お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第186話 久々迷宮探索とギレムへの大量発注

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朝からレイルとメリリーを招いて皆で朝食。

メリリーはレイルの武装姿が見たいと言い出し。序でに木の実拾いのお手伝いとカメノス邸にお仕事少々。

ボンテージ姿のレイルを見て。
「感激ですぅ。勇ましくて可愛くて。ラメルには刺激が強すぎますね」
「そうかえそうかえ。翼も出るのじゃぞ」
ピンクの翼を満開に。
「ピンク!素敵です♡今夜はそれで抱いて下さい」
朝っぱらから爆弾発言。それも平然と。
「自宅では無理じゃ」
「どうしてですか?」

「目撃者を消さねば為らぬ」
「それは困りましたね。では今ここで」
ピンクの翼でメリリーを包み込んで濃厚な口吻。翼の先端がお尻と背中をサワサワ。
「あん♡」

「何しとんじゃい!」
「ちょっとレイル!人の家で何してんのよ。置いてくわよ。てか帰れ」
「お主らもよー挨拶でキスしとるじゃろ」
「挨拶の域を越えとるがな」

「難儀じゃのぉ。では行って来るぞえ」
「はい。お気を付けて」


別方面の刺激を受けて内心ドギマギ複雑な心境のままスフィンスラー迷宮4層前。

外部からの侵入ルートが閉ざされた閉鎖迷宮なので安心して進める。

ロイドは骨槍を温存して爆炎斧。彼女もまた今日は一段と気合いが乗っていた。

「狩り捲りましょー。スターレンが使命を果たせば私も晴れてお嫁に行けます!」
気が早いっすね…。ロイドがお義母さんになるのか。
「おー」
フィーネも同調。

3層までは巨大化したり、ゴブリンが駆るスライムやウルフが凶暴化したりしただけだったのだが。

4層のデルトスライムは只大きいだけではなかった。
灰色のメタルスライムに化けていたんです。

中身の核が全く見えず双眼鏡でもスキャン不可。

「何も見えん。手当たり次第に掻っ捌く!」
「硬そう…。ハンマーで叩いてみよ」
「ベルも色々考えるものじゃ」
「槍に変えます」
「クワッ!」
「突撃ニャ!」

自分は煉獄とペインの二刀流。

総員思い思いに6方向へ飛び。各所で鼓膜がいかれそうな高音が響いた。1体を粉砕して終わりかと思いきやそうは問屋が卸さなかった。

撃破後には何と!後ろの地面から自分そっくりの形に形態模写したメタル君が湧いて生えた。

鏡映しに武器の形まで再現。詰り俺の前には二刀流。

対峙して煉獄だけにすると相手も1本持ちに変化。

「何てこったい」口元の動きまで一緒。

こちらが動かないと相手も動かず。試しに刃先を近付けてみるとカチンと合致。

この層は純粋な武器の性能差を見ているのか。

メタルの防御力を上回らないと砕けないし貫けない。

スロットに聖魔石を2つセット。

煉獄の性能を信じ。接近して上段構えに一刀両断。

頭部と心臓部の核諸共2つに割れた。

俺の行動を見ていた他の5名も次々に。

フィーネは槍で二段突き。ロイドは斧で袈裟斬り。
レイルは乱切り。クワンはソラリマを広げて特攻。
グーニャは爪でミンチにした。

後続の出現は無し。奥の扉が開き終了の合図。

「ふー。今の攻撃力持ってなかったら苦戦したな」
「ホントねぇ」
「動きの速さまで一緒とはのぉ」
「自分を刻んでいるようで気分は良く有りませんね」
「クワァ…」
「同意ニャ~」

戦利品は珍しい水地魔石。合わせ鏡。メタルシール。

名前:現し身の双鏡
性能:日に1度、自分と同じ姿の身代わりを出現させる
   防御力:4000
特徴:メタルチックなのはご愛敬

「ダメじゃん」
「メタルマネキン…。何処で使うのよ」
「さあ?衣装合わせとか」
「なるほ…ど?」

名前:メタルチャック
性能:故障品等の応急補修剤
   防御性能:+4000
   割れた破損部の補修に最適
   24時間効果が持続
   その後24時間は液体に戻る
特徴:1日置きに半永久的に使えるがその場凌ぎ
   飲用すると窒息

