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「姉上、いい加減にして下さい。戯れが過ぎます。ブレソール、君も君だ。どうして姉上を止めないで、当たり前のように一緒について来てる訳?一体どう言うつもりなんだよ」
珍しく声を荒げるヴィレームに、自分が怒られている訳ではないのに萎縮してしまう。
えっと、姉上……?
「あ、あの!ヴィレーム様の、お姉様なんですか⁉︎」
驚きの余り思わず大きな声を上げると、ヴィレームとシャルロットを見比べる。ヴィレームは少し不貞腐れた様な顔をしながら「うん、そうだよ」と答えた。
「うふふっ。改めまして、ヴィレームの姉のシャルロットと申します。何時も愚弟がお世話になってるみたいで、色々と」
何やら意味ありげに聞こえるが、フィオナには良く分からず首を傾げた。だがヴィレームは理解している様で「姉上‼︎余計な事を言うのはやめて下さい‼︎」と怒っている。
「あらあら、まだそう言う関係じゃないのぉ?残念。私の可愛い弟は、恥ずかしがり屋さんなのかしらぁ?ふふ」
「ほっといて下さい‼︎」
何時も大人びた彼が、顔を赤くして戸惑う姿は年相応に見える。可愛いな、なんて思ってしまう。口に出したら怒るかも知れないが。
「あぁ、そうそう。あそこに座っているのは従兄弟姉妹のブレソールですわ」
視線を、向かい側で我関せずでお茶菓子を食べているブレソールに向ける。
この美女のシャルロットはヴィレームの姉で、青髪の美青年はヴィレームの従兄弟姉妹……フィオナは頭の中で整理をする。
なんと言うか、個性的な親類ですね……。たまにヴィレームもズレている感じがするのが、頷ける。
「あぁ、そうですわ。フィオナちゃん。明日から私、フィオナちゃんのクラスメイトですから、宜しくお願いしますわぁ」
クラスメイトって……とフィオナが口を開くより前にヴィレームとブレソールが声を上げた。
「姉上、フィオナとクラスメイトって、どう言う事ですか⁉︎そんなの……羨まし過ぎる」
「ヴィレーム様、心の声がダダ漏れです」
部屋の端に控えていたクルトがタイミング良く突っ込みをいれる。
フィオナは、ヴィレームの心の声に嬉しいやら恥ずかしいやらで顔が熱くなる。
「シャルロット、お前いつヴィレームより歳下になったんだよ?そもそも、もう学院に通える歳じゃないだろうが。一体幾つサバ読むつも……うわっ‼︎」
突如ブレソールの飲んでいたカップが、ボッっと音を立てて燃えた。カップの中のお茶が煮えたぎってる……。それと同時にシャルロットが手元を動かしているのが見えた。
魔法……?
フィオナは目を見張る。
「あらあら、どうしたのかしらぁ?私は今からフィオナちゃんと同い年の、ピッチピチの十七歳よぉ?」
笑っているのに目が据わっている。だがブレソールは懲りずに、鼻で笑う。
「そんなんだから、嫁の貰い手が見つからないんだよ」
ボソリとブレソールが呟いた瞬間、今度は彼の外套が燃え悲鳴を上げた。結構な勢いで燃えており、クルトが冷静にブレソールの頭から水をかけていた……。今度は別の悲鳴が上がる……。
「あ、あの、ヴィレーム様……」
戸惑いながらヴィレームを見上げると、彼はにっこりと笑う。
「気にしなくて良いよ。あれは彼等なりの愛情表現だから」
「あれが、愛情表現……」
世の中には様々な人が存在し、広いのだとフィオナは思った。
◆◆◆
あれからシャルロット達は、ヴィレームの屋敷に勝手に滞在している。
随分と賑やかになった、悪い意味で。
ヴィレームはため息を吐く。折角フィオナと二人きりの生活を愉しんでいたのに……まさか、シャルロットやブレソールが現れるなど思いもしなかった。
ダンスパーティーの日。愉しくフィオナと話していると、あるモノが目に入った。それは絶対に此処にいる筈のない人物だった。
慌ててフィオナに飲み物を取って来ると言い残し、その場を離れたが……見失ってしまった。と思ったら女性達に囲まれしまい、げんなりする羽目になった。と思ったら不意に背後から肩を叩かれ、振り返るとシャルロットとブレソールがいた。
何故いるのかと問い正そうと思ったら、今度はフィオナとオリフェオが一緒にいるのが視界に入ってきて、慌てて人混みを押し退け駆け戻った。
嫌がるフィオナの仮面に手を伸ばそうとしているオリフェオから、ヴィレームはフィオナを引き離し抱き寄せた。
自分の腕の中で怯えるフィオナを見て、憤りが隠せなかった。それは無論オリフェオに対してもだが、自分自身に対してもだ。約束したのに、彼女を一人にしてしまった……なんて軽率で莫迦な事をしたのだと、猛省した。
「フィオナちゃん、見て見てぇ」
「?」
「新作の仮面なのぉ。可愛いでしょう?」
ブフッー‼︎
瞬間、ヴィレームは飲んでいたお茶を噴き出した。
「あらあら、ヴィレーム。貴方、お行儀悪過ぎますわよ」
確かに行儀は悪い。だがあんなものを見せられたら噴き出すに決まっている。
「フィオナちゃんと、お揃いなのぉ」
ヴィレームは、幸せそうにお揃いの仮面をつけるシャルロットに、胃が痛くなって来た。
本当に何しに来たんだ……この人は。
珍しく声を荒げるヴィレームに、自分が怒られている訳ではないのに萎縮してしまう。
えっと、姉上……?
