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何もかも捨てたら幸せになれました…私を不幸にする全ての者と縁を切り、本当に良かったです!
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「私…お姉様の婚約者が欲しいわ。お願よ…私、あの方が気に入ったの!」
私の義妹は…私の妹になった時から、私の持っているものを何でも欲しがった。
「お前…血が繋がってないからって、この子に意地悪しては駄目だぞ?」
「そうよ…私の娘を、もっと大事にして頂戴!」
すると、それを見ていたお父様と彼女の母が、横槍を入れて来た。
お父様は…この美しい親子にすっかり心を奪われ、実の私などもう愛してはくれない─。
そして、この継母は…毎日の様に私を虐めて来る、厭らしい女だ─。
「分かりました。私、この子に彼を譲ります。」
「ウフフ…始めから素直にそう言えばいいのよ─!」
※※※
「…という訳なので、あなたとは婚約破棄します。どうそ、この子を新しい婚約者にお迎え下さい。」
「俺は、一向に構わないぞ。見ての通り…お前の妹は、可愛からな。」
婚約者は、私の話をあっさりと受け入れ…それを見た義妹は、満面の笑みを浮かべた。
「私、お姉様の分まで幸せになりますから!」
「お前も、早く俺の様な良い男を見つける事だ。だが、おまえは地味でつまらん女だしなぁ。」
喜ぶ妹と、私を見下す婚約者だが…そんなふうにしてられるのも、今の内よ。
だって、彼はもうすぐ…。
それに、そうなったら義妹だって…。
まぁ…あなたたちがどうなろうと、私は一向に構わないけれど─。
※※※
それから少しして…義妹が息を切らせ、家に駆け込んで来た。
「お姉様…彼が、憲兵に捕まってしまったわ!彼を犯罪者だと言って、連れて行ってしまったんです!しかも、私まで仲間ではないかと疑われ…。私、隙を見て逃げ出して来たのよ!?」
「とうとう、その時が来たのね。」
「え…。」
「あの人…お金持ちで有名だったでしょう?でも私、ある時その秘密に気付いてしまった。彼はね、家の地下で偽のお金を作って居たのよ。それを知った私は、いつこの事を憲兵に知らせようかと考えた。だって…自分が婚約者で居る間に、それが発覚したら…私まで巻き込まれかねないしね。」
「だ、だから…私に彼を譲ってくれたって言うの!?」
「そうよ…。欲しがりなあなたが、彼を譲って欲しいと強請った時、これはチャンスだと思った。」
「な、何でそんな…!?私がお姉様に代わり、酷い目に遭うじゃない!」
「私ね、彼ともお別れしたかったけれど…欲深なあなたともお別れしたかったの。あなた達がくっ付けば、二人まとめて私の前から消えてくれると思ってね。」
そう…これはある意味、復讐だった。
彼は偽のお金を作り、それを女にばら撒き…常に数人の愛人が居た事に、私は気付いていた。
そして義妹は、私から何でも奪って行く癖に…すぐに飽きてしまう身勝手な女だ。
彼女が、亡きお母様のドレスや装飾品を私から無理やり奪って行き…その後すぐ、飽きて処分してしまったと言う話を聞いた時から、私は彼女が許せず…このろくでなしの二人を、必ず捨ててやると誓ったのだ─。
「あなた、彼から貰ったお金を使い、散々豪遊していたでしょう?偽金を使ってしまったのなら…あなたにも罪があるんじゃない?それに…あなたは彼に、もっとお金が欲しい強請っていたじゃない。彼がより一層偽金作りに励むようになったのは、あなたのその言葉のせいよ。」
「そ、そんなぁ…。」
「欲深なその性格が、とうとう災いを招いてしまったみたいね─。」
やがて、妹を追いかけて来た憲兵が彼女を捕え…彼女はすぐに連れて行かれてしまった。
そして、私の証言もあり…義妹は彼同様、牢の中へ入れられてしまった。
その後、漸く牢から出て来た義妹だったが…まるで、廃人同然になってしまった。
話す事も出来なくなった為、今までのように何も強請る事もなければ…生意気な口を利く事も無い。
そんなふうにおかしくなってしまった義妹を、父はすっかり毛嫌いし…こんな事になったのは、母親の躾が悪かったからと言って、二人を家から追い出してしまった。
そして、手のひらを返したように、私を可愛がろうとしてきたが…私は、それを拒否した。
この時の私は、もうこの家を出て行く事が決まって居たからだ。
だって…この家は彼から支援金を貰って居たでしょう?
