1 / 1
野心家な王は平和を愛する私を捨て義姉を選びましたが…そのせいで破滅してしまいました。
しおりを挟む
「平和な世など…実につまらん。」
「お言葉ですが王様…それは、とても尊い事なのです。」
「フン、生温い事を!俺は、もっとこの国を大きくしたい。隣国は資源豊かな国と聞く。その土地が手に入れば、この国はもっと良くなるのに…。」
彼は、昔から野心家なところがあった。
だからこそ、平和を愛する聖女の私が、彼の妃候補に選ばれたのだ。
人々を虐げる乱暴で無道な…どうか、そんな暴君にだけはならないで欲しい─。
※※※
それが今から数ヶ月ほど前の事。
今、私は王によって聖女の座を剥奪、この国を追い出されようとしていた。
「もはや祈るだけの女は不要。これからは、この者に任せる!」
王子の横で微笑む娘、彼女は…何と私の義姉だった。
だとしたら、彼女の力はとても危険だわ─!
「私もあなた同様、聖女の力に目覚めたの。だから、王の野望が叶うように、私が力をお貸しします!」
「彼女は、俺の望みを何でも叶えてくれると言った。だから俺は彼女を引き連れ、隣国に戦いを挑む。」
「その戦いが終わったら、王は私を妃にしてくれるそうよ?」
「お待ち下さい、義姉は危険な存在で─」
「うるさい!お前のような平和ボケした聖女は、もう要らないんだ…さっさと消えろ!」
…あなたの欲望とその娘の力は、きっと破滅を呼ぶわ。
この先、どうなっても知りませんからね─。
※※※
「まずは金だ。武器を買うには金が要る。」
「すぐに用意致します。」
そして彼女の言う通り、一晩で大金が用意された。
「ならば次は兵だ!そうだな…多少の事では傷つかない頑丈な兵が欲しい、できるか?」
「ええ、簡単ですよ。」
そして彼女が祈った次の日には、数万の兵が用意されていた。
大量の武器も手に入ったし、これだけの兵が居れば隣国なんてすぐに攻め落とせる。
隣国が全て俺の物になったら、この大陸の侵略もあっという間だ。
「いよいよ明日、隣国に攻め入る─。」
そして、意気揚々と隣国へ向かおうとしたのだが…俺たちは、何故か自国に足止めされていた。
何と、俺の国を謎の結界が包み込み…今まさに、俺たちごと封印されようとしていたのだ。
「どういう事だ、何故俺の国がこんな事になる!?お前、何とかしろ!」
「これは…私には、どうする事も。」
「俺の望みを、何でも叶えてくれるんだろう?」
「じ、実は私…聖女ではなく、ただの黒魔術師なのです。対黒魔術ならまだしも、こんな強い聖なる力には、とても対抗できません!」
「お前…俺を騙したんだな!?」
その時、どこからともなく声が響いてきた─。
「王よ、あなたはもう他国へ攻め入る事は出来ません。私が結界で、あなたを苦の事封じ込めましたから。ただし…あなたがその野心を捨て、他国と歩み寄り生きて行こうとした時、この結界は開かれるでしょう。そうでない限り、あなたとその女は閉じ込められたままです。」
「この声は…元聖女か─!」
※※※
「…そうです。私はとある平和な国から、あなたたちの行いを見ていました。あなたの国の民は、平和を守る聖女の私がこの国を去ったことを恐れ、そのほとんどが他国へ逃れました。そこに残っているのは、あなたとその女と兵です。もっとも、金や兵は彼女が黒魔術で生み出したまやかしにすぎない。この聖なる結界の前では、じきに消えてなくなります。」
「じゃあ、俺の野望はどうなる!?」
「そんなもの、この私が絶対に叶えさせませんよ。そしてあなたは、私を捨て義姉を選んだ事で、自ら破滅の道を歩むのよ。」
「…お前、こんな事してタダで済むと思うなよ!?」
「お願い、私をここから出して~!」
二人はギャーギャーと喚いていたが、祭壇の光が消えたと同時に、その声は聞こえなくなった。
「終わったかい?」
「はい、王様。」
「良かったよ…これで無駄な争いを無くす事ができた。」
そう言って微笑むのは、今私が仕えている国の王だ。
この方は一切の争いを望まず、穏やかで優しい方だった。
あの国の王は、彼の事を腰抜けだと罵っていたが…皆が求めているのは、こういう王なのよ。
