ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ

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七章 腹黒妖精熊事件

132. 女神教動画

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「さて、シーラさんの寿命の件だけど、事前に今日は長時間拘束しますって云ってた要件に関連するから、まずそっちの動画確認からしましょう」
「長い動画になりますの? 先にお花摘みに行ってもよろしいかしら?」
 レベッカがそういうので、一旦トイレ休憩をとる。

 ショウネシー邸の中には何ヶ所もおトイレがあるので、一番近くをドロシー王女に案内し、それぞれ適当なトイレに向かう。

 帰って来ると、ドロシー王女がぼそりと「王宮にもここと同じおトイレが欲しいわ」と言っているのが聞こえた。

「動画は二つあるの。どちらも女神教……この世界の成り立ちと歴史に関するもので、国内外で創世の女神と精霊エルフェーラについて正しく知ってもらう為に作ってみました。はじめの動画はそんなに長くないわ」

 エステラがそう言うと、マゴー達はカーテンを閉め各々にクッションを配っていく。

 アッシから一際大きな映像表示画面が展開された。



「キミはこの世界の形を知っているかい? そう、球体だ。この水晶玉みたいなね。この水晶玉のほんの僅かな一面に大陸があり、残りは海だ。その周りに大気の層で空が作られている。創世の女神は、大いなる光であり輝きだ。何もない世界に、精霊とその力の源、精霊元素……精素を生み出し、こうしてキミ達の暮らす世界を造った」

 美しい音楽や魔法で作った映像と共に、神官姿のエデンが進行役で動画は始まった。
 「この水晶玉のほんの僅かな……」のくだりでは、手に持っている水晶玉がズームアップされて、大陸や海の映像が重なる本格ぶりだった。
 そうして世界の成り立ち、創世の女神の恵みやハイエルフにハイドラゴン、三種族の特徴や精霊、魔法、そして女神に祈る時のコツなどについて説明された「女神教 創世記篇」の動画を見終える。

「これは……なんて美しい映像なの」
 前世の映画クオリティだ。マグダリーナは感動した。

「創世の女神……今まで漠然としていた印象でしたけど、しっかり想像出来るようになりますわね」
 ドロシー王女も感動が隠せない様子で、感想を述べた。


 そして次にまたもや、前世のハリウッド映画ばり「女神教 ウシュ帝国滅亡篇」の長編動画を見せられる。

 しかも脚本が素晴らしく、色んな種族の出てくるウシュ帝国滅亡篇は、史実の重要点はそのままに、そしてエデンの片恋や登場人物の関係性を上手く使って娯楽性も高かった。
 エルフェーラが、ルシンが、そして多くの始まりのハイエルフが次々と世界の為に精霊化し、ルシンから預かった女神の精石を持ったディオンヌが、エデンを蹴り倒してハイエルフの不老と不死に近い命を代償にエデンから女神の名を奪い、炎の雨の中、幼いニレルを抱えて走り抜ける姿は、何か話に聞いていたのに凄まじかった。
 その発端となったウシュ帝国王暗殺シーンでは、死の間際まで女神と民を想っていた王の姿に、思わず涙した。

 ただ単にエルフ達のせいで世界滅亡しかけましたよではなく、ラストで人心をまとめる事の難しさ、一人一人の思いやりが大事というようなメッセージ性が残るよう考えてあり、我が領にこれほどまでの作家先生が居たのかと思ったら、ヨナスだった。  

 以外な才能が発掘された瞬間だった。

 因みにウシュ帝国滅亡篇では、ズバッと殺される人族の王役にエイブリング辺境伯、戦闘シーンには辺境伯領の騎士の皆さん、他にも辺境伯娼館の演技力抜群の娼士の皆様にもご協力いただき、エルフェーラ役はニレルが姿変えを使い、ルシンも前世の姿に姿変えをして撮影に望んだ。
 最後に生き残るハイエルフの代表たるディオンヌ役は、エステラが姿変えを使った。この間、完全にエデンが挙動不審過ぎて、素でエステラに塩対応されていたらしい。

 姿変えまでしなくても、他の出演者もそれぞれ髪の色を変えたりしていた。
 役者はあくまで役者で登場人物の人格等とは無関係ですよと注意記載もある。

 他にもエルフの王とドワーフの王役はケントとブレアが行い、ウシュ帝国最後の王はイラナが演じた。
 しかも幼いニレル役はアンソニーが!
 他にもドーラやカレン、フェリックスにグレイと見知った顔が何人も出て来るし、ハイドラゴンは本物だ。

 ちゃんとエンドロールまであって、そこでは撮影後、揃って皆んなと楽しく焼肉パーティーをしてる様子も流れる。
 特に殺し合ってた辺境伯とケント、ブレアが仲良く椎茸を焼いて、醤油で食べてる姿は印象的だった。
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