その中には、あの偽金もあった。
もうすぐそれがハッキリし、この父も捕らえられるでしょうから─。
そうなったら、この家はもうお終いだもの。
でも、私はそれで一向に構わない。
それに私は、この件では絶対に捕まらない。
だって私は、母の残してくれたお金で、生活をして居たから─。
父は、義妹やその母親には好きなだけお金を使っていたが…私には、母の残したお金で生活しろと言って、私を育てる事を放棄して居たんだもの。
そして私は、あの男と婚約するまでも…そして婚約してからも、ずっとそうやって暮らして居た。
だから、偽金とは一切関係ないわ。
母の遺産はまだ十分残って居るし…私には、新しく事業を始める計画がある。
これには、支援してくれる協力者が居るから…何の不安も無いわ。
そしてその協力者というのは、私の幼馴染だった。
私が、この家で酷い目に遭っている事…更に、婚約者が犯罪者だった事を相談したら、私が自立できるよう、色々と手を貸してくれたのだ。
そして今では…公私共に、彼は私にとって無くてはならない大切な存在となった。
私は、引き留める父を無視し…彼の待つ馬車へと向かった。
そしてその後、私の想像した通り父は捕らえられ…誰も居なくなったあの家は潰れたわ。
この頃には事業を成功させ、幼馴染と婚約して居た私には…もう、関係ない事だったけれどね─。
私の義妹は…私の妹になった時から、私の持っているものを何でも欲しがった。
「お前…血が繋がってないからって、この子に意地悪しては駄目だぞ?」
「そうよ…私の娘を、もっと大事にして頂戴!」
すると、それを見ていたお父様と彼女の母が、横槍を入れて来た。
お父様は…この美しい親子にすっかり心を奪われ、実の私などもう愛してはくれない─。
そして、この継母は…毎日の様に私を虐めて来る、厭らしい女だ─。
「分かりました。私、この子に彼を譲ります。」
「ウフフ…始めから素直にそう言えばいいのよ─!」
※※※
「…という訳なので、あなたとは婚約破棄します。どうそ、この子を新しい婚約者にお迎え下さい。」
「俺は、一向に構わないぞ。見ての通り…お前の妹は、可愛からな。」
婚約者は、私の話をあっさりと受け入れ…それを見た義妹は、満面の笑みを浮かべた。
「私、お姉様の分まで幸せになりますから!」
「お前も、早く俺の様な良い男を見つける事だ。だが、おまえは地味でつまらん女だしなぁ。」
喜ぶ妹と、私を見下す婚約者だが…そんなふうにしてられるのも、今の内よ。
だって、彼はもうすぐ…。
それに、そうなったら義妹だって…。
まぁ…あなたたちがどうなろうと、私は一向に構わないけれど─。
※※※
それから少しして…義妹が息を切らせ、家に駆け込んで来た。
「お姉様…彼が、憲兵に捕まってしまったわ!彼を犯罪者だと言って、連れて行ってしまったんです!しかも、私まで仲間ではないかと疑われ…。私、隙を見て逃げ出して来たのよ!?」
「とうとう、その時が来たのね。」
「え…。」
「あの人…お金持ちで有名だったでしょう?でも私、ある時その秘密に気付いてしまった。彼はね、家の地下で偽のお金を作って居たのよ。それを知った私は、いつこの事を憲兵に知らせようかと考えた。だって…自分が婚約者で居る間に、それが発覚したら…私まで巻き込まれかねないしね。」
「だ、だから…私に彼を譲ってくれたって言うの!?」
「そうよ…。欲しがりなあなたが、彼を譲って欲しいと強請った時、これはチャンスだと思った。」
「な、何でそんな…!?私がお姉様に代わり、酷い目に遭うじゃない!」
「私ね、彼ともお別れしたかったけれど…欲深なあなたともお別れしたかったの。あなた達がくっ付けば、二人まとめて私の前から消えてくれると思ってね。」
そう…これはある意味、復讐だった。
彼は偽のお金を作り、それを女にばら撒き…常に数人の愛人が居た事に、私は気付いていた。
そして義妹は、私から何でも奪って行く癖に…すぐに飽きてしまう身勝手な女だ。
彼女が、亡きお母様のドレスや装飾品を私から無理やり奪って行き…その後すぐ、飽きて処分してしまったと言う話を聞いた時から、私は彼女が許せず…このろくでなしの二人を、必ず捨ててやると誓ったのだ─。
「あなた、彼から貰ったお金を使い、散々豪遊していたでしょう?偽金を使ってしまったのなら…あなたにも罪があるんじゃない?それに…あなたは彼に、もっとお金が欲しい強請っていたじゃない。彼がより一層偽金作りに励むようになったのは、あなたのその言葉のせいよ。」
「そ、そんなぁ…。」
「欲深なその性格が、とうとう災いを招いてしまったみたいね─。」
やがて、妹を追いかけて来た憲兵が彼女を捕え…彼女はすぐに連れて行かれてしまった。
そして、私の証言もあり…義妹は彼同様、牢の中へ入れられてしまった。
その後、漸く牢から出て来た義妹だったが…まるで、廃人同然になってしまった。
話す事も出来なくなった為、今までのように何も強請る事もなければ…生意気な口を利く事も無い。
そんなふうにおかしくなってしまった義妹を、父はすっかり毛嫌いし…こんな事になったのは、母親の躾が悪かったからと言って、二人を家から追い出してしまった。
そして、手のひらを返したように、私を可愛がろうとしてきたが…私は、それを拒否した。
この時の私は、もうこの家を出て行く事が決まって居たからだ。
だって…この家は彼から支援金を貰って居たでしょう?
その中には、あの偽金もあった。
もうすぐそれがハッキリし、この父も捕らえられるでしょうから─。
そうなったら、この家はもうお終いだもの。
でも、私はそれで一向に構わない。
それに私は、この件では絶対に捕まらない。
だって私は、母の残してくれたお金で、生活をして居たから─。
父は、義妹やその母親には好きなだけお金を使っていたが…私には、母の残したお金で生活しろと言って、私を育てる事を放棄して居たんだもの。
そして私は、あの男と婚約するまでも…そして婚約してからも、ずっとそうやって暮らして居た。
だから、偽金とは一切関係ないわ。
母の遺産はまだ十分残って居るし…私には、新しく事業を始める計画がある。
これには、支援してくれる協力者が居るから…何の不安も無いわ。
そしてその協力者というのは、私の幼馴染だった。
私が、この家で酷い目に遭っている事…更に、婚約者が犯罪者だった事を相談したら、私が自立できるよう、色々と手を貸してくれたのだ。
そして今では…公私共に、彼は私にとって無くてはならない大切な存在となった。
私は、引き留める父を無視し…彼の待つ馬車へと向かった。
そしてその後、私の想像した通り父は捕らえられ…誰も居なくなったあの家は潰れたわ。
この頃には事業を成功させ、幼馴染と婚約して居た私には…もう、関係ない事だったけれどね─。
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