嫌いなあいつの婚約者

みー

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7話

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「ごめん、杏里。ちょっと着替えてくるわね」

「ええ、もちろんよ。風邪引いちゃいけないし」

 シャワーを浴びようか迷ったけれど、杏里も待っているし服を着替えて濡れてしまった髪を乾かすだけにした。

 それにしても、もう夏の終わりということでいつもの雨よりも大分冷たくなっていた。

 秋と言えば……まさに食欲の秋よね。

「桜さま、やはりシャワーを浴びた方が」

「いいのよ、杏里を待たせるわけにもいかないし」

「……そうですか」

 



 準備をして杏里のところに戻った時にはすっかりと空が明るくなっていて、元の快晴に戻っている。

 もう、本当タイミングが悪いったら。

「また外出る? それとも中が良いかしら?」

「そうね、せっかくならお花を見ながら食べたいけれど、またあんな風に降ってきたら大変だし、中にしましょ。その後にお庭を散歩するのもいいわね」

「そうね、そうしましょうか」

 改めてお茶を楽しむ。

「あ、そうだ。私も苺のお菓子を持って来たの。パティシエが作ってくれたのよ」

「ありがとう。……すごく可愛い」
 
 赤い色の宝石のようなグミは、涼がくれたあのネックレスの苺によく似ていた。

 1つを口の中に入れると、苺の香りと甘さが口の中に広まる。美味しい。単純に、美味しい。

「このタルト、すごく美味しいわ。アプリコットかしら?」

「あ、うん。私もそれ好きなの。アプリコットの少し硬めの食感が好きで」

「分かるわ。柔らかいものもあるけど、私も少し歯応えのある方が好き。こりこり、とまではいかないけれど、いいわよね」

「そう、そうなの。柔らかすぎるより、少し硬い方が好き」

「そういえば、来週の桜の誕生日パーティーのダンスはやっぱり奏多さんと躍るのかしら?」

 ダンス……。こっちの世界に来てから何度か指導してもらってなんとか形だけでも習得はできた。

 そうよね。

 ダンスと言えば、映画とかで見る限りは初めは婚約者とか好きな人と思っているイメージ。
 
 ということは、誰と躍るかで私の気持ちが皆にばれてしまうということ、になるのかしら?

 もし、涼に誘われたら……。

 断るのがきっと1番いいのだけれど……。

 そしたら本当に私たちの関係が終わってしまうような気がして。

 そもそも誘ってくるかどうかも分からないのだから、そんなことを気にしなくてもいい。

 でも、もし、もしだよ? もしも誘って来たら?

「桜? どうかした?」

「あ、ううん、大丈夫」

 誘って来ても私が選ぶのは奏多さんで何も問題ないじゃない。それに、もしかしたら誕生日パーティーに来ないかもしれないし……。
 

 

 
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