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第83話 真珠湾攻撃
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一九三八年十月二十一日、午前六時。アメリカ、オアフ島。
真珠湾にて停泊しているアメリカ艦隊では、まだのんびりとした空気が流れていた。
しかし、空の様子は違っている。日本がアメリカに対し宣戦布告したという一報は、直ちにアメリカ海軍太平洋艦隊司令部に届く。それを踏まえた上で、ほぼ隣にある飛行場から監視のための偵察機を上げ、警戒に当たっていた。
空の様子がこのようなものであるから、水兵の間で「日本がアメリカに宣戦布告した」という噂が即座に広まる。
にも関わらず、艦隊には何も命令が下されていないのだ。
「ジャップが喧嘩吹っ掛けてきてるのに、なんで上は何も命令をしないんだ?」
「さぁな。だが何もしないことはないようだ。さっき兵曹殿が慌てて指揮所に向かってたからな」
「となると、そろそろ出番か?」
「そん時は合衆国海軍の力を見せつけなきゃならん。そのためにも日課は欠かせないな」
水兵たちがそんなことをボヤいていると、上官たちが持ち場に戻ってくる。
「お前ら、出港準備だ。いよいよジャップの艦隊とやり合うぞ」
「待ってました!」
「ブチのめしてやろうぜ!」
意気揚々と出港準備を進めている時だった。
真珠湾から西に三十キロメートルのところで、周辺を警戒していたF4Fワイルドキャットが遠くの空で何かを見つける。
「なんだ……あれは……?」
雲の切れ間から無数の点が見える。それが日本軍の航空機であることに気がつくのに、数分ともかからなかった。
「隊長! 十時方向にジャップの航空機です!」
「数が多い……! すぐに司令部に連絡だ!」
その瞬間、隊長機が爆散する。すぐ上空には、九八戦が数機飛行しており、今まさに彼らへ攻撃しようとしていた。
偵察隊の一人が、なんでもいいから通信で敵機襲来を知らせようとしたものの、無線機のスイッチまであと指関節一個分の所で攻撃を受け、命を散らした。
これにより、日本機襲来の知らせが遅れることになる。
「よっしゃ、お前ら! 皇軍の底力ってやつを見せてやろうぞ!」
九八戦に乗る護衛戦闘機隊の隊長が、そんなことを言う。しかし、音声通話ができるわけではないため、ただコックピットで怒鳴っているだけである。
帝国海軍航空隊は、九六式艦上爆撃機、九七式艦上攻撃機、九八式艦上戦闘機の編隊で、合計一二〇機である。そんな大編隊が飛んでいるのなら、見落としようがない。
そのまま大編隊は進み、真珠湾まで十キロメートルを切る。その時になれば、オアフ島にある監視台から、大編隊を見ることができるだろう。
「ジャップだ! ジャップの空襲だ!」
真珠湾全域とその周辺にある住宅街に対して、空襲警報が発せられる。
すぐに航空隊の姿を見ることができるだろう。
「攻撃開始!」
先頭を行く九七艦攻が、高度を下げつつ雷撃準備に入る。それと一緒に、約半分ほどの九八戦も高度を下げていく。
一方で九六艦爆は、しばらく高度を保ちつつ真珠湾に侵入。低高度の戦闘の様子を確認していた。
その低高度での戦闘は激しかった。停泊している艦艇が対空攻撃を開始し、弾幕が張り巡る。その隙間を縫うように、九七艦攻と九八戦は飛行する。
海面スレスレを飛行する九七艦攻は、目標をテネシー級戦艦やコロラド級戦艦に定め、飛行する。
「雷撃用意……、今!」
十四機の九七式艦攻から魚雷が投下され、まっすぐ戦艦に向かって進む。
そして命中。派手な水柱を立て、戦艦群はゆっくりと傾斜していく。
それを見た九六式艦爆は、命中していない戦艦や巡洋艦を確認する。それらを見て、編隊ごとに急降下爆撃を敢行する。
投下された二五〇キログラム爆弾は、被弾していない戦艦や巡洋艦へと吸い込まれるように落下した。
結果、爆破によって弾薬庫に火が付き、大爆発を起こす艦艇もあった。最初の戦闘としては、かなり良い戦果だ。
