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130 「サンショウウオの四十九日」
しおりを挟むこんにちは。
今回はこちらの本のご紹介です。
このたびは国語の教科書からは離れ、第171回芥川賞を受賞した作品。
〇「サンショウウオの四十九日」
朝比奈 秋・著 / 新潮社(2024)
正直、中学の学校図書館にはあまり芥川賞作品を入れる場面がないのですが、それはやっぱりこの賞の作品が少々難解で、「大人向け」であると思われることが多いから……ですね。
けれどもこの作品はなんというか、特に若い人のアイデンティティ、「自分とは何か」「自分とはだれか」「他者と私はどう違うのか」といったことが大きなテーマのひとつでもあって、中学校にある意味はあるのではないかと思いました。
それではいつものように、ネタバレにならない程度に内容をご紹介しましょう。
主人公は二人の女性、瞬と杏。二人は姉妹であり双子なのですが、「結合双生児」と呼ばれる状態で生まれてきた人。
実際に動揺の状態で生まれてきた有名な双生児にアビー&ブリタニー姉妹やベトちゃんドクちゃんがいますね。確か漫画「ブラックジャック」の中にも同様の状況で生まれた子どもが出てくるお話があったかと。
これらの例では、ふたりの頭は別々であったり、腰の部分だけがくっついていたりなのですが、瞬と杏の状況はずっと深刻なものです。体が右と左とでほぼ半分ずつの状態で溶け合うようにつながり、「ぱっと見たところでは一人に見える状態」なのです。
実は彼女たちの父親とその兄も不思議な生まれかたをしていて、そのことが彼女たちの意識にも大きな影響を与えているのですが……。
ひとつの身体の中に二人ぶんの人格と臓器を詰め込まれたという非常に複雑な状況を、現役の医師でもという著者・朝比奈氏が淡々とした筆致で描いてゆきます。
「わたしは何者なのか」「どういう状態が『生きている』状態と言えるのか」などなど、いろいろと考えさせられるストーリーなのですが、短いですし難しい言葉などもなくて読みやすい本でした。そういう意味でも中学生にお勧めしやすいかもしれません。いや、内容はちょっと難しいかな……とは、やはり思うのですが。
ということで、今回はこのあたりで。
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