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1週間後
しおりを挟むこの大陸南部一帯を統治するハルツール国、かつて女神サーナが初めて降り立った地として知られる、大陸中央にあるハルツールの首都サーナタルエ、その国の中枢機関である国家議会堂の一室
盗聴防止、防音魔法が幾度にも掛かった部屋で、この国の主席イディ・アンドリナは、他の首脳陣と話し合いを行っていた
圧倒的な力を持つ北部の大国、『マシェルモビア』に対する対策のためだ。
女神マシェルが加護を与えた地として、国名にまでなっている、マシェルモビアは女神マシェルから加護を与えられた後、武力で北部一帯を統一していった。
一方ハルツールの方は、女神サーナの教えを説いて周り、話し合いで周囲の国々を合併吸収していった、自治や法などはその土地にもともとあった国のものが使われており、さながら合衆国のような体制を敷いていた。
主席イディの横には、この国の首相ゴルジア・サトが着席している、坊主頭で彫りが深い厳つい顔の初老の男性だ、臨時の役所の職員で入所した彼は、入所直後から頭角を現し国の首相にまで上り詰めた能力のある人物だ、
厳つい顔に似合わず、正義漢で人情に厚く国民にもかなり人気がある
ほかにもその地を代表する者が一同に集まっていた。
「以上がマシェルモビアに対する報告であります」
代表者の一人がそう報告を終了する
「あの国は少し動きを見せているようじゃが、表立っては動いてはいないのぅ」
「首相のおっしゃる通り大規模な軍事行動などの用意は無いようです、引き続き注視していきます」
「うむ、頼むぞ」
首相のゴルジア言葉に、代表者の一人は「はい」と返す
「続きまして緩衝地帯で起きました空間の歪みの報告をいたします」
代表者ではなく、なんで今度は調査隊の責任者が椅子から立ち上がる
「前回の空間の歪みについて、あれから1週間がたちましたが、歪みは確認されず完全に消失したと思われます、周囲にも大規模な調査隊を派遣しましたが異常は見当たりませんでした。
ただ、最初に目撃された歪みから少し離れた場所に、そこそこの範囲の場所が溶かされたような跡がありました。」
「溶かされたとは?」
代表者の一人が眉をひそめる
「はい、辺りの木や草、土などが混ざりドロドロになったあと固まった、という感じでした。その周辺には特に際立った魔力の反応はありませんでした。
それともう一つ、歪み周辺の辺りは村が近いということで、昔から頻繁に魔物の間引きが行われていましたが、今まで一度もオーガの存在を確認したことはないそうです」
「それは‥‥」
「はい、オーガが自分達で移動をしてきたのか、何かに追われてそこまで来たのか、もしくは‥‥‥空間の歪み」
ざわざわと小声で話出す代表者たち
イディは顎に手を当てながら
「確かに、移転門に似た反応をしたその場所にオーガが1体いましたからね、あながち間違いでもない気がします、 それを使って迷い込んだもしくは送り込んだ、なんて考え方も出来ますね
どちらにせよ、首相がその地の調査に私を推薦してくれたことで、『普通の歪み』ではないことが分かりましたから」
「うむ、ではすまぬがまだまだ情報が不足しておる、オーガのこともそうじゃが、溶けた跡についても引き続き調査をお願いしたい」
「はい」
首相ゴルジアが、イディの言葉に頷き調査隊に支持を出す、そして、もう一つの気になることを聞いた
「ところで、その場所にいたという少年はそのあとどうなったかな?」
そのことについて既に報告を受けているイディが、答える
「その子の事でしたら私が、彼は右半身と頭にかなりの傷を負っていましたが、魔法による治療でほぼ回復しています」
「ほぅ、それはよかった」
「ですが‥‥」
「ですが?」
「彼は言葉が話せないのです」
「話せないとはどういうことでしょうか、怪我による後遺症ですか?」
イディの左前方に座っていた代表者が訪ねる
「担当したもの推察だと、私たちが使っている言葉は話せないが、他の言語を使っているらしいと」
室内がどよめく、この星では言語は一つしかなく、他の言語というのは実在しないからだ、もちろんこの星の言語でも方言などはある。
「彼はかなり知能も高いらしくごくごく簡単な単語なら理解できているらしいのです、そして身振り手振りも併せて、分かったことが、名はウエタケ・ハヤト、年齢が20歳」
「まだ子供じゃないか」
「言葉の分からない土地に連れてこられたのか?」
「オーガに殺されかけるとは怖かったろうに」
と周りから声が聞こえてくる
「ウエタケ・ハヤトは『生命の儀式』『防病の儀式』二つとも受けてはいません、とりあえず傷が完治したら儀式を受けさせるつもりです」
「で、そのあと彼をどうするつもりですかな?」
「敵国の諜報員で言葉が分からないふりをしているという可能性もありますが・」
このイディの言葉で代表者たちの目が真剣なものになる
「まぁ、まずは言葉を覚えてもらいましょうと・・・初等部に入ってもらおうかと」
「いくら子供でも20歳で初等部は‥‥きつかろうな、フフッ」
「ええ、ウフフフッ」
他の代表者たちは初等部入学と聞いて、クスクスと笑っていた。
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