お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第217話 虚ろな仮面

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新年3日の夜。

翌日に来る聖女隊の受け入れは万全。
去年の実績が有るんで邸内の動きも至って平常。

来客用の宿舎を整えるだけだったり。

レイルはエリュグンテが気に入ったらしく。次々に部屋を変えて連泊。月の半分はこっちで遊ぶと宣言した。

金は何処から?それは我らの財布からに決まってます。
金で平穏が買えるなら安い物。

メリリーに怒られればいいさ。


歯磨きしてさあ寝ようと言う時になって。クワンからの突然の提案が。(通訳:ピーカー)
「クワッ」
「提案が有ります」

「急にどうかした?」
「なになに?」
「何でしょうね」

「クワ」
「あたしが教皇邸で待機して。フィーネ様が共有石で見れば良いのではないでしょうか」
俺も1度は考えた手だが。
「あの石はまだ真面に試してないし。もし戦闘になったらクワンティーの戦闘力が露呈しちゃう。
直前直後に駆け付けても今度は私たちが犯人になってしまうの。タイミングが凄く難しいのよ」

「クワァ」
「口を出さずに見届けます。真犯人の顔さえ確認出来れば対処の方法も見えて来ます」

救える命。救おうとしている命を見捨てる。
厳しい選択だ。

「難しい選択ね…。犯人を知りたいからって理由で見捨てるのは」

「クワッ!」クワンは首を振った。
「良く考えて下さい。犯人はあたしたちの動きを含め教皇邸内の動きを知れる人物。
教皇と単独で会い。私室から人払いを出来る人物。
転移具を持ち。収納袋を持った人物。
役職者は誰も袋は持っていません。
犯人は厳重な警備を悠々と潜れる人物。
役職者以外で大聖堂地下祭壇に入れる人物は」

「聖騎士…上位者か。グリエル様に1人で会っても不自然じゃない人間。なら団長か副団長」
最近見落としが多いな俺。こんな簡単な事まで。

クワンの念を読んだピーカーが続けた。
「ゼノンが残ると言ったらゼノン。教皇を救出した時に同室内に居たチョレント。外回りだったギンガムも伝令から情報は受け取れます。第一師団も警備に加わると進言したなら彼も。

夜間は教皇に警備が集中。半減した私室で警護を交代すると言って人払いを図る人物。それが犯人です」

クワンは団長の3人が怪しいと胸を張った。

「賢い!誰が何を言おうとモーツァレラの部屋を埋めれば犯人は何も出来ない。若しくは連れ去る」
「能力を引き継いだ私よりも賢いってどう言う事かなぁ」
クワンの胸をコチョコチョ掻いた。
「クワァ~」照れてる。

「私も聖騎士は外していましたね」
とロイドもクワンの頭を撫で撫で。

「明日迎えに行く時に何とかグリエル様に伝えよう」
「お付きのゼノン隊と修女も外したいわね」
「あっちを出る前に治療費とペリーニャの歓待費の請求話でも振ろう。成功報酬は?とか言えば他の人は出せる」
「狡賢いですねぇ。スタンは」
撫で撫でじゃなく頭グリグリされた。何この扱いの差!

世の中、旦那の扱いはペット未満。悲しいわぁ。

盗聴対策も考慮して有力容疑者と対処方法の提案。
透明化させたクワンを寝室の何処かに置かせて欲しい旨を紙面に書き起こした。

「良し出来た。ゼノンとリーゼルは生真面目だから。ペリーニャを安心させる為とか言って普通に残ろうとするかも知れない。
無理矢理こっちに引っ張って何も起きなければ残念ながら確定犯だ」
「それだけは有って欲しくないね」
「そうですね。ペリーニャが一番悲しむ事ですから」
有って欲しくない。真にそれ。

