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ヴァルディアの王宮は、リリアナが生まれて初めて目にするほど壮麗だった。
白い大理石の柱が並ぶ広間、色鮮やかなステンドグラスから朝日が差し込み、空気が金色に染まる。
彼女はその中央で、ゆるやかに膝を折った。
「アーデル家令嬢、リリアナ・アーデルでございます」
声は落ち着いていた。
けれど内心では、少しだけ指先が震えていた。
──この国で、生きていくための第一歩。失敗はできない。
玉座に座る国王は、白髪混じりの髪に深い青の瞳を持つ壮年の男性。
威厳に満ちた佇まいの奥に、どこか優しさを宿している。
その隣には、もう一人の男がいた。
「彼が……」
小さく呟いた声が、誰にも聞こえないように消える。
黒髪に銀の瞳。
カイル殿下とは正反対の、冷たい美貌を持つ青年。
ヴァルディア第一王子──アラン・ヴァルディア殿下。
彼はリリアナをじっと見つめた。
その視線は刃のように鋭く、それでいて底知れない静けさを帯びていた。
「ふむ……これが例の“王太子を拒んだ令嬢”か」
「お噂に違わぬ方です」
カイル殿下が軽く笑う。
しかしアラン殿下の口元には、薄い笑みが浮かんだだけだった。
「面白い。捨てられた女が、我が国の外交顧問になるとはな」
挑発的なその言葉に、周囲の空気が一瞬凍りつく。
だがリリアナは、怯まなかった。
「ええ。ですからこそ、他国の裏切りには誰よりも詳しいと自負しておりますわ」
その一言に、アラン殿下の眉が僅かに動く。
国王がふっと笑った。
「見事な返しだ。リリアナ・アーデル、そなたを正式に外交顧問として任命する」
「ありがたき幸せにございます、陛下」
その瞬間、カイル殿下が一歩前に出て、軽くリリアナの肩に手を置いた。
わずかな仕草に、アラン殿下の目が細くなる。
兄弟の間に、静かな火花が散った。
数日後。
リリアナはヴァルディア王国と隣国ルルシアの会談に同行することになった。
外交顧問としての初仕事。
だが、そこに思わぬ人物が現れた。
「……まさか、あなたが」
「久しぶりだね、リリアナ」
ルルシアの使節団の中にいたのは、彼女の元婚約者──エドガーだった。
彼は苦しげに笑いながら、彼女を見つめていた。
「まさか君がヴァルディアの顧問になっているとは……」
「ええ。驚きましたか?」
「リリアナ、話を――」
「仕事中ですわ。公務以外の話なら、後ほど外交ルートを通してどうぞ」
完璧な笑みでそう告げると、エドガーは顔を歪めた。
彼女の冷たさに、もう“あの頃のリリアナ”はいないと理解したのだろう。
しかし、そのやり取りを黙って見ていた人物がいた。
アラン殿下だ。
「王太子殿下、あの方が“過去”ですか?」
低く抑えた声。
そこに皮肉はなかった。ただ観察するような、鋭い視線だけ。
「……あれは、ただの過去ですわ」
「ならばいい。だが、彼は君を諦めていないようだ」
「諦めるも諦めぬも、関係ありません。わたくしは、ここで生きます」
アラン殿下は、少しだけ目を細めた。
その表情に、ほんのわずかな興味の色が浮かぶ。
「強い女だな。だが――」
彼はリリアナの耳元に低く囁いた。
「強い女ほど、折れるときは脆い。気をつけろ」
リリアナは、胸の奥が少しだけざわつくのを感じた。
なぜ、この男の声はこんなにも心を乱すのか。
会談は緊張した空気の中で続いた。
ルルシア側が一方的に不利な条件を突きつけようとした瞬間、
リリアナが淡々と書類の一部を指差す。
「その条項、昨年の締結内容と矛盾しておりますわ」
「なっ……!」
「このまま提出なされば、ヴァルディア王国としては“条約違反”を理由に破棄も可能です。……よろしいですか?」
その一言で場が静まり返った。
アラン殿下が腕を組み、口元をわずかにゆるめる。
「さすがだな、リリアナ・アーデル」
彼の声には、初めて称賛の響きがあった。
そして会談が終わった後。
アラン殿下は廊下で彼女を呼び止める。
「君の働き、見事だった」
「恐れ入ります」
「カイルは……君に特別な感情を抱いているようだな」
「え?」
