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姫である私に成り代わろうとする悪女のせいで、危機に陥りましたが…彼の愛に救われました。
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「姫の癖に、何の力も持たないなんて…無能は要らないわ!」
お父様にお母様、そしてお兄様や城の皆も、誰も私を庇ってくれない。
それどころか…皆、彼女の言葉に頷いている。
彼女は、ただの楽師に過ぎないのに。
いつから、こんな事になったのだろう。
彼女をこの城の楽師にするとお父様が仰った時…私は、何か嫌な予感がした。
その内に、お父様やお兄様、使用人も兵も…城に居るありとあらゆる男が、皆彼女に夢中になった。
一方、お母様や侍女達は、何故か彼女に付き従うように─。
「…そうだ!この無能に代わり、私がこの城の姫をやってあげてもいいわよ?」
「そんな事、許される訳─」
「そうだな…彼女の言う事は正しい。というか…どうして魔力のないお前を、この城の姫にしていたんだろうか?」
「お父様…一体どうしてしまったの!?こんなの…おかしいです!」
「王に逆らうなんて、あなたは恐ろしい反逆者よ…。こんな女、牢に入れるべきだわ!」
彼女の言葉に父は頷き…私はお兄様や兵に取り囲まれた。
お母様や他の侍女は、たぼんやりとそれを眺めるばかり。
このままでは、彼女の思い通りになってしまう…。
私は、一体どうすれば─!
その時だった。
玉座の間の扉が開き…一人の青年が入って来た。
彼は、隣国の王子で…私の婚約者でもあった─。
※※※
「あなた、この女の─。し、報せもなしに来るなんて、無礼だと思わないの!?」
「無礼者は、お前の方だろう。こんな物を使い、この城の皆をいいように扱って─。」
彼の手には、彼女の楽器が─。
「そ、その男を早く捕えて!私の大事な楽器を守って!」
彼女の言葉に、城の兵が彼に襲い掛かるが…彼はそれをかわし、剣の束で兵を気絶させた。
彼の剣技は隣国一、この城の兵では勝ち目は無いわ。
「そんなにこの楽器が大事か?まぁ、そうだな…お前はこの楽器で、この城の者達を操って居たんだから。これを失えば、お前の野望は叶わなくなる。」
「そ、それは…。」
「お前は…他の国でも同じような事をやらかし、お尋ね者になって居る女だな?もう、調べはついているんだ…諦めろ。」
そして彼は…その楽器の弦を、ブツリと切った─。
「や、辞めて─!」
彼女の叫び声が玉座の間に響く中…お父様やお兄様、そして他の男たちは、顔を見合わせ頷いた。
そしてお母様や侍女達は、彼女の事をキッと睨んだ。
「この楽器はただの楽器ではなく、魔道具の一つで…聞いた者の心を魅了し、操る事が出来るんだ。だがこれが壊れた以上、もうそうする事は叶わない。」
「あ、あぁ…!」
彼女は、全てを知り怒った城の皆に囲まれ…ジリジリと壁際に追い詰められて行く。
「ど、どうしてよ…!どうして、この女の心だけは操れなかったのよ…!」
彼女の言葉に、彼は私の方へゆっくりと近づいて来て…そして私を抱き締め、こう言った。
「彼女には魔力がないから…だから、俺の加護を半分与えたんだ。今のこの国の決まり事で、魔力の譲渡は禁じられているから…それくらいしか出来なくてな。」
そうか…私だけが、彼女の生み出す悪しき音色に心を蝕まれなかったのは、彼の加護が…愛が守ってくれていたから─。
私は嬉しくなって、彼にギュッと抱き着いた。
「な、何よ…人が困ってる時に、イチャイチャしてるんじゃないわよ!そんな無能で地味な姫より、この美しい私の方が、お姫様にピッタリなのに─!」
するとそれを聞いたお父様は激怒し…彼女を即捕らえるよう、兵に命じだ。
そして彼女は兵に取り押さえられ…玉座の間から連れて行かれた。
※※※
「…来るのが遅くなって、すまなかった。」
「あなたは旅に出たと聞いて居ましたが…無事にお帰りになられたのですね、良かった─!」
「これを、君に渡そうと思って…色々な国を飛び回り、漸く見つけたんだ。そしてその途中で、君の城の異変とあの女の話を伝え聞いて─。」
彼が差し出したのは、不思議な色をした石がはめ込まれている指輪だった。
「これは、魔力を無限に生み出してくれる魔石がはめ込まれた指輪だ。ただ…それには条件が合って─。」
「一体、何ですの?」
すると、彼は頬を赤くし…照れくさそうにこう言った。
「それは、愛だ。指輪を贈った者、贈られた者の間にある愛が、魔力の源になるんだ。俺は…君の婚約者で、君を愛しているから…。だから、どうかこれを受け取ってくれないか?」
その言葉に、私は喜びで頬を染め…涙を滲ませながらこう言った。
「勿論、喜んで…!」
彼は笑みを浮かべ…私の左手をそっと掬い上げると、薬指にその指輪を嵌めた─。
私と彼の愛の炎は、互いが死ぬまで消える事は無いでしょう。
だからこの指輪の魔力は、決して尽きる事は無いわ─。
その一方で、捕らえられ牢に送られたあの女だが…その命の炎は、間もなく消える事になる。
自身の魔力を魔道具で強大化し、人を操る事は重罪だ。
よって彼女は近く処刑され、この世を去る事になるのだから─。
お父様にお母様、そしてお兄様や城の皆も、誰も私を庇ってくれない。
それどころか…皆、彼女の言葉に頷いている。
彼女は、ただの楽師に過ぎないのに。
いつから、こんな事になったのだろう。
彼女をこの城の楽師にするとお父様が仰った時…私は、何か嫌な予感がした。
その内に、お父様やお兄様、使用人も兵も…城に居るありとあらゆる男が、皆彼女に夢中になった。
一方、お母様や侍女達は、何故か彼女に付き従うように─。
「…そうだ!この無能に代わり、私がこの城の姫をやってあげてもいいわよ?」
「そんな事、許される訳─」
「そうだな…彼女の言う事は正しい。というか…どうして魔力のないお前を、この城の姫にしていたんだろうか?」
「お父様…一体どうしてしまったの!?こんなの…おかしいです!」
「王に逆らうなんて、あなたは恐ろしい反逆者よ…。こんな女、牢に入れるべきだわ!」
彼女の言葉に父は頷き…私はお兄様や兵に取り囲まれた。
お母様や他の侍女は、たぼんやりとそれを眺めるばかり。
このままでは、彼女の思い通りになってしまう…。
私は、一体どうすれば─!
