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ポーラが正妻セオドラを訴える準備をしていると知り、セオドラの父王は伯爵家の人々を王宮に呼び寄せた。
後日、王宮の会議室には、アルトレイ伯爵家の家族全員が集まっていた。
会議室の奥側、上座には国王が。
大きな長机の左側には、当主の伯爵ユヴェルナート、正妻セオドラ、嫡男テオドールが。
右側には妾ポーラ、そして息子のケイが座った。
今日はピアディはケイの上着のポケットの中だ。
国王は厳かな表情で、伯爵家の家族を見渡した。
「ユヴェルナート、セオドラ、そしてポーラ……。お前たちの間にある誤解を、今日ここで解く」
会議室は静まり返った。
誰もが緊張した面持ちで、王の言葉を待っていた。
国王は、セオドラに向き直った。
「セオドラ、余はそなたの婚姻に関して、お前に隠していたことがある」
セオドラは驚き、目を見開いた。
「お父様、どういうことですの?」
「国王陛下、お待ちください!」
ポーラが国王の言葉を遮った。
「今さら真実をセオドラ様にお伝えしたからとて、何になりましょう?」
ポーラは、静かにセオドラに頭を下げた。
だが、いつもは優しい緑の瞳も、今日ばかりは鋭く強い色を湛えていた。
(あなたが私の子供を殺したこと。決して、許すことはない)
(だけど私も、あなたが旦那様を慕っていると知りながら、愛を独占し続けていた)
ポーラは決意を固めた瞳でユヴェルナートとセオドラを見つめた。
「ユヴェルナート様、セオドラ様……。お二人が再び正しく結ばれるために、私は伯爵家を去ります」
ユヴェルナートは驚いた。
「ポーラ……それは本気か?」
「はい。ケイを守るためにも、私が妾である限り、ケイはずっと辛い立場のままです。だから、私はケイを連れて、実家に戻ります」
あらかじめ事情を知っていたケイ以外の誰もが、呆気に取られてポーラを見つめていた。
最初に我を取り戻したのはセオドラだ。
「ふ、ふんっ。ようやく妾は身の程を知ったようね」
相変わらずの憎まれ口だったが、ポーラももう負けるつもりはなかった。
「セオドラ様。あなたが私とケイにしたことを、私は決して許しません」
「あなた如きに、何ができると?」
「……できますとも。今後、私とケイに何か危害を加えたら、私は即座にあなたの所業を裁判所に訴えます」
「そ、そんなこと、できるわけがないわ!」
「どうとでも仰ってください。もう書類はいつでも提出できるよう、信用できる第三者に預けてあります。あなたは今後、身を謹んで生きるべきなのです」
ポーラの強い口調と話の内容に、セオドラは呆然とした。
あまつさえ、ポーラを後押ししたのは何と父王だった。
「セオドラよ。事情はすべて報告を受け、調査の裏付けも完了しておる。余がそなたを甘やかしすぎたな……これ以降、その身は監視されるものと知れ」
「お、お父様……そんな……!」
セオドラは激高したが、以前のような狂気は抜けていた。
ケイのポケットの中からピアディがこそっと頭を出した。
「そなたたち兄弟がロットヴェインを退散させたおかげで、あやつの毒気も抜けたようなのだ」
セオドラを操っていた侍女の正体は邪悪なロットヴェインだった。
侍女はケイたちが帰還して以降、姿を消している。
「そうだな。……だからといって、許せないのは俺も同じだが」
話し合いはセオドラへの一方的な通告で終わった。
いつも高慢で嗜虐的だったセオドラが項垂れている。
だがケイがざまぁみろ、という気分になれなかったのは、彼女の隣に座っていた兄テオドールが母親を必死で心配していたからだ。
(セオドラ。兄さんに免じて復讐は止めてやる。だが、またお母様を害そうとしたらもう容赦はしない)
後日、王宮の会議室には、アルトレイ伯爵家の家族全員が集まっていた。
会議室の奥側、上座には国王が。
大きな長机の左側には、当主の伯爵ユヴェルナート、正妻セオドラ、嫡男テオドールが。
右側には妾ポーラ、そして息子のケイが座った。
今日はピアディはケイの上着のポケットの中だ。
国王は厳かな表情で、伯爵家の家族を見渡した。
「ユヴェルナート、セオドラ、そしてポーラ……。お前たちの間にある誤解を、今日ここで解く」
会議室は静まり返った。
誰もが緊張した面持ちで、王の言葉を待っていた。
国王は、セオドラに向き直った。
「セオドラ、余はそなたの婚姻に関して、お前に隠していたことがある」
セオドラは驚き、目を見開いた。
「お父様、どういうことですの?」
「国王陛下、お待ちください!」
ポーラが国王の言葉を遮った。
「今さら真実をセオドラ様にお伝えしたからとて、何になりましょう?」
ポーラは、静かにセオドラに頭を下げた。
だが、いつもは優しい緑の瞳も、今日ばかりは鋭く強い色を湛えていた。
(あなたが私の子供を殺したこと。決して、許すことはない)
(だけど私も、あなたが旦那様を慕っていると知りながら、愛を独占し続けていた)
ポーラは決意を固めた瞳でユヴェルナートとセオドラを見つめた。
「ユヴェルナート様、セオドラ様……。お二人が再び正しく結ばれるために、私は伯爵家を去ります」
ユヴェルナートは驚いた。
「ポーラ……それは本気か?」
「はい。ケイを守るためにも、私が妾である限り、ケイはずっと辛い立場のままです。だから、私はケイを連れて、実家に戻ります」
あらかじめ事情を知っていたケイ以外の誰もが、呆気に取られてポーラを見つめていた。
最初に我を取り戻したのはセオドラだ。
「ふ、ふんっ。ようやく妾は身の程を知ったようね」
相変わらずの憎まれ口だったが、ポーラももう負けるつもりはなかった。
「セオドラ様。あなたが私とケイにしたことを、私は決して許しません」
「あなた如きに、何ができると?」
「……できますとも。今後、私とケイに何か危害を加えたら、私は即座にあなたの所業を裁判所に訴えます」
「そ、そんなこと、できるわけがないわ!」
「どうとでも仰ってください。もう書類はいつでも提出できるよう、信用できる第三者に預けてあります。あなたは今後、身を謹んで生きるべきなのです」
ポーラの強い口調と話の内容に、セオドラは呆然とした。
あまつさえ、ポーラを後押ししたのは何と父王だった。
「セオドラよ。事情はすべて報告を受け、調査の裏付けも完了しておる。余がそなたを甘やかしすぎたな……これ以降、その身は監視されるものと知れ」
「お、お父様……そんな……!」
セオドラは激高したが、以前のような狂気は抜けていた。
ケイのポケットの中からピアディがこそっと頭を出した。
「そなたたち兄弟がロットヴェインを退散させたおかげで、あやつの毒気も抜けたようなのだ」
セオドラを操っていた侍女の正体は邪悪なロットヴェインだった。
侍女はケイたちが帰還して以降、姿を消している。
「そうだな。……だからといって、許せないのは俺も同じだが」
話し合いはセオドラへの一方的な通告で終わった。
いつも高慢で嗜虐的だったセオドラが項垂れている。
だがケイがざまぁみろ、という気分になれなかったのは、彼女の隣に座っていた兄テオドールが母親を必死で心配していたからだ。
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