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絡まれる
しおりを挟むチカチカと、光による合図が送られてきます
ここからだとまだ判別できませんが、領域的に見ても我が軍の竜翼機でしょう、それに光での合図がその証拠です、敵なら問答無用で撃って来ているはずです
私は現在輸送任務中でありますが、次の場所が3か所目となります。この辺りの空は我が領域に入っていますが、制空権がまだ曖昧な所もあり、敵竜翼機に襲われる恐れもあります。
なので、味方竜翼機が拠点まで護衛を務めてくれる事になっています
何度か輸送任務は受けていましたが、ここに来るのは初めてですね、えっと時間は‥‥
時計に目をやると、時間に遅れてはいませんでした
「どうやら時間道りに到着出来たようですよ、コスモ」
日本で20年生きた結果でしょうか? 自然と『時間厳守』が、パッシブスキルとして発動してるようです
味方竜翼機は私の近くまで来ると反転し、誘導を開始してくれました。コスモがいるのでそれほどでもありませんが、やはり一人で飛ぶのは少々寂しくもあり、不安を掻き立てられます、やはり味方がいるのは心強いですね
「さあコスモ、あの竜翼機の後を追ってください」
それにしても、あの光の合図は何と言っていたのでしょうか? 相変わらずよく分かりませんね、今度勉強しておきましょうか?
・・・・
・・・・
「空での護衛、ありがとうございました」
護衛をしてくれた竜翼機のパイロットにお礼を言い、輸送の報告に行こうと思います
この場所は司令などは置いておらず、師団長がこの場を仕切っているのでそちらに‥‥‥あっ、向こうからいらしたようですね、胸に師団長のバッチを付けた方が来られました
「輸送任務ご苦労だった」
・・・・
・・・・
随分とつんけんな態度を取る方でした。かなりイライラしているようでしたが、今のハルツール東部東地区の侵攻状況を知っているとそれも納得できるでしょう、当初完全に押していたハルツール軍も、今はその勢いが弱まり、停滞しているようです、ですがそもそもの原因が、私が守っていた要塞が落とされた事が原因でしょう、あれが落とされた結果、軍の再編成、それにより東地区の戦力を、西地区に回さなければならなくなったのが大きいでしょうか?
はるばる食料を輸送してきたのですが‥‥‥‥
「あのテントに入れておけ」
それだけ言って去って行きました。
自ら出てこられたので性格の良い方だと思ったのですが‥‥どうやら他の場所に行く途中に、たまたま自分が到着したみたいでした
「さて、食料保管場所のテントは‥‥‥」
あれかな?
「せんぱーい!」
ん? 聞いたことのある声が‥‥
「ポンドラス? ああ、君はここでしたか」
「ん? あ、はい、ここに配属っす」
「最近はどうですか? 無理などはしていないですか?」
私の大事な後輩ですから、やはり、日ごろの事が気になります。
「えっと‥‥‥ええ、まあ‥‥先輩その喋り方‥あっ、いえ、何でも無いっす」
大丈夫のようですね、でもちょっとだけ元気がないようですね‥‥
「ラグナ、出てきなさい」
「お呼びでしょうか? 旦那様」
見た目は悪魔バフォメット、後ろには小さな老婆を3人背負い、召喚に応じてくれました。
「アレをポンドラスに」
「はい」
ラグナは箱を取り出し、そこらからオヤスが開発した新作をポンドラスに差し出しました。しかも形が残っている一番大きな物を、エクレールが見たら発狂すること間違いなしですね
「どうぞ、ポンドラス様」
しかし、ポンドラスは受け取ろうとしません
「あ、あのぉ‥‥」
「どうしました? ポンドラス、チョコレーとは嫌いですか?」
「い、いえ、好きです あっ! 好きっす」
今言い直しましたね、本来の性格はどっちなんでしょうか? 少し気になります
「先輩の、この召喚獣も喋るんですね‥‥」
おや? ポンドラスは初めてでしたか
「これは失礼しました、わたくし旦那様の執事をしております、ラグナと申します、どうかお見知りおきを」
ラグナは自己紹介し、恭しく頭を下げます。流石はラグナこんな所はしっかりしていますね、でもラグナ、勘違いしてはいけませんよ、貴方は召喚獣ですから
「あっ! はい、どうもご丁寧に‥‥」
緊張しているのかポンドラスはぎこちなく頭を下げました
自己紹介は済んだようですね、しっかりとチョコレートも受け取ったので、ついでに食料の保管場所に案内してもらいましょうか、出来れば食料の取り出しも手伝って欲しいですね
「所でポンドラス、食料の━━」
「おっ! そこにいるのは竜騎士様じゃねぇーか?」
ポンドラスに案内を‥‥と思った矢先、不意に声を掛けられました。どう聞いても自分の事なので
「何でしょうか?」
聞き返します
「チッ!」
‥‥いきなり舌打ちされました、これはアレですね、絡まれる前兆です
