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婚約者には既に美しい妻が居た…私を騙そうとした愚か者たちには、天罰が下りました。
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最近になり、婚約者が家を留守にする事が多くなった。
近く大きな仕事がありその準備の為だと言うが、私にはそうは思えない。
それにはちゃんと理由がある…一度、彼と話をしなければ。
そう思っていた矢先、私はある事に気付いた。
それは、ある小屋の前を通りかかった時だ。
そこに居る美しい女を見て、私はそれを感じ取った─。
そして家に帰ると、彼に尋ねた。
「森の中にある小屋。あそこに住んでる方に、あなたお会いした事がある?」
「…いや。猟の最中に雨に降られ、軒先を貸して貰った事があるだけだ。」
「そう…。」
だったらどうしてあなたからも、同じ気配がするのかしら?
私の大切な場所、そこに住む神の気配が─。
※※※
「…それであの女、俺が君に会ってないかと聞くんだ。」
すると目の前の女は、クスクスと笑った。
「会うも何も…ここが本当のあなたの居場所なのにねぇ?あの女はあなたの婚約者だけど…でもあなたには、もう私という美人の妻が居るのに。」
「そうだな。俺はずっと前に君を妻に迎えたが…その事を周りに咎められ、君とこの地へ逃げて来た。でも、生活が苦しくて…君をこの森に住まわせ、働きに出たが…。」
「空腹で行き倒れになりそうな所を、あの女が助けてくれたんでしょう?」
「見た所、品があって清楚で…これは中々良い獲物だと思ってな。それで独身の振りをして粉をかけてみたら、すぐに騙されたよ。」
そうして俺は、あれから彼女の家に住み、彼女の世話になって居るが…昼間の彼女が居なくなる時間は、この愛する妻の元に戻り過ごしているのだ。
「昼間の決まった時間居なくなるって…どうせその女も、あなたに隠れ浮気をしてるのよ。それならお互い様よ、こっちはこっちで楽しみましょう?」
そして俺たちは、夫婦の営みを楽しんだ。
その後日も落ちた頃…ベッドから起き上がった俺は、傍にあった水差しの水を口にした。
そして、自分も欲しいと言う妻にも飲ませてやった。
するとその瞬間、妻が呻き声を上げ顔を抑えた。
「どうした、大丈夫か!?」
「え、えぇ…。何だか急に、顔が痛くなって─」
そして顔を上げた妻だが…そこには、あの美しい妻はもう居なかった。
そこに居たのは、まるで豚の顔をした女だった。
俺は余りの恐ろしさに叫び声を上げ小屋を飛び出し、一目散にあの女が待つであろう家に戻った─。
※※※
「あら…そんなに息を切らしてどうしたんです?」
俺は、まさか妻が醜くなったとは言えず、フルフルと首を振るだけだった。
しかしその瞬間、俺の顔にも痛みが走り…俺はその場に崩れ落ちた。
「まぁ、大変。顔が真っ青です。というか…青い痣が出来てしまってますね。これじゃあ、せっかくの美形が台無し…あなたの奥様と同じね。」
その言葉に、俺はビクリと体を震わせた。
「ど、どうして、俺の妻の事…?」
「あなたには言ってなかったのですが…私は最近になり、あの森にある泉を守る巫女を任されましてね。毎日昼間の決まった時間、泉に祈りを捧げる事になったのです。するとある日、泉の神が現れ…あなたの真実を教えてくれたのです。そして、あなたがあの女…奥様と会い、何をしているかまで、泉に映し見せて下さいました。」
「え!?」
「私だけを愛していると言ったのに…あなたは私を騙していたんですね。真実を知り涙する私に、泉の神は仰いました。私の大事な巫女を騙し傷つけた者は許さない…必ず罰を与えよう、と─。だから、あなたたちの顔がそんなふうに醜くなったのは天罰です。」
「そんな…。」
「あなたたちが飲んだあの水…実はあれは、あの泉の水だったんです。あなたの奥様は、毎日あの泉に水を汲みに行ってましたから。」
「…こんな事になるなら、飲まなければ良かった─!」
「あなたたちの顔は、もう二度と元には戻りません。そして、一刻も早くこの地から出て行かなければ、あなたの顔の痣は全身に広がるし…奥様は豚そのものになります。」
「な、何だって!?」
私の言葉に、彼は慌てて飛び上がり家を飛び出して行った─。
※※※
その後、この地で全身が青黒い色に染まった不気味な男が、豚に首輪をし歩いていたと噂が立った。
そして彼らはそのまま悪い男たちに掴まり…最終的には、見世物小屋に売られてしまったと言う。
私はこの話を聞いた時、すぐにあの二人だと思った。
あぁ…きっと間に合わなかったのね。
「神よ…私を騙した悪しき者達は、あなたのおかげで罰を受けました。私はあなたに感謝し、これからもあなたに祈りを捧げます。」
すると、その瞬間泉の表面がユラリと揺れ…そこには私と、見知らぬ男性が映った。
二人は共に笑顔で寄り添い、私の家で仲良く過ごして居るようだった。
これは…きっと私に、やがて素敵な出会いが訪れるという、泉の神からのメッセージだろう。
私は明るい未来の訪れを期待し、胸を躍らせた─。
近く大きな仕事がありその準備の為だと言うが、私にはそうは思えない。
それにはちゃんと理由がある…一度、彼と話をしなければ。
そう思っていた矢先、私はある事に気付いた。
それは、ある小屋の前を通りかかった時だ。
そこに居る美しい女を見て、私はそれを感じ取った─。
そして家に帰ると、彼に尋ねた。
「森の中にある小屋。あそこに住んでる方に、あなたお会いした事がある?」
「…いや。猟の最中に雨に降られ、軒先を貸して貰った事があるだけだ。」
「そう…。」
だったらどうしてあなたからも、同じ気配がするのかしら?
