1 / 1
婚約者にある場所へ捨てられたら…そこには隠された秘密があり、私は幸せになれました。
しおりを挟む
「お前とは、ここでお別れだ。」
そう言って、私を縛っていた縄を解いた婚約者。
彼は抵抗する私を、無理やり馬車から引きずり下ろした。
そして私に剣を付き付け、こう言い放った。
「殺されたくなければ、この森の中へ入れ。そして二度と戻って来るな。もし戻ったら…お前の家族の命はない。」
「…分かったわ。」
そして私は、深い森の奥へと足を進めた─。
婚約者によって、深い森の中に捨てられた私。
この森は、一度入ったら生きて出られないという「死の森」だ。
好きな女ができたからって、まさかここまでするなんて。
あの人…このまま私が死んだ事にして、婚約破棄するつもりね。
そしてその後は、愛人と結ばれようと─。
でも、私をここに捨てたのは、失敗だったわよ?
何故なら、ここはある秘密が隠されているのだから─。
※※※
「あの女、今頃はとっくに死んでいるだろうな。」
「ウフフ…いい案だったでしょ、あの森に置き去りにするのは。」
「ああ。下手に手を下せば、後々が面倒だからな…。こうして偽の手紙を用意した、あいつは男と逃げた事にする。」
「後は…あの女の財産が入ってこれば最高ね!」
「それは、追々…ほとぼりが冷めてからな。あいつの両親は人が良いから、娘が男と逃げたとあっては、俺に慰謝料としてあいつの財産を差し出すだろう。」
あの女とは、家同士の約束で婚約しただけ。
美人でも可愛くもないあいつに、俺は何の愛情も持って居ない。
そして…そんな俺の前に現れたのが、この彼女だった。
あいつとは全く正反対の、こんないい女を逃すものか。
その為には、あの女が邪魔だった。
だから、どうやってその存在を消そうか随分悩んだが…まさか、こうも上手くいくとは。
俺は、笑いが止まらなかった─。
ところが、事態は思わぬ方向へと動いた。
「…あなたたちの思い通りにはさせませんよ?」
「お前…生きてたのか!?」
「嘘…あそこは死の森よ。どうやってあの森から出たのよ!?」
「それは─。」
※※※
『…確か、この辺りに…あったわ!』
木には、魔力で矢印が描かれていた。
私は、矢印が差す方へと進んで行く。
あった、次は右…今度は─。
『…あなたの魔力のおかげで、私は命拾いしました。でもまさか…あの人が私を殺そうとするなんて…。』
『よくもそんな酷い事を…。君はここに居た方がいい、帰ったらまた何をされるか分からないから。俺が…その男の思い通りにはさせないよ─。』
「…あの森には、秘密の目印があるんです。あの方に力を貰った私は、決してあの森で迷う事はありません。」
「あの方って…一体誰だ!」
「それは、私だ。」
「あ、あなたは第二王子!?」
「彼女とは幼い頃、あの森で出会い仲良くなってね。実は…あそこは王家の所有する森で…俺にとっては死の森でなく、ただの庭のようなものだ。」
「あの時…森に迷い込み衰弱した私に、王子は魔力を分け与えて助けて下さったの。そしてそのおかげで、王家の者にしか見えない森の道標が、私にも見えるようになったのです。」
「そんな…!」
「俺は一目見て彼女を気に入ってね…いずれ自分の妃にしたいと思ったから、そうしたんだ。なのに、お前のような男と婚約してしまって─。一度は諦めたが…彼女が俺に救いを求めた以上、もう放っては置けない。よくも俺の大事な彼女を殺そうとしたな…お前たちには、罰を受けて貰わねば!」
「ど、どうかお許しを!」
「そんなの嫌よ…誰か助けて~!」
二人は必死に抵抗していたが…最後は駆けつけた兵によって捕らえられた─。
※※※
そして二人は、死の森へと連れて行かれた。
「魔力のないお前達には、森の矢印は全く見えない。だから、それこそ死ぬまでこの中でさ迷う事になるだろう。」
「私にした事が、自身に返って来ただけよ…自業自得だわ。」
兵に取り囲まれ、王子に剣を突き付けられ…そして冷たい目をした私に二人は怯え、泣きわめきながら森の中へ入って行った。
そして二人の姿を見たのは、その日が最後となった─。
その後、私は改めて王子に求愛される事となり、近く婚約が決まった。
あの人が私を捨てたのが、あの森で本当に良かった…。
おかげで私は、無事お城に辿り着き…王子に助けを求める事が出来たのだから。
婚約者によって、秘密が隠された森の中に捨てられた私は…結果こうして、幸せを掴む事が出来ました─。
そう言って、私を縛っていた縄を解いた婚約者。
彼は抵抗する私を、無理やり馬車から引きずり下ろした。
そして私に剣を付き付け、こう言い放った。
「殺されたくなければ、この森の中へ入れ。そして二度と戻って来るな。もし戻ったら…お前の家族の命はない。」
「…分かったわ。」
そして私は、深い森の奥へと足を進めた─。
婚約者によって、深い森の中に捨てられた私。
この森は、一度入ったら生きて出られないという「死の森」だ。
好きな女ができたからって、まさかここまでするなんて。
あの人…このまま私が死んだ事にして、婚約破棄するつもりね。
そしてその後は、愛人と結ばれようと─。
でも、私をここに捨てたのは、失敗だったわよ?
