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いままで見て来た墓
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「それで? 隊の皆はどうなった?」
ハルツールに戻って来てから、一度も他人に聞いた事の無い質問をタクティアに向ける
「‥‥どこまでハヤト隊長は聞いていますか?」
「目の前にいるタクティア・ラティウスの生存は一昨日本部から聞いている、それと一番の目的だったサコナ・ソルセリ―の生存、後はライカ・ダーモン、これは未確認だけど確証はある。
そしてノース・ビベルの死亡、3人共軍学校の後輩から聞いた。その後輩は俺がノースに渡した杖を持っていたし、ノースの最後を看取ったといっていたしな、俺が知っているのはそこまでだ」
タクティアはそれを聞き、一息おいてから話し出す。ハヤト隊のその後を
「まずは死亡が確定している者から。ノース・ビベル、デディ・アバルド死亡。デディの死はタバルが確認しています‥‥。続けてハルツールにたどり着けた者は━━」
デディ、お前も辿り着けなかったのか
ノースだけではなく、デディも死亡していた事が分かり少し胸の奥がチクリと痛む。
ノース・ビベルとデディ・アバルドは、ハヤト隊を二つに分けた時、俺とエクレールしかいなかった隊に編入された。
ノースは『探知』持ちなのにもかかわらず、まともに報告せず部隊を何度も危険にさらしたとしていじめに合っていた所を、要らないならこっちで貰うと言いハヤト隊に引き込んだ。
結果は、元居た部隊の人が言っていた事が正しかった、俺も何度怒ったことか‥‥。
それでも最後は立派に務めを果たしたようだ、自分の事よりも周りの部隊の事を気にしていたと最後を看取ったドルバから聞いている。この杖を使い探知をしろと
ノースと同じで、部隊を二つに割った時に入ったもう1人の隊員であるデディ・アバルド。前衛が出来る隊員で、何があっても文句も言わず任務を果たしていた。本人が無口という事もあるだろうが‥‥。
どんな危険な任務でもほとんど無傷で終えていたデディ、何か持っているんじゃないかと思うほど怪我とは無縁だったのに‥‥そうか
二人が死亡した事が分かったが、タクティアの口ぶりではその他は生きていたか
「━━まずはサコナ・ソルセリー、オーバ・パイルプス、ライカ・ダーモン、タバル・ダイヤ、コトン・ラティウスは生存です、無事にハルツールに帰還しました」
ん? 1人足りないよ
「エク━━」
「エクレールは‥‥まだ帰って来ていません」
「それは?」
「死亡が確認されていません」
「そう‥‥か」
ドルバから深部の状況は聞いている、仲間の死の確認も出来ず、その場から逃げる事が精一杯だったと。ドルバは自分の部隊の人達がどうなったかを知らないと言っていた。
皆ばらばらに逃げ、ハルツールに戻った時はドルバがいた部隊の人は誰一人としていなかったという。そして誰もドルバの部隊の隊員の行方を分からないと。
つまり、ノースとデディは最後を見た者がいたから死亡と分かるが、エクレールは誰も知らない場所で、知らず内に死んだのだろう。
もちろんエクレールの最後を見た者はいるだろうが、その死の証言を出来る者もあの深部で命を失った
だからタクティアは帰って来ていないと言った。死んではいない、もしかしたらと
「すみませんでした、命令を守る事が出来ませんでした」
「頭を下げるな、命令はソルセリーの命の事だけしか言って無い、命令は守られてる━━」
頭を下げようとするタクティアを手で止めるた、その時その場所では、ドルバからどんな状況だったのかは聞いている。
1万以上の大軍でもアントとワームの同時の襲撃にはなす術も無かったのだ。
例えその後タクティアが仲間とはぐれ、ソルセリーすら見失ったとしても結局は生きて帰って来ている、それ以上望むのは残酷だ。
だから今のタクティアに掛ける言葉としたら
「━━よくやった」
「はい‥‥」
その言葉でようやく肩の荷が降りたのか、大きく息を吸い肩の力を抜いたように思える。あの時はそうしないといけなかったが、タクティアには酷な命令をしてしまったと思う
・・・・・・
・・・・
・・
隊員の生死は確認できた。なら隊員のその後はどうなったか?
「まずは軍を辞めたタバルですが、あれはもう軍人としてどころか普通に人として生活する事も困難でしょう」
「困難って?」
NTR兵士がどうした?
「タバルはハルツールに帰還後、実家の方に住むことになって、一度私が訪ねてみたのですが」
「うん」
「その‥‥挙動がですね‥‥まず、昼でも常に窓のカーテンを閉めて真っ暗な状態で部屋から一歩も出ないようなんです。それは事前に彼の両親から聞いていたのですが、私が訪ねた時も真っ暗な部屋の中、ベッドの上で座っていました。
部屋の中にはその座っているベッドしか無くその他の物は一切ありませんでした。どうやらベッド以外タバルが破壊してしまったようですが‥‥。
それで彼は以前の様な性格ではなくなっていました。常に何かに怯えて、少しの物音でも大袈裟とも取れるような驚き方をしていましたから、私と目も合わせようとしなかったし。
それでも普通の話なら受け答えはしてくれるし大丈夫だったんです、でも軍関係の話になると━━」
タバルは気が狂ったように暴れたらしい、それをタクティアと部屋の前で待っていたタバルの両親3人で抑え込み、そのまま薬を使って眠らせたと。
両親はこうなる事が分かっていたから部屋の前で待機していたし、タバルが眠ってから
『これで分かってもらえたと思います、ですからもう家には軍関係者の方は来ないようにお願いします。あの子にはもう戦う力など無いんです』
タクティアはそう母親に言われたそうだ。つまり、タバルはもう壊れてしまったと
「タバルの事はわかった。もう無理なんだな」
「はい、復帰は無理でしょう」
「そのほかは?」
「オーバですが、彼はリクレク隊の隊長を務めており、今はロメの攻略に向かっています」
「え! まだ働いてるの!? てかリクレク隊の隊長って何? カシ大佐は?」
「リクレク隊のカシ・ヒタミアは深部で戦死し、その直後オーバが引き継いでそのままハルツールまで戻って来て、その後も隊長としてやっています。本人は軍を辞めたがっていましたが、リクレク隊を引きつれ深部を抜けたオーバを軍が辞めさせる訳がないですから、他にリクレク隊をまとめ上げる力を持った人物もいないですからね、私も説得に加わりましたし」
「あーっ、そう‥‥」
可哀そうに、まだやってたのか。ドルバがリクレク隊に引っ付いて帰ってきたとか言ってたけど、そのリクレク隊はオーバが隊長をやってたのか、結局借金はどうなったんだろうか? 嫁と離婚したんだろうか?
