結婚したくない腐女子が結婚しました

折原さゆみ

文字の大きさ
227 / 253

番外編【七夕】私の願いは

しおりを挟む
※七夕ネタです。前の話しとはつながっていません。
 当日に間に合いました!


「今日、七夕ですね」

「早いものですね。2025年もあっという間に半年が過ぎて、もう七夕とは」

「今年はどんなお願い事をしますか?」

 今日は7月7日の七夕の日。大鷹さんと結婚してからは、毎年のように短冊を書いている。短冊を書くことは私たちの間で七夕の習慣となっている。世間と同じくイベントを楽しんでいるということだ。

 夕食のそうめんを食べ終えて、テーブルに2枚の短冊を置く。今年は私がオレンジで大鷹さんが緑色の短冊だ。スーパーで無料で短冊をもらえたのでありがたくもらってきた。

 私が大鷹さんに今年の願い事を質問すると、大鷹さんはあごに手を当てて考え込んでいた。とりあえず、ここ2年ほどの願い事を私は口にする。

「『紗々さんとずっと居られますように』とかは毎年言っているので、なしですよ」

「じゃあ、紗々さんも『大鷹さんと一緒に居られますように』はなしで」

 まったく、大鷹さんも遠慮がない。とはいえ、互いに同じことを願っているのは嬉しいことだ。

「本当に、紗々さんが僕と同じ気持ちになってくれて嬉しいです。もう、僕に他の人をあてがって自分は別れるという選択肢はない。そう思っていいんですよね?」

「まあ、その節はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。これからも、ずっと迷惑をかけ続けますので、よろしくお願いします」

「迷惑なんて思いません。紗々さんと今後も一緒に居られることが僕の幸せですから」

 自分の気持ちをはっきりと言葉にする大鷹さんにこちらが恥ずかしくなってしまう。

 大鷹さんと結婚した当初に思っていたことがある。『大鷹さんの幸せのため、大鷹さんの遺伝子を後世に残すため、大鷹さんと他のイケメンのBLを拝むため』などという理由で別れることだ。

 それが今では、大鷹さんの隣に他の女性や男性を思い浮かべるだけで嫌な気持ちになり、私と別れないで欲しいと思うようになった。本来なら、わたしのような人間と大鷹さんは釣り合わないので別れるべきだ。しかし、今更別れられる気がしない。そして、最近ではずっと一緒に居たいと願うようにまでなってしまった。

「愛とは恐ろしいものですね」

 自分の考えが180度変わってしまうのだ。ちらりと大鷹さんに目を向けると、大鷹さんは目を丸くして驚いたような表情をしていた。私は別におかしなことは言っていない。

「紗々さんも、愛というものを実感したのですね」

「その言い方、ひどくないですか?そもそも、私は他人の気持ちとかには結構敏感ですよ。二次元の愛についても理解できています。それらを総合的に見て、愛というものを知ったということです。成長したと言ってください!」

 ずいぶんと大鷹さんには舐められている。私が反論すると、何がおかしいのか大鷹さんは口を押えて笑い出す。その笑顔を見ていたら、私も自然と笑顔になる。

「ああ、ひとつ、どうしても叶えたい願い事がありました。もうすでに一度、七夕の願い事で願っていますけど」

 とりあえず、大鷹さんとずっと一緒に居られることは保証されている。ただし、人の気持ちは移ろいやすいので、大鷹さんにもし万が一、私よりも好きな人が現れたらわからないが、それまでは私の夫でいてくれるだろう。

話しを七夕に戻そうと思いついたことを口にする。

「小説の商業化、ですか?」

「よくおわかりで。自分でもわかっているんですが、きっと更新頻度が低いことも商業化しない理由なんでしょうね。やはり、新たなものを産み続けるエネルギーが商業化には必要な気がします」

「僕も紗々さんのお手伝いができたらいいんですけど。ああ、僕も願い事が決まりました」

 大鷹さんが私の願い事を聞いて、何か思いついたようだ。いったい、どんな願いごとだろうか。私関連だとしたら、聞いておく必要がある。いつぞやの七夕ではスカートを大鷹さんの為に購入して、七夕でスカート姿を披露してみせた。

「紗々さんの作品の商業化の時に、一番に作品の感想をいうこと、です!」

 目をキラキラさせて発言した言葉に苦笑してしまう。

「それ、私の願い事が叶わないと、大鷹さんの願いも叶わないですよ」

「だからいいんじゃないですか。紗々さん、あきらめずに小説の執筆、頑張ってくださいね」

「はあ」

 とりあえず、今年も七夕当日に私と大鷹さんは願いごとを書くのだった。

 ちなみに私の住む地域の今日の夜の天気は雨。今年は織姫と彦星は会えなさそうである。一年に一度しかない逢瀬の日が天気で会えなくなってしまうなんて、可哀想すぎる。まあ、所詮、彼らとは赤の他人なので、会えても会えなくても私には関係のない話だ。

 今日も外は暑かったが、天気や温度関係なく、私たちは今日も仲良しである。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結保証】存在しないことにされていた管理ギフトの少女、王宮で真の家族に出会う 〜冷遇された日々は、王宮での溺愛で上書きします〜

小豆缶
恋愛
「願った結果を、ほんの少しだけ変えてしまう力」 私に与えられたギフトは、才能というにはあまりにも残酷な自分も人の運命も狂わせるギフトだった。 そのあまりの危うさと国からの管理を逃れるために、リリアーナは、生まれたことそのものが秘匿され、軟禁され、育てられる。 しかし、純粋な心が願うギフトは、ある出来事をきっかけに発動され、運命が動き出す。 二度とそのギフトを使わないと決めて生きてきたのよ だが、自分にせまる命の危機ーー 逃げていた力と再び向き合わなければならない状況は、ある日、突然訪れる。 残酷なギフトは、リリアーナを取り巻く人たちの、過去、未来に影響し、更には王宮の過去の闇も暴いていく。 私の愛する人がどうか幸せになりますように... そう、リリアーナが願ったギフトは、どう愛する人に届くのか? 孤独だったリリアーナのギフトが今、王宮で本当の幸せを見つけるために動き始める

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

女性が少ない世界でVTuberやります!

dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉ なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。 ※恋愛大賞ラストスパートなので24日火曜~27日金曜日まで連日投稿予定! 参加してるみんな!あと少し頑張ろうね!(>▽<)/作者ブル

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 そう名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  ✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 ✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

処理中です...