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41 「バッテリー」
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こんにちは。
以前、陸上に関する本のご紹介をしたことがありますね。
ですが、実は私は司書でありながら、なんとなくもともとスポーツを題材にした小説作品があまり得意ではありません。理由は色々思い当たるのですが、まあそれは置いておいて。
そんなわけで、バレーボールやバスケットボール、水泳、剣道、野球など、これまで様々な小説が色々な作家によって書かれてきているにも関わらず、さほどたくさんは読んでこなかったクチです。
実は今回ご紹介する「バッテリー」もそれで、作品の存在は(以前ドラマ化などもされていたこともあって)ずっと前から存じ上げていながらも、個人的になかなか手が出ずにいたのでした。
こちらの作品は、前にも紹介したこちら地域の「中学校教育研究会図書館部の推薦図書53冊」の中にも含まれています。であるにも関わらず、なかなか読まなかったわけですね、わたくし。どんだけ……(苦笑)。
でもでも、すみませんでした!
本当に、ほんっとうに良かったのです。
あんまりよくて、つい沢山借りて帰ってしまい、ある意味それがもとで骨折したような流れでして……(苦笑)。
ということで、このたびは心を入れ替えてのご紹介と相成りました。
○「バッテリー」全6巻
あさのあつこ・著 / 教育画劇(1996~2005年)
「バッテリー」は、ご存知のかたにはまことに今さらではありますが、あさのあつこ先生の書かれた野球を題材にした児童文学です。
都会から、祖父の住む岡山・新田市へ家族とともにやってきた原田巧。小学生のころから天才ピッチャーとしての才能をあらわし、入学した新田東中学の野球部で、彼の球に心を奪われ、「どうしてもおれが巧の球を捕りたい」と祈りに近い気持ちで願うようになる、永倉豪くんとバッテリーになります。
スポーツものなので、やれ「根性」だとか「爽やか」だとか「友情」だとかがテーマだろうとつい連想してしまうのですが、こちらの小説はそういった物語とは一線を画しています。そういう風に予想して読み始めると、必ず予想を裏切られるのではないかと思います。
なにしろ、嘘がないというか。
綺麗なだけじゃいられない、色々な嫉妬や悩みやチームメイトに対するもどかしい気持ちや対立などなどが渦巻いて、本当に真摯に若者の気持ちに寄りそう作品に仕上がっている、そんな印象です。
巧くんは確かに天才ピッチャーなのですが、彼には彼の悩みや焦燥がありますし、その「天才」にどうにかしてついていこうと悩みながらも頑張る豪くんの姿には思わず胸を打たれます。
あさのあつこ先生のあとがきなどを拝見しますと、先生もこれを書くに際してはまさに七転八倒だったとのこと。
とにかくまず巧ありきであり、自分の道を究めるようにどんどん先へ行ってしまうこの凄まじい個性を放つ少年をどうやって文章に刻みつけようかと、日々悩みながら食らいついていくしかなかった……というようなことをおっしゃっています。
彼と彼を取り巻く人々の人間としての姿を描くことが最も大切な目的であり、それができるなら、たとえばスポーツは野球でなくてもよかった、とまで書いておられます。まさにヒューマンドラマですね。
ちなみにこの作品は、さきほど紹介した教育画劇版以外にも、角川書店から文庫版と角川つばさ文庫版が出版されています。
文庫版には、教育画劇版では入っていなかった短編のエピソードがいくつか追加されております。3巻目には、巧の弟、青波くんの心模様を描いた「樹下の少年」が収録され、天才の兄を持つ、病弱だけれども心の優しい少年の複雑な気持ちが丁寧に描かれています。
個人的にはライバルとなる強豪校、横手中の天才スラッガー・門脇と、その幼なじみで、ここまでいろいろこじらせて非常に複雑な人間味を見せてくれる瑞垣くんがとても好みです。
最後のシーンで、大切なとある試合の結果がわからないまま完結したこともあり、それが理由なのかどうかはわかりませんが、後日「ラスト・イニング」という後日談的な小説も書かれています。
ご興味がありましたら、ぜひどうぞ。
そして、小学生や中学生という日々を生きている学校の子どもたちにも、ぜひぜひお勧めしていただけたらと思います。
○「ラスト・イニング」
あさのあつこ・著 / 角川書店(2007年)
以前、陸上に関する本のご紹介をしたことがありますね。
ですが、実は私は司書でありながら、なんとなくもともとスポーツを題材にした小説作品があまり得意ではありません。理由は色々思い当たるのですが、まあそれは置いておいて。
そんなわけで、バレーボールやバスケットボール、水泳、剣道、野球など、これまで様々な小説が色々な作家によって書かれてきているにも関わらず、さほどたくさんは読んでこなかったクチです。
実は今回ご紹介する「バッテリー」もそれで、作品の存在は(以前ドラマ化などもされていたこともあって)ずっと前から存じ上げていながらも、個人的になかなか手が出ずにいたのでした。
こちらの作品は、前にも紹介したこちら地域の「中学校教育研究会図書館部の推薦図書53冊」の中にも含まれています。であるにも関わらず、なかなか読まなかったわけですね、わたくし。どんだけ……(苦笑)。
でもでも、すみませんでした!
