嫌いなあいつの婚約者

みー

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11話

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 いつも通り学校に来ると、明らかに普段よりも多くて鋭い視線を感じる。

 気にしないようにと思いつつ席に座ると、クラスメートの会話が聞こえてきた。

「桜さんって、意外と軽いのね」

「涼くんに奏多さん、次は聖くん。ふらふらしてみっともない」

 ぱっと声のする方を見ると、離していた女子2人は慌てるようにその場からいなくなる。

 違うのに。なにも知らないのに。

 なんで、勝手にそんなこと言うの……?

「おはよう、桜ちゃん」

「お、おはよう」

 あんな会話を耳にしてしまった今、聖くんと話すのもなんだか気まずくて目を合わせられない。

 せっかく仲良くなれたのに。

 教室の扉のほうを眺めていると、涼くんが登校してくる姿が目に入ってきた。

 目が合う。だけどすぐに反らした。こんな姿を見られて、また何を言われるかわからない。

 誰の姿も見ないようにするために、今度は窓から見える空を見る。今日は快晴で、澄み渡る青空がどこまでも続いている。

 こんなに天気のいい日なのに、心の中は雨雲で埋め尽くされる。

「桜さん」

 鈴華さんが無表情で目の前に立っている。ぼーっとしていて来ていたことに気が付かなかった。

「これ、返すわ」

「ハンカチ……」

 それは、私が涼くんにプレゼントしたあの青色のハンカチで、なんでそれを鈴華さんが持っているの?

「迷惑なのよ、こういうの」

「これは、その……」

 言い訳を探していた時。

「そういう言い方ないんじゃない?」

 横から私を庇う声が聞こえてくる。

「は? 誰よあなた」

 聖くんが立ち上がって鈴華さんの横に並んだ。

 教室を見渡すと、涼くんの姿はない。

「桜ちゃんの友人だよ」

「…………なに、あなた。奏多さんの次はこの人? あなた、本当にふらふらしてるのね」

「僕たちはそんなんじゃない」

「まあ、好きにすれば? とにかく、涼には近づかないで」

 ハンカチを机に叩きつけると、「ふんっ」と言って教室から出て行った。

 もう、本当に朝から嫌なことばかりで……。

「ありがとう、聖くん」

 青色のハンカチを、すぐに鞄にしまう。やっぱり、プレゼントなんてすべきじゃなかった。

「ううん、当然だよ。桜ちゃんは大切な友達だからね」

「ありがとう」

 その暖かい気持ちに、涙が出そうになった。






 お昼休憩、ランチを終えて少し1人で外の空気を吸おうと学校内を移動していると、鈴華さんと聖くんが話している姿が見えた。

 普段でも人通りの少ない廊下で、周りには人がいなく2人の会話がここまで聞こえてくる。

 いけないとは思いつつ、廊下の角のところで身を隠し、その会話に耳を立てる。

「もっと仲良くなって、早く恋人にしなさいよ」

「そんな無茶言わないでくださいよ。僕だってそれなりにやってるんですから」

「とにかく、うまくやってよね」

「分かってますよ」

 再び姿を確認するけどそれはやっぱり聖くんで、でも雰囲気は私の前にいる時とは全く違った。

 2人にバレる前に、その場を後にした。
 
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