しかし心の内では既にゼノン隊を容疑から外していた。
クワンジア遠征で大半を共に過ごし。全ての計画を熟知していながら何の対策も打たなかった。

俺が勇者の証を取った事も知っている。

全てがラザーリアの式典に向けた演技だとしたら、ベルさんを越える化け物だ。

シトルリンの顔がチラ付くが。ラスボスがこんな半端な時期に現われる筈が無い。

反面、怪しい点が全く無い訳でも無い。

例えば最初に出会ったラザーリアで第二王子を生かして見逃した事とか。

まああれは俺が急かしたからなんだけど…。




---------------

お迎えの日。

何時もの歓待室に温厚なグリエル様の怒号が響いた。
「成功報酬だと!!それは今でなければ駄目なのか」

外野に佇む遠征組を見渡して。
「いやぁ。点滴代とか最先端医療費が思いの外高く付きましてね。後出しだとさぞ驚かれると思い…。少しだけ内々でお話をしたいのですが」

「ああそうか。君は根っからの商売人でも有ったな!」
「スターレン様…」
「御免なぁ。面倒は先に片付けたいタイプでさ」
「御免。ちょっとだけだから」

グリエル様がゼノンを睨み付け。
「ペリーニャ以外は外へ出ろ!廊下の突き当たりにでも待て。誰も入れるな!」
「ハッ!」
怒りの剣幕に押されて遠征組全員退出。

足音が遠ざかった頃。口に指を当てながら2人の前に提案書を置いた。

目が流れ。読んでいる内に真っ赤なお顔が真っ青へ。

「……た…高いな」
「高い、ですね」

「でしょ。製薬工房に見積り依頼したら私もビックリで」
「悪い知らせはお早い方が宜しいかと」

書面をそっと下ろして頭を抱えた。と思いきや急に立ち上がって座っていた椅子を後ろに投げ倒した。
「クソッ!」
聖職者が一番吐いちゃ駄目な言葉を添えて。
「御父様!お気を確かに。払えぬ額では有りませんよ」

「立て替え分割払いも有りますから。どうかお座りを」

そう促すと深呼吸を繰り返し。自分で椅子を戻して座り直した。

「取り乱した…。予告には感謝する。詳細はペリーニャと話してくれ。メモを取りたい。何か筆かペンを」

俺が出した白紙と万年筆でサラサラと。

差し返された文面内容は。
ラザーリアの式典への出席は行方不明のモーツァレラに代わりケイブラハム枢機卿を指名。
そのケイブラハムの護衛に第一師団からギンガム隊。
今は邸内警備に戻した。
ペリーニャの護衛は変わらずゼノン隊。
チョレント隊は外回りで夜に帰邸する。
各師団の副長までは現状を完全に把握している。

「内容は理解した。至極納得行く妥当な金額。全く新しい治癒薬なのだから当然だ。参考までにどの薬品が最も高いのか聞かせてくれないか」

意見を求められたからには答えます。
「詳細な内訳は出されていませんが。個人的感触では恐らくこれかと」
ラザーリアに行く予定のギンガムの名を指した。

「やはり…それか。うむ。私の資産を精査して明日帰る頃には答えを出そう。
ペリーニャは気にせず遊んで来なさい」
「…はい」
ゼノンとリーゼルの反応が気になるのか不安な表情。


ロロシュ邸に転移してから帰国の意思を問うと意外にも。

ゼノンがキョトン。
「帰る?仰られる言葉の意味が解りませんが」
リーゼルも首を捻る。
「ペリーニャ様を御守りするのが我らの使命。置いて帰るなど出来ません。まさか…ペリーニャ様だけをお連れして遠出を」
「違う違う。グリエル様が気にならないかなぁ、てさ」

「第一、第二の大半が邸内に詰め。我々の師団も近くに控えて居ります。全く心配が無いかと問われれば嘘ですが特に不安は有りません」
「人数が多過ぎても身動きが取れませんし」
「それもそだね」

良かった良かった。

ペリーニャも安心顔でグーニャを撫でていた。

さあどう出る残りの容疑者4人。




---------------

アッテンハイム教皇邸。元教皇私室。

夜が来た。

夕方までに変化は無く。日没前に夜勤者へ交代。
室内の人員は常時六人。

静かに眠るモーツァレラ。
看病する修女が二人。
女性騎士が一人。
警護の男性騎士が外窓壁際と扉の脇に一人ずつ。

トイレや休憩で出入、一時的に交代は有ったが人数は維持された。

あたしは蚊帳屋根の上で透明化。

自分で提案したからには失敗は許されない。

夕方までにタップリと昼寝をしたので徹夜もOK。
一度外へ転移して檸檬水と木の実でお腹も満足。
体調面で抜かり無し。

ご主人様たちから受けた注意点は。
点滴袋に触る修女の様子に変化は無いか。
長い針が付いた別の注射器を袋か人体に刺そうしないか。
オムツ交換の時に身体を拭く布から変な臭いがしないか。
容疑者六人の顔をした者が入室しないか。
また教皇に化けて入室しないか。
油断を誘う朝の交代は要注意!