その時だった。
玉座の間の扉が開き…一人の青年が入って来た。
彼は、隣国の王子で…私の婚約者でもあった─。
※※※
「あなた、この女の─。し、報せもなしに来るなんて、無礼だと思わないの!?」
「無礼者は、お前の方だろう。こんな物を使い、この城の皆をいいように扱って─。」
彼の手には、彼女の楽器が─。
「そ、その男を早く捕えて!私の大事な楽器を守って!」
彼女の言葉に、城の兵が彼に襲い掛かるが…彼はそれをかわし、剣の束で兵を気絶させた。
彼の剣技は隣国一、この城の兵では勝ち目は無いわ。
「そんなにこの楽器が大事か?まぁ、そうだな…お前はこの楽器で、この城の者達を操って居たんだから。これを失えば、お前の野望は叶わなくなる。」
「そ、それは…。」
「お前は…他の国でも同じような事をやらかし、お尋ね者になって居る女だな?もう、調べはついているんだ…諦めろ。」
そして彼は…その楽器の弦を、ブツリと切った─。
「や、辞めて─!」
彼女の叫び声が玉座の間に響く中…お父様やお兄様、そして他の男たちは、顔を見合わせ頷いた。
そしてお母様や侍女達は、彼女の事をキッと睨んだ。
「この楽器はただの楽器ではなく、魔道具の一つで…聞いた者の心を魅了し、操る事が出来るんだ。だがこれが壊れた以上、もうそうする事は叶わない。」
「あ、あぁ…!」
彼女は、全てを知り怒った城の皆に囲まれ…ジリジリと壁際に追い詰められて行く。
「ど、どうしてよ…!どうして、この女の心だけは操れなかったのよ…!」
彼女の言葉に、彼は私の方へゆっくりと近づいて来て…そして私を抱き締め、こう言った。
「彼女には魔力がないから…だから、俺の加護を半分与えたんだ。今のこの国の決まり事で、魔力の譲渡は禁じられているから…それくらいしか出来なくてな。」
そうか…私だけが、彼女の生み出す悪しき音色に心を蝕まれなかったのは、彼の加護が…愛が守ってくれていたから─。
私は嬉しくなって、彼にギュッと抱き着いた。
「な、何よ…人が困ってる時に、イチャイチャしてるんじゃないわよ!そんな無能で地味な姫より、この美しい私の方が、お姫様にピッタリなのに─!」
するとそれを聞いたお父様は激怒し…彼女を即捕らえるよう、兵に命じだ。
そして彼女は兵に取り押さえられ…玉座の間から連れて行かれた。
※※※
「…来るのが遅くなって、すまなかった。」
「あなたは旅に出たと聞いて居ましたが…無事にお帰りになられたのですね、良かった─!」
「これを、君に渡そうと思って…色々な国を飛び回り、漸く見つけたんだ。そしてその途中で、君の城の異変とあの女の話を伝え聞いて─。」
彼が差し出したのは、不思議な色をした石がはめ込まれている指輪だった。
「これは、魔力を無限に生み出してくれる魔石がはめ込まれた指輪だ。ただ…それには条件が合って─。」
「一体、何ですの?」
すると、彼は頬を赤くし…照れくさそうにこう言った。
「それは、愛だ。指輪を贈った者、贈られた者の間にある愛が、魔力の源になるんだ。俺は…君の婚約者で、君を愛しているから…。だから、どうかこれを受け取ってくれないか?」
その言葉に、私は喜びで頬を染め…涙を滲ませながらこう言った。
「勿論、喜んで…!」
彼は笑みを浮かべ…私の左手をそっと掬い上げると、薬指にその指輪を嵌めた─。
私と彼の愛の炎は、互いが死ぬまで消える事は無いでしょう。
だからこの指輪の魔力は、決して尽きる事は無いわ─。
その一方で、捕らえられ牢に送られたあの女だが…その命の炎は、間もなく消える事になる。
自身の魔力を魔道具で強大化し、人を操る事は重罪だ。
よって彼女は近く処刑され、この世を去る事になるのだから─。
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