「うーん」
「微妙」
「長期戦で盾が破損した時とか。最宮では役立つのではないですか?」
「「成程!」」
「ほむ」

一日盾や鎧に塗り込めばそのまま性能アップ。よく考えれば使えるじゃん。


水分補給とおトイレ休憩を挟んで5層。

キレイラはパワー、スピード、シールド性が強化された万能タイプの虎人。特にスピードが突出して速く、俊敏性は6000以上有るのではと思える程速かった。

各固体は身の丈5m越え。その強靱な巨体が飛んで跳ねて目前で消える。人間の目の死角に入るのが上手く余計に速く見えた。

攻撃バリエーションも豊富。
爪、牙、サーベル、斧、槍、弓矢、空刃、暴打、体落とし。

それが60体。各担当10体の計算。

ここでは視界の広いクワンとグーニャが大活躍した。俺が直近の2体を屠る間に軽く5体を塵に変えていた。

飽くまで接近戦での話。

フィーネは複数体を串刺し。
ロイドは銀翼展開に加え爆氷の壁。
レイルは分離ボナーを宙に浮かせて円陣を組み。高速移動で瓦解。

範囲攻撃。俺も何か考えるかな。武具操作も見た目は派手だが他の行動が取れなくなるので強者相手には全く通用しない。

水と風をセットして水刃を飛ばして応戦。半弧の範囲を拡大させると虎の皮に弾かれた。今一…

掛ける魔力を増大すれば威力を上げられる。水刃の有効性は水圧。水圧を高めるには集約して密度の高い極細の線を叩き付ける。鞭のように弾丸のように。

何度も弾かれ試行錯誤。

叩き付ける雨。落ち続ける滝。足りないのは持続性。

味方が誰も居ない中段に潜り。剣から連なる水刃をイメージして横一閃。

叩くのではなく押し流す感覚を掴んだ時。前方4体が綺麗に上下に割れた。

と同時にこの層の終わりを迎えた。

「今のいいね」フィーネが褒めてくれた。
「フィーネもその槍なら水を操って似たような事出来るよ」
「え?ホント?次の複合体で試すかな…」
「水の巫女さんなんだし。点で有り線で有り面で有り。手元から持続させて押し潰すイメージ。かな」
「難しいですねぇ。取り敢えず挑戦してみる」
岩砕きなら外でも出来るしな。

5層の戦利品は風魔石。大量の虎毛皮。爪牙。相手が使っていた全武具と矢筒。レガースとアームレストは力と俊敏性を高める効果を持っていた。武器よりも防具の方が性能が高い。色々試せそうだ。


中間層で早めの昼食タイム。

ツナ野菜サンドとエッグサンドをリゼルオイルを垂らした温かい紅茶で食した。

「う~。ソプランに怒られるけど。ちょっとしたピクニック感覚だな」
「言えてるぅ。はい、あ~ん」
「迷宮内で遊び始めたと。私から伝えます」
「妾にイチャ付くなと言って置きながら何を…」
「「すんません…」」
正座で謝罪。緊張感、大切ですね。


引き締め直して第6層。

ここは目測30m越えのキマイラが1体のみ。
虎、象、猿、蝙蝠、狼、禿鷲の6種混合。こちらの人数とキャラに合せた設定。人数増やしたらバリエーションも増加するのか…。

「ごめんみんな。ここは私にやらせて。色々試したいの」

フィーネのお願いにレイルは渋々了承。
「もう一巡するなら妾じゃぞ」
「何かレアが出たらね」
レイルの頬に軽くキスをして黙らせていた。

満更でもない表情で納得。

下に降りたフィーネは蠢く巨体の前に大きな水柱を打ち立てた。



「あらホント。水竜様も教えてくれれば良かったのに」
「海中で使っていたから既に知っている物だと…」
「え…何時の間に?」
自覚は全く無いけど使っていたらしい。

深海で作り出したスクリューは泳力じゃなくてこの槍のお陰だったのかぁ…。また反省。

御免なさい水竜様。
「気にするな」

お優しすぎて涙が出そうです。

1本柱の両サイドに更に2本追加。合計3本でキマイラを足止め。

背中から分離して上に飛んだ蝙蝠の塊と禿鷲の塊を追加の2本の先端で撃ち落とした。

真ん中の柱を平面の拭き上げ状に飛び乗り波乗り。

キマイラは多くの口を裂けるまで開き。喉元から何かの肉塊を放出。張り直した水壁にそれが当たると蒸発して弾け飛んだ。

被弾した水が赤茶色に濁る。

熱量を持っていて余り相性は宜しくないようだ。しかし戦えない訳じゃない。

3本柱から水球を拡散させお口に突っ込んで塞ぎ、後ろから円月輪を追従させて間口をこじ開けた。

だが開けた傷は直ぐに塞がり元の大口へと戻る。

切りが無い。キマイラの再生能力が上。

最短は後ろと全員で斬り刻む。しかし何時までも甘い仲良しごっこを続けていたら成長しない。

東西の未知の領域で分断されたり孤立化したりした場面を想定した訓練を。

核や魔石が見えない以上。分解するしか手が無いが分裂は敵の思う壺。

水で塞いだ口が泡立ち煙を立て始めた。時間切れ。

点を線で結び面を作る。蔦鞭の操作に似通う。

集合体が再始動と再分裂をする前に決着を着ける。

3本水柱を集約して1本に。鞭に纏わせ延縄の要領でキマイラの全面に網を掛け全開で締め上げた。

ギシギシ締める音。肉が潰れる音。耳障りな断末魔の数々が重なって気持ち悪い。

肉の次は骨。宙に浮かせて足元までカバー。
網の隙間から食み出るお肉もお水でカバー。

水は茶色く濁り縮小化を開始。バキバキ折れる音が漏れ響き渡る高密度圧縮。

左手に鞭。右手に槍。イメージをキマイラに固定したまま左手を離して中位の雷魔石を取り出した。

圧縮限界まで約5分。大きさも5分の1。

練りに練り上げた電撃を最初に食わせた円月輪に向かって打ち放った。

打った時と直後に目映い閃光。鞭の隙間からも漏電して白い体毛が生えているように見えた。

やがて発光も終息。鞭の手応えが無くなり周囲の水の色も透明に戻った。

鞭を解いて腰に戻す。操作していた水も解き放ち下の地面一帯を塗らした。

キマイラは跡形も無く消え。水溜りの中に幾つかのドロップ品を残して討伐は完了。

奥の扉も開いて完全終了。

後ろからスタンが拍手をしながら。
「エグーい」
「褒めてないでしょ」
「褒めてる褒めてる」
「もっとスマートな遣り方も有ったけどね。集約のバトン使うの勿体ないし。ちょっとだけ強引に」

「ちょっとではないですよ、フィーネ」
「ないのぉ」

「アイアンロックを外から倒す方法をね。こないだからずっと考えてたの」
「あいつは収納量が限界間近だったから今のでも行けたかも知れないな」
「空っぽだと無理なのよねぇ。こっちが先にダウンする」

何はともあれ。少し煤けてしまった円月輪とドロップ品を水を払って回収しそのままスタンに渡した。

風地の魔石と歪に反り返る白い掌円盤と金平糖の形をした茶色い小石。

円盤。

名前:アンテナ円盤
性能:受信と発信を両立した受送器
   微弱な電波を増幅する中継器としても有効
   組み込めば魔力の通過流動を制御可能
特徴:自作・複製可能段階まで破壊禁物

「お!自走車の制御に使えそう」
「量産スマホの中継器でもいいわね」
「今度じっくり解析しよう」
さっきの倒し方で合ってたと言えば合ってた。

小石。

名前:結合石塊
性能:握りながら合成術を行使すると成功率が
   飛躍的に上昇する
   発動状態で有機物の中に投げ入れると
   内部で別固体を発生させる(発動者任意操作可)
特徴:1人ボッチになった時のお人形遊びに最適

「アイアンロック討伐の有効手段になりそう。それにさっきのマネキン操縦出来るかも」
「いいな。でも1個かぁ。俺も試したいのに…」

2人でレイルを見詰めた。
「プレドラを使うのかえ?」
ウンウン。
「レイルは従属化出来るから要らないでしょ。小石」
「要らぬが結果が見えては楽しみが減るのぉ」
「ねぇお願いレイル」

「仕方が無いのぉ…。キス一回分で」
「ならいいです」
「次行ってみよー」

「嘘じゃて。頬なら良くて口は嫌とか全くケチ臭い。呼び出すが手出しは無用じゃ。妾一人でやる」
「解ればいいのよ。唇は大切な人としかしちゃダメなの」
「むぅ…」

ちょっと拗ねてしまったけれど。何だかんだと言いつつやってくれるとこは好き。

呼び出されて跪く下着姿のプレドラ。

「何故にお前は何時も何時も裸同然なのじゃ!!」
「布切れは着けて居ります。水着と同一でこれは進歩です。今日の出番は無さそうだなと。先程までうたた寝を」
「進歩…。まあ良い。さっきのを呼び出して直ぐに引っ込め。それと後何回じゃ」

