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番外編【嫌な世の中】4嫌な風潮
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「そんなことがありまして、後輩の梨々花さんが今、大変な目に遭っているみたいです」
「なるほど、それはお気の毒ですね」
午後の仕事は特にトラブルなく終わり、定時で仕事を終えることができた。私はその後、そのまま家に直帰した。
そして、今は夕食時で今日の出来事を大鷹さんに話しているというわけだ。今日の夕食はチキン南蛮。私が頑張って夕食を作った。
昼休みに予定していた3人での食事会は急遽、キャンセルとなった。そもそも、その食事会をすることになったのは梨々花さんの事を心配して、河合さんが提案したものだった。そのため、梨々花さんから事情を耳打ちされた河合さんは、その場で食事会を中止にしようと言い出した。
仕事を終えたら直帰したいタイプなので、私は特に異論はなかった。梨々花さんものんきに食事会をしていられる精神状態ではなさそうだったので、誰からも反対は出なかった。しかし、河合さんが言っていた【警察沙汰】ということは気になった。
「まさか、梨々花さんが新入社員の男の子から猛アタックを受けているとは知りませんでした」
「それは、猛アタックの域を超えていると思いますけどね。だって、警察沙汰って言っていたのでしょう?」
「確かにそう言っているのが聞こえました。帰りに梨々花さんと河合さんが警察に連絡を入れるという話もしていました」
警察沙汰とは笑えない話だ。見た目は真面目そうに見えて、中身はストーカー気質の野郎だったらしい。ストーカーされるのは好意を見せた女が悪いとかいう話も聞くが、相手が勝手にその厚意を好意と勘違いして、追い回しているだけだ。厄介な男も世の中にはいるものだ。
これで無事に問題なく、その後輩が梨々花さんの事をあきらめてくれるといいのだが。
「はあ」
せっかく新しい年度が始まり、新入社員と一緒に仕事を頑張っていこうとやる気を出していたのに、残念な気分だ。思わずため息が出てしまう。
「なんだか、新年度早々、その後輩は運が悪いですね」
「そうですよね。大鷹さんのところの新入社員はどうですか?どんな子が入社してきたんですか?」
私ばかりが話していては大鷹さんも飽きてしまうだろう。大鷹さんにも話題を振ってみると、大鷹さんはあごに手を当てて少し考えた後、一度目をつぶる。
「特に可もなく、不可もなくって感じの子たちですね。今のところ、辞めると言い出す人はいないです。ああでも、新入社員ではない社員が退職代行を使って会社を辞めたって話は聞きました」
「流行っていますねえ。退職代行」
ニュースでも話題になっているが、私の身近にもちらほら利用する人がいる人が現れた。自分の口で仕事を辞めるとは言いにくい、またはそんなことが許されない状況にある人たちが利用するサービスだが、なんとも嫌な世の中になったものだ。そんなサービスが流行るのはつまり、会社に不満があり、それを口に出すことができない人が多いということ。
『嫌な世の中です』
私たちの声がきれいなハモリを見せた。どうやら、この件に関しては私も大鷹さんも同意見らしい。お互いの顔を見合わせて苦笑する。
「それを言うと、転職サイトの広告が多いのもなんだか嫌な気持ちになります。あとは派遣会社ですかね」
「確かになんとも言えない気持ちになりますね。僕の会社にも何人か派遣社員を雇っていますが、優秀な人でも派遣で仕事をしているので、どうして派遣なのかなと思うときがあります」
逆もありますが。
最後につぶやかれた言葉に同情する。大鷹さんは以前、派遣会社の女性に言い寄られていたことがあった。その時のことを思い出しているのだろう。
「退職代行に転職サイト、派遣社員、まるで長く会社で働く人が良くないみたいな感じにも思えてきますよね。そんなことは決してないですけど」
つい、心の声が漏れてしまう。仕事など嫌な事の方が多いし、やりたくないこともやらされる。それでも我慢して働くことでお金が発生する。お金がなくては生活ができない。仕事のせいで病気になったり、死に追い詰められたりするほどなら辞めるべきだ。それは当たり前だが、それ以外ならどうだろうか。
「社会の変化が激しい今だからこそ、じゃないですか?なんだか暗い話になってしまいましたね?何か、面白い話をしましょう」
紗々さんの作ったこのチキン南蛮、お肉が柔らかくておいしいです。このタルタルソースと合わせて絶品です。
この話は終わりとばかりに、大鷹さんが食事を再開する。私も慌てて自分で作ったチキン南蛮を頬張るのだった。
「何か、面白い話、ねえ」
夕食後、自室に戻り、パソコンの前で次に書く小説のネタを考える。春は出会いの季節。学校だと入学式、会社だと入社式、新たな人間関係が始まる希望溢れる季節でもある。
「それなのに、なんでその反対の辞める話になっているんだか」
まったく、嫌になってしまう。新年度早々に流行ってよい話題ではない。世の中、暗いニュースばかりだ。
「出会いねえ」
パソコンの画面を執筆画面に切り替える。とりあえず、せっかく話題に上がった退職代行のことを絡めた話でも書いてみようか。