思わず顔を上げたリリアナに、彼は静かに微笑んだ。
その笑みは、どこか冷たく、そして甘い。
「弟は不器用だ。だが、君を見る目だけは、優しかった」
「……殿下は、それをどう思われるのですか?」
「どうもこうもないさ。ただ――俺も君に興味が湧いた」
リリアナは息を呑む。
彼の指が、ほんの一瞬、彼女の顎に触れた。
その仕草はまるで、挑戦状のようだった。
「弟のものになる前に、俺に惚れさせてみせろ」
「……冗談はおやめくださいませ」
「冗談なら、こんな顔はしない」
銀色の瞳が、まっすぐにリリアナを射抜く。
その視線から逃れようとしても、心が離れない。
危険な香りがするのに、どうしようもなく惹かれてしまう。
その夜。
カイル殿下の部屋を訪れたリリアナは、昼間の出来事を報告した。
彼の表情はいつものように穏やかだったが、どこか曇っていた。
「アランが……何を言っていた?」
「いえ、特に。少し会話を交わしただけです」
「……そうか」
わずかに沈黙。
そして、低く漏れた声。
「気をつけろ。あの人は、俺とは違う意味で危険だ」
「危険?」
「人の心を弄ぶことに、何の痛みも感じない」
その言葉に、リリアナの胸が小さく痛んだ。
――それは、かつてのエドガーにも似ていた。
けれど、アラン殿下の“冷たさ”はそれだけではない気がした。
「……わたくしは大丈夫です」
「本当か?」
「ええ。泣くことはもう、ありませんもの」
そう言うと、カイル殿下がそっと彼女の髪に触れた。
温かく、優しい手。
だが、その優しさがなぜか切なく感じた。
「……リリアナ。もし君が望むなら、このままヴァルディアに永住すればいい」
「……殿下?」
「君を手放したくない。仕事だけじゃなく――一人の女性としても」
心臓が跳ねる。
胸の奥に広がるのは、懐かしい温もりと、新しいときめき。
けれどその直後、カイル殿下の瞳に一瞬影が差した。
「兄が動き出した。おそらく、君を“外交カード”として使うつもりだ」
「……わたくしを?」
「あの男は、欲しいものを奪う。たとえ血を分けた弟のものでも」
リリアナは唇を噛んだ。
国同士の思惑に、また自分が巻き込まれるのか。
だけど、もう逃げるつもりはなかった。
「なら、奪われないようにすればいいですわね」
「……強いな、本当に」
「あなたがそう言ってくださるから、強くなれるんです」
その言葉に、カイル殿下の表情がわずかに揺らいだ。
次の瞬間、彼が静かに囁く。
「リリアナ……」
そして、唇が触れる――寸前で。
扉がノックされた。
「カイル殿下、至急の報告です!」
使用人の声が緊迫している。
彼は名残惜しそうに距離を取った。
「……続きは、また後で」
「ええ。約束ですわよ?」
彼が部屋を出て行った後、リリアナはひとり、胸に手を当てた。
高鳴る鼓動が、止まらない。
けれど、窓の外では月が不穏に光っていた。
遠く離れた王都で、エドガーがひそかに書簡を燃やしていたのを、
この時の彼女はまだ知らない。
翌朝。
城下の市場で、リリアナは偶然アラン殿下と再会した。
護衛もつけず、人混みの中に紛れていた彼は、意外にも穏やかに微笑んだ。
「こんなところで会うとは。運命かな」
「運命という言葉を軽々しく使う殿下は、お好きではありませんわ」
「じゃあ、これは“偶然”か?」
「……それも、好きではありません」
彼は声を立てて笑う。
その笑顔が、不意に胸をざわつかせた。
カイルとは違う、危うい魅力。
触れれば壊れそうで、けれど惹かれてしまう。
「君は面白いな、リリアナ。弟が惚れるのもわかる」
「お戯れを」
「本気だよ。君を奪えば、あいつの顔がどんな風に歪むか……見てみたくなる」
その言葉に、リリアナの胸が凍る。
だが次の瞬間、アラン殿下が一歩近づき、囁いた。
「でも、それだけじゃない。――俺自身、君に惹かれている」
目が合う。
銀色の瞳が、まっすぐに心を射抜いた。
まるで逃げ道など、最初から存在しないかのように。
その瞬間、背後で物音がした。
リリアナが振り向くと、そこには……カイル殿下が立っていた。
「……何をしている、兄上」
市場の喧騒の中、三人の視線が交錯する。