「ハルツールの希望、竜騎士、大層な呼ばれ方をしているみたいだがよ! その竜騎士がこんな所で何やってんだ? お前が守っていた場所が落とされたってのによ! 戦線を押し上げている楽な東地区で戦果稼ぎでもしに来たのか!?」
ほらね、絡まれました。
最近は無かったのに久しぶりですね、よく度胸試しに絡まれる事は前は有ったんですが
絡んできた男と私の間に、ポンドラスが割り込んできました
「おい‥‥ローグどういう事だ? もういっぺん言って見ろ」
ポンドラス!? そっちが通常の話し方なんですね? あと男の名はローグって名前なんですね
「はぁ? 何でお前がしゃしゃり出てくんだよ、俺はそっちの砦落とされて、その上尻尾巻いて逃げてきた竜騎士とやらに言ってるんだよ!」
「てめぇ!」
うーん‥‥この二人今にも喧嘩しそうですね、それにしてもポンドラス‥‥あとでもう少し追加でチョコをあげときましょうか
以前、ハルツール最強のリクレク隊、カシ・ヒタミア中隊長に、砦が落とされた後言われた事がありました
「リクレク隊は負ける事が許されない、それはハルツール軍の栄光の一つだからだ。そして竜騎士、お前もそうだ。
竜騎士の再来としてハルツールの希望になっている。‥‥だが、俺達が守っていた砦が落とされ、西側の戦線が大きく後退したことによって、他の兵士からはきつく当たられる事になるだろう」
と言っておりました。希望になった覚えはありませんが、それでも一応、自分の立場を理解しています。私にその気が無くても、周りが私に注目する、今までも周りからそんな目で見られていました
期待、という言葉があっているでしょうか? しかし、砦防衛を失敗した事でその周りの気持ちというのが逆転します、「期待していたからこそ」その裏返しですね。だから、カシ・ヒタミア中隊長の言う事も理解出来ました。
そして中隊長は
「今は何を言われても耐えろ、結果で示すんだ」
とおっしゃいました
『短気になるな』という事でしょう。私も小隊を持つ隊長です、それ位はわかっています、なので今、目の前にいるポンドラスとローグが喧嘩をしてしまうと、ちょっと不味い事になってしまいます、多分この二人は同じ部隊なのでしょう、ここで仲たがいしてしまうと後の作戦に響く事になるでしょう
中隊長からは
「次の任務は必ず成功させて見せよう、とでも言っておけ、それでも言ってくるようだったら『善処する』を言い続ければ相手はその内どこかに行く」
とのアドバイスも受けています、ですが私は昔からこの手の人には慣れています、ですのでここは私のやり方で‥‥‥‥
「あ、あー、ポンドラス?」
「あぁん!? あっ、先輩、な、何すか?」
今、あぁん! とか言いましたね先輩である私に向かって、まあいいでしょう
「実は私、お腹が空いてしまったんですが」
「え? あの、でしたらこれ‥‥」
自身の『収納』からパナンの保存食を取り出し、渡そうとしてきますが
「いえ、食料では無いんです、魂が食べたいんですけど」
「‥‥え゛っ!!」
理解が出来なかったのか、一瞬間が空き、そして瞬時に青ざめた。
それはポンドラスだけではなく、絡んできたローグもだった。
「勘違いしないで下さいよ、ポンドラスの魂じゃなくて‥‥そちらの方の魂がとても美味しそうで、さっきから魂ばかり見てしまうのですよ」
そう言ってローグの方を見ると、彼は目を見開き、口を開けたまま、その場から動けなくなっていた
必勝パターンに入りましたね、こうなると後はもうちょっと押してあげるだけで‥‥
「あのー、出来ればでいいんですが、あなたの魂を頂いてもよろしいですか? 大丈夫です、ちゃんと私の中で魔力として生きる事が出来ますから」
ローグは言葉を発せず、ほんの少しだけ後ろに後ずさる、別の見方をすれば少しだけ後ずさる事しか出来なかった
「別にあなた一人という訳ではありません、仲間もこんなにたくさんいますから」
ローグに話しかけると同時に、いくつもの炎が立ち上がる、その炎は徐々に人の形に姿を変え‥‥
『タス・・・・ケ・・・・テ』
言葉を発した
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ローグは逃げて行きました。今の所、これで負けなしです、大体こうすれば絡んできた人は逃げて行きますから
さてと、話が中断しましたからポンドラスに場所を‥‥
「何してるんですか?」
ポンドラスは地べたにへたりこみ、目に涙を浮かべていました
「あわわわわわ‥‥」
あなたもですか?
「ポンドラス、ちゃんと見て下さい、ファイヤーマンですよ、前に教えてあげたでしょう?」
ポンドラスが落ち着くまで、しばし時間がかかりました
◆◇
最近ですが、よく思う事があります。『フェルド・ガーン』はこんな性格だったでしょうか? 随分前の事だったので忘れてしまいました。
話し方も少々違う気がします、リテア様にお会いできれば思い出せるのでしょうが‥‥‥‥
早くリテア様にお会いしたいです
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