私はパソコン画面に今日の河合さんたちと話した内容と、大鷹さんとした話を元になんとなくの話しの内容を入力することにした。
「なるほど、それはお気の毒ですね」
午後の仕事は特にトラブルなく終わり、定時で仕事を終えることができた。私はその後、そのまま家に直帰した。
そして、今は夕食時で今日の出来事を大鷹さんに話しているというわけだ。今日の夕食はチキン南蛮。私が頑張って夕食を作った。
昼休みに予定していた3人での食事会は急遽、キャンセルとなった。そもそも、その食事会をすることになったのは梨々花さんの事を心配して、河合さんが提案したものだった。そのため、梨々花さんから事情を耳打ちされた河合さんは、その場で食事会を中止にしようと言い出した。
仕事を終えたら直帰したいタイプなので、私は特に異論はなかった。梨々花さんものんきに食事会をしていられる精神状態ではなさそうだったので、誰からも反対は出なかった。しかし、河合さんが言っていた【警察沙汰】ということは気になった。
「まさか、梨々花さんが新入社員の男の子から猛アタックを受けているとは知りませんでした」
「それは、猛アタックの域を超えていると思いますけどね。だって、警察沙汰って言っていたのでしょう?」
「確かにそう言っているのが聞こえました。帰りに梨々花さんと河合さんが警察に連絡を入れるという話もしていました」
警察沙汰とは笑えない話だ。見た目は真面目そうに見えて、中身はストーカー気質の野郎だったらしい。ストーカーされるのは好意を見せた女が悪いとかいう話も聞くが、相手が勝手にその厚意を好意と勘違いして、追い回しているだけだ。厄介な男も世の中にはいるものだ。
これで無事に問題なく、その後輩が梨々花さんの事をあきらめてくれるといいのだが。
「はあ」
せっかく新しい年度が始まり、新入社員と一緒に仕事を頑張っていこうとやる気を出していたのに、残念な気分だ。思わずため息が出てしまう。
「なんだか、新年度早々、その後輩は運が悪いですね」
「そうですよね。大鷹さんのところの新入社員はどうですか?どんな子が入社してきたんですか?」
私ばかりが話していては大鷹さんも飽きてしまうだろう。大鷹さんにも話題を振ってみると、大鷹さんはあごに手を当てて少し考えた後、一度目をつぶる。
「特に可もなく、不可もなくって感じの子たちですね。今のところ、辞めると言い出す人はいないです。ああでも、新入社員ではない社員が退職代行を使って会社を辞めたって話は聞きました」
「流行っていますねえ。退職代行」
ニュースでも話題になっているが、私の身近にもちらほら利用する人がいる人が現れた。自分の口で仕事を辞めるとは言いにくい、またはそんなことが許されない状況にある人たちが利用するサービスだが、なんとも嫌な世の中になったものだ。そんなサービスが流行るのはつまり、会社に不満があり、それを口に出すことができない人が多いということ。
『嫌な世の中です』
私たちの声がきれいなハモリを見せた。どうやら、この件に関しては私も大鷹さんも同意見らしい。お互いの顔を見合わせて苦笑する。
「それを言うと、転職サイトの広告が多いのもなんだか嫌な気持ちになります。あとは派遣会社ですかね」
「確かになんとも言えない気持ちになりますね。僕の会社にも何人か派遣社員を雇っていますが、優秀な人でも派遣で仕事をしているので、どうして派遣なのかなと思うときがあります」
逆もありますが。
最後につぶやかれた言葉に同情する。大鷹さんは以前、派遣会社の女性に言い寄られていたことがあった。その時のことを思い出しているのだろう。
「退職代行に転職サイト、派遣社員、まるで長く会社で働く人が良くないみたいな感じにも思えてきますよね。そんなことは決してないですけど」
つい、心の声が漏れてしまう。仕事など嫌な事の方が多いし、やりたくないこともやらされる。それでも我慢して働くことでお金が発生する。お金がなくては生活ができない。仕事のせいで病気になったり、死に追い詰められたりするほどなら辞めるべきだ。それは当たり前だが、それ以外ならどうだろうか。
「社会の変化が激しい今だからこそ、じゃないですか?なんだか暗い話になってしまいましたね?何か、面白い話をしましょう」
紗々さんの作ったこのチキン南蛮、お肉が柔らかくておいしいです。このタルタルソースと合わせて絶品です。
この話は終わりとばかりに、大鷹さんが食事を再開する。私も慌てて自分で作ったチキン南蛮を頬張るのだった。
「何か、面白い話、ねえ」
夕食後、自室に戻り、パソコンの前で次に書く小説のネタを考える。春は出会いの季節。学校だと入学式、会社だと入社式、新たな人間関係が始まる希望溢れる季節でもある。
「それなのに、なんでその反対の辞める話になっているんだか」
まったく、嫌になってしまう。新年度早々に流行ってよい話題ではない。世の中、暗いニュースばかりだ。
「出会いねえ」
パソコンの画面を執筆画面に切り替える。とりあえず、せっかく話題に上がった退職代行のことを絡めた話でも書いてみようか。
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