この非常時に教皇は一人で歩かない。従って五点目は確率が最も低い。

問題点は。
無臭毒を使われた場合。
犯人がベッド脇に直接転移して来た場合。
第一、第二師団の副団長を見た事が無く。
名前も知らない事。
見ていたかも知れないが覚えていないが正解。

あたしが団長が怪しいと睨んだ根拠は副団長が単独で教皇に会えるの?と言う疑問から。

その時の警護兵が共犯だった、と言う懸念は残る。
記憶を消されたんだから単独犯と決め付けるのは危険。
だから室内モーツァレラ以外全員が容疑対象。

最悪の場合はベッド丸毎あたしが転移させる。
露呈は止む無しの許可は得た。

点滴袋周辺を重点的に監視する。

時々騎士で一杯な窓の外を眺めたり。

監視って暇だわ…。

任務を成功させて一杯褒めて貰わなきゃ、と緩んだ心に気合いを入れ直す。

犯人特定の手立てとしてフィーネ様から複製看破のカフスを預かった。これでどんな偽装も見破れる。

標的を見誤らなければそれで良し。
独自判断で動く人間も居るから面倒臭い。

…深夜に怪しい行動を取る輩は居ないで欲しい。


零時は確実に回った頃。

暇なあたしは点滴方向を見下ろしながら更に考察。

一つ。危険度の高い魔物を邸内に放ち混乱を誘う。

一頃敵組織がやろうとしていた強制ゴッズの呼び出し。
道具がもう一種存在。若しくは複製された。
ここは古代樹の杖の結界内。弱体化してもグーニャのように普通に動ける魔物も居る。
グーニャの場合はフィーネ様の眷属と言う条件が付くので全ての解にはならない。
弱体化は有る物として。ある程度強力な大型の魔物を複数呼び出せば混乱は巻き起こせる。

『召喚士』の種別設定にも繋がる話だ。
誰が名付け。誰が広め。誰が意味を擦り替えたか。

二つ。シトルリン原本が不死スキルを取得していたら。

魔物の身体と人間の身体を合成する研究を重ねて来たなら有り得ない話ではない。
不死の上位魔族となったプレドラから記憶を奪い、世界各地を連れ回した。その間に能力を奪える。

鳩でも感じる気色悪さ。

可能性は無限。プレドラは変身能力も持っている。
詰り擬態は道具ではなく自己スキル。

成程成程…。誰が誰だか解りません!

三つ。直接転移で睡眠薬を撒き、全員から記憶を消去。

違う…。直接転移ではなく…犯人は……
既にこの室内に居る!

道具袋を持ち。自由に部屋を出入りした人物は唯一人。
修女の後ろに控える名を知らぬ女性騎士。この女だ。

第三師団ではない他師団所属の女性部隊長級。

確信したあたしは点滴周辺と女騎士の動作に注目。

実行犯は特定。問題はここから。単独か否か。

黒幕が居るならこの女が行動を起こした時に現われる。
最初に何をするか。そこが肝心。


更に体感三十分が過ぎた頃。女騎士が動いた。

喉が渇いたと道具袋を開き手を入れた。何を出す。
…それは一つの小瓶。蓋を取り飲む振りで瓶口が鼻先へ。
しかし瓶は鼻先を通過。窓の外を見ながら瓶を高く持ち上げ、目の前の修女と警護兵との間の床に振り撒いた。

撒かれた液体は警護兵の反応よりも早く蒸発。と同時に甘い香りが室内に充満。

修女二人の腰を抱え壁際の椅子に座らせ。
窓際の兵士、扉脇の兵士の順にマントを利用し、立たせた形で張り付け顔を起こして固定化。

物音を立てないまあまあ早い動き。

窓外を警戒しながら修女の前に立ち、片耳に手を置いた。
「整いました。…お早く」
囁くような小声。誰かと道具で会話している。

女騎士はそれ以上何もせず佇み誰かを待つ。
やがて扉がノックされ。一人の聖騎士が迎え入れられた。

第一師団長ギンガムその人。だが女が口にした名は。
「チョレント様。この様な夜更けに」
彼女にはそう見えているのか、知った上での演技か。
この流れで前者は無いな。

でも中身はバッチリギンガム。こいつが黒幕で確定。
無限に成り済ましが可能。こんな奴を野放しにすれば見抜けない一般人はパニック必至。多分女にも化けられる。

「ご苦労。パーディー」覚えて置こう。

扉を閉め切るとベッドの影に入り窓からの死角に入り、自前の道具袋から小瓶を出して女に投げた。

「御達者で」
受け取った瓶をその場に座りながら一気飲みに崩れ、ゆっくりと横に倒れた。

罪を被せる身代わりだと思われる。生死は不明。


あたしは迷わない。
このご主人様たちの最大脅威を排除する!