羞恥心を忘れてしまったプレドラは周囲を見渡し。
「次が最後です」
「なんでじゃ?」
「フィーネ様が圧縮電撃で強引に狩ってしまったので残留物資が足りません」
「「…」」

聞かなかった事にしよう。

さあやるかと戦闘態勢に入ったレイルと発動者のプレドラを残して後方に上がった。


やや小振りになってしまったキマイラを相手にレイルはどう戦うのかと思えば。精錬実直。

前面に浮き出た顔や頭部を縦横無尽に削ぎ落とし。剣で吸収した体液を空刃に変え。背中の真ん中を貫き空いた穴から核を砕いて終了。

レイルの装備や身体には血肉一片も着かずに綺麗なままだった。

「浴びる前に移動して振り払えば良いのじゃ」
「レイルとカルにしか出来ないよ…」
「私も無浴はやや厳しそうです」
ややなんだ。

殆ど参考にならなかった。




---------------

今日は主二人が夕食時まで帰らない。非番と同じ。

気兼ね無くアローマとデート三昧。アローマは裏庭の木の実回収作業が有るが交代するまで時間は余裕。

腕を絡めて出歩くのに抵抗が無くなった自分が怖い。
「どうされました?」
「いや、別に何も」

ギレムの店に行くのは午後。それまでは他の買い物。

フラーメの為に料理本が欲しいと言うアローマの提案で主の馴染みのシルビィの本屋に入った。…が。

「本が無い?」
「閉店準備でしょうか」
店内の陳列棚からは書籍が消え。カウンター手前に積んであるだけだった。

そのカウンター内で本の整理をしていた店主のシルビィがアローマを見付けて。
「あ、アローマ様。いらっしゃいませ。…そちらが旦那様ですか?やだイケメン。身長高い…」
「ええ。夫のソプランです。今日は私用の買い物で。お店は閉店されるのでか」
俺の顔から目を離し。
「いえいえ済みません。来年開かれる三区の国営図書館の販売エリアに移転するんです。王都内の書店が全て」
「へぇ。知らなかった」
「そうだったのですか」

「お二人へのご連絡は国からされると聞いたのですが。まだだったみたいですね」
「まだだな。まあ来年の話だから下りてないんだろ」
「ですかね」

「移動の許可は下りたので店番しながら早速準備を。この店は私一人で切り盛りしていて。管理が大変で大変で。
移転後は役所の方が店舗毎に管理されるので願ったり叶ったり。これで漸く私も婚活出来ます」
笑顔が眩しいぜ。

「良かったですね」
「はい。店は今月で閉めて。休業中に隠居したお婆ちゃんとハイネやマッサラを歩いてみたいなと。何かお探しでしたら奥から出しますが」
「お料理などの本が有れば」

「あ…。一番奥の一番下に…」
カウンターに突っ伏した。

「何なら手伝うぜ。暇だし」
「片付けならお任せを。主に伝えればどの道手伝えと仰られるので」
「助かりますぅ。本当はお客様に頼んではいけないのですが正直もうギブアップ…。一旦お店閉めます!寧ろお二人に伝わるのなら休業に入ります!」
まだまだ頑張れそうだな。

結局運送まで手伝い終わったのは昼過ぎになった。

アローマは料理本を三冊。俺は序でに道具や刃物の磨き方なんて本を買った。デニーロ師匠やヤンに聞けば一発で終わるんだが…。

昼食を俺たちも良く使うようになったトワイライト一階でシルビィを交えて飯にした。

「本気で助かりました。運搬までお手伝い頂いてしまって。ここは私が払います。払わせて下さい」
「お値段を先に見た方が」
アローマがそっとメニュー表を開いて見せた。
「たっ…。最低でも、銀貨二枚て…」
それが庶民の反応だ。俺たちはもう無理かも知れない…。

「それでもランチは安い方だ。あいつらが気に入る位だから味は保証付き。俺が移転祝いに奢るよ」
「お婆様とのご旅行に使って下さい」
「お恥ずかしい限りですが。甘えさせて頂きます」

