【完結】エンディングのその後~ヒロインはエンディング後に翻弄される~

かのん

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四話

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 ソフィアは、今まで来たこともないような豪華なドレスに身を包んでいた。

 ドレスは王都でも有名なデザイナーが仕立てたものであり、何故かソフィアの体にぴったりのサイズで、王城から送られてきたのである。

 最初に見た時、ソフィアは素直に綺麗だと思った。けれど、それが王城から届いた物と知り、その送り主には、何故か八名の名前が連名されており、体が震えた。

 八名。

 それは今回のお茶会の参加者である、ソフィアを除いた八名全員の連名。

 恐ろしい。

 ソフィアはぷるぷると震えながらも着飾られ、潤んだ瞳のまま、青ざめた父親に見送られて馬車に乗りこみ、そして王城の門をくぐった。

 何故こうなったのだろう。

 物語は終わったのではないのか。

 自分のこれまでの努力は何一つ報われなかったのだろうかと、震えが止まらない。

「ソフィアお嬢様。落ち着いて下さい。」

 あまりにソフィアが震えるので、今回は馬車の中にレスリーも一緒に乗っている。

 王城より馬車が何故か迎えに来ていた為に、男爵家なのにもかかわらず、豪華絢爛な馬車に揺られている。馬車の中には、一人侍女が控えているが、わきまえており、ソフィアとレスリーの会話が聞こえていないように座っている。

「れ・・・レスリー。私・・何かしたのかしら?」

 潤んだ瞳をじっと見つめながら、レスリーは柔らかくソフィアを落ち着けるように微笑みを浮かべると言った。

「大丈夫ですよ。お嬢様。お嬢様の事はレスリーが命を持ってお助けいたします。何があろうと大丈夫です。」

 年下であるレスリーはいつも頼もしく、ソフィアが困った時にはいつも助けてくれた。そんなレスリーの言葉にソフィアは勇気をもらうと頷いた。

「そ・・そうよね。レスリーが傍にいてくれるものね。」

「はい。私は一生お嬢様のお傍にいます。」

「うん!そうよね。ありがとうレスリー。今日のお茶会だって、ただのお茶会かもしれないものね。」

「・・・はい。そうですね。」

 すっとレスリーに視線を逸らされ、ソフィアは目をぱちくりとしながら言った。

「ちょっと、レスリー?何故、目を反らすの?」

「いえ、お茶会は、必然の事かと。」

「ひ・・・必然?」

「はい。ここだけの話、例えるならば、今回のお茶会は、可愛らしいウサギを我がものにしようとする猛獣達の狩場かと。」

 小さな声でひそひそと囁かれた言葉に、ソフィアはがたがたと震えだす。

「う・・・うしゃぎ・・・」

 そうなのだ。いうなれば、ソフィアはウサギ。可愛らしい、ウサギ。

 猛獣達に囲まれたお茶会が、どんな展開になるのだろうかと、レスリーは少しばかりぷるぷると震えるソフィアが可愛そうに思った。

 まぁ、こうなったのはソフィアの自業自得ともいえるのだが。

 
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