それにしても‥‥カシ大佐までもが死亡したのか
「そしてオーバ率いるリクレク中隊にライカも編入されています、第一小隊にですね」
「ライカもリクレク隊になったか」
「それで、ソルセリーの事なんですが━━」
「結婚して軍を辞めたんでしょ?」
「えっ!? 知ってたんですか?」
「相手はライカみたいだけど」
「そ、そこまで知ってたんですか?」
「あっ、やっぱりそうだった? ドルバがそれっぽい感じで言ってたからさ、多分そうじゃないかなと思ったんだけど」
「えーっ、ええ、まぁ‥‥」
何か歯切れが悪いな
「どうした?」
「えーっと、その、ハヤト隊長とソルセリーって、ほら、あれじゃないですか?」
「お前の言いたいことは何となく分かるけど、そうじゃないから、関係ないよ」
「そ、そうですか‥‥あっ! でもまだコトンがいますから、コトンならまだ大丈夫ですから」
コトンなら大丈夫ってなんだよ
「それで? そのコトンはまだ軍にいるの?」
「ええ、いますよ。あんなの付けられたら辞めようにも、もう辞められないですがね」
「デュラハンのこと?」
「そうです、でもそのおかげで深部を抜けられたんですが、デュラハンがいなかったら今頃私もコトンもあの場で死んでいたでしょう。
それにしてもあのデュラハンは本当にハヤト隊長のデュラハンなんですか? 今だに信じがたい所があるんですが」
「そうだよ、俺が譲渡した。海での戦いでコトンに召喚獣の譲渡をしたんだけどさ、その感じで指輪を触媒にして付与出来ないかなと思ったんだけど‥‥無事に成功して良かったよ。デュラハンとの繋がりが切れていたからその後はどうなったか心配だったんだよね」
よかった成功してたか
「結構簡単に言いますね、でも普通なら有りえない事なんですよ? いままでそんな事を出来たっていう記録も無いし、それにコトンはコトンで今では竜騎士の意思を受け継いだとか言われて持ち上げられているし、その代わりに他の召喚獣が呼び出せなくなったし」
「えっ? そうなの?」
「呼び出せる気配もないそうです、あれはどうなっているんですか? 戻れと念じればまたハヤト隊長の元に戻るんですか?」
「うーん、無理だと思う。でも繋がりは完全に途絶えているけど、根っこの方って言うの? 何となくまだ俺の方にある気がするんだよね。だからコトンが俺よりも先に亡くなったら戻って来る気がする。まぁ別にデュラハンがいたら、コトンの契約した全部の召喚獣が要らないくらい使えるんだしいいでしょ?」
「それは間違いないです」
・・・・
・・・
話は変わり、今度は俺のその後の内容に移った
「ところで軍で聞いているハヤト隊‥‥中尉の事なんですが、本当にあれだけですか?」
「あれだけって? 報告したやつのことを言ってる? なに、疑ってる?」
「それはそうですよ、何か軍に隠している事とかあるでしょ?」
知ってるぞと言った顔で見つめてくるタクティアは好奇心の塊だった
やれやれ勘のいい奴だ。言ってやるか、でも実際は俺から言いたい、自慢したいけどずっと我慢してた!
誰かに自慢したいって!
「おやおや、本当の事を知りたいのかい?」
「やっぱりあるんですか!? なんですか? 何を見つけたんですか!」
予想道り食いつきがいい、このくらいだと俺も話がいがある
「仕方ない、話してやるか‥‥でも、いいか? この事は他言無用だよ」
そう釘をさす。別にもったいぶっている訳ではない、あのマシェルモビア領土での戦いの時、俺の召喚獣の情報は筒抜けだった。出来るだけハルツール軍には自分の召喚獣の情報を共有してもらい、戦いに役に立ってもらおうと考えていたからだが、それが敵にも筒抜けになっている為、あの時かなり先手を打たれる様な感じがあった。
だから今回契約した召喚獣や魔法はほぼ教えてはいない
「もちろん誰にも言いませんから」
「うむ、最初に俺があの後どうやってハルツールまで来たかは本当の話で、回復魔法が得意な人に助けてもらって、その人が無くなってからハルツールに戻ってきた」
「ふむ、その人はマシェルモビアの人なんですか?」
「いや俺にも分からない、そこまで深く踏み込まなかったし、そのおばあさんも話そうとはしなかったからね」
多分その後の事は言っても信じてはくれないし、正直話したくないからそこは相手がタクティアでも話さないでおく
「それで召喚獣の『ガルーダ』は報告しているから知ってるよね?」
「はい、空を飛べてしかも人が背に乗れるんですよね、それで帰ってきたと報告書で見ましたよ」
「そう、で召喚獣の能力はね━━」
深部を通過してハルツールに戻る途中に地下で見つけた召喚獣ガルーダ、姿は巨大な鳥のようだが、皮膚は鱗に覆われている個所が所々あり、鳥と爬虫類を合わせたような姿をしている。昔見た恐竜の図鑑にそんな姿に似たのがあった気がする。
キーンとした感じが頭に響き、その感覚を頼りに探し当てた。
飛行速度に特化させた召喚獣で、今は消滅してしまったがコスモの最大速よりも早く、竜翼機を圧倒するほどの速度が出せる反面、旋回能力がコスモと竜翼機よりも劣る。
それと重力魔法が使える為、急旋回などをした時に俺の体にくる衝撃を殆どゼロにしてくれる。つまり戦闘機でパイロットが受ける『G』を感じなくさせてくれる。
飛行速度に特化した為に、それ以外の事は何もできない。コスモのように地上を走らせようとしても、乗り心地は悪いし、実際に俺が歩いた方が早い
「━━てのがガルーダで、その他には『ドライアド』って召喚獣で━━」
召喚獣『ドライアド』
同じく深部の地下で見つけた召喚獣、大きさは40センチ程で小さい人形の形をしており、体は木で髪は葉で出来ている。
周りに生えている植物を操ることができ、それどころか知能も与えることが出来る。植物に魔力を通してその植物の硬度も変えられる。
ただし、植物との相性もあるらしく、命令をなかなか聞いてくれない種類の植物もあるようだ
「で、最後に『ハーメルン』ね」
召喚獣『ハーメルン』
深部地下で発見した。見た目は無し、と言うのも姿が無い。
太陽の光によって少し空気が揺らいでる箇所がありそれが本体だと思われる。召喚主である俺にもその姿は見えない。
能力はその対象が考えている事を増幅させる。例えば目の前にあるコップに入った水を少し飲みたいと少しでも思っていたら、ハーメルンの能力により無性に飲みたくなってしまう気持ちになる。
つまりは多少ではあるが心を操る事が出来る、怒っている人は更に怒り、泣いている人は更に悲しくなる。
だが、それほど強力な力では無く、少しだけ力を加えると言った感じだ。
ちなみに魔物と人両方に効果がある事は確認済み
「それが契約した3体の召喚獣ね」
「また凄いのを契約しましたね」
「まぁ、不完全なんだけどね」
