嫌いなあいつの婚約者

みー

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7話

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 夏休みもあと2日で終わりという今、当たり前と言えば当たり前だけど未だに涼からの誘いの連絡はなく、今日は杏里とアフタヌーンティーの約束をしていた。

 軽めにランチを済ませてお庭に行き杏里の来るのを花を見ながら待つ。

 花って、本当に人の心に安らぎを与えるのよね。

 見るのにもいいし、種類によっては飲んだり食べたりもできるし。

 飾れば部屋が華やかになるし。いろんな色や大きさがあって飽きないし。

 花って、万能じゃない? なんてことを考えていると、杏里がやって来た。

「お花の観察中?」

「あんまりじーっと見ることってなかったんだけど、こうして見るといいものね」

「そうね、私も好き」

 杏里は花に顔を近づけてその匂いを香っている。

 その姿は美しく、同性である私でさえもどきっとしてしまうほどの魅力がある。

 杏里って、こんなに横顔奇麗だったかしら? 高すぎない鼻に、上を向いている唇が色気を出す。
 
「で、桜は本当にそれでいいのかしら?」

「それでって?」

「涼くんのこと」

「いいって、どういうこと? いいのよこれで」

「……そう」

 もう、みんな涼、涼ってなんでそんなに私が涼のことを気になっている、みたいに考えているのかしら。

 あ、そうか。

 こっちの世界の桜が涼のことを好きだったからだ。

「杏里、私はね奏多さんが好きなんだ。知れば知るほど魅力的な人だし……。すごく好きなの」

「そう。そんな風に思われる奏多さん、羨ましいわ。なんだか奏多さんに桜を取られたようでちょっとジェラシー感じちゃう」

「杏里だって、重三郎さんといい感じでしょ?」

「そうね。恋愛と友情は別ね」

 話していると、紅茶やお菓子が運ばれてくる。

 友人と二人だけのティータイムの時間は、どこの世界であってもほっと言一息のできる暖かい時間で、好きな人とはまた別の大切な時間。

「これ、ラベンダーティーかしら? すごく香りが良いわ」

「ええ、こちらラベンダーでございます。こちらのクッキーにも、ラベンダーのエキスを使っておりますので、ぜひお召し上がりくださいね」

「ありがとう」

 杏里と紫の奇麗な色のお茶はぴったりと合う。ハーブティーって、こうやって味や香りだけでなく見た目も楽しめるからいいのよね。

 って言っても、中学生の頃とかはこの独特な香りが鼻についてなかなか飲めなかったけれど。

 お茶を楽しんでいると、太陽の光がふっと消える。

「なんか、急に暗くなったような……」

 空を見上げると先ほどまではなかった真っ黒の雲が空を覆っていて、いますぐにでも雨がどさあああっと降ってきそう。

 いつの間にか鳥の鳴き声も聞こえなくなっているし、さっきまでの太陽が嘘のように思える程。

「とりあえず、食べるのを中に入れましょう」

 お菓子類を運んで、次にお茶を運ぼうと外に出た瞬間、ざあああっと雨が降ってくる。

「杏里は待ってて」

 メイドと2人で急いで片付ける。

 その間、たった1分ほどだったのにびしょびしょに濡れてしまって、服が肌に張り付いて気持ち悪い。

 こんなにいきなり天気が変わるなんて、山でもないんだから。







 
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