その空気は、まるで嵐の前の静けさのように、張り詰めていた。
白い大理石の柱が並ぶ広間、色鮮やかなステンドグラスから朝日が差し込み、空気が金色に染まる。
彼女はその中央で、ゆるやかに膝を折った。
「アーデル家令嬢、リリアナ・アーデルでございます」
声は落ち着いていた。
けれど内心では、少しだけ指先が震えていた。
──この国で、生きていくための第一歩。失敗はできない。
玉座に座る国王は、白髪混じりの髪に深い青の瞳を持つ壮年の男性。
威厳に満ちた佇まいの奥に、どこか優しさを宿している。
その隣には、もう一人の男がいた。
「彼が……」
小さく呟いた声が、誰にも聞こえないように消える。
黒髪に銀の瞳。
カイル殿下とは正反対の、冷たい美貌を持つ青年。
ヴァルディア第一王子──アラン・ヴァルディア殿下。
彼はリリアナをじっと見つめた。
その視線は刃のように鋭く、それでいて底知れない静けさを帯びていた。
「ふむ……これが例の“王太子を拒んだ令嬢”か」
「お噂に違わぬ方です」
カイル殿下が軽く笑う。
しかしアラン殿下の口元には、薄い笑みが浮かんだだけだった。
「面白い。捨てられた女が、我が国の外交顧問になるとはな」
挑発的なその言葉に、周囲の空気が一瞬凍りつく。
だがリリアナは、怯まなかった。
「ええ。ですからこそ、他国の裏切りには誰よりも詳しいと自負しておりますわ」
その一言に、アラン殿下の眉が僅かに動く。
国王がふっと笑った。
「見事な返しだ。リリアナ・アーデル、そなたを正式に外交顧問として任命する」
「ありがたき幸せにございます、陛下」
その瞬間、カイル殿下が一歩前に出て、軽くリリアナの肩に手を置いた。
わずかな仕草に、アラン殿下の目が細くなる。
兄弟の間に、静かな火花が散った。
数日後。
リリアナはヴァルディア王国と隣国ルルシアの会談に同行することになった。
外交顧問としての初仕事。
だが、そこに思わぬ人物が現れた。
「……まさか、あなたが」
「久しぶりだね、リリアナ」
ルルシアの使節団の中にいたのは、彼女の元婚約者──エドガーだった。
彼は苦しげに笑いながら、彼女を見つめていた。
「まさか君がヴァルディアの顧問になっているとは……」
「ええ。驚きましたか?」
「リリアナ、話を――」
「仕事中ですわ。公務以外の話なら、後ほど外交ルートを通してどうぞ」
完璧な笑みでそう告げると、エドガーは顔を歪めた。
彼女の冷たさに、もう“あの頃のリリアナ”はいないと理解したのだろう。
しかし、そのやり取りを黙って見ていた人物がいた。
アラン殿下だ。
「王太子殿下、あの方が“過去”ですか?」
低く抑えた声。
そこに皮肉はなかった。ただ観察するような、鋭い視線だけ。
「……あれは、ただの過去ですわ」
「ならばいい。だが、彼は君を諦めていないようだ」
「諦めるも諦めぬも、関係ありません。わたくしは、ここで生きます」
アラン殿下は、少しだけ目を細めた。
その表情に、ほんのわずかな興味の色が浮かぶ。
「強い女だな。だが――」
彼はリリアナの耳元に低く囁いた。
「強い女ほど、折れるときは脆い。気をつけろ」
リリアナは、胸の奥が少しだけざわつくのを感じた。
なぜ、この男の声はこんなにも心を乱すのか。
会談は緊張した空気の中で続いた。
ルルシア側が一方的に不利な条件を突きつけようとした瞬間、
リリアナが淡々と書類の一部を指差す。
「その条項、昨年の締結内容と矛盾しておりますわ」
「なっ……!」
「このまま提出なされば、ヴァルディア王国としては“条約違反”を理由に破棄も可能です。……よろしいですか?」
その一言で場が静まり返った。
アラン殿下が腕を組み、口元をわずかにゆるめる。
「さすがだな、リリアナ・アーデル」
彼の声には、初めて称賛の響きがあった。
そして会談が終わった後。
アラン殿下は廊下で彼女を呼び止める。
「君の働き、見事だった」
「恐れ入ります」
「カイルは……君に特別な感情を抱いているようだな」
「え?」
思わず顔を上げたリリアナに、彼は静かに微笑んだ。
その笑みは、どこか冷たく、そして甘い。
「弟は不器用だ。だが、君を見る目だけは、優しかった」