「不完全? どうしてですか?」
「『成長・促進』の魔法を契約した時覚えてるよね?」
「はい、あの時は久々の魔法契約だったので興奮したのを覚えてますが」
「あの時ってさ石板に説明が書かれてたでしょ? 同じのがあったんだよ」
「‥‥あーなるほど」
タクティアも納得してくれたようだ
「やっぱりさ、初等部だけしか卒業してない俺には無理だったよ。ライカが一緒に居てくれたらよかったのに」
『成長・促進』魔法を契約する時、その説明が書かれていた石板には『古文』で内容が書かれていた。日本で言ったら『漢文』のようなもので、古文は中等部から高等部で勉強するらしいが俺はもちろんの事、ライカ以外の隊員は勉強が苦手なのかほぼ読めなかった
「だからさ、俺召喚獣の能力変えられるでしょ? 何となーく、こんな感じかなーって契約してみたんだけど、方向性は合っていると思うんだ。
でもね、能力を変えられるからそれが逆に不完全にさせたんだろうね。
ガルーダは鳥か爬虫類か分からない姿になったし、ドライアドは性格が子供というか、良し悪しが分からないというか‥‥残虐な感じなんだよね、死体で遊んだりとかさ。
ハーメルン何かはもっと強力に心を操れるはずなんだよね、契約魔法陣の部屋が厳重に封印ってのかな? 完全に閉じられてさそれを無理やりこじ開けたら、更に魔法陣の上に大きな岩が乗っててね、契約出来ないようにされてたんだよ。
しかも怪しい文章が掘られていたし、『やめとけ』みたいな? でも書いてたのがそれも古文だったから普通に壊したけど」
「それにしても‥‥もしやとは思っていましたが、召喚獣を3体もですか」
「それと俺さ、2体までなら多重召喚出来るようになったよ」
「ホントですか!」
「3体は流石に無理だけど、2体までならね、きっかけは多分あの時だろうと何となく予想してるんだけど」
「6万の大軍を1人で戦った時ですか」
「それは魔渇薬を使ったからだから違うよ、出来るようになったのはその後だね」
「3体の契約どころか多重召喚まで‥‥」
「それとね、ちょっとこの部屋で一番高い物ってある?」
「高い物、値段がという事でしょうか?
「そうだね貴重なら貴重なだけいいよ」
「でしたら━━」
タクティアは戸棚から一つのカップを取り出して来た。それを机の上に置き━━
「これは私の祖父から貰った━━」
ガチャン!
俺はそれを飛び散らないようにたたき割った
「あーっ! なんて事!━━」
『修復』
俺はそれを魔法で一瞬で元に戻す
「━━してない? えっ?」
「もう一度しようか?」
また叩き割るとタクティアの顔が面白いほど変わる、更に元に戻すと今度は別の驚きの顔になる。叩き割られ戻ったカップを手に取るとまじまじとそれを見ていた
「いま、完全に割れたような‥‥」
「今のが深部で契約した魔法ね、『修復』て言うんだけど━━」
もう一度試そうとしたが、流石に大事にしてるカップを壊すのは忍びないので、書類の一枚を使って説明する
「壊れた物を直すための魔法なんだけどさ、同じような『合成』魔法と違ってくっ付けるんじゃなくて、元に戻す魔法なんだよね。例えば刀なんか折れた時、合成だとズレてないかとか歪んでないかとか確認してから『合成』魔法を掛けないといけないけど、そんなの戦場じゃできっこないからね。
でもこの『修復』は元に戻す魔法だから、折れた瞬間に治せる。ただ‥‥」
書類の端を切り取り、切り取った部分を少し横に避ける
「『修復』‥‥ね? 直らないでしょ?」
「‥‥カップと違いますね、紙だと無理なんですか?」
「違う」
首を横に振る
「壊れた物が全部そこに無いと駄目なんだ。小さな欠片を紛失しても元に戻らない、それと時間が経ち過ぎても元には戻らない、制限時間はせいぜい壊れてから一時間くらいかな? それ以降は無理だね」
「へぇー、凄い」
「一度だけだけど『付与』も出来るからタクティアの装備にも掛けてあげるよ、壊れても自動で一瞬で直るから」
「お願いします!」
久々に俺の玩具になっているタクティアの装備を弄ることが出来てちょっと嬉しかった。
装備には修復した跡が至る所にあったが、どうやら俺の作った装備を大切にしてくれていたようだ
◆◇
タクティアが欲を出し始め調子づき、話も昔‥‥5年前のように気安く話しかけられるようになった。何となく懐かしいような、ついこの間だったようなそんな気持ちになる。
その話はコトンとソルセリーの話になっていく
「それであの時からコトンは話をしてくれなくなって、私がロメの総指揮を取るとなった時、私とは同じ場所には居たくないとか言い出しましてね」
なんか父親を嫌う思春期の女の子みたいな事を言ってるなと思った。めちゃくちゃ嫌われてるじゃん。家に帰ってたらリビングにいた娘が自分の部屋に行っちゃうみたいな
「きっついねそれ、何となくだけど分かるよお前の気持ち」
「そうですよね、分かってくれますよね。ソルセリーはもうライカと一緒になって子供もいますから駄目ですけど、コトンはまだ独り身ですからそっちにしたらどうです」
「ん? 待って、話が急に変わったよ? 話の脈略が掴めないんだけどどうしたの? ボケたの? まだそんな年ではないでしょ、まだ『生命の契約』期間が過ぎても無いでしょ? おじいちゃん大丈夫?」
「いえいえ、私は真面目ですよ。私の気持ちが分かってくれるなら、コトンと一緒になってくれれば私に対する態度も変わって来ると思いませんか? どうか私を助けると思って一緒になってみては? もうハヤトた━━中尉だってそんな時期だと思いますよ」
なんて事言うんだろこの人、自分の為に姪と一緒になれって言ってるよ
「あのねタクティア、俺の事をどうこう言う前に自分の事を考えたらどうなの? 俺よりも年が上なんだから、まずは自分がそうしなよ」
「私はいますよ、お付き合いしている方が」
「えええっっ!! いるの? 待って! 居たの!?」
「はい2年程前からですが」
「だれ!? 誰!? 俺の知ってる人かな? それとも知らない人?」
タクティアは俺の動揺に少し勝ち誇った感をだし
「こほん‥‥実は2年前から花騎士の方とお付き合いをしてまして」
花騎士‥‥
「そ、そう、それで名前は」
「ふふふ、知りたいですか? 中尉は知らないと思いますが、名前はですねブルーメという女性です。これがまた美しい女性で━━」
タクティアは付き合っている花騎士の自慢話を始めたが、俺は知っている、その女性の名前。
武闘大会で2日目にリテア様の護衛に付いた花騎士、その副隊長がそんな名前だった。
印象的なのが、一旦上の方に盛り上がった髪がその後、ぐるんぐるんと渦を巻くように左肩にのっかり、そのまま首を一周し後ろに垂れ下がるというアクロバットな髪型だった。マフラーかな?
