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最後の一人
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地元で有名な廃病院に、6人で肝試しに行くことになった。
自転車を漕いで約1時間程で目的地に到着した。
その病院は、30年前に火災で全焼し、患者も医者も逃げ遅れて全員亡くなったと言われている。だが、それ以上に奇妙なのは――
「そこに入ったら、大切なモノを失う」
そんな噂があった。
「ま、迷ったらすぐ出ような」
ショウゴは震えながら半べそをかいている。
「怖がりすぎだろ。6人もいれば平気だって」
俺たちは笑いながら中へ入った。
病院内は、まるで時間が止まったようだった。焦げた壁、錆びたベッド、散乱した医療器具――。重苦しい空気の中を慎重に進む。
しばらくすると、奥の病室から微かに音が聞こえてきた。
カチッ、カチッ…
まるで何かを数えるような、不気味な音。
「おい、やめとこうぜ…」
「いや、せっかくだし見てみよう」
怖がる友人をなだめ、俺たちはその部屋を覗いた。
――そこには、白衣を着た男がいた。
髪は焼け焦げ、皮膚は黒く炭のようになっていたが、それでも確かに生きているように見えた。
彼は、古びたカウンターの上で、何かを指で弾きながら、ゆっくりと数を数えていた。
「‥いち、にい、さん、し‥」
俺たちは息を殺し、後ずさろうとした。だが、そのとき――
バキッ
友人が何かを踏んだ。
ギョロっとした目が友人を捉える。
「‥やっと‥たか」
男がピタッと数えるのをやめ、何かを呟いた。
焦げた目が、まっすぐ俺たちを見つめている。
その瞬間、視界がぐにゃりと歪み、俺は意識を失った。
――――
気がつくと、俺たちは病院の外に立っていた。
「‥な、なんだったんだよ、あれ」
「もう帰ろう、マジでやばいって」
俺たちは急いでその場を離れた。
自転車に跨り、急いで離れようとする。
だが、ふと目の前のモノに視界を奪われた。
一台、自転車が余っている。
「あれ?この自転車、元からここにあったっけ?」
「さぁ?」
その新品同然の自転車を見ていると、何か頭にズキっとした痛みが走った。
――俺たち、何人で来たっけ?
5人だよな。
俺は後ろを振り返る。
タイキ。スエナガ。ケイト。テツヤ。
‥あってる。
「‥なぁ、俺たち、5人できた、よな?」
「え?あ、あぁ」
俺たちはそう言いながらも、何か大切な事を忘れている気がした。
そうだ、あの白衣の男は何をしていた?
――数を数えていた。
そして、何かを言っていた。
「なぁ、早く帰ろうぜ。意味悪りぃよ」
「そうだな」
俺たちは自転車を漕ぎその場を離れた。
「なぁ、テツヤ」
「あ?どうした?」
「‥いや、別に」
俺は言葉を飲み込んだ。
意識がなくなる前、白衣の男は確かにこう言ったのだ。
「やっと、揃ったか」
自転車を漕いで約1時間程で目的地に到着した。
その病院は、30年前に火災で全焼し、患者も医者も逃げ遅れて全員亡くなったと言われている。だが、それ以上に奇妙なのは――
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「ま、迷ったらすぐ出ような」
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「怖がりすぎだろ。6人もいれば平気だって」
俺たちは笑いながら中へ入った。
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しばらくすると、奥の病室から微かに音が聞こえてきた。
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まるで何かを数えるような、不気味な音。
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怖がる友人をなだめ、俺たちはその部屋を覗いた。
――そこには、白衣を着た男がいた。
髪は焼け焦げ、皮膚は黒く炭のようになっていたが、それでも確かに生きているように見えた。
彼は、古びたカウンターの上で、何かを指で弾きながら、ゆっくりと数を数えていた。
「‥いち、にい、さん、し‥」
俺たちは息を殺し、後ずさろうとした。だが、そのとき――
バキッ
友人が何かを踏んだ。
ギョロっとした目が友人を捉える。
「‥やっと‥たか」
男がピタッと数えるのをやめ、何かを呟いた。
焦げた目が、まっすぐ俺たちを見つめている。
その瞬間、視界がぐにゃりと歪み、俺は意識を失った。
――――
気がつくと、俺たちは病院の外に立っていた。
「‥な、なんだったんだよ、あれ」
「もう帰ろう、マジでやばいって」
俺たちは急いでその場を離れた。
自転車に跨り、急いで離れようとする。
だが、ふと目の前のモノに視界を奪われた。
一台、自転車が余っている。
「あれ?この自転車、元からここにあったっけ?」
「さぁ?」
その新品同然の自転車を見ていると、何か頭にズキっとした痛みが走った。
――俺たち、何人で来たっけ?
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‥あってる。
「‥なぁ、俺たち、5人できた、よな?」
「え?あ、あぁ」
俺たちはそう言いながらも、何か大切な事を忘れている気がした。
そうだ、あの白衣の男は何をしていた?
――数を数えていた。
そして、何かを言っていた。
「なぁ、早く帰ろうぜ。意味悪りぃよ」
「そうだな」
俺たちは自転車を漕ぎその場を離れた。
「なぁ、テツヤ」
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「やっと、揃ったか」
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