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十話
しおりを挟むそう。早くどいてくれと言うべきだったのだ。
突然、天井が抜けたかと思うと眩しいくらいの光と、妖精達で溢れかえり、そこに四つの影が見えた。
「ウソだろ・・上の建物は・・・どこへ行った・・・・」
男性の呟きに、私は、え?上の建物吹っ飛ばしたの?何それ怖いと、顔を引きつらせていたのだが、本当の恐怖はそこからであった。
「おい。ルカの上からどけ。」
「ルーカ。助けに来たよぉ。」
「ははは。ルカ。どうしてそんな顔をするのです?・・まさか、浮気・・・じゃないでしょうね?」
「ルカ。こわがらねーでおいで。ほら。こっちこっち。」
怖い。
えぇ。とてもとても怖い。どちらかと言えば誘拐された時よりも今の方が恐怖を感じている。
思わず男性の服をぎゅっと掴むと、四人の眉間に深いシワが寄った。
ひえぇぇっ!怖い。何?私やっぱり不貞行為により罰せられるの?!離婚!?離婚されるの!?いや、そもそも今もまだ友人関係続行中でそれ以上の関係ではないけれど。
とにかく、怖い!
私がぎゅーっと男の服を掴めばつかむほどに、四人の顔は鬼の形相へと変わっていく。あぁそうか。とにかくこの男から離れた方がいいのだとやっと理解したが、次の瞬間男に抱きかかえられてしまう。
「は、離して?」
「愛し子様、あれが貴方の夫か。なんとまぁ・・・恐ろしい連中を夫にしたもんだ。」
「え?・・・えぇ。確かに今、かなり怒ってますね。」
その言葉に男性は苦笑を浮かべると言った。
「そう言う意味ではない。あぁ、愛し子様は知らないのか。戦場の悪魔と言われる黒騎士カイン。全ての物を毒として操る奇術師ライ。歴代最強魔法使いであり、最悪の魔法使いクレスト。それに、獣人の国の聖獣すらも操り一人で国を落とすと言う獣人エバン・・・ははっ・・・何というメンツだ。・・・勝てるわけがない・・・・」
えぇぇ?何?そんな異名持っているの?何それかっこいい。中二病っぽい。私もせっかく異世界に来たんだからそんな中二病っぽい異名が欲しい。何がいいかな。イケメンを侍らす愛し子ルカ。・・・いや、何かバカっぽい。
男性の顔色は蒼白なのだが、それでも私を手放さない様子からして、アシュタル国もそうとう愛し子が欲しいんだろうななんて事を思ってしまう。
フィガロ王国とアシュタル国は仲が悪いんだろうか。
その時であった。ぞわりとした視線を感じて、ぎぎぎっと首を回して四人に視線を向けると、私を見て怒っているのは間違いなさそうだった。
怖い。
うん。よし、一回逃げよう。
「銀髪さん!呆けている場合じゃないよ。逃げましょう!」
「え?」
「妖精さん達!私と銀髪さんを逃がして!」
その言葉に四人の顔色が一気に悪くなる。
「ルカ!」
「何で!」
「待ちなさい!」
「ダメだって!」
私は四人に向かって叫んだ。
「だって四人とも怖い!不可抗力だもん!」
だもん・・・(笑)。自分で言っていて何だか衝撃を受けたが仕方がない。口から出てしまった。
『え?逃げるの?』
『むしろそっちと?』
『えぇー・・まぁ、ルカが言うなら?』
次の瞬間四人の夫が私に手を伸ばそうとしているのが見えたが、一時退却である。私は次の瞬間目を開くと、静かな森の中に銀髪さんと居た。
「ここ・・は・・・」
『神域だよー。』
『ここなら安全。』
『その銀髪は捨てた方がいいと思おう。』
『賛成ー。』
私は取りあえずは四人の恐怖から逃れた事にほっとした。
銀髪さんの体は微かに震えていて、この人も相当怖かったんだろうなと頭を撫でてあげた。この国ではスキンシップがかなり激しいのできっといいだろう。
「愛し子様・・・」
潤んだ瞳で私を見上げてくる銀髪さんに、私は言った。
「アシュタル国の事を教えて?そっちの国にはいけないけど、話は聞くよ。」
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