食事もデザートに差し掛かった頃。シルビィがふっと溜息を吐いた。
「アローマ様…。スターレン様やソプラン様みたいな、なんてとんでもない贅沢は言わないので。誰か良い人居ませんかね」
「えぇ…」
「近場の仲間内は全員結婚したしな」
「自邸内にも独身女性は居るのですが。何故か男性が居ない状況で」
「国全体で見ても男比率が低い気がするな」

「ですよねぇ。そうなんですよ。特に王都は顕著で」
「各地から勧誘で連れて来られた方は未成年の十歳未満の子供ですし」
「コマネンティ財団秘書のヒエリンドとかはどうだ。最近ずっと婚活してるらしくて。一時期は酷かったらしいが今は心を入替えて真面目に仕事してるって話だ」
「財団秘書…。お金持ちですよね」
「立ち位置的には貴族手前の財力だ」
「お金持ちの方はご遠慮したく。でも一度お会いしてみたい気も…。うーん…」
めちゃめちゃ悩んでる。

「ご旅行は何時頃ですか?」
「年内ですね。今は元気でも老人を真冬に動かすのは何かと危ないので」
「それもそうでした。では年明けに。スターレン様にお願いしてみます。仕事上で何度かお会いしますので見極めも兼ねて」
「お、お願いします」

「取り敢えず…。容姿は文句の付け様はない。シルビィの長所と短所を教えてくれ。あいつも条件有るだろうから」
「はい。本に纏わる文学知識は人並み以上には。ずっと本ばかり読んでいるので。算術も得意です。お店を運営していますし。短所は…。お酒を飲むと笑い上戸になって言葉遣いが少々荒れます。記憶を飛ばした事は無いです」
「長所は良い。短所はあんまし良い傾向とは言えんな」
「今夜はお暇ですか?外のお店でご一緒に」

「お誘いですか!わぁ何年振りだろ。お婆ちゃんとの夕食後なら何時でも大丈夫です」
どの程度か見てみるか。


目を輝かせるシルビィと五区北で別れ。その足でギレムの武具店に向かった。

「ソプランは入った事は」
「随分前に一度。メメット隊長の家から近いってだけで特に印象はねえな。その頃から師匠の店の方が評判良くて」
「余り期待は出来ませんね」
「かな。…確かあれだったか」

東外門寄りの割と大きな工房。東通り沿いに売店を持つ雑貨屋の工房も周りに点在してる。

人や客足の流れはまあまあ。城の仕入れ業者が出て来た所にバッタリ出会して向こうから声を掛けて来た。

小声で。
「これはこれはソプラン様じゃないですか。…ギレムの店なんかにご用事で?」
「よぉマルカルじゃねえか。ちょっと暇潰しにな」
「お知り合いですか?」
「城のお抱え商人の一人だ。何度か城内で会ってる」
「それはそれは。夫がお世話になって居ります」

「こちらこそご丁寧にどうも。お噂通りのべっぴんさんで羨ましいですね。暇潰し程度ならいいですが。金持ちと見ると吹っ掛けて来るんでお気を付けを」
「お上手ですこと」
「俺の事も知ってそうか?」
「王都内でソプラン様を知らない商人が居るとでも?」
聞くだけ無駄だった。

「まあいいや。この店の評価はどんなだ」
「デニーロさんとこよりは若干質は劣りますが物はまずまずです。一般品は装飾に力を入れ過ぎて他より割高になってますね」
「中身が伴ってるなら文句はねえが」
「装飾に拘っているなら好都合。少々野暮用でそれらしい物を探していまして」

心当りの有るマルカルが納得顔で。
「ほぉ…。今お探しなら。やはり来年用の」
「鋭いな。上にはバラすなよ」
「勿論ですとも。口が堅いのが取り柄のお抱えなんで。それでは気を付けて」
離れようとしたマルカルを呼び止め。
「マルカルって独身だったか?」
「独身ですね。仕事柄信用第一なんで深い付き合いは控えてます」
「彼女は?」
「今は居ませんね。…ひょっとして?」
「あいつの知り合い紹介するって言ったらどうする」
「…マジですか」
「マジだ」

腕を小さく振って喜び俺の手をガッチリ握った。
「是非!御仁の知人であれば誰も文句は言いません。お二人が縁結びの神様なら従者様も天使だ。いやぁお知り合いに成っていて良かったぁ」
「天使は大袈裟だ」
本物が身近に居るし。

「良い高物件様がいらっしゃいましたね」
「今晩暇なら俺を訪ねてくれ」
「早速ですか。報告上げたら明日は非番だったんでエドワンド辺りで飲もうか考えてたんですよ。こうしちゃ居られません。整えて必ず伺います!」
続きの声を掛ける間も無く。城に向かってすっ飛んで走って行った。

今夜は面白くなりそうだ。しかしヒエリンドは遠退いた。
最近の活動状況から察するに。案外相手が見付かっているのかも。


表に比べて店内の入りは疎ら。金持ち御用達の店で国からの受注も受けてるなら儲かってる筈なんだが。

商人なら誰でも儲けが欲しい、て感じか。

品揃えは可も無く不可も無く。全域全種武器に関する物は揃ってる。

短剣の棚と小剣の棚を二人で眺めていると俺たちに気付いた店員が声を掛けて来た。

「…ソプラン様では御座いませんか?」
「そうだ。だったら何だ?」
「これは失礼を。店主を呼んでも宜しいでしょうか」
「暇潰しに来ただけだが。何か用事か」

「特別な商品はこちらには置いて居りません。奥で店主に案内させたいと」
「良い物有るなら見てやるよ。試し切りは出来るんだよな」
「それは勿論。お目当ての類は」
「短剣と小剣。有るんなら長剣と長槍も」
長物なら振れば重心が直ぐに解る。
「畏まりました。では奥へ」

カウンター側に居た二人に声を掛け一人を走りに行かせた。

受け付けた男がそのまま俺たちを奥に案内。

商談室と書かれた部屋を通り過ぎ。適度に開けた中庭に連れられ。前方奥に細い丸太組みの案山子を三体セットされた。

「少々お待ちを」

一旦退席した男を待つ間にのんびりストレッチ。

俺もルームランナー使うかな。勉強の合間に。

数分後に品を台車に載せ受付男とカウンターに居た男。そして小柄な三人目を連れて来た。

体格に合わない腕と肩の太さ。背筋の分厚さ。とても手先が器用には見えんが上半身は鍛え上げている。

その男がニッと笑うと何本か金歯が光った。

「私が当工房主のギレムと申します。ソプラン様とアローマ様」
ふっとい声だ。
「私までご存じだとは」
「当然俺らの主の事も知ってるな」
「はい。そしてこちらが当店自慢の作品たちです」

銀細工の装飾は見事なもんだ。無駄に重そうだが。

清浄の手袋を着けてそれぞれのゴツゴツした柄を握って持ち上げた。

見た目以上に重い。それは短剣でも。

留め具を外して鞘から引き抜くと刀身が金鍍金。

「何だこれ。実用性よりも壁飾りなのか」
「何方でも。飾りで模造と誤魔化し。しかししっかり斬れる優れ物を。緊急用の副武具として寝室に飾るも良し」

「まあその考え方なら間違っちゃいないが…」
「デザイン性は人の好みですが。女の私からすると少々無骨過ぎ。余り寝所には置きたくないですね」
「柄の太さも女向きではないな。製作には女の意見は取り入れてないのか」

「正直取り入れては…いないですね。
不勉強で申し訳ない。購入されるお客様の殆どが男性ですし。これまでの商品へのご意見や私や弟子たちの思い付きで」
「ふむ。価値を見出すのも客次第か」
「その様な一面も有るのかと。職務怠慢だと罵られても構いません」
「平和な時代ならこれも有りなんだがな。知っての通り主や俺らは世界各地を旅してる。外観よりも実用性。重さよりも軽さと強度とバランスの方が大事だ」
「ご尤も。ですが国内は非常に平和にして頂けました故。私たちも装飾で稼ぎ。行く行くは家庭用や雑貨などへ移行するしか生きる道が無いのかと」
先を見越して、か。

「愚痴られても俺らじゃどうしようもねえ。折角案山子用意させたがその観点なら試し切りも不要だ。破損して弁償とか言われるのも面倒だしよ。明日か明後日辺りに主を連れて来る。
丁度装飾が豪華な物が欲しいって言ってるしな」

