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第四章
28.ヒートじゃなくても可愛い(慧視点)
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夕方。
食後のスープを飲み終えたあとも、瑞樹は慧の膝から離れようとしなかった。食器を片付けようと腰を上げようとすると、すかさず服の裾を掴まれる。
「けいのひざ、すき……あったかい……」
「ひざ枕? いいよ、ずっと乗ってて」
慧は笑いながらソファに腰を下ろし、瑞樹の髪をゆっくり撫でていた。髪の間からこぼれる柔らかな香りは、もうヒート特有の熱っぽさは失って、代わりに穏やかな“番の匂い”が滲んでいる。
ぼんやりとしている瑞樹は、まるで子猫のように喉を鳴らすような声で甘えてくる。
「ねぇ、けい……寝るときも、ぎゅーってしててくれる?」
「もちろん。いつでもするよ」
「けいのにおい、きもちよくて……いっぱい、すいたい……」
慧は思わず真っ赤になった。
(それ、本人に向かって言う? 攻撃力高すぎでしょ……)
「えっと、えっと……それって、その、えっちな意味じゃなくて?」
「ん……わかんない。でも、けいとくっついてたいの……」
瑞樹は半分眠ったような顔で慧のシャツの中に顔をうずめ、ぴと、と頬をつけた。
「だいすき……落ち着く……」
「……もう、好きすぎて困る……」
慧はベッドに移動し、毛布の中で瑞樹を優しく抱きしめた。
番になった証の噛み痕が、瑞樹の首元にやわらかく浮かんでいる。
「……けいのこえも、きもちいい……ぜんぶ、すき……」
「……ずっと、そばにいるよ。離れないから」
「……けい……けい……ん……」
瑞樹は甘えるように慧の服の襟をつかみ、
指先でそっと慧の頬に触れてから──そのまま、慧の胸の中で眠りについた。
夜が更けても、瑞樹は何度も慧の名を寝言で呼んだ。
そのたびに、慧は「ここにいるよ」と囁いて、抱きしめ返す。
柔らかな寝息に、包まれるような夜だった。
◇
瑞樹の意識がはっきりとしだしたのは、番になってから七日目の朝。
瑞樹はようやく、慧の腕の中からすっきりとした顔で目を覚ました。
「……あれ? 頭、ぼんやりしてない……」
「ほんと? 熱も下がってるし、ようやく落ち着いたかもね」
「……なんか、すごい夢を見てた気がする」
「うん、ほぼ本当の出来事だったけどね」
慧が苦笑すると、瑞樹は真っ赤になった。
「……っ、うそ……いろいろ言ってた……?」
「うん、“けいのにおいすき~”“けいのこえきもちいい~”って言ってた」
「うわぁぁぁ!!」
布団に顔を埋める瑞樹に、慧は優しくキスを落とす。
「でも、嬉しかったよ? 甘えてくれて。守ってあげたいって思った」
「……最悪だ」
「……記憶、消してくれ……慧の中の記録も消してくれ……いやむしろ俺が消えたい……」
「可愛かったけどな~! もう一回やって?」
「絶っ対やらない!」
慧はにこにこしながら、瑞樹の頭をなでた。
「でも、あれはあれで嬉しかったよ。“番”って感じした」
「……あう……そ、それ言われるとまた恥ずかしい……」
瑞樹は枕に顔を埋めながら、じわじわと耳まで赤くしていた。
慧はその横顔を見て、思った。
(ヒート中じゃなくなくても、やっぱり瑞樹は可愛い)
◇◇◇
次回から第五章(最終章)に入ります
食後のスープを飲み終えたあとも、瑞樹は慧の膝から離れようとしなかった。食器を片付けようと腰を上げようとすると、すかさず服の裾を掴まれる。
「けいのひざ、すき……あったかい……」
「ひざ枕? いいよ、ずっと乗ってて」
慧は笑いながらソファに腰を下ろし、瑞樹の髪をゆっくり撫でていた。髪の間からこぼれる柔らかな香りは、もうヒート特有の熱っぽさは失って、代わりに穏やかな“番の匂い”が滲んでいる。
ぼんやりとしている瑞樹は、まるで子猫のように喉を鳴らすような声で甘えてくる。
「ねぇ、けい……寝るときも、ぎゅーってしててくれる?」
「もちろん。いつでもするよ」
「けいのにおい、きもちよくて……いっぱい、すいたい……」
慧は思わず真っ赤になった。
(それ、本人に向かって言う? 攻撃力高すぎでしょ……)
「えっと、えっと……それって、その、えっちな意味じゃなくて?」
「ん……わかんない。でも、けいとくっついてたいの……」
瑞樹は半分眠ったような顔で慧のシャツの中に顔をうずめ、ぴと、と頬をつけた。
「だいすき……落ち着く……」
「……もう、好きすぎて困る……」
慧はベッドに移動し、毛布の中で瑞樹を優しく抱きしめた。
番になった証の噛み痕が、瑞樹の首元にやわらかく浮かんでいる。
「……けいのこえも、きもちいい……ぜんぶ、すき……」
「……ずっと、そばにいるよ。離れないから」
「……けい……けい……ん……」
瑞樹は甘えるように慧の服の襟をつかみ、
指先でそっと慧の頬に触れてから──そのまま、慧の胸の中で眠りについた。
夜が更けても、瑞樹は何度も慧の名を寝言で呼んだ。
そのたびに、慧は「ここにいるよ」と囁いて、抱きしめ返す。
柔らかな寝息に、包まれるような夜だった。
◇
瑞樹の意識がはっきりとしだしたのは、番になってから七日目の朝。
瑞樹はようやく、慧の腕の中からすっきりとした顔で目を覚ました。
「……あれ? 頭、ぼんやりしてない……」
「ほんと? 熱も下がってるし、ようやく落ち着いたかもね」
「……なんか、すごい夢を見てた気がする」
「うん、ほぼ本当の出来事だったけどね」
慧が苦笑すると、瑞樹は真っ赤になった。
「……っ、うそ……いろいろ言ってた……?」
「うん、“けいのにおいすき~”“けいのこえきもちいい~”って言ってた」
「うわぁぁぁ!!」
布団に顔を埋める瑞樹に、慧は優しくキスを落とす。
「でも、嬉しかったよ? 甘えてくれて。守ってあげたいって思った」
「……最悪だ」
「……記憶、消してくれ……慧の中の記録も消してくれ……いやむしろ俺が消えたい……」
「可愛かったけどな~! もう一回やって?」
「絶っ対やらない!」
慧はにこにこしながら、瑞樹の頭をなでた。
「でも、あれはあれで嬉しかったよ。“番”って感じした」
「……あう……そ、それ言われるとまた恥ずかしい……」
瑞樹は枕に顔を埋めながら、じわじわと耳まで赤くしていた。
慧はその横顔を見て、思った。
(ヒート中じゃなくなくても、やっぱり瑞樹は可愛い)
◇◇◇
次回から第五章(最終章)に入ります
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