それと化粧の具合が凄く、もうとにかく凄い、作られたという感じで、あと物凄い香水の匂いが漂っていた。だから第一印象がケバイだった。
2日目はノームに近寄らせないよう間に入ってもらっていたので、話こそはほぼしなかったが、間違いなくその人だろう
いいのか? タクティア、花騎士でいいのか? 大丈夫なのか? 金の切れ目が縁の切れ目だぞ?。
心配だよ俺
「━━という訳で、早くハヤト中尉にも幸せになって欲しいと、だからコトンがいる訳で」
「俺の幸せとかどうでもいいじゃない、ほっといてよ」
「いえいえ、私は結婚はまだですが子供もすぐに欲しいですし、出来たら出来たで幸せな家庭を彼女となら築けそうですし、それに先に結婚して子供が出来たソルセリーとライカだって幸せそうでしたよ」
オーバの事があってもそれが言えるのかい? と言いたくなった。花騎士の女性たちなんてオーバのトコの嫁と一緒の考え方だろうさ。
かねカネ金だよ、男の事を『優良物件』とか物扱いしている人達に違いないんだよ?
ただ、ソルセリーとライカについては少し言わなくてはならない事がある
「ソルセリーとライカが本当に幸せになれると思うか?」
「どういう事です?」
「二人の仲では幸せだろうさ、でもなその二人の間に生まれてくる子供ってのは『破壊の一族』の子なんだよ、一族の子で生まれてしまったら軍に管理されて、行く先は軍人しか職業が選ばせてもらえない。
それは自分の子や孫が戦場で死ぬかもしれないという事だよ? 『消滅』魔法を使ってね。タクティアだってそれは十分知っているはずだろ? 自分の子が自分よりも早く死ぬのはとても辛い事だよ」
「ええ、それは」
「だからもっとお前は偉くなって、そんな事をさせないように頑張って欲しい」
「そうですね‥‥せっかくソルセリーの呪いから解かれたと思ったんですが、まだその呪いは解かれてなかったようです、一度同じ部隊になった縁ですから、そんな事が無いよう私もまだやらなくてはならないようですね」
結構ソルセリーにはきついなタクティアは、まだ色々と根に持ってるのかな? 大丈夫かな呪いとか言ってるし、まだやらなくてはならないとか言ったけど別の意味での殺るじゃないよね? 信じていい?
◆◇
その後話を続けたが、タクティアはもう暇ではない立場になってしまったので、区切りのいい所で話を終え俺は軍の本部を出た。
そして向かった先は軍人達が眠る墓地だった
誰が死んだのかもう知ってしまったので、知るのが怖くて来れない事は無くなった
その中で知っている名前がちらほら。
ハヤト隊の3人の名前や、リクレク隊のカシ大佐、カップル先輩の名もあったし、ポンドラスとユーロスの名もあった。
改めていろんな人があの後死んだんだと実感することが出来た
そして通常の墓よりも少し立派な墓が1つ立っている。それは竜騎士の称号を得た一人の竜騎士パイロットの名だった
「バール」
バール・エリネル
俺の軍学校時代の親友であり、俺と同じ竜騎士の称号を得た人物
「良かったなバールお前竜騎士だってよ、憧れの称号を得た気持ちはどう? でもお前1人じゃないよ残念ながら俺も同じ称号を貰ったからね」
『収納』から一本の酒瓶を取り出す
「悪いね、本当ならそっちで一緒に飲むはずだったんだけど、今の俺はこっちの方で飲ませてもらう。その内そっちに行くと思うから‥‥今はこれで勘弁してくれ」
死んだら一緒に飲むはずだったノームから貰った酒を、バールの墓にかける
酒が滴り流れる墓を見て、本当に死んだのかと思う
俺はこれから何度
「墓を見なければならないんだろ」
胸にある淡く赤い色をしたペンダントを軍服の上から握り締めていた
◆◇◆◇◆
4年前・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
いつ目が開いたのかは分からない、気が付くと視界に映る景色には木があった。それが揺れもせずずっとそこにあった。
気が付いたが意識があまりない、ただ目に映る木をずっと見ていた。
そして少しではあるが自分がどのような状況か把握していく、どうやら背に何かが当たっているらしく、そして上体を起こしている、つまり座っている体勢らしい。
手も足も感覚が無く、目だけは開き外の景色を見ていた。
耳も聞こえていたのだろう、声が聞こえたと思う
「目が覚めたのかい?」
女性の声で、その声はとても優しい声だった。そしてその顔は優しい笑顔だった
そこには会った事の無い赤い髪の女性の顔があり姿があった。その優しい笑顔とその優しい声で安心したのか、俺はまた目をゆっくりと閉じる
「もう少し休んでいいからね、ネクター‥‥」
ゆっくりと閉じられた目と同時に俺はまた眠りについた
ハルツールに戻って来てから、一度も他人に聞いた事の無い質問をタクティアに向ける
「‥‥どこまでハヤト隊長は聞いていますか?」
「目の前にいるタクティア・ラティウスの生存は一昨日本部から聞いている、それと一番の目的だったサコナ・ソルセリ―の生存、後はライカ・ダーモン、これは未確認だけど確証はある。
そしてノース・ビベルの死亡、3人共軍学校の後輩から聞いた。その後輩は俺がノースに渡した杖を持っていたし、ノースの最後を看取ったといっていたしな、俺が知っているのはそこまでだ」
タクティアはそれを聞き、一息おいてから話し出す。ハヤト隊のその後を
「まずは死亡が確定している者から。ノース・ビベル、デディ・アバルド死亡。デディの死はタバルが確認しています‥‥。続けてハルツールにたどり着けた者は━━」
デディ、お前も辿り着けなかったのか