「彼は、改心してくれるだろうか?」
「…そうなってくれるよう、祈るだけです。」
「でもこれで、君の心を悩ませていた問題は片付いた。どうだろう…この前の返事をくれるかい?」
私は少し前に、彼に求婚されていた。
ただ前の国の事が気になって、王の動向がはっきりするまで返事を保留にしていたのだ。
でもこれで、漸く私は自身の未来に目を向る事ができる─。
「私はこの国に来て、あなたの人柄にとても惹かれました。あなたと一緒なら、きっと穏やかで平和な国を…そして世界を築けるでしょう。どうぞ、私をあなたのものに─。
私は彼の腕に抱かれながら…結界に閉じ込められたままの王と義姉に、心の中で静かに別れを告げた─。
「お言葉ですが王様…それは、とても尊い事なのです。」
「フン、生温い事を!俺は、もっとこの国を大きくしたい。隣国は資源豊かな国と聞く。その土地が手に入れば、この国はもっと良くなるのに…。」
彼は、昔から野心家なところがあった。
だからこそ、平和を愛する聖女の私が、彼の妃候補に選ばれたのだ。
人々を虐げる乱暴で無道な…どうか、そんな暴君にだけはならないで欲しい─。
※※※
それが今から数ヶ月ほど前の事。
今、私は王によって聖女の座を剥奪、この国を追い出されようとしていた。
「もはや祈るだけの女は不要。これからは、この者に任せる!」
王子の横で微笑む娘、彼女は…何と私の義姉だった。
だとしたら、彼女の力はとても危険だわ─!
「私もあなた同様、聖女の力に目覚めたの。だから、王の野望が叶うように、私が力をお貸しします!」
「彼女は、俺の望みを何でも叶えてくれると言った。だから俺は彼女を引き連れ、隣国に戦いを挑む。」
「その戦いが終わったら、王は私を妃にしてくれるそうよ?」
「お待ち下さい、義姉は危険な存在で─」
「うるさい!お前のような平和ボケした聖女は、もう要らないんだ…さっさと消えろ!」
…あなたの欲望とその娘の力は、きっと破滅を呼ぶわ。
この先、どうなっても知りませんからね─。
※※※
「まずは金だ。武器を買うには金が要る。」
「すぐに用意致します。」
そして彼女の言う通り、一晩で大金が用意された。
「ならば次は兵だ!そうだな…多少の事では傷つかない頑丈な兵が欲しい、できるか?」
「ええ、簡単ですよ。」
そして彼女が祈った次の日には、数万の兵が用意されていた。
大量の武器も手に入ったし、これだけの兵が居れば隣国なんてすぐに攻め落とせる。
隣国が全て俺の物になったら、この大陸の侵略もあっという間だ。
「いよいよ明日、隣国に攻め入る─。」
そして、意気揚々と隣国へ向かおうとしたのだが…俺たちは、何故か自国に足止めされていた。
何と、俺の国を謎の結界が包み込み…今まさに、俺たちごと封印されようとしていたのだ。
「どういう事だ、何故俺の国がこんな事になる!?お前、何とかしろ!」
「これは…私には、どうする事も。」
「俺の望みを、何でも叶えてくれるんだろう?」
「じ、実は私…聖女ではなく、ただの黒魔術師なのです。対黒魔術ならまだしも、こんな強い聖なる力には、とても対抗できません!」
「お前…俺を騙したんだな!?」
その時、どこからともなく声が響いてきた─。
「王よ、あなたはもう他国へ攻め入る事は出来ません。私が結界で、あなたを苦の事封じ込めましたから。ただし…あなたがその野心を捨て、他国と歩み寄り生きて行こうとした時、この結界は開かれるでしょう。そうでない限り、あなたとその女は閉じ込められたままです。」
「この声は…元聖女か─!」
※※※
「…そうです。私はとある平和な国から、あなたたちの行いを見ていました。あなたの国の民は、平和を守る聖女の私がこの国を去ったことを恐れ、そのほとんどが他国へ逃れました。そこに残っているのは、あなたとその女と兵です。もっとも、金や兵は彼女が黒魔術で生み出したまやかしにすぎない。この聖なる結界の前では、じきに消えてなくなります。」
「じゃあ、俺の野望はどうなる!?」
