回帰した貴公子はやり直し人生で勇者に覚醒する

真義あさひ

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朝、夢から覚めた後。
日課の剣の鍛錬を行ったケイは母ポーラを探して、屋敷内を歩き回っていた。

(どこに行ったんだろう?)

庭にもキッチンにもいなかった。
今日は父が屋敷にいないから、朝食は別邸で母と取るはずの日なのに。

「お母様?」

物置小屋の前を通りかかった時、ケイは何かが倒れる音を聞いた。

(今の音は?)

不審に思って物置小屋の扉を開けると、ポーラが床に倒れていた。

「お母様!?」

ケイは慌てて駆け寄った。
ポーラは苦しげに顔を歪め、下腹部を押さえて震えていた。

それだけではない。腕や背中の服が破れて血が滲んでいる。これは――鞭のあとだ。

「う……あああ……」

額には冷や汗が浮かび、顔色は青白い。

「お母様!? どうしたの!? 誰がこんなことを……」

ポーラは苦痛に顔を歪めながら、震える声で答えた。

「セオドラ様が……あなたの躾がなっていない罰だと……」

ケイは驚愕した。

「セオドラが……?」

ポーラは息も絶え絶えに続けた。

「朝食の準備をしていたら、呼ばれてここに連れ込まれたの……初めてあの方が別邸までお越しになったから、話ができると、思って……」

「お、お母様、待ってて、すぐ人を呼んでくるから!」

「私が悪かったの……セオドラ様を怒らせてしまった。だから、セオドラ様を恨んではいけません……」

「こんな目に遭ってるのに何を言ってるんだ!」

「あなたが、憎しみに囚われてはいけないの……」

ケイは怒りと悲しみに震えた。

(あの女……セオドラ……!)

ポーラが呻き声を上げ、顔を苦痛に歪めた。

「う……っ、あああああ……!」

ケイは青ざめた。

「お母様、しっかりして!」

ポーラの下半身から大量の血が溢れ出ているのを見て、ケイは恐怖に震えた。

(なんで……どうして……!?)

「待ってて、今すぐ医者を呼んでくる!」

ケイは物置小屋を飛び出し、医者を探しに走った。

「医者! 医者はどこだ!?」

ケイの叫びを聞いた使用人たちが驚いて駆け寄ってきた。

「ケイ様、一体どうされましたか?」

「お母様が! お母様が怪我をして、血を流してるんだ!」

使用人たちは顔を青ざめ、すぐに本邸へ医者を呼びに走った。



医者が物置小屋に駆けつけた。
ポーラはその場に倒れたまま、意識朦朧として苦しんでいた。

「早く部屋に運びましょう! 急いで!」

医者の指示で、ポーラは部屋に移され、治療が施された。

ケイは部屋の外で祈るように待っていた。

(母様……助かってくれ……!)

時間が永遠に感じられるほど長く思えた。

やがて、医者が部屋から出てきた。
顔色は暗く沈んでいた。

「お医者様……お母様は……?」

医者は重々しく首を振った。

「申し訳ありません……奥様は流産されました」

ケイの体が凍りついた。

「流産……?」

医者は辛そうに目を伏せた。

「お腹の中にいた赤ん坊は、助けられませんでした……」

ケイは膝から崩れ落ちた。

「何だそれ……お母様、お腹に……赤ちゃんがいたのか……」

医者は何と言った?
――流産だと!

「そんな……嘘だ……」

頭が真っ白になった。

(お母様の……子供が……?)
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