ノースだけではなく、デディも死亡していた事が分かり少し胸の奥がチクリと痛む。
ノース・ビベルとデディ・アバルドは、ハヤト隊を二つに分けた時、俺とエクレールしかいなかった隊に編入された。
ノースは『探知』持ちなのにもかかわらず、まともに報告せず部隊を何度も危険にさらしたとしていじめに合っていた所を、要らないならこっちで貰うと言いハヤト隊に引き込んだ。
結果は、元居た部隊の人が言っていた事が正しかった、俺も何度怒ったことか‥‥。
それでも最後は立派に務めを果たしたようだ、自分の事よりも周りの部隊の事を気にしていたと最後を看取ったドルバから聞いている。この杖を使い探知をしろと
ノースと同じで、部隊を二つに割った時に入ったもう1人の隊員であるデディ・アバルド。前衛が出来る隊員で、何があっても文句も言わず任務を果たしていた。本人が無口という事もあるだろうが‥‥。
どんな危険な任務でもほとんど無傷で終えていたデディ、何か持っているんじゃないかと思うほど怪我とは無縁だったのに‥‥そうか
二人が死亡した事が分かったが、タクティアの口ぶりではその他は生きていたか
「━━まずはサコナ・ソルセリー、オーバ・パイルプス、ライカ・ダーモン、タバル・ダイヤ、コトン・ラティウスは生存です、無事にハルツールに帰還しました」
ん? 1人足りないよ
「エク━━」
「エクレールは‥‥まだ帰って来ていません」
「それは?」
「死亡が確認されていません」
「そう‥‥か」
ドルバから深部の状況は聞いている、仲間の死の確認も出来ず、その場から逃げる事が精一杯だったと。ドルバは自分の部隊の人達がどうなったかを知らないと言っていた。
皆ばらばらに逃げ、ハルツールに戻った時はドルバがいた部隊の人は誰一人としていなかったという。そして誰もドルバの部隊の隊員の行方を分からないと。
つまり、ノースとデディは最後を見た者がいたから死亡と分かるが、エクレールは誰も知らない場所で、知らず内に死んだのだろう。
もちろんエクレールの最後を見た者はいるだろうが、その死の証言を出来る者もあの深部で命を失った
だからタクティアは帰って来ていないと言った。死んではいない、もしかしたらと
「すみませんでした、命令を守る事が出来ませんでした」
「頭を下げるな、命令はソルセリーの命の事だけしか言って無い、命令は守られてる━━」
頭を下げようとするタクティアを手で止めるた、その時その場所では、ドルバからどんな状況だったのかは聞いている。
1万以上の大軍でもアントとワームの同時の襲撃にはなす術も無かったのだ。
例えその後タクティアが仲間とはぐれ、ソルセリーすら見失ったとしても結局は生きて帰って来ている、それ以上望むのは残酷だ。
だから今のタクティアに掛ける言葉としたら
「━━よくやった」
「はい‥‥」
その言葉でようやく肩の荷が降りたのか、大きく息を吸い肩の力を抜いたように思える。あの時はそうしないといけなかったが、タクティアには酷な命令をしてしまったと思う
・・・・・・
・・・・
・・
隊員の生死は確認できた。なら隊員のその後はどうなったか?
「まずは軍を辞めたタバルですが、あれはもう軍人としてどころか普通に人として生活する事も困難でしょう」
「困難って?」
NTR兵士がどうした?
「タバルはハルツールに帰還後、実家の方に住むことになって、一度私が訪ねてみたのですが」
「うん」
「その‥‥挙動がですね‥‥まず、昼でも常に窓のカーテンを閉めて真っ暗な状態で部屋から一歩も出ないようなんです。それは事前に彼の両親から聞いていたのですが、私が訪ねた時も真っ暗な部屋の中、ベッドの上で座っていました。
部屋の中にはその座っているベッドしか無くその他の物は一切ありませんでした。どうやらベッド以外タバルが破壊してしまったようですが‥‥。
それで彼は以前の様な性格ではなくなっていました。常に何かに怯えて、少しの物音でも大袈裟とも取れるような驚き方をしていましたから、私と目も合わせようとしなかったし。
それでも普通の話なら受け答えはしてくれるし大丈夫だったんです、でも軍関係の話になると━━」
タバルは気が狂ったように暴れたらしい、それをタクティアと部屋の前で待っていたタバルの両親3人で抑え込み、そのまま薬を使って眠らせたと。
両親はこうなる事が分かっていたから部屋の前で待機していたし、タバルが眠ってから
『これで分かってもらえたと思います、ですからもう家には軍関係者の方は来ないようにお願いします。あの子にはもう戦う力など無いんです』
タクティアはそう母親に言われたそうだ。つまり、タバルはもう壊れてしまったと
「タバルの事はわかった。もう無理なんだな」
「はい、復帰は無理でしょう」
「そのほかは?」
「オーバですが、彼はリクレク隊の隊長を務めており、今はロメの攻略に向かっています」
「え! まだ働いてるの!? てかリクレク隊の隊長って何? カシ大佐は?」
「リクレク隊のカシ・ヒタミアは深部で戦死し、その直後オーバが引き継いでそのままハルツールまで戻って来て、その後も隊長としてやっています。本人は軍を辞めたがっていましたが、リクレク隊を引きつれ深部を抜けたオーバを軍が辞めさせる訳がないですから、他にリクレク隊をまとめ上げる力を持った人物もいないですからね、私も説得に加わりましたし」
「あーっ、そう‥‥」
可哀そうに、まだやってたのか。ドルバがリクレク隊に引っ付いて帰ってきたとか言ってたけど、そのリクレク隊はオーバが隊長をやってたのか、結局借金はどうなったんだろうか? 嫁と離婚したんだろうか?
それにしても‥‥カシ大佐までもが死亡したのか
「そしてオーバ率いるリクレク中隊にライカも編入されています、第一小隊にですね」
「ライカもリクレク隊になったか」
「それで、ソルセリーの事なんですが━━」
「結婚して軍を辞めたんでしょ?」
「えっ!? 知ってたんですか?」
「相手はライカみたいだけど」
「そ、そこまで知ってたんですか?」
「あっ、やっぱりそうだった? ドルバがそれっぽい感じで言ってたからさ、多分そうじゃないかなと思ったんだけど」
「えーっ、ええ、まぁ‥‥」
何か歯切れが悪いな
「どうした?」
「えーっと、その、ハヤト隊長とソルセリーって、ほら、あれじゃないですか?」
「お前の言いたいことは何となく分かるけど、そうじゃないから、関係ないよ」
「そ、そうですか‥‥あっ! でもまだコトンがいますから、コトンならまだ大丈夫ですから」
コトンなら大丈夫ってなんだよ
「それで? そのコトンはまだ軍にいるの?」
「ええ、いますよ。あんなの付けられたら辞めようにも、もう辞められないですがね」
「デュラハンのこと?」
「そうです、でもそのおかげで深部を抜けられたんですが、デュラハンがいなかったら今頃私もコトンもあの場で死んでいたでしょう。
それにしてもあのデュラハンは本当にハヤト隊長のデュラハンなんですか? 今だに信じがたい所があるんですが」
「そうだよ、俺が譲渡した。海での戦いでコトンに召喚獣の譲渡をしたんだけどさ、その感じで指輪を触媒にして付与出来ないかなと思ったんだけど‥‥無事に成功して良かったよ。デュラハンとの繋がりが切れていたからその後はどうなったか心配だったんだよね」
よかった成功してたか
「結構簡単に言いますね、でも普通なら有りえない事なんですよ? いままでそんな事を出来たっていう記録も無いし、それにコトンはコトンで今では竜騎士の意思を受け継いだとか言われて持ち上げられているし、その代わりに他の召喚獣が呼び出せなくなったし」
「えっ? そうなの?」
「呼び出せる気配もないそうです、あれはどうなっているんですか? 戻れと念じればまたハヤト隊長の元に戻るんですか?」
「うーん、無理だと思う。でも繋がりは完全に途絶えているけど、根っこの方って言うの? 何となくまだ俺の方にある気がするんだよね。だからコトンが俺よりも先に亡くなったら戻って来る気がする。まぁ別にデュラハンがいたら、コトンの契約した全部の召喚獣が要らないくらい使えるんだしいいでしょ?」
「それは間違いないです」
・・・・
・・・
話は変わり、今度は俺のその後の内容に移った
「ところで軍で聞いているハヤト隊‥‥中尉の事なんですが、本当にあれだけですか?」
「あれだけって? 報告したやつのことを言ってる? なに、疑ってる?」
「それはそうですよ、何か軍に隠している事とかあるでしょ?」
知ってるぞと言った顔で見つめてくるタクティアは好奇心の塊だった
やれやれ勘のいい奴だ。言ってやるか、でも実際は俺から言いたい、自慢したいけどずっと我慢してた!
誰かに自慢したいって!
「おやおや、本当の事を知りたいのかい?」
「やっぱりあるんですか!? なんですか? 何を見つけたんですか!」
予想道り食いつきがいい、このくらいだと俺も話がいがある
「仕方ない、話してやるか‥‥でも、いいか? この事は他言無用だよ」
そう釘をさす。別にもったいぶっている訳ではない、あのマシェルモビア領土での戦いの時、俺の召喚獣の情報は筒抜けだった。出来るだけハルツール軍には自分の召喚獣の情報を共有してもらい、戦いに役に立ってもらおうと考えていたからだが、それが敵にも筒抜けになっている為、あの時かなり先手を打たれる様な感じがあった。
だから今回契約した召喚獣や魔法はほぼ教えてはいない
「もちろん誰にも言いませんから」
「うむ、最初に俺があの後どうやってハルツールまで来たかは本当の話で、回復魔法が得意な人に助けてもらって、その人が無くなってからハルツールに戻ってきた」
「ふむ、その人はマシェルモビアの人なんですか?」
「いや俺にも分からない、そこまで深く踏み込まなかったし、そのおばあさんも話そうとはしなかったからね」
多分その後の事は言っても信じてはくれないし、正直話したくないからそこは相手がタクティアでも話さないでおく
「それで召喚獣の『ガルーダ』は報告しているから知ってるよね?」
「はい、空を飛べてしかも人が背に乗れるんですよね、それで帰ってきたと報告書で見ましたよ」
「そう、で召喚獣の能力はね━━」
深部を通過してハルツールに戻る途中に地下で見つけた召喚獣ガルーダ、姿は巨大な鳥のようだが、皮膚は鱗に覆われている個所が所々あり、鳥と爬虫類を合わせたような姿をしている。昔見た恐竜の図鑑にそんな姿に似たのがあった気がする。
キーンとした感じが頭に響き、その感覚を頼りに探し当てた。
飛行速度に特化させた召喚獣で、今は消滅してしまったがコスモの最大速よりも早く、竜翼機を圧倒するほどの速度が出せる反面、旋回能力がコスモと竜翼機よりも劣る。
それと重力魔法が使える為、急旋回などをした時に俺の体にくる衝撃を殆どゼロにしてくれる。つまり戦闘機でパイロットが受ける『G』を感じなくさせてくれる。
飛行速度に特化した為に、それ以外の事は何もできない。コスモのように地上を走らせようとしても、乗り心地は悪いし、実際に俺が歩いた方が早い
「━━てのがガルーダで、その他には『ドライアド』って召喚獣で━━」
召喚獣『ドライアド』
同じく深部の地下で見つけた召喚獣、大きさは40センチ程で小さい人形の形をしており、体は木で髪は葉で出来ている。
周りに生えている植物を操ることができ、それどころか知能も与えることが出来る。植物に魔力を通してその植物の硬度も変えられる。
ただし、植物との相性もあるらしく、命令をなかなか聞いてくれない種類の植物もあるようだ
「で、最後に『ハーメルン』ね」
召喚獣『ハーメルン』
深部地下で発見した。見た目は無し、と言うのも姿が無い。
太陽の光によって少し空気が揺らいでる箇所がありそれが本体だと思われる。召喚主である俺にもその姿は見えない。
能力はその対象が考えている事を増幅させる。例えば目の前にあるコップに入った水を少し飲みたいと少しでも思っていたら、ハーメルンの能力により無性に飲みたくなってしまう気持ちになる。
つまりは多少ではあるが心を操る事が出来る、怒っている人は更に怒り、泣いている人は更に悲しくなる。
だが、それほど強力な力では無く、少しだけ力を加えると言った感じだ。
ちなみに魔物と人両方に効果がある事は確認済み
「それが契約した3体の召喚獣ね」
「また凄いのを契約しましたね」
「まぁ、不完全なんだけどね」