「そんなもの、この私が絶対に叶えさせませんよ。そしてあなたは、私を捨て義姉を選んだ事で、自ら破滅の道を歩むのよ。」
「…お前、こんな事してタダで済むと思うなよ!?」
「お願い、私をここから出して~!」
二人はギャーギャーと喚いていたが、祭壇の光が消えたと同時に、その声は聞こえなくなった。
「終わったかい?」
「はい、王様。」
「良かったよ…これで無駄な争いを無くす事ができた。」
そう言って微笑むのは、今私が仕えている国の王だ。
この方は一切の争いを望まず、穏やかで優しい方だった。
あの国の王は、彼の事を腰抜けだと罵っていたが…皆が求めているのは、こういう王なのよ。
「彼は、改心してくれるだろうか?」
「…そうなってくれるよう、祈るだけです。」
「でもこれで、君の心を悩ませていた問題は片付いた。どうだろう…この前の返事をくれるかい?」
私は少し前に、彼に求婚されていた。
ただ前の国の事が気になって、王の動向がはっきりするまで返事を保留にしていたのだ。
でもこれで、漸く私は自身の未来に目を向る事ができる─。
「私はこの国に来て、あなたの人柄にとても惹かれました。あなたと一緒なら、きっと穏やかで平和な国を…そして世界を築けるでしょう。どうぞ、私をあなたのものに─。
私は彼の腕に抱かれながら…結界に閉じ込められたままの王と義姉に、心の中で静かに別れを告げた─。
58
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
あなたが「いらない」と言った私ですが、溺愛される妻になりました
有賀冬馬
恋愛
「君みたいな女は、俺の隣にいる価値がない!」冷酷な元婚約者に突き放され、すべてを失った私。
けれど、旅の途中で出会った辺境伯エリオット様は、私の凍った心をゆっくりと溶かしてくれた。
彼の領地で、私は初めて「必要とされる」喜びを知り、やがて彼の妻として迎えられる。
一方、王都では元婚約者の不実が暴かれ、彼の破滅への道が始まる。
かつて私を軽んじた彼が、今、私に助けを求めてくるけれど、もう私の目に映るのはあなたじゃない。
力を失くした無能聖女だと王に捨てられましたが…その後、彼は破滅の道を辿りました。
coco
恋愛
失敗続きの私は、王に無能聖女と罵られ、城から追放された。
でもその結果、彼は破滅の道を辿る事となった─。
冬薔薇の謀りごと
ono
恋愛
シャルロッテは婚約者である王太子サイモンから謝罪を受ける。
サイモンは平民のパン職人の娘ミーテと恋に落ち、シャルロッテとの婚約破棄を望んだのだった。
そしてシャルロッテは彼の話を聞いて「誰も傷つかない完璧な婚約破棄」を実現するために協力を申し出る。
冷徹で有能なジェレミア公爵やミーテも巻き込み、それぞれが幸せを掴むまで。
ざまぁ・断罪はありません。すっきりハッピーエンドです。
乙女ゲームのヒロインが純潔を重んじる聖女とか終わってません?
ララ
恋愛
私は侯爵令嬢のフレイヤ。
前世の記憶を持っている。
その記憶によるとどうやら私の生きるこの世界は乙女ゲームの世界らしい。
乙女ゲームのヒロインは聖女でさまざまな困難を乗り越えながら攻略対象と絆を深め愛し合っていくらしい。
最後には大勢から祝福を受けて結婚するハッピーエンドが待っている。
子宝にも恵まれて平民出身のヒロインが王子と身分差の恋に落ち、その恋がみのるシンデレラストーリーだ。
そして私はそんな2人を邪魔する悪役令嬢。
途中でヒロインに嫉妬に狂い危害を加えようとした罪により断罪される。
今日は断罪の日。
けれど私はヒロインに危害を加えようとしたことなんてない。
それなのに断罪は始まった。
まあそれは別にいいとして‥‥。
現実を見ましょう?
聖女たる資格は純潔無垢。
つまり恋愛はもちろん結婚なんてできないのよ?
むしろそんなことしたら資格は失われる。
ただの容姿のいい平民になるのよ?
誰も気づいていないみたいだけど‥‥。
うん、よく考えたらこの乙女ゲームの設定終わってません??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる