つれづれ司書ばなし

つづれ しういち

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29 譲渡会と寄贈本受け入れ作業

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 こんにちは。
 ちょっと久しぶりの更新です。

 私たちの地域では、毎年このぐらいの時期になると、中央図書館から公立の小中学校の司書に向けて、不要本譲渡会のお知らせが舞い込みます。
 この場合の不要本というのは、市民のみなさんから寄贈されはしたものの、すでに館内に十分な蔵書があって、これ以上は受け入れられないと判断された本のこと。
 譲渡の日程は決まっていて、いずれも休館日である月曜日に設定されています。決められた日程の中から司書が日にちと時間を予約し、当日本の引き取りに伺います。休館日なので通常の入り口ではなく、通用口の方から入り、普段は利用者が目にすることのないであろうバックスペースへ。
 
 私はいまの学校図書館に務めて三年目になりますが、実はこの譲渡会に参加するのは今回が初めての経験でした。一年目は自館の本のことをまだ十分把握しきれていないという不安がありましたし、二年目はちょうどその時期に授業支援の準備があるなどして多忙で、泣く泣く見送ったような次第でした。
 と、いうことで。
 今年はようやく、譲渡会に参加することができたわけです。
 この譲渡会は、こちらでは出張扱いにしてもらえています。当日は朝一番で、自宅から直接出かけました。今回は自前の折りたたみ式の買い物カートを持って行きました。わたくし腰に爆弾を抱えているため(椎間板ヘルニアで結婚前に入院した過去あり・苦笑)そこは絶対に無理をしません。
 歩いて来られる場所に学校がある司書さんは、なんと大きなリヤカーみたいなワゴンを持参されていました。これにはびっくり。

 とはいえ、私は最初からそんなに大量の本を頂くつもりはありませんでした。なんといっても、完全に無装備の本を頂いてくるとなると、その後の受け入れ作業がかなり大変になることが分かっていたからです。
 事実、他の学校司書さんが「前に百冊(一校の上限ぎりぎり)までもらって帰った時、あとがすんごく大変だったわよ~」とおっしゃっているのも聞きました。そりゃ百冊もあったら大変よ……。

 寄贈本の受け入れ作業としては、大体こんな感じです。

①本の裏に、全市共通であるバーコードのシールを貼る。
②コーティング用のビニールシート(ブッカー)を掛ける。
③国立国会図書館のサイトなどでNDCを調べて背ラベルを作成し、貼る。
④自館の所蔵印を捺す。そこにバーコードの番号も記載する。どこから譲渡されたかも記載。
⑤パソコン上の自校の蔵書リストや図書原簿に書誌や受け入れ日を記載する。
⑥図書原簿は印刷してファイリングする。

 大まかにいって、大体こんな感じです。
 それを一人で百冊もやるとなれば、相当な時間と労力が必要になります。
 いや、すごい根性です。尊敬します。
 すでに装備が終わっている購入した本でも、百冊受け入れるとなったらかなりの手間ですもんね。ビニールシートを貼るのも、慣れていても一冊5分はかかりますし。
 普段、どこかから寄贈された本や、私が古書店などで手に入れた(シリーズなのにあちこち歯抜け状態になっているうえ、絶版でもう手に入らない……といった本が中心)などで寄贈した本も、同様の手続きをしています。なかなか手間な作業なのですが、絶対にスルーはできないことです。

 そんなこんなで、新品ではないものの、この季節には珍しく、新着本が自館入り口付近のコーナーに置かれました。生徒たちは「あ、こんなん入ったんや~」と楽しそうに手にして、借りていってくれています。

 今回は基本的に、中学生がぱっと見て手に取りそうな本、資料として絶対に必要そうな本を中心に選びました。
 資料として必要そうな本としては、阪神・淡路大震災に関する小学生や中学生の手記などを選んできました。

 さてここからは、今回いただいてきたものの中から、中学生に手に取ってもらえそうだと思った本を数冊、紹介したいと思います。

●「日本人の知らない日本語2」
 蛇蔵・海野凪子・著 / メディアファクトリー(2010)

 こちらは2巻なのですが、1巻は中学の国語の教科書にも紹介されています。
 外国人の学生が集まる日本語学校で講師をする女性が主人公。そこでくりひろげられる、外国人学生の日本語に関する様々な誤解や疑問に直面する姿を、マンガで楽しく紹介しています。
 マンガではあるのですが、日本語ネイティブとして漫然と育ち、生きているとつい見逃している日本語の細かな意味の違いや奥深さなどについて知ることができる、なかなかお役立ちで楽しい本です。
 学生さんたちはほぼ成人ですが、みなさん非常に知的で個性的。「日本のオタク文化が大好きで日本に来た」という人がいるかと思えば、日本の昔のヤクザ映画が大好きで、ご本人は非常に上品なかたなのに突然すごい表現を使って(察してください・笑)講師がびっくりする、なんてことがあったりします。
 読んでいて笑ってしまったり、「なるほど!」と思わされたりします。そうこうするうち、日本語への理解が深まっているという興味深い本です。

●「めざせ イグ・ノーベル賞 傾向と対策」
 久我羅内・著 / 阪急コミュニケーションズ(2008)

 みなさんご存知イグ・ノーベル賞の、これまでの賞の内容を紹介し、その面白さに迫る本です。比較的薄くて、内容も軽い感じで読めるように工夫されており、中学生には楽しく読めそうだなと思って選んできました。
 ちょっと受賞したという研究の内容を紹介しますと、
「シロップのなかと水のなかではどちらが速く泳げるか」
「五秒ルールは本当か」
「黒板を引っかく音が嫌な理由」
 あと、少し下ネタになりますが、ほかにも
「直腸に挿入されたものリスト」
「ジッパーにペ〇スがはさまったら」(※注 〇はオトナの事情により、つづれが入れています・苦笑)
 なんていうのもあります。
 いずれも面白いものばかり。五秒ルールに関しては、女子高生が受賞しているそうです。

●「日本国憲法 大阪おばちゃん語訳」
 谷口真由美・著 / 文藝春秋(2014)

 こちらはタイトル通りなのですが、中学三年生ではじめて詳しく学び始める日本国憲法について、すべて大阪のおばちゃん風に大阪弁で解説してくれるという、ちょっと毛色の変わった本です。
 とはいえ、内容はきちんとしたもの。「中学生が気軽に憲法に触れるにはいいかな?」と思いました。
 表紙がまさに大阪のおばちゃん風のイラストとヒョウ柄の背景になっていて、ポップで楽しそうなのも良かったです。

 と、今回はこんな感じでした。
 なにかのご参考になれば幸いです。
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