4 / 14
四話
しおりを挟むソフィアは、今まで来たこともないような豪華なドレスに身を包んでいた。
ドレスは王都でも有名なデザイナーが仕立てたものであり、何故かソフィアの体にぴったりのサイズで、王城から送られてきたのである。
最初に見た時、ソフィアは素直に綺麗だと思った。けれど、それが王城から届いた物と知り、その送り主には、何故か八名の名前が連名されており、体が震えた。
八名。
それは今回のお茶会の参加者である、ソフィアを除いた八名全員の連名。
恐ろしい。
ソフィアはぷるぷると震えながらも着飾られ、潤んだ瞳のまま、青ざめた父親に見送られて馬車に乗りこみ、そして王城の門をくぐった。
何故こうなったのだろう。
物語は終わったのではないのか。
自分のこれまでの努力は何一つ報われなかったのだろうかと、震えが止まらない。
「ソフィアお嬢様。落ち着いて下さい。」
あまりにソフィアが震えるので、今回は馬車の中にレスリーも一緒に乗っている。
王城より馬車が何故か迎えに来ていた為に、男爵家なのにもかかわらず、豪華絢爛な馬車に揺られている。馬車の中には、一人侍女が控えているが、わきまえており、ソフィアとレスリーの会話が聞こえていないように座っている。
「れ・・・レスリー。私・・何かしたのかしら?」
潤んだ瞳をじっと見つめながら、レスリーは柔らかくソフィアを落ち着けるように微笑みを浮かべると言った。
「大丈夫ですよ。お嬢様。お嬢様の事はレスリーが命を持ってお助けいたします。何があろうと大丈夫です。」
年下であるレスリーはいつも頼もしく、ソフィアが困った時にはいつも助けてくれた。そんなレスリーの言葉にソフィアは勇気をもらうと頷いた。
「そ・・そうよね。レスリーが傍にいてくれるものね。」
「はい。私は一生お嬢様のお傍にいます。」
「うん!そうよね。ありがとうレスリー。今日のお茶会だって、ただのお茶会かもしれないものね。」
「・・・はい。そうですね。」
すっとレスリーに視線を逸らされ、ソフィアは目をぱちくりとしながら言った。
「ちょっと、レスリー?何故、目を反らすの?」
「いえ、お茶会は、必然の事かと。」
「ひ・・・必然?」
「はい。ここだけの話、例えるならば、今回のお茶会は、可愛らしいウサギを我がものにしようとする猛獣達の狩場かと。」
小さな声でひそひそと囁かれた言葉に、ソフィアはがたがたと震えだす。
「う・・・うしゃぎ・・・」
そうなのだ。いうなれば、ソフィアはウサギ。可愛らしい、ウサギ。
猛獣達に囲まれたお茶会が、どんな展開になるのだろうかと、レスリーは少しばかりぷるぷると震えるソフィアが可愛そうに思った。
まぁ、こうなったのはソフィアの自業自得ともいえるのだが。
34
あなたにおすすめの小説
魅了アイテムを使ったヒロインの末路
クラッベ
恋愛
乙女ゲームの世界に主人公として転生したのはいいものの、何故か問題を起こさない悪役令嬢にヤキモキする日々を送っているヒロイン。
何をやっても振り向いてくれない攻略対象達に、ついにヒロインは課金アイテムである「魅惑のコロン」に手を出して…
【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。
王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。
教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。
惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。
簡単に裏切る人になんてもう未練はない。
むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。
婚約破棄された侯爵令嬢ですが、帝国の次席秘書官になりました ――王の隣ではなく、判断を誤らせない場所へ
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として王宮に仕える侯爵令嬢ゼクレテァ。
彼女は華やかな場に立つことはなく、ただ静かに、しかし確実に政務と外交を支えていた。
――その役割が、突然奪われるまでは。
公の場で告げられた一方的な婚約破棄。
理由はただひとつ、「愛している相手がいるから」。
ゼクレテァは感情を見せることなく、その決定を受け入れる。
だが彼女が王宮を去った後、王国には小さな歪みが生じ始めた。
些細な行き違い、遅れる判断、噛み合わない政策。
それらはやがて、国家全体を揺るがす事態へと発展していく。
一方、行き場を失ったゼクレテァの前に、思いもよらぬ「選択肢」が差し出される。
求められたのは、身分でも立場でもない。
彼女自身の能力だった。
婚約破棄から始まる、
静かで冷静な逆転劇。
王の隣に立つことを拒んだ令嬢は、
やがて「世界を動かす場所」へと歩み出す――。
-
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載しております。
第一王子と見捨てられた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。
お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。
婚約破棄? あ、ハイ。了解です【短編】
キョウキョウ
恋愛
突然、婚約破棄を突きつけられたマーガレットだったが平然と受け入れる。
それに納得いかなかったのは、王子のフィリップ。
もっと、取り乱したような姿を見れると思っていたのに。
そして彼は逆ギレする。なぜ、そんなに落ち着いていられるのか、と。
普通の可愛らしい女ならば、泣いて許しを請うはずじゃないのかと。
マーガレットが平然と受け入れたのは、他に興味があったから。婚約していたのは、親が決めたから。
彼女の興味は、婚約相手よりも魔法技術に向いていた。
ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。
下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。
アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる