噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜

秘密 (秘翠ミツキ)

文字の大きさ
24 / 81

23

しおりを挟む
「フィオナ様宛に、手紙が届いております」

屋敷に帰りフィオナを部屋まで送り届けると、ヴィレームは自室に戻った。するとクルトの第一声はそんな報告だった。
このタイミングで手紙を書いて寄越すとは……。

フィオナに言った通り、これまで彼女宛に手紙が届いた事はない。今クルトから受け取った手紙が初めてだ。ヴィレームは手の中で手紙を弄ぶ。

さて、どうしたものか……。

送り主は確認せずとも分かる。フィオナの弟のヨハンだ。ヴィレームは面識はないが、中々厄介そうな男の様だ。

手紙を毎日書いていたなどと、よくまあ見え透いた嘘を吐いたものだ。差し詰め、大好きな姉を取ったヴィレームに対しての嫌がらせに違いない。

大切な弟が毎日手紙を書いていると話せば、フィオナは勿論疑う事なく信じるだろう。だが、それと同時にヴィレームへの不信感が芽生える。当然だ。それではヴィレームが意図としてフィオナに手紙を渡していない事になる。

彼女が手紙の事を聞いてくれば、ヴィレームは無論知らないと言う。そうなると更に彼女は疑心暗鬼に陥る。ここまでヨハンの思惑通りだろう。そしてこのタイミングでの手紙……。

もしも、今ヴィレームがこの手紙をフィオナに渡せば……毎日書いていたとされる手紙をやはりヴィレームが隠していた事になってしまう。ならば渡さなければいい。だが、彼女への罪悪感は少なからず残る。

「全く、良い性格をしているね」

奥歯を噛み締めた。
普段余り思った感情をそのまま表に出さないヴィレームだが、これは流石に苛々する。手紙を掴む手に力が篭り、封書が少し歪んだ。

「余程、フィオナを取られたくないのだろうね、彼は」

ヴィレームにも兄弟姉妹はいるが、彼等が婚約しようが結婚しようが大して関心はない。ヴィレームは一般的よりも人間味がある性格ではない故、そう思うのかも知れないが……。
手元の封書に目を向ける。
やはり、ヨハンからはフィオナへの執着の様なものを感じる。それにしても……。

「重苦しいね」

封書から微かに感じる嫌な魔力。これは果たしてヴィレームに向けてのものなのか、それとも……。

そこまで考えた時、廊下が騒がしくなる。ヴィレームはクルトと顔を見合わせた。
足音がバタバタと聞こえたと思った次の瞬間、扉が勢いよく開け放たれた。

「ヴィレーム様‼︎」

そのに立っていたのは息を切らしたフィオナだった。





しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

特技は有効利用しよう。

庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。 …………。 どうしてくれよう……。 婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。 この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...