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七話
しおりを挟むどうして、あぁなってしまったのであろうか。
ソフィアはお茶会中、八人に必死に口説かれ続けた。そしてそれが、男女問わずの性的関係も含んだ、交際の申し込みであり、出来れば四組の中から、選んでほしいとの懇願でもあった。
意味が、分からなかった。
けれど、熱のこもった瞳で愛を囁かれ続け、ソフィアは悟った。
自分が好感度を総上げしてしまったのだと。
一体、何がどうなってそうなったのかはよく分からなかったけれど、関わりすぎたのがいけなかったらしい。
でも言い訳をさせてもらえるのであれば、目の前で茶番劇が起きたり、事故が起きそうになったりした時に、一体どうしたらよかったと言うのであろうか。
人が傷つくのは見たくない。だから、傷つかないように自分なりに最善の策を講じてきたつもりだった。だが、それが裏目に出たらしい。
帰りの馬車の中で、ソフィアは大きく息をついた。
このソフィアの住む国であるチェルダー王国では、一夫多妻制が認められている。つまり、恋人というか、四組の中から選び、最終的には第二の妻の座へと納まってほしいと締めくくられた。
まだ、男性にそう言われるならば分かる。
だが、問題は女性である四人もまた、ソフィアに熱い視線を向けてくるという事だ。
無理である。
ソフィアには荷が重い。
女性がどうのこうのと言っているのではない。はっきり言って、四人とも美しいご令嬢である。なのに、ソフィアに熱い、そう、何と言うか、艶めかしいような妖艶な、目線を向けてくるのである。
ぞわぞわした。
「・・・レスリー・・・私には・・荷が重いわ。」
傍に座るレスリーの服を、未だにソフィアは握ったまま離さない。
それをレスリーは気にも留めずに言った。
「お嬢様。自ら撒いた種でございます。」
いつ、自分は種を撒いたのだろう。
「でも・・でも・・・このままじゃ私・・・食べられちゃう。」
ソフィアもバカではない。彼らの目線が明らかにそういう目線だと言うのは分かる。そして、自分にあまり時間がない事も。
「レスリーも見たでしょう?あれ、本気だったわ。本気で、私、狙われている。」
「ええ。」
ソフィアはぞわぞわとしたものを感じながら、窓の外を見つめた。
「・・・男爵家には、第二の妻でも・・ありがたい縁談よねぇ。」
「はい。」
「お父様に、あの四組を断れる力は、ないわよねぇ。」
「はい。皆様がソフィアお嬢様を思う気持ちから、ソフィアお嬢様の意思を尊重する形にして下さったのは、せめてもの温情ではないでしょうか。」
「おんじょう・・・」
「ええ。じゃなきゃ今頃無理やりにでも第二王子の第二の妻ですよ。」
「はう・・・」
ソフィアはぷるぷると震えた。
「とりあえず、まずは四組の方々とそれぞれ交友を深める機会を与えられるとのことでしたので、それをどうするかですね。」
ソフィアは空を自由に飛んでいる鳥を見つめながら、頷いた。
お茶会で最後に四組とそれぞれ交友を持ってほしいと願われ、その後にどこに嫁ぐかを決めてほしいと願われた。
無理やりじゃないだけ、ありがたいのだろう。
ソフィアは、そっとレスリーに視線を移した。
「レスリー・・どうなろうと、私の傍に一生居てね。」
「はい。もちろんでございます。お嬢様が猛獣に囲まれようとも、レスリーは最後の時まで傍におります。」
ソフィアにとって、それがせめてもの救いだった。
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