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【R-18】命令と支配
しおりを挟む次の日の朝にはリオールの調子は戻っていた。医者に診てもらい移動しても問題ないとお墨付きをもらってから、男爵邸に戻った。リオールはいつもと同じ様に見えた。見送りにはクロードしか出て来ず、リオールと揃って世話になった礼をする。
馬車の中では、リオールは窓の外を眺め一言も喋らなかった。その無防備に投げ出された手をアルバは握った。前世、リオールが死んだ日、戦争が起こる日が近付いていた。絶対に死なせない。
屋敷に戻り、服を着替えて食事をしようとしたが、リオールはなんだか落ち込んでいたので部屋に戻らせた。フェロモンの匂いがしていた。リオールには気をつける様に伝えたが、心ここに在らずでうんと返答してきた。アルバはこれまで特に使って来なかったがヒートの症状の軽くなる抑制剤を、医師に処方してもらい部屋に向かった。ぶわぁあッと強く濃密にベッドルームには匂いが充満している。いつもより重くて、甘ったるい。腕で鼻を押さえる。アルバが先程まで来ていたシャツ、スラックス、ジャケット、クラヴァット迄がベッドに並べられ、リオールが鼻を埋めていた。
「リオ——………」
「『こっち、来て』」
フェロモンを鋭く纏って、アルバの手がビリビリと震えるような強制力を感じた。クロードの言っていた、これがオメガからアルファへのフェロモンを使った命令。確かに逆らうこともできる。逆らいたかったら首を横に振るだけだ。でも逆らいたいという意思がなければ何もかも言うことを聞いてしまう気がした。
リオールの瞳が潤んでいる。その奥には確かな意思を宿した光がある。アルバはその声に逆らうことなく、リオールのそばまで歩き床に膝をついた。リオールが手を差し出したのでその手に頬を乗せる。
「『ふく、脱がせて』」
「分かった。手を上げて。背中に手を回すぞ」
アルバはベッドに腰掛け、寝転がったリオールの服を流せる。ボトムも脱がせて、床に落とす。ソックスガーターを外し、靴下を下ろした。
「『貴方も』」
「分かった」
服を脱ぐとそれを彼に取り上げられて巣に加えられてしまう。リオールと同じように裸になり、その爪先に口付けた。ぺろりと舐めて、パクりと小さな親指を咥える。
「ひっ、ぁ……! くすぐっ、たい!」
「次は?」
舌で足の指の股を舐める。リオールは内太腿を擦り寄せて誤魔化そうとするが、滴ってシーツを汚す愛液はしっかり見えている。
「次は? 満足するよう、全部言うといい」
「ぁ、アっ……!! 『ひ、ひとりで、シて』」
「分かった」
ペニスを手で包んで握り込み、上下に揺らす。リオールは潤んだ目でアルバを見上げる。リオールの唾液で濡れた爪先でペニスの先に触れる。アルバは肩を揺らした。リオールの足首を掴み、グチュグチュと先端を擦り付けてやった。リオールは自分からやったことなのに足を引こうとしているため、逃さなかった。茎を扱きながら、リオールの命令を待つ。
「……ぁ! や、やだ……、一人でやって、って、言ったのに……ッ」
「ならばそう命令してみろ、リオール」
「分かんないよ……!!」
分からない訳がない。リオールが命令する気がないだけだ。その瞳が食い入るようにアルバの自涜行為を見ている。見たくないと顔を逸らしては、目だけで追っている。リオールはおずおずと指を伸ばしてきた。
「そんなにゴシゴシして、痛くないの……?」
「痛くない。お前がキスをしてくれたら、もっと気持ちいい」
リオールはムッとした後、ちゅう、と唇を吸った。アルバは犬のようにその舌を追いかけて、絡め取ってやった。リオールは諦めたように目を閉じたが、背中を抱き寄せてやると胸を押し返してきた。
「『は、離して』っ」
パッとアルバが手を離す。なるほど、と。オメガが一番よく使うことフェロモンを使って相手に言うことを聞かせる術であるが、こうやって意に沿わないことを拒否できる力が少しでもあるのかと理解する。リオールは根本に指を這わせてまじまじと見る。
「ここ、膨らまないの?」
「どうだろう。ラットを起こすと膨らむらしい」
「らしい?」
「一度しかなったことがない。そもそもお前と番うまでオメガのフェロモンを嗅いだことはなかった」
「……そ、そう……」
リオールは舌を伸ばして根本を舐める。アルバは息を詰めた。リオールの小さな顔に、脈がドクドクと走るグロテスクな性器が乗っかる。はむ、とその薄い唇が竿を咥える。
「俺のフェロモンは、どんな匂い?」
「……っ、分からない、比較ができない……。甘くて、柔らかくて、あったかい匂い」
ふーん、と言ってリオールは舌を伸ばしてつつつ、と裏筋をなぞる。その髪を掴んで喉奥まで咥えさせてやりたい衝動もあるが、撫でるだけにとどめた。皮が剥けている先端に、リオールはぷちゅりとキスをした。アルバの腰が動く。
「聖人様は、どんな匂いがする……?」
「し、知るか……っ。匂いが分かるほど近くに行っていない」
「フェロモンの匂いが分かるんじゃないの」
「アイツはアルファだ……ッ。牽制としてのフェロモンは分かるかもしれないが、甘い匂いだなんて思うものか」
リオールは目を瞬かせる。そしてぱくりと先っぽを咥えて、鈴口に舌を捩じ込んで頬肉をを密着させるようにして吸い上げた。アルバはリオールの後頭部を抑え込み、グッグッと腰を揺らした。びゅくくっとリオールの口の中に解き放つ熱は、ごく、と胃へと伝っていた。
「俺のこと、好き?」
「……っ、当たり前だ……、俺の気持ちを疑うな」
「だって言ってくれないから」
「好きだ、リオール。お前が望むなら何回も言う」
「言って欲しい」
リオールの体を抱きしめる。好きだと、伝えてもいいのならば伝える。キスをして、身体中を舐めて、甘く噛むとリオールは体を震わせる。指を後孔に入れるときゅうきゅうと締め付けて、愛液をとろとろとこぼす。いれて、と強請るリオールにアルバは熱をくちゅりと押し当てた。
「おれぇ……、あなたの赤ちゃんがほしい。きっと、かわいい」
「俺は、親に愛されていなかった。きっと子どもを愛せない」
「俺が愛してあげるよ、貴方も、赤ちゃんも。貴方も、俺の事を愛してるでしょ?」
「ああ。愛してる」
揺らいだ。孕ましてやると唇を塞いで体を押さえつけ、熱くて濡れる狭い泥濘をこじ開ける。リオールは体を捩り、悲鳴を上げる。ギュウギュウとキツく絡み付いてくる。アルバはリオールの口を塞いで舌を根本から吸う。腕の中に小さな体を抱き締め、誘われるように、その項に舌を這わせた。
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