目を輝かせて金歯が笑う。
「あ、有り難う御座います!」

「あんまし他店を嗅ぎ回るな。他を模倣するのも一つの手だが遣り過ぎると柔軟な独自性を見失うぜ。それは主が最も嫌う事だ」
「は、はい…」

短剣を鞘に戻すと気持ちの良い音が鳴った。
「お、いい音するじゃねえか」
「いっそ楽器も造られては如何でしょうか」
「楽器…?」

「これからどんな世に成ろうとも。胸打つ音色や優れた音楽は世界に渡り長く残り続けます。声楽や弦楽器や吹楽器だけでなく。打楽器や金属楽器で彩りを飾れば音域もより華やかに。
最近主のお二人は音楽にも興味を持ち始めました。良き物が出来たならきっとお喜びになります。それは王族とて同じ。大衆にも届く物であればタイラントの新たな名産品にも成る。決して悪い話ではないと思いますよ」
「それは…考えてもみませんでした」

「これだけの加工技術を腐らせるのは勿体ねえ。良いのが出来たら俺らに知らせろ。主や上に紹介してやる」
「なんて事だ…。これは一大事。至急手空きの者を掻き集めろ!」

「慌てるな。必要な文献は来年開かれる国営図書館に集められる。近場の楽器屋に教えを請うたり。音楽を勉強してからでも遅くねえだろ」
「来年は私共も主に付いて長期で出掛けます。じっくりと腰を据えて素案を練り。試作品を作り上げてからお見せ下さい。
骨子のまま主に見せれば丸ごと持って行かれますよ?
それは御自分の胸にお問い合わせを」
何気に批判してるし。

「そ、そうでしたな。スターレン様は商人としても上手。危うい所でした。落ち着いて慎重に。明日にお話するのは控えます」
「そうしろ。音楽に詳しい貴族たちにも気を付けな」
「重ね重ね…。必ずや良品を作ってお見せ致します」


これが後に世界に名を馳せる。ギレム楽器工房の始まりの時。




---------------

第9層までの大鬼やミノさんとのガチンコ肉弾打撃戦を完遂して夕方に自宅へ戻るとソプランたちも外出から帰って来ていた。

お風呂の前に王都内の本屋が図書館に集約される話とギレム工房店での出来事を聞いた。

「丁度良さげな案件が見付かったから時間稼ぎに振っといた。シルビィの突発見合いの話は任せろ。マルカルが本棟に来たら出掛ける」
「どっちもやるじゃん。明日は知らない振りをするとして本屋の件は知らんかった。シルビィがどんなになるかはちょっと興味有るな」
「ねー。アローマも凄いね。商人としてもやって行けるんじゃない?」
「いいえ。私は産休と育児以外。一生お二人とお嬢様のお側に仕えます」
嬉しい事言ってくれるぜ。

「突発見合いは何処でやるの?」
「デニスさんとこかな。身重のパメラの代打でタツリケ隊の奥さん連中がサポートに入ってて客の入る普通の店になってるが。他に落ち着いて飲めるとこねえしよ」
「今そんなんになってるのかぁ」
「知らなかったわ」

「先回のラフドッグで仲良くなられて。子育ての先輩として助言を聞けるとパメラさんも喜んで居ましたね」
「ん~俺たちも行くと騒がれて迷惑だよな」
「そうねぇ。それぞれ個別なら行けるけど。大人数は厳しそうだね」

静かに飲めるとこか…。
「ソプラン。悪いけど夕食前にエドワンドの特別室。女の子無しで使わせて貰えるか聞いて来て」
「おぉその手が有ったか。今でも貸し切りに出来るか聞いて来るぜ」
「宜しく~」

話終わりに丁度他の探索組とメリリーが風呂から上がって来たので交代。
「んじゃササッと入っちゃおう」
「入りましょー。何気に2人切りって久々ね」
「変な気起きちゃうから意識させないで」
「いけない、いけない」
また入り直せばいいやとシャワーのみにした。


VIPルームも一般に再開放されていたが今日は偶々空いていたそうで入店OKの答えを聞き。

侍女3人の合作。リゼルオイルでソテーした牛筋を柔らかくなるまでコトコト煮込んだトマトたっぷり甘口ビーフシチューで舌鼓。

「おぉ美味いのぉ。牛本来の甘みと香りを引き立ててオイルが全く邪魔をしておらん」
「コクもたっぷり出て美味しいですね。レシピはしっかり覚えましたので今度自宅でお作りしますね」
「楽しみじゃ。トマトはマッサラの方が甘いからの」
「へぇ、そうなんだ」
「何時も食材は王都かハイネでしか買わないもんね。昼間寄る時に少し買ってみよ」

