声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか

文字の大きさ

大中小

25 / 25

ショートシチュボ

看取り・死に別れショートシチュボ集

しおりを挟む

お開きいただき感謝です。
以下、注意点です。普通に読んでいただく分には見なくて大丈夫です。

・使用許可は不要です。いつでも、どこでも、誰とでもお使いください。
・配信等で使用する場合は「作者：ぐーすか」の表記をお願いします。
・自作発言、過度なもの、もしくは悪意のある改変は作者のSAN値が減少するので禁止します。
（性別転換までは許す）
・感想、ご意見などドシドシ送ってください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①：戦場

おい！しっかりしろ！今止血してやるから、ちゃんと意識を保て！

…くそっ、止まれ！止まれったら…！

…大丈夫だ、腕も足もまだくっついてるさ。だから、しっかりしろ！

駄目だ！ちゃんとしろ！生きて故郷の土を踏むんだろ！？

お前の故郷の教会で式を挙げるって約束しただろ！？

お前はこんなところでくたばる男じゃないじゃないか！

だから生きろ…生きてくれ！私と一緒に…！

…なんだ？どうした？何か言って…。

…「愛してる」？…何をわかりきったことを…。

…「すまない」って…おい、何を言ってるんだよ。

頼む、頼むから…目を開けてくれよ…。

…私を、置いてかないでくれよ…。

私だって、ずっとお前を愛してるよ。

…もうしばらくだけ、そっちで待っててくれ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

②：任務後

…おや、起きたかい？なんで起きちゃうかな…。

うん、任務は達成されたよ。

ああ、起きないで。まだ寝ていた方がいい。

その…君の体に障るだろうから。

…というより君、なんであんなバカな真似したんだ？

そのせいで君は…いや、なんでもないよ。

そういうところ、ほんと出会った時から変わらないね。

まっすぐで、曲がったことが大嫌いで…。

そんな君が好きだったんだけどな、私は。それなのに…。

…眠いかい？そうか…。

もしかしたらって考えてたけど、そんなことはないよな。甘く見てたよ。

…いや、甘く見てたんじゃない。そうあって欲しかったんだな。

君には、生きていて欲しかった。

…ああ、そうさ。君にはもう時間はない。

でも、最後に話ができるだけ奇跡だよ。本当に。

…そんな顔しないでくれよ。最後くらい、もっと苦しい顔でも…。

…私にそんな顔見せたくない、か。君ってやつは本当に。

おやすみ、相棒。お疲れさん。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

③：エルフ妻

…あなた、具合はどう？そりゃ、いいわけないわよね。

こんなに手もしわくちゃになって。あれから、５０年くらい経つのかしら。

人間とエルフじゃ、寿命の価値観なんて違うけれど…。

それでも、この５０年間は私にとってかけがえのないものだったわ。

ねえ、あなた。最期に聞かせて欲しいの。

あなたは、私と生きたこのたった５０年、幸せだった？

…そう。私も、この上ない幸せだった。

きっと、私がこれからも生きる何百、何千年の中で…あなたと過ごした時間はきっと…。

あなた……いいの。さあ、ゆっくり目を閉じて？

大丈夫、私はずっとここにいる。だから、あなたもずっと私のそばにいるから。

あなたの居ないこれからの長い時間も、私が寂しくならないように。

あなたが残してくれたものが、ずっとこのままでいられるように。

…愛してる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

④：死神

こんばんは、いい夜だね。

…ようやっと、約束の夜になった。

今夜、僕は君の命を貰う。それが僕の仕事だから。

…抵抗しないんだ。それに怖がりもしない。

君くらいの歳なら、もっと恐れたっていいんじゃないか？

…まあいいや。手短に済ませようか。

さあ、最期に何か言うことは？

…「ありがとう」？何言ってるんだよ。

僕は死神だ！確かに君とはこの短い間、会話だけはしたさ。

でも、僕は最初から君の命を奪いにきた存在なんだよ？

なのに、なんでそんなことが…。

…なんだ、バレちゃってたのか。

そうだよ。僕は、君の命なんて奪いたくない。

この短い間、君と過ごしてわかった。

君は、その命を終えるにはあまりにも…早すぎる。だから…だから！

…っ！大丈夫か！？こんなに血が、出てる…。

おい、しっかりしろ！今誰かを…。

…「僕の手で、終わらせて欲しい」？そんなこと僕にできるわけ…。

…「友達だろ」って…。ああ、そうだよ。

僕と君は友達だ。でも僕は死神で、君は後先少ない人間で…。

…それでも、君は僕のことを大切だって、そう言ってくれた。

だから、僕も君のその思いに応えたかった。

…だから、終わらせるよ。君の命。

でも、もし君がいいなら…君が、死んでしまってからでもいいなら…。

…僕はまだ、君のことを友達だって…思っていていいかな？

しおりを挟む