欲深な妹に自身の婚約者を奪われ、彼女が嫌っていた婚約者を譲り受ける事になりました。

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欲深な妹に自身の婚約者を奪われ、彼女が嫌っていた婚約者を譲り受ける事になりました。

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「…また?」

「だって…どうしても彼が欲しいの!」

 欲深な妹が今回欲しがったのは…私の婚約者だった。
 
 この子は、昔から人の物を何でも欲しがった。
 特に…姉の私には、その傾向が強かった。
 
 彼女は…お姉様の物は私の物、そしてそれが当たり前という、謎の理論を持って居た。

 しかも両親がそれを咎めず、妹の言う事を聞き何でも与えて来た事も、良くない拍車をかけてしまったようだ。

「ねぇ、いいでしょう?代わりに、私の婚約者をあげるから。」

「…あなたの?」

「そうよ。私、あんなの要らないから。」

 あんなのって…あなたの婚約者は、あなたを溺愛する両親がせっかく見つけてきた素晴らしいお相手なのに─。

 それから数日後─。

「お姉様、婚約者をくれるって本当?」

「そうよ。でも…これで最後よ。あなたには、もう何もあげないから。」

「な、何で…?」

「私、何もかも捨てるから。あなたがくれた、この方さえいればそれで良いの。」

「変なお姉様…こんな不細工な男の、どこがいいんだか。分かったわ、約束する。だって、あんなに美形の婚約者を譲ってくれたんだもの。」

 そう言って、妹は満足した様子で部屋を出て行った。

 私は、妹がこんなと言った男を見た。
 
「このまま私が、あなたを貰ってしまう事…あなたは許して下さる?」

 私の言葉に、まだ彼からの返事はない─。

※※※

「これであいつとはお別れだな。俺は婚約するなら君が良かったから、凄く嬉しいよ。」 

「お姉様にはね、代わりに私の婚約者をあげたの。」

「ああ、あれか。」

「あんまり不細工すぎて、私には不釣り合いだもの。それに…あんな状態じゃあね。」

「確かにな。まぁ、あんな男の事など忘れ、俺と幸せになろう─。」

 そして今日は、私と彼の婚約パーティーだ。

 お姉様も招待したけど、忙しいからと断られた。

「自分が惨めになるから来られないだけだ、気にするな。」

「そうよね。」

 その時、会場に憲兵たちが押しかけて来た。

「王家から、お前たちを捕えろとの命が下っている、大人しくしろ!」

「な、何だ急に!俺たちが何をしたって言うんだ!?」

「お前たち、第三王子様に不敬を働いただろう!?」

「…は?王子って…一体何の事?」

「あなたが不細工だと言っていたぶった、婚約者の眠れる男。彼は、この国の第三王子だったのよ。」

「お姉様…嘘言わないでよ!」

「嘘ではありません。彼はある魔術師に術を掛けられ…顔を醜くされた上に、深い眠りにつく事になった。でも…真実の愛に出会ったら、その術が解け目覚めるはずだった。なのに、あなたは彼を不細工だと言って嫌い…眠っている彼に、酷いいたずらや嫌がらせをした。その男と一緒になってね。」

「そ、それは…。」

 妹と元婚約者は、真っ青になり震えている。

 そんな二人の前に、その第三王子が現れた。

「嘘…すごく素敵なお顔…!」

「眠っている間の事、ちゃんと見えて居たぞ。お前たちにいたぶられる度、俺は彼女の手厚い看護を受け…その彼女の純粋な愛が、俺の術を解いてくれたんだ。彼女には、本当に感謝している。」

「だから王子は、私を自身の婚約者にし…いずれ妃に迎えると仰って下さったの。」

「そんな…!お姉様、私に王子を譲ってよ…王子が欲しいの!」

「嫌よ。あなたには、もう何もあげないと言ったでしょう?王子はあげられないけれど…でも、罰なら喜んであげる。私…あなたのような欲深な妹は、もう要らないから。」

「俺もお前など要らない。俺が欲しいのは…この彼女だけだ。さぁ、この二人を捕えよ─!」

※※※

 二人は捕らえられ、暫くの間牢に入れられた。
 そしてその後牢から出された二人は、奴隷として売られる事となった。

 王子をいたぶってきた自分たちが、今度はそうされる立場になるのだ…まさに、自業自得ね。

 一方私は、二人を捨て、両親を捨て、家を捨て…王子の元へ嫁ぐ事に─。

 あの時…私に看病され、目覚めた王子はこう言った。

『君が俺に、真実の愛をくれたんだ。だから、俺も君に真実の愛を捧げよう。どうか…もう悲しい顔をしないでくれ。』

 涙を流し看病する私を見て、王子はそう言ってくれた。
 だから私は、こうして全てを捨てる決心がついたのだ。

「どうした…以前の暮らしが、懐かしいのか?」

「まさか。あなたが、初めて言葉をくれた時の事を思い出していたのです。私はあの時から決めてました。この先私の愛は、あなただけに捧げる…あなたさえいればそれでいいと。」

 私の言葉に、彼は優しく微笑み…私を抱き締めると、熱いキスをくれた─。
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