「念の為に聞くけどレイルは行きたいなんて言わないよな」
レイルの前にメリリーがお答え。
「私が目の前に居るのにこれ以上の浮気は許しません」
「だそうじゃ…。酒を飲むだけじゃろ」
「と言いつつ。お店の女性店員や本日のお客人を引っ掛けてしまったらご迷惑でしょう」
その通り!頑張れメリリー。
「むぅ…」

「明日のトワイライトで充分です。御予約はされたのですよね」
これにはソプランが答えた。
「昼行った時に入れといた。六人とペット分」
抜かりなし。
「今日は大人しく帰るかの」
「離しませんのでご安心を」
良かった。

「俺らは本棟で待機してる。マルカルが遅いようだったらアローマに連絡させるわ」
「では後程」

明日はお休みのラメル君も一緒にフィーネが送還。

お裾分けされた特製チーズケーキを冷蔵庫に入れ。途端に静かになったリビングで明日持って行こうとしていたアホ装備の図面を並べて眺めた。

我ながら中二病全開である。

洗い物中のミランダとプリタを除いたロイドとペッツたちも絵を見に来た。

「それは?」
「クワ?」
「何の武具ニャン?」
「明日ギレムの店に持ってこうとしてた見た目だけ豪華な献上品。来年の即位式用のね。ソプランたちが他の案件振ってくれたからこんなに要らんなと。こっから厳選しようかなって」
「あぁ。マウデリン装備を隠す為の」
「それそれ。木を隠すなら森の中ってね」
「それは重要ですね。しっかりと選ばないと」

フィーネも帰宅してミランダたちも選定に加えた。
「実用性皆無だから好きなの1人1個選んで。無ければ無しでも」
男が遊びで考えたデザインだと女子には難しいか。皆唸りながら考え始めた。

プリタが最も早かった。
「私はこれです!厳つくてゴツゴツした長剣。柄はもう少し細い方が好みです」
「ふむふむ。女性でも持てるようにだな」

ミランダは中盾と長剣を合体させた物を。
「盾が有って困る事は無いと思います。夫も好みそうで」
「ふむ。ちょっとは実用性をと」

ロイドは長槍をチョイス。
「剣ばかりでは怪しまれるかなと。槍で片刃は在る意味斬新です」
「刺突特化の槍とでもするか」

「クワッ」
クワンはN字型の楕円斧。
「いざとなったら投げられる。我輩はこれニャ」
グーニャはブーツの爪先に短剣の刃先を取り付けた物。
「爪が生えたみたいニャン。大昔にそんな曲芸使いに挑まれた記憶が有るニャ」
「苦戦した?」
「踏み潰して終わりだったニャ~」
あらそう…。

フィーネはずっと「う~」唸りっぱなし。
「スタンは?」
「俺は短剣2本かな。2人の王妃をイメージして。それは真面目に考えてここには入れてない」
「狡ーい。じゃあ私これ。鞘に蔦が巻き巻きした小剣。質実剛健?ではないけど弟君のフェイク品として」
「部屋に飾るならそれでもいいか。山神教ぽくなるけど角が立たなくていいな」
女神教でも水竜教でもない物を。デザインをパクられても問題無い。

ロイドが首を傾げて。
「女神様のレリーフは取り入れないのですか」
「脱会した俺が作らせるのはちょいと違う気がして。自作で自分で使うなら許して貰えると思うけど」
「まあ…対外的にはそうなりますかね」
「政治的にね」

「スタンが考えた短剣見せてよ。私明日から舞台のお稽古とお城の打ち合わせで昼間行けないから」
「完成まで見せない積もりだったんだけどなぁ」
嫁さんのお強請りには弱い。

選定された図面をバッグに収納して1枚の図を出した。
「1枚?これを二本?」
「これを金鍍金と銀鍍金で作らせる」
緩やかにカーブした湾曲片刃短剣で柄にも軽く指当てを設けたデザイン。
「特殊武器のダガーにも似てるけど意味合いは違う。
帝国の国旗って2本の剣が交わった形式だから。帝国から嫁ぐ友好親善大使のハルジエが金。それを広い心で許したサンが銀。共に手を取り合って仲良くしてねと願いを込めて。親愛の双剣にしたのさ」
「ふーん。文句の付け所が見当たらないわ」
「光栄です」

連日残業させてしまったミランダとプリタはここで退場。

木の実拾い報告では前日と一粒違わず同じ数。取れだして4日目。まだ1週間位は余裕で出続けそうな勢いだ。

2人が宿舎に帰って暫く。アローマが迎えに来た。

ロイドはペッツたちとお留守番。
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