本当に、ほんっとうに良かったのです。
あんまりよくて、つい沢山借りて帰ってしまい、ある意味それがもとで骨折したような流れでして……(苦笑)。
ということで、このたびは心を入れ替えてのご紹介と相成りました。
○「バッテリー」全6巻
あさのあつこ・著 / 教育画劇(1996~2005年)
「バッテリー」は、ご存知のかたにはまことに今さらではありますが、あさのあつこ先生の書かれた野球を題材にした児童文学です。
都会から、祖父の住む岡山・新田市へ家族とともにやってきた原田巧。小学生のころから天才ピッチャーとしての才能をあらわし、入学した新田東中学の野球部で、彼の球に心を奪われ、「どうしてもおれが巧の球を捕りたい」と祈りに近い気持ちで願うようになる、永倉豪くんとバッテリーになります。
スポーツものなので、やれ「根性」だとか「爽やか」だとか「友情」だとかがテーマだろうとつい連想してしまうのですが、こちらの小説はそういった物語とは一線を画しています。そういう風に予想して読み始めると、必ず予想を裏切られるのではないかと思います。
なにしろ、嘘がないというか。
綺麗なだけじゃいられない、色々な嫉妬や悩みやチームメイトに対するもどかしい気持ちや対立などなどが渦巻いて、本当に真摯に若者の気持ちに寄りそう作品に仕上がっている、そんな印象です。
巧くんは確かに天才ピッチャーなのですが、彼には彼の悩みや焦燥がありますし、その「天才」にどうにかしてついていこうと悩みながらも頑張る豪くんの姿には思わず胸を打たれます。
あさのあつこ先生のあとがきなどを拝見しますと、先生もこれを書くに際してはまさに七転八倒だったとのこと。
とにかくまず巧ありきであり、自分の道を究めるようにどんどん先へ行ってしまうこの凄まじい個性を放つ少年をどうやって文章に刻みつけようかと、日々悩みながら食らいついていくしかなかった……というようなことをおっしゃっています。
彼と彼を取り巻く人々の人間としての姿を描くことが最も大切な目的であり、それができるなら、たとえばスポーツは野球でなくてもよかった、とまで書いておられます。まさにヒューマンドラマですね。
ちなみにこの作品は、さきほど紹介した教育画劇版以外にも、角川書店から文庫版と角川つばさ文庫版が出版されています。
文庫版には、教育画劇版では入っていなかった短編のエピソードがいくつか追加されております。3巻目には、巧の弟、青波くんの心模様を描いた「樹下の少年」が収録され、天才の兄を持つ、病弱だけれども心の優しい少年の複雑な気持ちが丁寧に描かれています。
個人的にはライバルとなる強豪校、横手中の天才スラッガー・門脇と、その幼なじみで、ここまでいろいろこじらせて非常に複雑な人間味を見せてくれる瑞垣くんがとても好みです。
最後のシーンで、大切なとある試合の結果がわからないまま完結したこともあり、それが理由なのかどうかはわかりませんが、後日「ラスト・イニング」という後日談的な小説も書かれています。
ご興味がありましたら、ぜひどうぞ。
そして、小学生や中学生という日々を生きている学校の子どもたちにも、ぜひぜひお勧めしていただけたらと思います。
○「ラスト・イニング」
あさのあつこ・著 / 角川書店(2007年)
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