一方で、九八戦だけ何もしていないわけではない。いくらアメリカ艦艇であっても、防御用の盾がないもしくは薄い機銃座で対空攻撃を行っている所もある。そこを狙って機銃掃射するのだ。
さらに、これから発進するであろう飛行場に駐機している戦闘機に対しても機銃掃射する。
これにより、反撃能力を徹底的に削ぐ。そう、徹底的に。
爆弾や魚雷を投下すれば、後は用がないので九六艦爆と九七艦攻はさっさと空母へと帰る。一方で九八戦は、制空権を保持するために真珠湾の上空を舞っていた。
一時間もしないうちに、また遠くの空から大編隊がやってくる。第二波攻撃だ。
今回は精密な攻撃が必要と判断され、編成は雷撃機ではなく爆撃機中心である。そしてそのまま、傾斜していたり大破着底している艦に向けて、執拗に攻撃を繰り返す。それは、船体が真っ二つに折れるどころか、破片にするまで砕くのかというほどの攻撃である。
実際船体が折れた巡洋艦や駆逐艦が多数、大破着底した戦艦が四隻。その他の艦も被害甚大であった。
生き残った水兵は、第二波攻撃を終えて去っていく航空隊を見て、復讐の念を燃やしていた。
「絶対に許さない……。俺の命がどうなろうとも、ジャップを許さない……!」
その直後、去っていった第二波の編隊とは違うエンジン音が聞こえてくる。
なんと第三波攻撃の編隊がやってきたのだ。今度こそ、残存兵力であるアメリカ太平洋艦隊にとどめを刺すためにやってきた。
先ほど日本軍を許さないと言った彼は、九八戦の機銃掃射であっけなく命を散らした。
こうして、現地時間で正午過ぎ、六時間以上にわたって行われた攻撃は終了した。
しかし、これだけでは終わらない。
それから数時間後の十六時。真珠湾入口に川内率いる第三水雷戦隊がやってくる。その第三水雷戦隊の艦艇から、多数の人がワラワラと出てくる。
彼らは帝国海軍陸戦隊。その数五千。カッターに乗せられ、内火艇に引っ張られて海岸にたどり着く。そこからアメリカ海軍太平洋司令部に向けて走り出す。
結論から言えば、司令部にいた憲兵などと戦闘はあったものの、日本軍は真珠湾周辺の掌握に成功した。捕虜も民間人も多く、これからどうするのか考えることも多い。
しかし、ハワイ周辺、太平洋の真ん中を確保したことは大きな進展であるだろう。
真珠湾にて停泊しているアメリカ艦隊では、まだのんびりとした空気が流れていた。
しかし、空の様子は違っている。日本がアメリカに対し宣戦布告したという一報は、直ちにアメリカ海軍太平洋艦隊司令部に届く。それを踏まえた上で、ほぼ隣にある飛行場から監視のための偵察機を上げ、警戒に当たっていた。
空の様子がこのようなものであるから、水兵の間で「日本がアメリカに宣戦布告した」という噂が即座に広まる。
にも関わらず、艦隊には何も命令が下されていないのだ。
「ジャップが喧嘩吹っ掛けてきてるのに、なんで上は何も命令をしないんだ?」
「さぁな。だが何もしないことはないようだ。さっき兵曹殿が慌てて指揮所に向かってたからな」
「となると、そろそろ出番か?」
「そん時は合衆国海軍の力を見せつけなきゃならん。そのためにも日課は欠かせないな」
水兵たちがそんなことをボヤいていると、上官たちが持ち場に戻ってくる。
「お前ら、出港準備だ。いよいよジャップの艦隊とやり合うぞ」
「待ってました!」
「ブチのめしてやろうぜ!」
意気揚々と出港準備を進めている時だった。
真珠湾から西に三十キロメートルのところで、周辺を警戒していたF4Fワイルドキャットが遠くの空で何かを見つける。
「なんだ……あれは……?」
雲の切れ間から無数の点が見える。それが日本軍の航空機であることに気がつくのに、数分ともかからなかった。
「隊長! 十時方向にジャップの航空機です!」
「数が多い……! すぐに司令部に連絡だ!」
その瞬間、隊長機が爆散する。すぐ上空には、九八戦が数機飛行しており、今まさに彼らへ攻撃しようとしていた。
偵察隊の一人が、なんでもいいから通信で敵機襲来を知らせようとしたものの、無線機のスイッチまであと指関節一個分の所で攻撃を受け、命を散らした。
これにより、日本機襲来の知らせが遅れることになる。
「よっしゃ、お前ら! 皇軍の底力ってやつを見せてやろうぞ!」