私の大切な場所、そこに住む神の気配が─。
※※※
「…それであの女、俺が君に会ってないかと聞くんだ。」
すると目の前の女は、クスクスと笑った。
「会うも何も…ここが本当のあなたの居場所なのにねぇ?あの女はあなたの婚約者だけど…でもあなたには、もう私という美人の妻が居るのに。」
「そうだな。俺はずっと前に君を妻に迎えたが…その事を周りに咎められ、君とこの地へ逃げて来た。でも、生活が苦しくて…君をこの森に住まわせ、働きに出たが…。」
「空腹で行き倒れになりそうな所を、あの女が助けてくれたんでしょう?」
「見た所、品があって清楚で…これは中々良い獲物だと思ってな。それで独身の振りをして粉をかけてみたら、すぐに騙されたよ。」
そうして俺は、あれから彼女の家に住み、彼女の世話になって居るが…昼間の彼女が居なくなる時間は、この愛する妻の元に戻り過ごしているのだ。
「昼間の決まった時間居なくなるって…どうせその女も、あなたに隠れ浮気をしてるのよ。それならお互い様よ、こっちはこっちで楽しみましょう?」
そして俺たちは、夫婦の営みを楽しんだ。
その後日も落ちた頃…ベッドから起き上がった俺は、傍にあった水差しの水を口にした。
そして、自分も欲しいと言う妻にも飲ませてやった。
するとその瞬間、妻が呻き声を上げ顔を抑えた。
「どうした、大丈夫か!?」
「え、えぇ…。何だか急に、顔が痛くなって─」
そして顔を上げた妻だが…そこには、あの美しい妻はもう居なかった。
そこに居たのは、まるで豚の顔をした女だった。
俺は余りの恐ろしさに叫び声を上げ小屋を飛び出し、一目散にあの女が待つであろう家に戻った─。
※※※
「あら…そんなに息を切らしてどうしたんです?」
俺は、まさか妻が醜くなったとは言えず、フルフルと首を振るだけだった。
しかしその瞬間、俺の顔にも痛みが走り…俺はその場に崩れ落ちた。
「まぁ、大変。顔が真っ青です。というか…青い痣が出来てしまってますね。これじゃあ、せっかくの美形が台無し…あなたの奥様と同じね。」
その言葉に、俺はビクリと体を震わせた。
「ど、どうして、俺の妻の事…?」
「あなたには言ってなかったのですが…私は最近になり、あの森にある泉を守る巫女を任されましてね。毎日昼間の決まった時間、泉に祈りを捧げる事になったのです。するとある日、泉の神が現れ…あなたの真実を教えてくれたのです。そして、あなたがあの女…奥様と会い、何をしているかまで、泉に映し見せて下さいました。」
「え!?」
「私だけを愛していると言ったのに…あなたは私を騙していたんですね。真実を知り涙する私に、泉の神は仰いました。私の大事な巫女を騙し傷つけた者は許さない…必ず罰を与えよう、と─。だから、あなたたちの顔がそんなふうに醜くなったのは天罰です。」
「そんな…。」
「あなたたちが飲んだあの水…実はあれは、あの泉の水だったんです。あなたの奥様は、毎日あの泉に水を汲みに行ってましたから。」
「…こんな事になるなら、飲まなければ良かった─!」
「あなたたちの顔は、もう二度と元には戻りません。そして、一刻も早くこの地から出て行かなければ、あなたの顔の痣は全身に広がるし…奥様は豚そのものになります。」
「な、何だって!?」
私の言葉に、彼は慌てて飛び上がり家を飛び出して行った─。
※※※
その後、この地で全身が青黒い色に染まった不気味な男が、豚に首輪をし歩いていたと噂が立った。
そして彼らはそのまま悪い男たちに掴まり…最終的には、見世物小屋に売られてしまったと言う。
私はこの話を聞いた時、すぐにあの二人だと思った。
あぁ…きっと間に合わなかったのね。
「神よ…私を騙した悪しき者達は、あなたのおかげで罰を受けました。私はあなたに感謝し、これからもあなたに祈りを捧げます。」
すると、その瞬間泉の表面がユラリと揺れ…そこには私と、見知らぬ男性が映った。
二人は共に笑顔で寄り添い、私の家で仲良く過ごして居るようだった。
これは…きっと私に、やがて素敵な出会いが訪れるという、泉の神からのメッセージだろう。
私は明るい未来の訪れを期待し、胸を躍らせた─。
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