「不完全? どうしてですか?」
「『成長・促進』の魔法を契約した時覚えてるよね?」
「はい、あの時は久々の魔法契約だったので興奮したのを覚えてますが」
「あの時ってさ石板に説明が書かれてたでしょ? 同じのがあったんだよ」
「‥‥あーなるほど」
タクティアも納得してくれたようだ
「やっぱりさ、初等部だけしか卒業してない俺には無理だったよ。ライカが一緒に居てくれたらよかったのに」
『成長・促進』魔法を契約する時、その説明が書かれていた石板には『古文』で内容が書かれていた。日本で言ったら『漢文』のようなもので、古文は中等部から高等部で勉強するらしいが俺はもちろんの事、ライカ以外の隊員は勉強が苦手なのかほぼ読めなかった
「だからさ、俺召喚獣の能力変えられるでしょ? 何となーく、こんな感じかなーって契約してみたんだけど、方向性は合っていると思うんだ。
でもね、能力を変えられるからそれが逆に不完全にさせたんだろうね。
ガルーダは鳥か爬虫類か分からない姿になったし、ドライアドは性格が子供というか、良し悪しが分からないというか‥‥残虐な感じなんだよね、死体で遊んだりとかさ。
ハーメルン何かはもっと強力に心を操れるはずなんだよね、契約魔法陣の部屋が厳重に封印ってのかな? 完全に閉じられてさそれを無理やりこじ開けたら、更に魔法陣の上に大きな岩が乗っててね、契約出来ないようにされてたんだよ。
しかも怪しい文章が掘られていたし、『やめとけ』みたいな? でも書いてたのがそれも古文だったから普通に壊したけど」
「それにしても‥‥もしやとは思っていましたが、召喚獣を3体もですか」
「それと俺さ、2体までなら多重召喚出来るようになったよ」
「ホントですか!」
「3体は流石に無理だけど、2体までならね、きっかけは多分あの時だろうと何となく予想してるんだけど」
「6万の大軍を1人で戦った時ですか」
「それは魔渇薬を使ったからだから違うよ、出来るようになったのはその後だね」
「3体の契約どころか多重召喚まで‥‥」
「それとね、ちょっとこの部屋で一番高い物ってある?」
「高い物、値段がという事でしょうか?
「そうだね貴重なら貴重なだけいいよ」
「でしたら━━」
タクティアは戸棚から一つのカップを取り出して来た。それを机の上に置き━━
「これは私の祖父から貰った━━」
ガチャン!
俺はそれを飛び散らないようにたたき割った
「あーっ! なんて事!━━」
『修復』
俺はそれを魔法で一瞬で元に戻す
「━━してない? えっ?」
「もう一度しようか?」
また叩き割るとタクティアの顔が面白いほど変わる、更に元に戻すと今度は別の驚きの顔になる。叩き割られ戻ったカップを手に取るとまじまじとそれを見ていた
「いま、完全に割れたような‥‥」
「今のが深部で契約した魔法ね、『修復』て言うんだけど━━」
もう一度試そうとしたが、流石に大事にしてるカップを壊すのは忍びないので、書類の一枚を使って説明する
「壊れた物を直すための魔法なんだけどさ、同じような『合成』魔法と違ってくっ付けるんじゃなくて、元に戻す魔法なんだよね。例えば刀なんか折れた時、合成だとズレてないかとか歪んでないかとか確認してから『合成』魔法を掛けないといけないけど、そんなの戦場じゃできっこないからね。
でもこの『修復』は元に戻す魔法だから、折れた瞬間に治せる。ただ‥‥」
書類の端を切り取り、切り取った部分を少し横に避ける
「『修復』‥‥ね? 直らないでしょ?」
「‥‥カップと違いますね、紙だと無理なんですか?」
「違う」
首を横に振る
「壊れた物が全部そこに無いと駄目なんだ。小さな欠片を紛失しても元に戻らない、それと時間が経ち過ぎても元には戻らない、制限時間はせいぜい壊れてから一時間くらいかな? それ以降は無理だね」
「へぇー、凄い」
「一度だけだけど『付与』も出来るからタクティアの装備にも掛けてあげるよ、壊れても自動で一瞬で直るから」
「お願いします!」
久々に俺の玩具になっているタクティアの装備を弄ることが出来てちょっと嬉しかった。
装備には修復した跡が至る所にあったが、どうやら俺の作った装備を大切にしてくれていたようだ
◆◇
タクティアが欲を出し始め調子づき、話も昔‥‥5年前のように気安く話しかけられるようになった。何となく懐かしいような、ついこの間だったようなそんな気持ちになる。
その話はコトンとソルセリーの話になっていく
「それであの時からコトンは話をしてくれなくなって、私がロメの総指揮を取るとなった時、私とは同じ場所には居たくないとか言い出しましてね」
なんか父親を嫌う思春期の女の子みたいな事を言ってるなと思った。めちゃくちゃ嫌われてるじゃん。家に帰ってたらリビングにいた娘が自分の部屋に行っちゃうみたいな
「きっついねそれ、何となくだけど分かるよお前の気持ち」
「そうですよね、分かってくれますよね。ソルセリーはもうライカと一緒になって子供もいますから駄目ですけど、コトンはまだ独り身ですからそっちにしたらどうです」
「ん? 待って、話が急に変わったよ? 話の脈略が掴めないんだけどどうしたの? ボケたの? まだそんな年ではないでしょ、まだ『生命の契約』期間が過ぎても無いでしょ? おじいちゃん大丈夫?」
「いえいえ、私は真面目ですよ。私の気持ちが分かってくれるなら、コトンと一緒になってくれれば私に対する態度も変わって来ると思いませんか? どうか私を助けると思って一緒になってみては? もうハヤトた━━中尉だってそんな時期だと思いますよ」
なんて事言うんだろこの人、自分の為に姪と一緒になれって言ってるよ
「あのねタクティア、俺の事をどうこう言う前に自分の事を考えたらどうなの? 俺よりも年が上なんだから、まずは自分がそうしなよ」
「私はいますよ、お付き合いしている方が」
「えええっっ!! いるの? 待って! 居たの!?」
「はい2年程前からですが」
「だれ!? 誰!? 俺の知ってる人かな? それとも知らない人?」
タクティアは俺の動揺に少し勝ち誇った感をだし
「こほん‥‥実は2年前から花騎士の方とお付き合いをしてまして」
花騎士‥‥
「そ、そう、それで名前は」
「ふふふ、知りたいですか? 中尉は知らないと思いますが、名前はですねブルーメという女性です。これがまた美しい女性で━━」
タクティアは付き合っている花騎士の自慢話を始めたが、俺は知っている、その女性の名前。
武闘大会で2日目にリテア様の護衛に付いた花騎士、その副隊長がそんな名前だった。
印象的なのが、一旦上の方に盛り上がった髪がその後、ぐるんぐるんと渦を巻くように左肩にのっかり、そのまま首を一周し後ろに垂れ下がるというアクロバットな髪型だった。マフラーかな?