「……殿下は、それをどう思われるのですか?」
「どうもこうもないさ。ただ――俺も君に興味が湧いた」
リリアナは息を呑む。
彼の指が、ほんの一瞬、彼女の顎に触れた。
その仕草はまるで、挑戦状のようだった。
「弟のものになる前に、俺に惚れさせてみせろ」
「……冗談はおやめくださいませ」
「冗談なら、こんな顔はしない」
銀色の瞳が、まっすぐにリリアナを射抜く。
その視線から逃れようとしても、心が離れない。
危険な香りがするのに、どうしようもなく惹かれてしまう。
その夜。
カイル殿下の部屋を訪れたリリアナは、昼間の出来事を報告した。
彼の表情はいつものように穏やかだったが、どこか曇っていた。
「アランが……何を言っていた?」
「いえ、特に。少し会話を交わしただけです」
「……そうか」
わずかに沈黙。
そして、低く漏れた声。
「気をつけろ。あの人は、俺とは違う意味で危険だ」
「危険?」
「人の心を弄ぶことに、何の痛みも感じない」
その言葉に、リリアナの胸が小さく痛んだ。
――それは、かつてのエドガーにも似ていた。
けれど、アラン殿下の“冷たさ”はそれだけではない気がした。
「……わたくしは大丈夫です」
「本当か?」
「ええ。泣くことはもう、ありませんもの」
そう言うと、カイル殿下がそっと彼女の髪に触れた。
温かく、優しい手。
だが、その優しさがなぜか切なく感じた。
「……リリアナ。もし君が望むなら、このままヴァルディアに永住すればいい」
「……殿下?」
「君を手放したくない。仕事だけじゃなく――一人の女性としても」
心臓が跳ねる。
胸の奥に広がるのは、懐かしい温もりと、新しいときめき。
けれどその直後、カイル殿下の瞳に一瞬影が差した。
「兄が動き出した。おそらく、君を“外交カード”として使うつもりだ」
「……わたくしを?」
「あの男は、欲しいものを奪う。たとえ血を分けた弟のものでも」
リリアナは唇を噛んだ。
国同士の思惑に、また自分が巻き込まれるのか。
だけど、もう逃げるつもりはなかった。
「なら、奪われないようにすればいいですわね」
「……強いな、本当に」
「あなたがそう言ってくださるから、強くなれるんです」
その言葉に、カイル殿下の表情がわずかに揺らいだ。
次の瞬間、彼が静かに囁く。
「リリアナ……」
そして、唇が触れる――寸前で。
扉がノックされた。
「カイル殿下、至急の報告です!」
使用人の声が緊迫している。
彼は名残惜しそうに距離を取った。
「……続きは、また後で」
「ええ。約束ですわよ?」
彼が部屋を出て行った後、リリアナはひとり、胸に手を当てた。
高鳴る鼓動が、止まらない。
けれど、窓の外では月が不穏に光っていた。
遠く離れた王都で、エドガーがひそかに書簡を燃やしていたのを、
この時の彼女はまだ知らない。
翌朝。
城下の市場で、リリアナは偶然アラン殿下と再会した。
護衛もつけず、人混みの中に紛れていた彼は、意外にも穏やかに微笑んだ。
「こんなところで会うとは。運命かな」
「運命という言葉を軽々しく使う殿下は、お好きではありませんわ」
「じゃあ、これは“偶然”か?」
「……それも、好きではありません」
彼は声を立てて笑う。
その笑顔が、不意に胸をざわつかせた。
カイルとは違う、危うい魅力。
触れれば壊れそうで、けれど惹かれてしまう。
「君は面白いな、リリアナ。弟が惚れるのもわかる」
「お戯れを」
「本気だよ。君を奪えば、あいつの顔がどんな風に歪むか……見てみたくなる」
その言葉に、リリアナの胸が凍る。
だが次の瞬間、アラン殿下が一歩近づき、囁いた。
「でも、それだけじゃない。――俺自身、君に惹かれている」
目が合う。
銀色の瞳が、まっすぐに心を射抜いた。
まるで逃げ道など、最初から存在しないかのように。
その瞬間、背後で物音がした。
リリアナが振り向くと、そこには……カイル殿下が立っていた。
「……何をしている、兄上」
市場の喧騒の中、三人の視線が交錯する。
その空気は、まるで嵐の前の静けさのように、張り詰めていた。
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