27 / 150
27 「きみの友だち」(重松清)
しおりを挟む
ほかの学校図書館でどうなのかはよく知らないのですが、うちの図書館には重松清さんの著作が比較的たくさん入れられています。
タイトルに選んだ「きみの友だち」は、中学1年生の国語の教科書でも紹介されている作品。
「きみの友だち」
重松清・著 / 新潮社(2008)
「きみ」という二人称で進んでいく、ちょっと珍しいつくりの短編集で、主人公はそれぞれの話で変わっていきます。中心人物となるのは恵美という交通事故で片足を悪くしてしまった女の子。
彼女がその事故をきっかけにクラスで孤立するようになり、病気がちでやっぱりクラスから浮いているおっとりした少女、由香と少しずつ仲良くなるところからお話は始まります。
彼女の周囲にいる色んな子どもたちの視点から、それぞれの悩みや心配ごとや、親友かつライバルへの言葉にしにくい微妙な気持ちなどが、短編連作として語られていくスタイル。最初は小学生の恵美から始まりますが、彼女が大人になるまでの非常に長い年月にわたる話にもなっています。
根底にずっとあるのは、「友だちってなんだろう」ではないかなと思いました。
個人的には恵美の8歳下の弟、文彦(ブンちゃん)と、その親友かつライバルである基哉(モト)の青春いっぱいでちょっと甘酸っぱい物語がとても好みです。
重松さんの作品は、どれも言葉がとても平易です。ひとつも肩ひじはったところがなく、まったく飾らず自然体。この、すっと心に入ってくる素直な文体に好感が持てます。全体に、中学生でも十分理解できるような易しい語彙しか使っていないのも特徴のひとつでしょう。
それでいて、厳しいリアルの世界の暗さや汚さから目をそらさない筆致。決しておしつけがましくはないけれど、いまの子どもたちにとってなにかのヒントになれたら……という、作家としての思いのようなものを感じます。
そのためなのか、国語の教科書にも、例の「リトル・トリー」が入っていた「わたしたちの本棚」にも、重松作品は選ばれています。主人公が思春期と言われる小学校五年生ぐらいから中学生に設定されている作品が多いことも理由のひとつなのでしょう。
うちの図書館に入っているものをちょっと紹介しますと、
「ナイフ」(わたしたちの本棚)
重松清・著 / 新潮社(2000)
「エイジ」(2年生国語教科書)
重松清・著 / 新潮社(2004)
「ブランケット・キャッツ」
重松清・著 / 朝日新聞社(2008)
「小学五年生」(2年生国語教科書)
重松清・著 / 文藝春秋(2009)
「卒業ホームラン 自薦短編集・男子編」
重松清・著 / 新潮社(2011)
まだまだありますが、ひとまずこのぐらいで。
この中の「卒業ホームラン」については、うちの学校で放送読書のテキストとして選ばれたこともあります。
作家さんご本人がおっしゃるとおり、全体に派手なことは何もなくて、むしろ「ナイフ」などはまっすぐにいじめがテーマになっていたりしますし、子どもたちにお勧めするときには、あまりおしつけがましくならないように、よくよく考えなくてはならない作品群ではあります。
ですが、中学校の司書として、これもまた学校図書館になくてはならない本たちのひとつではないかと考えている次第です。
ささやかなものですが、なにかのご参考になれば幸いです。
タイトルに選んだ「きみの友だち」は、中学1年生の国語の教科書でも紹介されている作品。
「きみの友だち」
重松清・著 / 新潮社(2008)
「きみ」という二人称で進んでいく、ちょっと珍しいつくりの短編集で、主人公はそれぞれの話で変わっていきます。中心人物となるのは恵美という交通事故で片足を悪くしてしまった女の子。
彼女がその事故をきっかけにクラスで孤立するようになり、病気がちでやっぱりクラスから浮いているおっとりした少女、由香と少しずつ仲良くなるところからお話は始まります。
彼女の周囲にいる色んな子どもたちの視点から、それぞれの悩みや心配ごとや、親友かつライバルへの言葉にしにくい微妙な気持ちなどが、短編連作として語られていくスタイル。最初は小学生の恵美から始まりますが、彼女が大人になるまでの非常に長い年月にわたる話にもなっています。
根底にずっとあるのは、「友だちってなんだろう」ではないかなと思いました。
個人的には恵美の8歳下の弟、文彦(ブンちゃん)と、その親友かつライバルである基哉(モト)の青春いっぱいでちょっと甘酸っぱい物語がとても好みです。
重松さんの作品は、どれも言葉がとても平易です。ひとつも肩ひじはったところがなく、まったく飾らず自然体。この、すっと心に入ってくる素直な文体に好感が持てます。全体に、中学生でも十分理解できるような易しい語彙しか使っていないのも特徴のひとつでしょう。
それでいて、厳しいリアルの世界の暗さや汚さから目をそらさない筆致。決しておしつけがましくはないけれど、いまの子どもたちにとってなにかのヒントになれたら……という、作家としての思いのようなものを感じます。
そのためなのか、国語の教科書にも、例の「リトル・トリー」が入っていた「わたしたちの本棚」にも、重松作品は選ばれています。主人公が思春期と言われる小学校五年生ぐらいから中学生に設定されている作品が多いことも理由のひとつなのでしょう。
うちの図書館に入っているものをちょっと紹介しますと、
「ナイフ」(わたしたちの本棚)
重松清・著 / 新潮社(2000)
「エイジ」(2年生国語教科書)
重松清・著 / 新潮社(2004)
「ブランケット・キャッツ」
重松清・著 / 朝日新聞社(2008)
「小学五年生」(2年生国語教科書)
重松清・著 / 文藝春秋(2009)
「卒業ホームラン 自薦短編集・男子編」
重松清・著 / 新潮社(2011)
まだまだありますが、ひとまずこのぐらいで。
この中の「卒業ホームラン」については、うちの学校で放送読書のテキストとして選ばれたこともあります。
作家さんご本人がおっしゃるとおり、全体に派手なことは何もなくて、むしろ「ナイフ」などはまっすぐにいじめがテーマになっていたりしますし、子どもたちにお勧めするときには、あまりおしつけがましくならないように、よくよく考えなくてはならない作品群ではあります。
ですが、中学校の司書として、これもまた学校図書館になくてはならない本たちのひとつではないかと考えている次第です。
ささやかなものですが、なにかのご参考になれば幸いです。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる