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93 「烏に単は似合わない」シリーズ
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こんにちは。
本日は日本の作家さまの作品をご紹介。
このところ、アニメ化された作品を某国営放送でたまたま拝見して興味をもったのですが、職場にも文庫本が少し入っておりまして。早速借りて読んでみたら、これがなかなか面白い!
〇「烏に単は似合わない」
阿部智里・著 / 文藝春秋(2014)
すでにシリーズ化されていて十冊ほど刊行済みなのですが、今回はその第一巻のみのご紹介を。
つづけて「烏は主を選ばない」「黄金の烏」……とつづきます。
ご覧のとおりでキーワードは「烏」。それも、「山内」と呼称される地域のみに暮らす、烏と人の姿を自在に行き来できる不思議な「八咫烏」の一族の物語なのです。
この設定からしてかなりSF風味のファンタジーなのですが、人物たちや文化の感じとしては日本の平安時代が近いような雰囲気。高貴な女性たちが着ているのが十二単であること、「薫物合わせ」や「長琴」などの存在からもそんな感じです。
ただ冒頭、こちらの作品はあまりにも女性好みというのか、女性の読者さまがお好みになりそうな後宮モノに見えてしまい、男子にお勧めするのをちょっと躊躇してしまいますね。表紙デザインもきらびやかな衣装をまとった女性の後ろ姿であったりしますし。
でも、でもですよ!
こちらはそんな様子を見せつつも、実は非常によくできたミステリーものでもあるのです。それが証拠にと申しますか、弱冠二十歳のお若さで著したこの物語で、作者の阿部智里氏は2012年、第十九回松本清張を受賞しているのです。
その事実は本書のあとがきから先に拝読していたわけなのですが、そうでなければわたくしも、冒頭で本を閉じていたかもしれません。でもそれは、恐らく人生の損失となったことでしょう。
さてさて。
お話の冒頭を少しご紹介いたしましょう。
「山内」では今上陛下のことを「金烏」と呼称するのですが、その息子でありいまだ独身である若宮のための后選びの儀式がはじまります。
山内には帝の宗家のほかに、大きな力を持つ貴族の四家(それぞれ北家、南家、西家、東家)が存在し、若宮が年ごろになるとそれぞれから姫を登殿させ、一年をかけてどの姫を后に選ぶかが競われていくのです。
読者はこのうち、おもに東家からきた二の姫、あせびの視点を通して物語を追っていくことに。本来、あせびは登殿する予定ではなかったのですが、姉の一の姫が急な疱瘡にかかって登ることができなくなったため、急遽彼女があがることになったのです。
というわけで、后としての教養などがほとんどないあせびが様々なことを教えられていく中で、読者もこの世界のことを知っていく形に。
ところがこの后選びの中で様々な事件が起こり……。
ちなみに若宮殿下なんですが、この「烏に単は似合わない」の中ではあまりたくさん登場しません。本来なら出席するべき后候補たちとの宴の席にも、なかなか登場しないのです。最後のほうで一気にたくさん登場しますが、そこがつまりはこの物語の醍醐味であり謎解きであり見どころ。ぜひ最後までしっかりとご覧いただきたいストーリーです。いやもうびっくりですから!
なお、ちっとも后たちに会いに来ようとしなかった若宮殿下がその間になにをなさっていたのか……というのが、実は続編「烏は主を選ばない」から語られていきます。その後、この山内という世界の謎、八咫烏の一族の謎が少しずつわかっていくという、まさに「続編ありき」な世界観となっています。
作者が非常にお若いこともあり、若い人にはお勧めしやすいかなと。男子には敬遠されがちかもしれませんが、ぜひミステリーとして楽しんでもらえたら……とも思います。
ではでは、今回はこのあたりで!
本日は日本の作家さまの作品をご紹介。
このところ、アニメ化された作品を某国営放送でたまたま拝見して興味をもったのですが、職場にも文庫本が少し入っておりまして。早速借りて読んでみたら、これがなかなか面白い!
〇「烏に単は似合わない」
阿部智里・著 / 文藝春秋(2014)
すでにシリーズ化されていて十冊ほど刊行済みなのですが、今回はその第一巻のみのご紹介を。
つづけて「烏は主を選ばない」「黄金の烏」……とつづきます。
ご覧のとおりでキーワードは「烏」。それも、「山内」と呼称される地域のみに暮らす、烏と人の姿を自在に行き来できる不思議な「八咫烏」の一族の物語なのです。
この設定からしてかなりSF風味のファンタジーなのですが、人物たちや文化の感じとしては日本の平安時代が近いような雰囲気。高貴な女性たちが着ているのが十二単であること、「薫物合わせ」や「長琴」などの存在からもそんな感じです。
ただ冒頭、こちらの作品はあまりにも女性好みというのか、女性の読者さまがお好みになりそうな後宮モノに見えてしまい、男子にお勧めするのをちょっと躊躇してしまいますね。表紙デザインもきらびやかな衣装をまとった女性の後ろ姿であったりしますし。
でも、でもですよ!
こちらはそんな様子を見せつつも、実は非常によくできたミステリーものでもあるのです。それが証拠にと申しますか、弱冠二十歳のお若さで著したこの物語で、作者の阿部智里氏は2012年、第十九回松本清張を受賞しているのです。
その事実は本書のあとがきから先に拝読していたわけなのですが、そうでなければわたくしも、冒頭で本を閉じていたかもしれません。でもそれは、恐らく人生の損失となったことでしょう。
さてさて。
お話の冒頭を少しご紹介いたしましょう。
「山内」では今上陛下のことを「金烏」と呼称するのですが、その息子でありいまだ独身である若宮のための后選びの儀式がはじまります。
山内には帝の宗家のほかに、大きな力を持つ貴族の四家(それぞれ北家、南家、西家、東家)が存在し、若宮が年ごろになるとそれぞれから姫を登殿させ、一年をかけてどの姫を后に選ぶかが競われていくのです。
読者はこのうち、おもに東家からきた二の姫、あせびの視点を通して物語を追っていくことに。本来、あせびは登殿する予定ではなかったのですが、姉の一の姫が急な疱瘡にかかって登ることができなくなったため、急遽彼女があがることになったのです。
というわけで、后としての教養などがほとんどないあせびが様々なことを教えられていく中で、読者もこの世界のことを知っていく形に。
ところがこの后選びの中で様々な事件が起こり……。
ちなみに若宮殿下なんですが、この「烏に単は似合わない」の中ではあまりたくさん登場しません。本来なら出席するべき后候補たちとの宴の席にも、なかなか登場しないのです。最後のほうで一気にたくさん登場しますが、そこがつまりはこの物語の醍醐味であり謎解きであり見どころ。ぜひ最後までしっかりとご覧いただきたいストーリーです。いやもうびっくりですから!
なお、ちっとも后たちに会いに来ようとしなかった若宮殿下がその間になにをなさっていたのか……というのが、実は続編「烏は主を選ばない」から語られていきます。その後、この山内という世界の謎、八咫烏の一族の謎が少しずつわかっていくという、まさに「続編ありき」な世界観となっています。
作者が非常にお若いこともあり、若い人にはお勧めしやすいかなと。男子には敬遠されがちかもしれませんが、ぜひミステリーとして楽しんでもらえたら……とも思います。
ではでは、今回はこのあたりで!
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