ギンガムが次の道具を取り出す前に。蔦を絡めて北の大地に飛んだ。
「な!?」

驚きとも悲鳴とも取れる声。それがギンガムの最期の言葉となった。




---------------

堕ちる…。堕ちて行く…。私が築いた千年が…。

これが…神に背いた天罰か…。

あのペテン師に負けじと作った数多の道具。まだだ…。
あれさえ奪われなければ…勝機は…有る。

ここは何処か…。大空の上。見上げれば星空。
首を下ろせば白銀の世界。

北の…大陸。

ああ…見える。ペテン師が造った氷城が。

私の失敗は何処か…。

空中で使える転移具を奪われた時。否…。
プレドラの記憶を塗り替えた時。否…。

もう答えは出ている。

あの男。スターレンの母親を、殺してしまった時だ。
フレゼリカ…。あの馬鹿さえ居なければスターレンをこちら側に…。

後は頼んだぞ…我が分身よ。


ギンガムの身体は。水色の氷に飲まれて消えた。




---------------

寄った序でに大狼様とガルーダ先輩たちにご挨拶。

御主人様たちには絶対行くなと言われた北極点。
でもどうしても見に行きたくて先輩方に安全距離と高度を聞き、お散歩中に内緒で上空を通過した。

「お邪魔しました!手土産は木の実位しか無いのですが食べますか?」
「木の実ならガルーダたちに振舞え。魚は無いのか?」

リゼルモンド木の実を下りて来た先輩たちの前に山と盛りつつ。
「ちょっと鮮度の落ちた北海サーモンなら有ります」
「むぅ…。今日は穫りに行く気分でもないしな。手持ちの半分置いて行け」

適度な木箱の上に大き目の五匹を並べた。

それを見た大狼様は。
「小魚だな…。で、いったい何を捨てたのだ」
「人間の形をした塵ですね。不死スキル持ってるぽかったので。あそこなら半永久的に出られないかと思いまして」

サーモンを一舐め丸飲み。割と満足そう。
「賢いな。…もし復活したら。我が相手してやるか」
「いいんですか?」
「暇潰しにはなるであろう」
「ご面倒お掛けします」

一礼感謝。状況確認の為一路アッテンハイムへ逆戻り。

スマホのコールが鳴らない。流石に寝てるかな。




---------------

えーっと。寝落ちで起きたら全部終わってました。

ペリーニャ視察隊の接待コースは。
帰宅後ラフドッグで予約した鍋屋で鍋パ。
15時過ぎまでお買い物。

16時にヘルメンち&メイザー&メルシャン降臨。
ロロシュ邸本棟会議室で非公式初会合。

ゼノン隊はお外の警備に加え。今朝の最新情報を交えてアッテンハイムの現状とラザーリア式典への影響懸念を擦り合わせ。

外はロロシュ邸警備、ゼノン隊、城からトレインされた近衛諸君でくっちゃくちゃ。

中はガン無視で17時過ぎまで談笑。
結果は急変無ければ後追いで纏めて報告せよ、で〆。

地下道からの帰り際。レイルが王族を遠巻きに観察していたが直ぐに興味を失って自宅に入った。我が物顔で…。

そこはわいらの家や!

夕食はゼノン隊も交え自宅にて。
メニューは侍女衆合作野菜たっぷり豚汁と白飯とサラダ。
デザートは本棟で量産して貰った甘芋ケーキとパンプキンタルトを少しずつ。

シュルツとペリーニャの蕩ける笑顔に癒された。
美味しい物食べてる時位全部忘れよう。

レイルたちは今日もホテル住まい。ゼノン隊は歓待宿舎。ペリーニャはロイドと相部屋。シュルツは自室。

寝る前。23時頃のリビングで共有石を初トライ。
何とあのフィーネさんが鳥目酔いを起こして3分持たずにダウン。

「うぉ~。脳みそグルグルぅ。ぎもぢわるいぃ」
「無理すんなって。素直に連絡待とう。俺起きてるから」
「練習不足でしたね」

「何をされているのですか?」
ペリーニャが不思議そう。
「クワンの視界と同期する道具。向こう側の状況試しに見ようとしてこうなった」
「フィーネ様でもこうなるのですね」
「器用さが足りないのかなぁ…。寝室に運んでぇ。今度レイルにコツ聞いて…ウッ」
寝室の前にトイレにIN。

起きてるぜと豪語したあてくし。久々の1人ベッドでゴロゴロしてたら多分2時には落ちてた。


早朝。先に起きたロイドに起こされました。
「クワンティが帰ってますよ。スターレン」
「う…うぅ。う?あ!寝てた」
「横になって直ぐにグッスリでしたよ」
隣ベッドのフィーネも半身を起こして。
「う~。枯渇じゃないけど軽い二日酔いみたい。スタンさん起きてる、て言ってなかった?」
「ごめんちゃい」

