私が居ながら、運命の相手を城に迎え入れようとした王子は、何もかも失ってしまいました。

coco

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私が居ながら、運命の相手を城に迎え入れようとした王子は、何もかも失ってしまいました。

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「俺は運命の相手を見つけた。この前、隣国からの帰り道にある村を通りかかったら、そこに美しい娘がいて…その日から、彼女が忘れられないんだ。」

「あぁ、あの日見た…。」

「俺は、何としても彼女を手に入れる。その為に、今から俺は彼女を迎えに行ってくるから…留守はお前に任せた。」

 そう言うと王子は、私の返事も聞かず馬に跨り、城を出て行った─。

 運命の相手って…私、あなたの婚約者よね?
 私が居るのに、その娘を迎えに行くって…。

 確かに私とあなたの婚約は、あなたのお父様…現王が決めてしまった事だから、あなたが冷めていたのは知ってたけれど…。
 
 どうしてあなたとその娘が帰ってくるのを、大人しく待ってなきゃいけないの?
 それでその後、私を一体どうしようというの?

 どうせ城から追い出されるか…それとも、その女付きの使用人にでもするとか?
 
 どっちも、私が嫌な思いしかしないわね。

 あなたがそんな勝手をするなら…私にも、考えがあるんだから─。

※※※

「あの…私のような田舎娘が、本当にお城に行っても…?」

「いいに決まってる。俺の婚約者も田舎者だが、お前とは似ても似つかん不細工だ。まぁ、強い魔力は持ってるそうだが…俺にふさわしいのは美人だ、顔が美しければそれでいいんだ。」

 俺は元々、美しい者しか傍に置かない主義だ。 
 
 早くこの娘を城に連れ帰り、代わりにあいつを追い出そう。

 俺は一刻も早く城に戻ろうと、馬を走らせた。

 おかしいな…もうそろそろ、城に着いてもいい頃なんだが…。
 この森の中の道は、こんなに長かったか?

 いらだった俺は、馬の身体を足で強く蹴った。

 すると馬は体を反らせ…俺と彼女を振り落とすと、そのまま走り去ってしまった。

「全く、何て使い物にならない馬だ!すまない、大丈夫か?」

「は、はい…。」

 俺たちは、仕方なくそこから歩い城まで向かう事に─。

「王子、まだ着かないのですか?早くお城に連れてって下さいな。私にいい暮らしをさせてくれる約束でしょう?」

「勿論だ。だが…この森を抜けない限りは、城には行けないんだ。」

 しかし、その後も一向に城は見えて来ない。

 俺と彼女は、途方に暮れてしまった。

「城に辿り着けないとは…一体どういう事だ!?」

「王子…このままだと日が暮れてしまいますわ!」

 すると…森の中に、よく知った声が響き渡った。

「これは私の魔法によるものです。私の魔力でしたら、この程度の事は簡単にできます─。」

※※※

 馬が帰って来た…王子が森に入ったようね。

 あらあら、お城を探し回ってウロウロしちゃって。

 いくらさ迷っても、あなたはもうこのお城に辿り着けないわ。

「その森は、私の魔力で迷路のような迷いの森へと変わりました。と言っても…心の綺麗な者や、この城に対し害のない者はあっさり通り抜ける事が出来ます。あなたのように婚約者を裏切った男、そして…追放聖女には無理です。」

「何だと!?」

「その女は、最近隣国から追放になり家に返された聖女です。ろくに相手の事も調べず、顔だけで選ぶなんて…そんな女を選び私を捨てたあなたに、王は大変お怒りです。もうあなたは戻って来なくていいと仰り、私のした事にも反対なさりませんでした。」

「いや、俺が居なくなったら城は─」

「城はあなたの弟の、第二王子に任せるそうです。そして私は、彼の婚約者になります。あなたのような、顔だけの無能王子を排除し、この城はある意味鉄壁の結界を得たのですから、王は喜んでおられます。」

「そんな…!」

「あなたとその女は、本当に運命の相手でしたね、捨てられた者同志、仲良くしてればいいわ。」

「頼む…俺を城に導いてくれ─!」

「嫌です。勝手に出て行って、私に留守を任せたのはあなたでしょう?ですから、私のした事をあなたにとやかく言われる筋合いは在りません。」

※※※

 その後王子は、追放聖女と共に、とうとう行方知れずとなってしまった。

 きっとあの二人は、今もあの迷いの森の中をさ迷い続けて居るか…それとも、力尽きてそのままそこで─。 
  
 でも、もしも心を入れ替え、この城に辿り着けたとしても…既にこの城には、あなたの居場所はこれっぽっちも無いわ。

 だってここは…第二王子と私が国を守り、幸せに暮らす大切な場所になってしまったのだから─。
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