【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎

文字の大きさ
15 / 19

犯人は主人公

しおりを挟む
取り押さえられているユウ君には氷の手枷が付いていて、レオ兄がやったのは確実だった。
氷だから簡単に砕けそうなイメージはあるけれど、実際は硬くてちょっとやそっとじゃ取れやしない。

不機嫌そうな瞳が俺に向けられる。
それと同時に、殺意に満ちた瞳。
俺はその瞳に宿る憎悪に背筋が震えた。

それだけで分かった。
この子が仕組んだんだ、この一連の出来事を。

「犯人はこの一年だと他の奴らが白状した。理由は明確には述べなかったが…」

「なんであんたがアルバートのそばに居るの!?あんたのせいでアルバートルートに入れないし、他の攻略対象だって僕を見ないし、なんなのあんた!!」

レオ兄の言葉を遮って、彼は声を荒らげた。

そして気付いてしまった。

嗚呼、俺の予想は外れてはいなかった。


彼も転生者だ。


「…君は、アルバートと、結ばれたいの…?」
「は?そんなの当たり前じゃん。王子だよ?こんな良物件そうそう無いでしょ、王子であるアルバートを選ぶのは当然」
「じゃあ、……アルバートが王子じゃなかったら?」
「選ぶ訳ないじゃん」

 返答次第では俺はここから去ってしまおうかと思った。
だけれど、そんな気持ちは微塵もない。
未だに俺を抱きしめてくれているアルバートの腕を掴み、引き寄せた。

「俺は、俺は何十年もこの人に恋してきた。やっと叶った恋なんだ。それなのに、そんな理由でアルバートを選ぶつもりなら、俺は抗うよ」
「はぁ?たかがモブの分際で偉そうに。僕はね、主人公なの?分かる?」
「その主人公様は、対象者から全く興味も持たれていないみたいだけど?」

カチンときたのか、ユウ君は俺に殴りかかろうとでもしたのだろうけど、拘束具を着けられている以上そんな事が出来る訳もなく。
レオ兄が拘束具を引けば、結局彼は俺に何も出来なかった。


「俺は、俺はアルバートが好き!誰になんて言われようと、ずっとずっと好きだったんだ!誰にも渡したくない!!」


その時だった。

左手の薬指が光出して、目も開けていられない程の輝きにぎゅっと目を瞑る。
しばらく瞼の内側でチカチカしていたのが止めば、ゆっくりと目を開けた。



「え…、?」


柔い光の中、左手の薬指。

そこに赤い糸が繋がれていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

これはハッピーエンドだ!~モブ妖精、勇者に恋をする~

ツジウチミサト
BL
現実世界からRPGゲームの世界のモブ妖精として転生したエスは、魔王を倒して凱旋した勇者ハルトを寂しそうに見つめていた。彼には、相思相愛の姫と結婚し、仲間を初めとした人々に祝福されるというハッピーエンドが約束されている。そんな彼の幸せを、好きだからこそ見届けられない。ハルトとの思い出を胸に、エスはさよならも告げずに飛び立っていく。 ――そんな切ない妖精に教えるよ。これこそが、本当のハッピーエンドだ! ※ノリと勢いで書いた30分くらいでさくっと読めるハッピーエンドです。全3話。他サイトにも掲載しています。

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかないオタクのはなし

はかまる
BL
転生してみたものの気がつけば好きな小説のモブになっていてしかもストーリーのド終盤。 今まさに悪役が追放されそうになっているところを阻止したくなっちゃったオタクの話。 悪役が幸せに学園を卒業できるよう見守るはずがなんだか――――なんだか悪役の様子がおかしくなっちゃったオタクの話。 ヤンデレ(メンヘラ)×推しが幸せになってほしいオタク

異世界転生した悪役令息にざまぁされて断罪ルートに入った元主人公の僕がオメガバースBLゲームの世界から逃げるまで

0take
BL
ふとひらめいたオメガバースもの短編です。 登場人物はネームレス。 きっと似たような話が沢山あると思いますが、ご容赦下さい。 内容はタイトル通りです。 ※2025/08/04追記 お気に入りやしおり、イイねやエールをありがとうございます! 嬉しいです!

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかない ~推しは間もなく退場予定~

はかまる
BL
ぼっちオタク高校生が転生したのはなんと大大大好きな恋愛小説。 …の、モブになっていた。しかも気づいた時点で既にストーリーはド終盤。 今まさに悪役のシルヴァ・ヴェントスが追放されそうになっている。 推しであるシルヴァの追放を阻止したい前世の記憶がゴリゴリあるオタク、アルス・チェルディは追放イベントを失敗に終わらせ強制的に悪役に学園生活を続行させる。 その後、悪役が幸せに学園を卒業できるようオタ活をしながら見守っていくはずが、なんだか悪役シルヴァの自分への態度が段々とおかしくなってきて……? 【CP】ヤンデレ?攻め×オタク包容力受け 短い話になりますがお付き合い頂けると嬉しいです。1日2回更新。 かっこいい攻めはいない不器用な青い恋。 (元となるSSから加筆した作品になります)

『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。

春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。 チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。 
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。 ……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ? 
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――? 見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。 同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨

俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。 ※このお話だけでも読める内容ですが、 同じくアルファポリスさんで公開しております 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 と合わせて読んでいただけると、 10倍くらい楽しんでいただけると思います。 同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。 魔法と剣で戦う世界のお話。 幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、 魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、 家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。 魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、 「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、 二人で剣の特訓を始めたが、 その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・ これは病気か!? 持病があっても騎士団に入団できるのか!? と不安になるラルフ。 ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!? ツッコミどころの多い攻めと、 謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの 異世界ラブコメBLです。 健全な全年齢です。笑 マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。 よろしくお願いします!

処理中です...