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11話
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しおりを挟む「もう、好きにしてよっ」
鈴華さんは真っ赤な顔をして、走ってこの場を去る。
自分の気持ちを素直に言えたという爽快感と、鈴華さんに悪いことをしたかなという罪悪感が一気に押し寄せてくる。
でも、その2つを上書きする恥ずかしさが数秒後に襲ってきた。
「あ、あの」
好き、って言ったんだ……。言っちゃったんだよね……?
「あ、えっと……奏多さんに言わなきゃね。僕たちのこと」
僕たち……。
もう1人だけのことじゃくて、涼と私の2人のことになるんだ。
そのことが歯痒くて、でも嬉しくて、ニヤけてしまう。
「その……私のこと愛想尽かしたりしてない?」
「そんなわけないよ。それより、家族にも言わないといけないし、そっちの方が緊張するよ」
「たしかに……そうだね」
自分から婚約を破棄しておいて、結局は涼のことが好きだなんて、絶対に呆れられるし、下手したら怒鳴られたりするかもしれない。
でも。
もう、この気持ちに嘘はない。
誰が何を言おうと私は涼に惚れている。
「その……また、よろしくお願いします」
「うん、僕の方こそ」
涼の手がふわっと頭に触れる。ああ、この手の感覚が懐かしい。
我慢しきれなくなって、自分から涼に抱きつく。ぎゅっと、強く強く涼の体を抱き締める。
「さ、桜」
「だって、好きなんだもん」
「もう、仕方ないな」
と言うと、涼も同じくらい、ううん、もっと強く抱きしめ返してきた。
ああ、もう、幸せすぎる。
「私のこと、離しちゃだめだからね」
「桜こそ」
遠くの方から誰かの足音が聞こえてきて、ぱっと離れる。
そしてここが学校だということを思い出すと、恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
「じゃあ、僕は生徒会行くから、桜先に帰ってて」
「うん、分かった」
「それでね、涼とまた恋人になったの」
家に帰ってから、杏里に電話で報告した。すごく喜んでくれて、「やっぱり桜の隣には涼くんね」なんて嬉しい言葉も。
奏多さんにも電話をして、後日2人で会いに行くことに。
なんだか、電話の向こうの奏多さんはすっきりとした声をしていて「幸せに」という言葉には、心がこもっているような気がした。
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