ペリーニャも起こして目覚まし代わりのミルクティー。
嫁さんはレモンティー。

半端に寝てしまった気怠さを覚ましながらクワンの報告をご拝聴。(通訳:グーニャ)

鳩胸を張るクワンさん。
「クワッ!」
「真犯人のギンガムを。高度一万m上空から氷山に落として来ました!ニャ?」

「ブホッ」
俺は吹いたが女子3人は耐え忍んだ。

タオルで口端と汚れた胸元を拭きながら。
「詳しく頼む。クワンちゃん」
「クワ」エッヘン!じゃないぞ。

………

パーディと言う女性騎士が室内全員を眠らせ。チョレントに化けたギンガムが堂々と入室。パーディはギンガムに渡された毒瓶で服毒自殺。残念ながら死亡。
真っ黒な主犯だと確信。
闇組織と深い繋がりが有るなら自分の身体を改造していると推定。
擬態も道具ではなくスキルを使用している雰囲気。
性別問わず擬態可能なら最大級の危険と判断。
次の道具を出す前に蔦で捕まえお空に連行落下。

後ろに誰が居るかなんて知ったこっちゃねえよと。

大狼様が監視してやると確約。
安心してアッテンハイムへ。

睡眠薬で眠らされていたチョレントがギンガムの詰所自室から発見。
私室で寝ていた4人も復帰。

実行犯はパ-ディ。手引き者はギンガム。クワンに目撃され途中で逃亡!とグリエル様がお裁き。

パーディも第一師団所属。現在第二師団を中心に第一の上層から事情聴取中。

「う~ん。ギンガムが組織の幹部だったのか頂点付近だったのか解らないな…。持ってた道具袋は」
答えを持つ犯人はもう居ない。
「クワッ」
「咥えて教皇の前に届けました。袋の中身は確認していません。大狼様が何も言わなかったので爆発物は無いと思いますニャ」

「帰りに見せて貰うか。しっかし最近のクワンの成長が留まる事を知らない」
「冴えてる。て言うか一番冷静?」
2人でフィーネの膝上のクワンを撫で回した。
「クワァ~」

脅威が去ってもペリーニャは浮かない表情。近しい聖騎士に裏切られたんだから当然だ。敵はずっと傍に居た。

何と声を掛け…。そっとして置くのが一番か。

傷心中のペリーニャは残りのミルクティーに口を付けポツリと呟いた。
「地下施設で…。最も被害を受けたのは再編前の第一師団の団員です。当時からギンガムは団長。パーディも女性部隊長。名称こそ違えど扱いは同等。
団の長二人が団員を差し出していたかと考えると…。唯々辛く。悔しいです」
見抜けなかった事が。

「ペリーニャの拉致監禁は。成長前にアッテンハイムから遠避ける意味も有ったのかもな。今と成っては…。
君は被害者だ。帰ったら犠牲となった騎士たちに祈りを捧げてやってくれ。俺たちの分まで」
「はい」
しっかりと顔を上げ清らかな返事をくれた。

伝えるべきかずっと悩んでいたフィーネだが。
「誤解の無いように先に伝える」
「私に、ですか?」
「そう。ラザーリアの式典には前王家の第一王子ランディスも旧派閥を連れて出席する。ペリーニャの身に起きた事を熟知する最後の1人」
「え…」
流石に聞いてないわな。

「出席を取り止めても全然構わない。言い訳なら私たちで幾らでも考えるから。
解った上で出席するなら私の傍から絶対に離れないで。例え身近な誰かに呼ばれても。約束よ」
「…はい」

「まだ一月有るからゆっくり考えて。現地に行ってからやっぱ気分悪いから帰りまーす、でもいいし」
「何ならずっと手繋ぎましょうか。信者の皆さんから嫉妬されそうだけど」
異教徒だもん俺たち。

ペリーニャは少し笑って。
「じっくり考えます。手繋ぎは…まだ解りませんが」
出席する方向で前向きに。

「さ、雑煮の準備しますかね」
「2巡目の御節も今日で食べ切りね」
「の前に皆さん。着替えましょう」
ロイドに突っ込まれて全員寝間着だと気付いた。
俺は牛乳臭いし…。


西側の脅威は崩せた。後は東のロルーゼ。

あの豚は我慢出来ずに必ず自分で動く。
式典出席まではしないとおも…どうだろ。
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