九八戦に乗る護衛戦闘機隊の隊長が、そんなことを言う。しかし、音声通話ができるわけではないため、ただコックピットで怒鳴っているだけである。
帝国海軍航空隊は、九六式艦上爆撃機、九七式艦上攻撃機、九八式艦上戦闘機の編隊で、合計一二〇機である。そんな大編隊が飛んでいるのなら、見落としようがない。
そのまま大編隊は進み、真珠湾まで十キロメートルを切る。その時になれば、オアフ島にある監視台から、大編隊を見ることができるだろう。
「ジャップだ! ジャップの空襲だ!」
真珠湾全域とその周辺にある住宅街に対して、空襲警報が発せられる。
すぐに航空隊の姿を見ることができるだろう。
「攻撃開始!」
先頭を行く九七艦攻が、高度を下げつつ雷撃準備に入る。それと一緒に、約半分ほどの九八戦も高度を下げていく。
一方で九六艦爆は、しばらく高度を保ちつつ真珠湾に侵入。低高度の戦闘の様子を確認していた。
その低高度での戦闘は激しかった。停泊している艦艇が対空攻撃を開始し、弾幕が張り巡る。その隙間を縫うように、九七艦攻と九八戦は飛行する。
海面スレスレを飛行する九七艦攻は、目標をテネシー級戦艦やコロラド級戦艦に定め、飛行する。
「雷撃用意……、今!」
十四機の九七式艦攻から魚雷が投下され、まっすぐ戦艦に向かって進む。
そして命中。派手な水柱を立て、戦艦群はゆっくりと傾斜していく。
それを見た九六式艦爆は、命中していない戦艦や巡洋艦を確認する。それらを見て、編隊ごとに急降下爆撃を敢行する。
投下された二五〇キログラム爆弾は、被弾していない戦艦や巡洋艦へと吸い込まれるように落下した。
結果、爆破によって弾薬庫に火が付き、大爆発を起こす艦艇もあった。最初の戦闘としては、かなり良い戦果だ。
一方で、九八戦だけ何もしていないわけではない。いくらアメリカ艦艇であっても、防御用の盾がないもしくは薄い機銃座で対空攻撃を行っている所もある。そこを狙って機銃掃射するのだ。
さらに、これから発進するであろう飛行場に駐機している戦闘機に対しても機銃掃射する。
これにより、反撃能力を徹底的に削ぐ。そう、徹底的に。
爆弾や魚雷を投下すれば、後は用がないので九六艦爆と九七艦攻はさっさと空母へと帰る。一方で九八戦は、制空権を保持するために真珠湾の上空を舞っていた。
一時間もしないうちに、また遠くの空から大編隊がやってくる。第二波攻撃だ。
今回は精密な攻撃が必要と判断され、編成は雷撃機ではなく爆撃機中心である。そしてそのまま、傾斜していたり大破着底している艦に向けて、執拗に攻撃を繰り返す。それは、船体が真っ二つに折れるどころか、破片にするまで砕くのかというほどの攻撃である。
実際船体が折れた巡洋艦や駆逐艦が多数、大破着底した戦艦が四隻。その他の艦も被害甚大であった。
生き残った水兵は、第二波攻撃を終えて去っていく航空隊を見て、復讐の念を燃やしていた。
「絶対に許さない……。俺の命がどうなろうとも、ジャップを許さない……!」
その直後、去っていった第二波の編隊とは違うエンジン音が聞こえてくる。
なんと第三波攻撃の編隊がやってきたのだ。今度こそ、残存兵力であるアメリカ太平洋艦隊にとどめを刺すためにやってきた。
先ほど日本軍を許さないと言った彼は、九八戦の機銃掃射であっけなく命を散らした。
こうして、現地時間で正午過ぎ、六時間以上にわたって行われた攻撃は終了した。
しかし、これだけでは終わらない。
それから数時間後の十六時。真珠湾入口に川内率いる第三水雷戦隊がやってくる。その第三水雷戦隊の艦艇から、多数の人がワラワラと出てくる。
彼らは帝国海軍陸戦隊。その数五千。カッターに乗せられ、内火艇に引っ張られて海岸にたどり着く。そこからアメリカ海軍太平洋司令部に向けて走り出す。
結論から言えば、司令部にいた憲兵などと戦闘はあったものの、日本軍は真珠湾周辺の掌握に成功した。捕虜も民間人も多く、これからどうするのか考えることも多い。
しかし、ハワイ周辺、太平洋の真ん中を確保したことは大きな進展であるだろう。
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