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白い封筒
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もう何十年も前のことだ。ぼくが再婚するずっと前のこと。
あれは妻が亡くなる一カ月ほど前だった。妻のもとに白い洋封筒の手紙が届き始めた。妻は封を開け、便箋を見つめるたびに、何かに怯えたような表情を浮かべていた。
「どうかしたの?」
ぼくが尋ねても、妻は「なんでもない」と繰り返すばかりで、決して答えようとはしなかった。何度か封筒が届き、そのたびに妻は顔を青ざめていた。差出人の名前は、どれにも記されていなかった。
妻が亡くなった後、ぼくは遺品の中からそれらの封筒を見つけた。妻はすべてを大事に取っておいたらしい。ぼくは意を決して、中身を確かめてみた。
恐ろしいメッセージが書かれているのではないか——そう身構えていたのだが、中の便箋は、どれも真っ白だった。何も書かれていなかった。
それなのに、なぜ妻はあんなにも怯えていたのだろうか? 確実に分かるのは、妻が数日おきに届いていた封筒に怯えていたということ。そういえば、妻の死の前日には、五通もの封筒が届いていた。もちろん中身はすべて、真っ白な便箋だった。
この謎は一生かかっても解けないだろう。──そう思っていた。
だがある日、ぼくは思い知ることになった。なぜ妻が何も書かれていない真っ白な手紙に怯えていたのかを。
「どうしたの?」
今の妻が、不安げな顔でぼくを見てくる。
「ううん、何でもないよ」
きっと気のせいだ。
ぼくはそう言って、持っていたものを背後に隠した。──それは、前妻に届いていたような真っ白な封筒だった。
【解説&ヒントは↓をスクロール】
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〈ヒント「手紙の内容には意味がない……?」〉
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【解説】
なぜ主人公の妻は、何も書かれていない手紙に怯えていたのでしょうか?
その手紙には何も書かれていない、ということは手紙の内容ではなく、その存在自体に怯えていたということでしょう。
存在自体に怯えるとはどういうことか、それは最後の主人公の気持ちを想像すれば、同じことがかつての妻にも起きていたのだとわかるでしょう。前妻は謎の手紙に怯えて、一か月後に亡くなった。そんな手紙が自分のもとにも届いたということは、自分も近いうちに死んでしまうのではないか。そう主人公は思ったに違いありません。
はたして、白い封筒は誰が何の目的で届けているのでしょうか? 妻の死因は描かれていませんが、いったい何だったとあなたは思いますか?
あれは妻が亡くなる一カ月ほど前だった。妻のもとに白い洋封筒の手紙が届き始めた。妻は封を開け、便箋を見つめるたびに、何かに怯えたような表情を浮かべていた。
「どうかしたの?」
ぼくが尋ねても、妻は「なんでもない」と繰り返すばかりで、決して答えようとはしなかった。何度か封筒が届き、そのたびに妻は顔を青ざめていた。差出人の名前は、どれにも記されていなかった。
妻が亡くなった後、ぼくは遺品の中からそれらの封筒を見つけた。妻はすべてを大事に取っておいたらしい。ぼくは意を決して、中身を確かめてみた。
恐ろしいメッセージが書かれているのではないか——そう身構えていたのだが、中の便箋は、どれも真っ白だった。何も書かれていなかった。
それなのに、なぜ妻はあんなにも怯えていたのだろうか? 確実に分かるのは、妻が数日おきに届いていた封筒に怯えていたということ。そういえば、妻の死の前日には、五通もの封筒が届いていた。もちろん中身はすべて、真っ白な便箋だった。
この謎は一生かかっても解けないだろう。──そう思っていた。
だがある日、ぼくは思い知ることになった。なぜ妻が何も書かれていない真っ白な手紙に怯えていたのかを。
「どうしたの?」
今の妻が、不安げな顔でぼくを見てくる。
「ううん、何でもないよ」
きっと気のせいだ。
ぼくはそう言って、持っていたものを背後に隠した。──それは、前妻に届いていたような真っ白な封筒だった。
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【解説】
なぜ主人公の妻は、何も書かれていない手紙に怯えていたのでしょうか?
その手紙には何も書かれていない、ということは手紙の内容ではなく、その存在自体に怯えていたということでしょう。
存在自体に怯えるとはどういうことか、それは最後の主人公の気持ちを想像すれば、同じことがかつての妻にも起きていたのだとわかるでしょう。前妻は謎の手紙に怯えて、一か月後に亡くなった。そんな手紙が自分のもとにも届いたということは、自分も近いうちに死んでしまうのではないか。そう主人公は思ったに違いありません。
はたして、白い封筒は誰が何の目的で届けているのでしょうか? 妻の死因は描かれていませんが、いったい何だったとあなたは思いますか?
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