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パンッ、バンッー‼︎
軽い破裂音の後、大きな衝撃音が響いた。ヨハンの防壁が砕け散り、彼は攻撃を直に受けすっ飛んだ。身体は壁に打つかると、その衝撃で地面へ叩き付けられてしまった。
パリンッー。
その時、彼の手から零れた蒼石は 雷に砕かれ塵となり、炎に消えた。先程、所持しているのは二つだと宣っていた故、もう彼は魔法を使えない筈だ。まあ、嘘を吐いていなければ、だが。
「僕の、いし……」
全身を強く打ち、倒れたままヨハンは動かない。普通の魔法使いならば、闘う際は自らの身体に防御を張る。だが、彼はそれをしていない故に、生身に直接攻撃を受けた。いや出来なかったと言うのが正しい。あの蒼石は確かに膨大な魔力を秘めていた。だが同時に魔法を操る事は不可能なのだろう。彼の闘い方を見ていてそれが分かった。所詮は他人の力に過ぎない。
「ぼく、の……」
彼はもう、立ち上がる事は出来ないだろう。あれだけ強く全身を打ち付けたのだ。身体中の骨が折れ砕けていても不思議ではない。
「ヨハン」
フィオナがゆっくりと歩いて、彼の側へと近づく。彼は視線だけを動かし、彼女を見た。
「ねえさん、いたいよ……からだが、いたい……いた、いよ……」
彼女は音もなく地面に座り込むと、自らの膝に彼の頭を乗せた。すると頭を優しく、撫でる。
「痛いの、痛いの……飛んでけ……痛いの痛いの、飛んでけ……」
憂いを帯びた表情とは似つかわしくない言葉が彼女からは洩れた。言葉とは裏腹に、彼女はヨハンへ治癒を施すつもりはない様だ。
「やっぱり、ねえさん、は……すごいなぁ……もう、いたく、ない……よ……」
彼には彼女の想いが伝わっているのだろうか……分かりきった嘘を吐く。そして幼子の様に言いながら、力なく笑った。その姿に、フィオナは何度も何度も頷いていた。
「そ、だ……ほん、よんで、よ……また…………むかし、みたい……に」
「えぇ……いいわ。何がいい?」
「いつ、も……のやつ……まほ、う……の」
彼女は瞳を揺らしながら、微笑み頭を撫で続けた。
「昔々、賢者と呼ばれた偉大な魔法使いがいました。彼はどの魔法使いよりも力を持っていました。その力は凄まじく、水や火、風や雷この世の凡ゆる力を従え……」
まるで子守唄の様な彼女の声に、彼の瞼は次第に重くなっていくのが見て取れた。
「彼には相棒がいます。それは使い魔と呼ばれる…………ヨハン?」
「いい、な……ぼく、なりた……かた、な……ぁ……」
「……」
彼女は返事はせずに、ずっと頷くばかりだ。
「ねえ、さ……ぼく、ねむく…………なっちゃ……た」
フィオナは唇を震わせ、目を細めた。
「えぇ……」
撫でる手が迷う様に彷徨い動いてる。ヴィレームには分かる。フィオナは迷っているのかも知れない……。彼女には治せる力がある故、葛藤している。
ヴィレーム達にとって彼は、ただの殺人者に過ぎない。言い方は酷いが、死んで当然だ。だが、彼女は違う。どんなに裏切られても、命を狙われても……彼は彼女の弟なんだ。彼女は自らを虐げてきた家族の死にさえ嘆き悲しんでいた。本当に悲しいくらい優しい人だと、ヴィレームは思う。
「ねえ、さ…………おや、す……」
「お休みなさい、ヨハン……っ」
瞼が閉じた時、彼の目からは涙が流れた。それを彼女は静かに脱ぐった。
暫くフィオナは、動かなくなったヨハンを抱き締め続けていた。
軽い破裂音の後、大きな衝撃音が響いた。ヨハンの防壁が砕け散り、彼は攻撃を直に受けすっ飛んだ。身体は壁に打つかると、その衝撃で地面へ叩き付けられてしまった。
パリンッー。
その時、彼の手から零れた蒼石は 雷に砕かれ塵となり、炎に消えた。先程、所持しているのは二つだと宣っていた故、もう彼は魔法を使えない筈だ。まあ、嘘を吐いていなければ、だが。
「僕の、いし……」
全身を強く打ち、倒れたままヨハンは動かない。普通の魔法使いならば、闘う際は自らの身体に防御を張る。だが、彼はそれをしていない故に、生身に直接攻撃を受けた。いや出来なかったと言うのが正しい。あの蒼石は確かに膨大な魔力を秘めていた。だが同時に魔法を操る事は不可能なのだろう。彼の闘い方を見ていてそれが分かった。所詮は他人の力に過ぎない。
「ぼく、の……」
彼はもう、立ち上がる事は出来ないだろう。あれだけ強く全身を打ち付けたのだ。身体中の骨が折れ砕けていても不思議ではない。
「ヨハン」
フィオナがゆっくりと歩いて、彼の側へと近づく。彼は視線だけを動かし、彼女を見た。
「ねえさん、いたいよ……からだが、いたい……いた、いよ……」
彼女は音もなく地面に座り込むと、自らの膝に彼の頭を乗せた。すると頭を優しく、撫でる。
「痛いの、痛いの……飛んでけ……痛いの痛いの、飛んでけ……」
憂いを帯びた表情とは似つかわしくない言葉が彼女からは洩れた。言葉とは裏腹に、彼女はヨハンへ治癒を施すつもりはない様だ。
「やっぱり、ねえさん、は……すごいなぁ……もう、いたく、ない……よ……」
彼には彼女の想いが伝わっているのだろうか……分かりきった嘘を吐く。そして幼子の様に言いながら、力なく笑った。その姿に、フィオナは何度も何度も頷いていた。
「そ、だ……ほん、よんで、よ……また…………むかし、みたい……に」
「えぇ……いいわ。何がいい?」
「いつ、も……のやつ……まほ、う……の」
彼女は瞳を揺らしながら、微笑み頭を撫で続けた。
「昔々、賢者と呼ばれた偉大な魔法使いがいました。彼はどの魔法使いよりも力を持っていました。その力は凄まじく、水や火、風や雷この世の凡ゆる力を従え……」
まるで子守唄の様な彼女の声に、彼の瞼は次第に重くなっていくのが見て取れた。
「彼には相棒がいます。それは使い魔と呼ばれる…………ヨハン?」
「いい、な……ぼく、なりた……かた、な……ぁ……」
「……」
彼女は返事はせずに、ずっと頷くばかりだ。
「ねえ、さ……ぼく、ねむく…………なっちゃ……た」
フィオナは唇を震わせ、目を細めた。
「えぇ……」
撫でる手が迷う様に彷徨い動いてる。ヴィレームには分かる。フィオナは迷っているのかも知れない……。彼女には治せる力がある故、葛藤している。
ヴィレーム達にとって彼は、ただの殺人者に過ぎない。言い方は酷いが、死んで当然だ。だが、彼女は違う。どんなに裏切られても、命を狙われても……彼は彼女の弟なんだ。彼女は自らを虐げてきた家族の死にさえ嘆き悲しんでいた。本当に悲しいくらい優しい人だと、ヴィレームは思う。
「ねえ、さ…………おや、す……」
「お休みなさい、ヨハン……っ」
瞼が閉じた時、彼の目からは涙が流れた。それを彼女は静かに脱ぐった。
暫くフィオナは、動かなくなったヨハンを抱き締め続けていた。
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