何故なら、ここはある秘密が隠されているのだから─。
※※※
「あの女、今頃はとっくに死んでいるだろうな。」
「ウフフ…いい案だったでしょ、あの森に置き去りにするのは。」
「ああ。下手に手を下せば、後々が面倒だからな…。こうして偽の手紙を用意した、あいつは男と逃げた事にする。」
「後は…あの女の財産が入ってこれば最高ね!」
「それは、追々…ほとぼりが冷めてからな。あいつの両親は人が良いから、娘が男と逃げたとあっては、俺に慰謝料としてあいつの財産を差し出すだろう。」
あの女とは、家同士の約束で婚約しただけ。
美人でも可愛くもないあいつに、俺は何の愛情も持って居ない。
そして…そんな俺の前に現れたのが、この彼女だった。
あいつとは全く正反対の、こんないい女を逃すものか。
その為には、あの女が邪魔だった。
だから、どうやってその存在を消そうか随分悩んだが…まさか、こうも上手くいくとは。
俺は、笑いが止まらなかった─。
ところが、事態は思わぬ方向へと動いた。
「…あなたたちの思い通りにはさせませんよ?」
「お前…生きてたのか!?」
「嘘…あそこは死の森よ。どうやってあの森から出たのよ!?」
「それは─。」
※※※
『…確か、この辺りに…あったわ!』
木には、魔力で矢印が描かれていた。
私は、矢印が差す方へと進んで行く。
あった、次は右…今度は─。
『…あなたの魔力のおかげで、私は命拾いしました。でもまさか…あの人が私を殺そうとするなんて…。』
『よくもそんな酷い事を…。君はここに居た方がいい、帰ったらまた何をされるか分からないから。俺が…その男の思い通りにはさせないよ─。』
「…あの森には、秘密の目印があるんです。あの方に力を貰った私は、決してあの森で迷う事はありません。」
「あの方って…一体誰だ!」
「それは、私だ。」
「あ、あなたは第二王子!?」
「彼女とは幼い頃、あの森で出会い仲良くなってね。実は…あそこは王家の所有する森で…俺にとっては死の森でなく、ただの庭のようなものだ。」
「あの時…森に迷い込み衰弱した私に、王子は魔力を分け与えて助けて下さったの。そしてそのおかげで、王家の者にしか見えない森の道標が、私にも見えるようになったのです。」
「そんな…!」
「俺は一目見て彼女を気に入ってね…いずれ自分の妃にしたいと思ったから、そうしたんだ。なのに、お前のような男と婚約してしまって─。一度は諦めたが…彼女が俺に救いを求めた以上、もう放っては置けない。よくも俺の大事な彼女を殺そうとしたな…お前たちには、罰を受けて貰わねば!」
「ど、どうかお許しを!」
「そんなの嫌よ…誰か助けて~!」
二人は必死に抵抗していたが…最後は駆けつけた兵によって捕らえられた─。
※※※
そして二人は、死の森へと連れて行かれた。
「魔力のないお前達には、森の矢印は全く見えない。だから、それこそ死ぬまでこの中でさ迷う事になるだろう。」
「私にした事が、自身に返って来ただけよ…自業自得だわ。」
兵に取り囲まれ、王子に剣を突き付けられ…そして冷たい目をした私に二人は怯え、泣きわめきながら森の中へ入って行った。
そして二人の姿を見たのは、その日が最後となった─。
その後、私は改めて王子に求愛される事となり、近く婚約が決まった。
あの人が私を捨てたのが、あの森で本当に良かった…。
おかげで私は、無事お城に辿り着き…王子に助けを求める事が出来たのだから。
婚約者によって、秘密が隠された森の中に捨てられた私は…結果こうして、幸せを掴む事が出来ました─。
190
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
四季
恋愛
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。
どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
婚約者と親友がやって来て「愛し合ってる」とか言ってきたうえ婚約破棄を宣言されてしまいました。が、父が復讐しました。
四季
恋愛
婚約者と親友がやって来て「愛し合ってる」とか言ってきたうえ婚約破棄を宣言されてしまいました。が、父が復讐しました。
お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。
四季
恋愛
お前は要らない、ですか。
そうですか、分かりました。
では私は去りますね。
私の婚約者を狙ってる令嬢から男をとっかえひっかえしてる売女と罵られました
ゆの
恋愛
「ユーリ様!!そこの女は色んな男をとっかえひっかえしてる売女ですのよ!!騙されないでくださいましっ!!」
国王の誕生日を祝う盛大なパーティの最中に、私の婚約者を狙ってる令嬢に思いっきり罵られました。
なにやら証拠があるようで…?
※投稿前に何度か読み直し、確認してはいるのですが誤字脱字がある場合がございます。その時は優しく教えて頂けると助かります(´˘`*)
※勢いで書き始めましたが。完結まで書き終えてあります。
「貴女、いい加減コンロコ様から離れてくださらないかしら」婚約者の幼馴染み女からそんなことを言われたのですが……?
四季
恋愛
「貴女、いい加減コンロコ様から離れてくださらないかしら」
婚約者の幼馴染み女からそんなことを言われたのですが……?
※一部修正しました。そのため、見づらい等ありましたらすみません。(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる