力受け 短い話になりますがお付き合い頂けると嬉しいです。1日2回更新。 かっこいい攻めはいない不器用な青い恋。 (元となるSSから加筆した作品になります)

『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。

春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。 チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。 
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。 ……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ? 
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――? 見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。 同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨

俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。 ※このお話だけでも読める内容ですが、 同じくアルファポリスさんで公開しております 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 と合わせて読んでいただけると、 10倍くらい楽しんでいただけると思います。 同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。 魔法と剣で戦う世界のお話。 幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、 魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、 家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。 魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、 「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、 二人で剣の特訓を始めたが、 その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・ これは病気か!? 持病があっても騎士団に入団できるのか!? と不安になるラルフ。 ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!? ツッコミどころの多い攻めと、 謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの 異世界ラブコメBLです。 健全な全年齢です。笑 マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。 よろしくお願いします!

処理中です...