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第一章
3.フェロモンチェック
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大学の廊下を二人で並んで歩く。というか、青年が勝手に瑞樹の後をついて来ていた。
「ねえねえ、瑞樹くん。この後は授業ないの?」
「ああ。今日はこれで──いや、ある。今すぐ授業が始まる」
「ふふふ。それ、嘘だよね? この後、空きコマでしょ?」
(……そうだ、こいつ、俺の時間割把握してるんだった)
「……知ってるなら聞くな。ストーカー野郎」
「えへへ、瑞樹くんに叱られちゃった!」
言動とは反対に、青年は爽やかな笑顔をこちらへ向ける。
彼を強く拒絶できないのはこの笑顔のせいか、それとも──
(いや、きっとこれも気のせいだ……こいつに惑わされるな、俺)
そんな時、青年が急に声を上げた。
「……あ、そうだ! それの説明、してなかったね」
そう言って青年は瑞樹の腕に巻かれている装置を指差した。
「これ、アプリとも連携できるんだ。ほら……」
そう言って見せられたスマホの画面には、フェロモン値が折れ線グラフで示されていた。
「しかも、リアルタイムで僕のスマホに通知が来るんだ。すごくない?」
教授に感謝しなきゃ、青年は微笑む。
「君にも逐一報告するから安心して」
「やめろ。そんなのいらない。通知が来る度にこっちの寿命が削られるわ」
「ちなみに今、フェロモン値33.4。ツンデレの標準値。かわいいね!」
「やめろって言ってるだろ!!」
思わず声が裏返ってしまった。
近くの女子学生が「Ωの子かな? かわいい~」と囁くのが聞こえ、瑞樹は顔を真っ赤にして目を逸らした。
「ということで、連絡先交換しよ」
「はぁ!? なんでだよ」
「いいからいいから」
瑞樹が文句を言う隙もなく、気づけば連絡先は交換されていた。
瑞樹のスマホの画面には『神代慧』という文字が浮かんでいる。
「かみしろ……けい……」
瑞樹は無意識にその名前を呟いた。その響きに、なぜか胸が少し温かくなる。
「けぃけぃって呼んでもいいよ!」
「……呼ばねぇよ!」
この男の名前を知ることができた。今後通報する時にきっと役立つだろう。
“神代慧”という名前は、確かに瑞樹の心に刻まれた。
「あ、アプリも送ろっか」
「いらない……」
「せっかく作ったのにな~」
「え、お前が作ったの?」
「教授には内緒なんだ。もちろん君専用だよ。ほら、スタート画面は君の寝顔にした」
そう言って見せてきた画面には、確かに瑞樹の寝顔が写っている。先ほどの授業の時に撮ったのだろう。
「撮ったのかよ!!」
「寝落ちしているの、可愛くて」
「通報するぞ!!」
「瑞樹くんが連れて行ってくれるなら大歓迎だよ!」
「……」
(ダメだ……こいつに何を言っても意味がない……!)
こうして慧によるフェロモン実況が、瑞樹の日常に組み込まれていったのだった。
「ねえねえ、瑞樹くん。この後は授業ないの?」
「ああ。今日はこれで──いや、ある。今すぐ授業が始まる」
「ふふふ。それ、嘘だよね? この後、空きコマでしょ?」
(……そうだ、こいつ、俺の時間割把握してるんだった)
「……知ってるなら聞くな。ストーカー野郎」
「えへへ、瑞樹くんに叱られちゃった!」
言動とは反対に、青年は爽やかな笑顔をこちらへ向ける。
彼を強く拒絶できないのはこの笑顔のせいか、それとも──
(いや、きっとこれも気のせいだ……こいつに惑わされるな、俺)
そんな時、青年が急に声を上げた。
「……あ、そうだ! それの説明、してなかったね」
そう言って青年は瑞樹の腕に巻かれている装置を指差した。
「これ、アプリとも連携できるんだ。ほら……」
そう言って見せられたスマホの画面には、フェロモン値が折れ線グラフで示されていた。
「しかも、リアルタイムで僕のスマホに通知が来るんだ。すごくない?」
教授に感謝しなきゃ、青年は微笑む。
「君にも逐一報告するから安心して」
「やめろ。そんなのいらない。通知が来る度にこっちの寿命が削られるわ」
「ちなみに今、フェロモン値33.4。ツンデレの標準値。かわいいね!」
「やめろって言ってるだろ!!」
思わず声が裏返ってしまった。
近くの女子学生が「Ωの子かな? かわいい~」と囁くのが聞こえ、瑞樹は顔を真っ赤にして目を逸らした。
「ということで、連絡先交換しよ」
「はぁ!? なんでだよ」
「いいからいいから」
瑞樹が文句を言う隙もなく、気づけば連絡先は交換されていた。
瑞樹のスマホの画面には『神代慧』という文字が浮かんでいる。
「かみしろ……けい……」
瑞樹は無意識にその名前を呟いた。その響きに、なぜか胸が少し温かくなる。
「けぃけぃって呼んでもいいよ!」
「……呼ばねぇよ!」
この男の名前を知ることができた。今後通報する時にきっと役立つだろう。
“神代慧”という名前は、確かに瑞樹の心に刻まれた。
「あ、アプリも送ろっか」
「いらない……」
「せっかく作ったのにな~」
「え、お前が作ったの?」
「教授には内緒なんだ。もちろん君専用だよ。ほら、スタート画面は君の寝顔にした」
そう言って見せてきた画面には、確かに瑞樹の寝顔が写っている。先ほどの授業の時に撮ったのだろう。
「撮ったのかよ!!」
「寝落ちしているの、可愛くて」
「通報するぞ!!」
「瑞樹くんが連れて行ってくれるなら大歓迎だよ!」
「……」
(ダメだ……こいつに何を言っても意味がない……!)
こうして慧によるフェロモン実況が、瑞樹の日常に組み込まれていったのだった。
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