それと化粧の具合が凄く、もうとにかく凄い、作られたという感じで、あと物凄い香水の匂いが漂っていた。だから第一印象がケバイだった。
2日目はノームに近寄らせないよう間に入ってもらっていたので、話こそはほぼしなかったが、間違いなくその人だろう
いいのか? タクティア、花騎士でいいのか? 大丈夫なのか? 金の切れ目が縁の切れ目だぞ?。
心配だよ俺
「━━という訳で、早くハヤト中尉にも幸せになって欲しいと、だからコトンがいる訳で」
「俺の幸せとかどうでもいいじゃない、ほっといてよ」
「いえいえ、私は結婚はまだですが子供もすぐに欲しいですし、出来たら出来たで幸せな家庭を彼女となら築けそうですし、それに先に結婚して子供が出来たソルセリーとライカだって幸せそうでしたよ」
オーバの事があってもそれが言えるのかい? と言いたくなった。花騎士の女性たちなんてオーバのトコの嫁と一緒の考え方だろうさ。
かねカネ金だよ、男の事を『優良物件』とか物扱いしている人達に違いないんだよ?
ただ、ソルセリーとライカについては少し言わなくてはならない事がある
「ソルセリーとライカが本当に幸せになれると思うか?」
「どういう事です?」
「二人の仲では幸せだろうさ、でもなその二人の間に生まれてくる子供ってのは『破壊の一族』の子なんだよ、一族の子で生まれてしまったら軍に管理されて、行く先は軍人しか職業が選ばせてもらえない。
それは自分の子や孫が戦場で死ぬかもしれないという事だよ? 『消滅』魔法を使ってね。タクティアだってそれは十分知っているはずだろ? 自分の子が自分よりも早く死ぬのはとても辛い事だよ」
「ええ、それは」
「だからもっとお前は偉くなって、そんな事をさせないように頑張って欲しい」
「そうですね‥‥せっかくソルセリーの呪いから解かれたと思ったんですが、まだその呪いは解かれてなかったようです、一度同じ部隊になった縁ですから、そんな事が無いよう私もまだやらなくてはならないようですね」
結構ソルセリーにはきついなタクティアは、まだ色々と根に持ってるのかな? 大丈夫かな呪いとか言ってるし、まだやらなくてはならないとか言ったけど別の意味での殺るじゃないよね? 信じていい?
◆◇
その後話を続けたが、タクティアはもう暇ではない立場になってしまったので、区切りのいい所で話を終え俺は軍の本部を出た。
そして向かった先は軍人達が眠る墓地だった
誰が死んだのかもう知ってしまったので、知るのが怖くて来れない事は無くなった
その中で知っている名前がちらほら。
ハヤト隊の3人の名前や、リクレク隊のカシ大佐、カップル先輩の名もあったし、ポンドラスとユーロスの名もあった。
改めていろんな人があの後死んだんだと実感することが出来た
そして通常の墓よりも少し立派な墓が1つ立っている。それは竜騎士の称号を得た一人の竜騎士パイロットの名だった
「バール」
バール・エリネル
俺の軍学校時代の親友であり、俺と同じ竜騎士の称号を得た人物
「良かったなバールお前竜騎士だってよ、憧れの称号を得た気持ちはどう? でもお前1人じゃないよ残念ながら俺も同じ称号を貰ったからね」
『収納』から一本の酒瓶を取り出す
「悪いね、本当ならそっちで一緒に飲むはずだったんだけど、今の俺はこっちの方で飲ませてもらう。その内そっちに行くと思うから‥‥今はこれで勘弁してくれ」
死んだら一緒に飲むはずだったノームから貰った酒を、バールの墓にかける
酒が滴り流れる墓を見て、本当に死んだのかと思う
俺はこれから何度
「墓を見なければならないんだろ」
胸にある淡く赤い色をしたペンダントを軍服の上から握り締めていた
◆◇◆◇◆
4年前・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・
いつ目が開いたのかは分からない、気が付くと視界に映る景色には木があった。それが揺れもせずずっとそこにあった。
気が付いたが意識があまりない、ただ目に映る木をずっと見ていた。
そして少しではあるが自分がどのような状況か把握していく、どうやら背に何かが当たっているらしく、そして上体を起こしている、つまり座っている体勢らしい。
手も足も感覚が無く、目だけは開き外の景色を見ていた。
耳も聞こえていたのだろう、声が聞こえたと思う
「目が覚めたのかい?」
女性の声で、その声はとても優しい声だった。そしてその顔は優しい笑顔だった
そこには会った事の無い赤い髪の女性の顔があり姿があった。その優しい笑顔とその優しい声で安心したのか、俺はまた目をゆっくりと閉じる
「もう少し休んでいいからね、ネクター‥‥」
ゆっくりと閉じられた目と同時に俺はまた眠りについた
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