「あ、あの!ヴィレーム様の、お姉様なんですか⁉︎」
驚きの余り思わず大きな声を上げると、ヴィレームとシャルロットを見比べる。ヴィレームは少し不貞腐れた様な顔をしながら「うん、そうだよ」と答えた。
「うふふっ。改めまして、ヴィレームの姉のシャルロットと申します。何時も愚弟がお世話になってるみたいで、色々と」
何やら意味ありげに聞こえるが、フィオナには良く分からず首を傾げた。だがヴィレームは理解している様で「姉上‼︎余計な事を言うのはやめて下さい‼︎」と怒っている。
「あらあら、まだそう言う関係じゃないのぉ?残念。私の可愛い弟は、恥ずかしがり屋さんなのかしらぁ?ふふ」
「ほっといて下さい‼︎」
何時も大人びた彼が、顔を赤くして戸惑う姿は年相応に見える。可愛いな、なんて思ってしまう。口に出したら怒るかも知れないが。
「あぁ、そうそう。あそこに座っているのは従兄弟姉妹のブレソールですわ」
視線を、向かい側で我関せずでお茶菓子を食べているブレソールに向ける。
この美女のシャルロットはヴィレームの姉で、青髪の美青年はヴィレームの従兄弟姉妹……フィオナは頭の中で整理をする。
なんと言うか、個性的な親類ですね……。たまにヴィレームもズレている感じがするのが、頷ける。
「あぁ、そうですわ。フィオナちゃん。明日から私、フィオナちゃんのクラスメイトですから、宜しくお願いしますわぁ」
クラスメイトって……とフィオナが口を開くより前にヴィレームとブレソールが声を上げた。
「姉上、フィオナとクラスメイトって、どう言う事ですか⁉︎そんなの……羨まし過ぎる」
「ヴィレーム様、心の声がダダ漏れです」
部屋の端に控えていたクルトがタイミング良く突っ込みをいれる。
フィオナは、ヴィレームの心の声に嬉しいやら恥ずかしいやらで顔が熱くなる。
「シャルロット、お前いつヴィレームより歳下になったんだよ?そもそも、もう学院に通える歳じゃないだろうが。一体幾つサバ読むつも……うわっ‼︎」
突如ブレソールの飲んでいたカップが、ボッっと音を立てて燃えた。カップの中のお茶が煮えたぎってる……。それと同時にシャルロットが手元を動かしているのが見えた。
魔法……?
フィオナは目を見張る。
「あらあら、どうしたのかしらぁ?私は今からフィオナちゃんと同い年の、ピッチピチの十七歳よぉ?」
笑っているのに目が据わっている。だがブレソールは懲りずに、鼻で笑う。
「そんなんだから、嫁の貰い手が見つからないんだよ」
ボソリとブレソールが呟いた瞬間、今度は彼の外套が燃え悲鳴を上げた。結構な勢いで燃えており、クルトが冷静にブレソールの頭から水をかけていた……。今度は別の悲鳴が上がる……。
「あ、あの、ヴィレーム様……」
戸惑いながらヴィレームを見上げると、彼はにっこりと笑う。
「気にしなくて良いよ。あれは彼等なりの愛情表現だから」
「あれが、愛情表現……」
世の中には様々な人が存在し、広いのだとフィオナは思った。
◆◆◆
あれからシャルロット達は、ヴィレームの屋敷に勝手に滞在している。
随分と賑やかになった、悪い意味で。
ヴィレームはため息を吐く。折角フィオナと二人きりの生活を愉しんでいたのに……まさか、シャルロットやブレソールが現れるなど思いもしなかった。
ダンスパーティーの日。愉しくフィオナと話していると、あるモノが目に入った。それは絶対に此処にいる筈のない人物だった。
慌ててフィオナに飲み物を取って来ると言い残し、その場を離れたが……見失ってしまった。と思ったら女性達に囲まれしまい、げんなりする羽目になった。と思ったら不意に背後から肩を叩かれ、振り返るとシャルロットとブレソールがいた。
何故いるのかと問い正そうと思ったら、今度はフィオナとオリフェオが一緒にいるのが視界に入ってきて、慌てて人混みを押し退け駆け戻った。
嫌がるフィオナの仮面に手を伸ばそうとしているオリフェオから、ヴィレームはフィオナを引き離し抱き寄せた。
自分の腕の中で怯えるフィオナを見て、憤りが隠せなかった。それは無論オリフェオに対してもだが、自分自身に対してもだ。約束したのに、彼女を一人にしてしまった……なんて軽率で莫迦な事をしたのだと、猛省した。
「フィオナちゃん、見て見てぇ」
「?」
「新作の仮面なのぉ。可愛いでしょう?」
ブフッー‼︎
瞬間、ヴィレームは飲んでいたお茶を噴き出した。
「あらあら、ヴィレーム。貴方、お行儀悪過ぎますわよ」
確かに行儀は悪い。だがあんなものを見せられたら噴き出すに決まっている。
「フィオナちゃんと、お揃いなのぉ」
ヴィレームは、幸せそうにお揃いの仮面をつけるシャルロットに、胃が痛くなって来た。
本当に何しに来たんだ……この人は。
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