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なか

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番外編・ルウさんぽ

ルウとの日々・3

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「雪さんつもってるよ。ナーちゃん!」 

 雪が降り積もる白銀の世界を見て、学び屋の窓から身を乗り出すルウが瞳を輝かせる。
 そして私の手を、小さな指で掴むのだ。

「きょうは、帰る前におそとでいっしょあそびたい! 雪さんであそぼ!」

「いいよ、ルウ。なにしてあそびたい?」

「雪だるま!」

 雪だるまを作るなんて初めてだ。
 私自身も興味があり、もちろんルウの提案を断りはしない。

「嬢もルウ坊も風邪に気をつけてな」

「うん!」
「ありがとうございます。モーセ講師」

 校庭で遊ぶ事にした私達を、仕事中のモーセさんが見守ってくれる。
 長いヒゲが今日は子供達によって綺麗に編まれているのが微笑ましい。

「ルウ、実は私……雪だるま作るの初めてだから、やり方教えてくれる?」

 さくりと雪に足を踏み入れながら、私はルウへと尋ねる。
 ルウは私の問いかけに、とても嬉しそうに微笑んでくれた。

「じゃあ今日はルウがナーちゃんのせんせいね!」

「ふふ、そうね。よろしくお願いします。ルウ先生」

「まずは、雪さんを丸めるの」

「雪玉にするのね」

「うん。そうやって……こうして丸めた雪さんをころがしておっきくするよ」

 なるほど、転がせば地面の雪が付いてくるのだ。
 そうやって大きくしていけば、重くなっても転がせる。

「ルウがあたまつくる!」

「じゃあ、私が身体を作るね」

 そうやって互いに雪玉を転がしていき、少しの時間が経った頃。
 雪玉はかなり大きくなっていた。
 二つ重ねれば、ルウと同じ高さになりそうだ。

「えへへ、ナーちゃんと雪さん合わせたら。おっきくなるね」

「そうだね、じゃあ……私が頭をのせるね」

「ルウもいっしょに持つ!」

 怪我に気を付けて……ルウと共に雪だるまの頭を乗せる。
 後はルウと一緒に拾ってきた小枝や、綺麗な石などを使って顔を作り。
 人生初……雪だるまが完成だ。

「やったー! おっきい!」

「お顔も可愛くできたね。ルウ先生、雪だるまの作り方教えてくれてありがとうね」

「えっへん! ルウにおまかせだよ!」

 胸を張る可愛らしいルウに癒されていると、ルウが私の手を持った。
 そして、校庭に備え付けられた椅子へと引く。

「今日はナーちゃんにもう一つ教えてあげる」

「ん? なにを教えてくれるの?」

 言われるままにルウと一緒に椅子に座る。
 ルウは私の膝上に座り、手袋を外した。

 そして……
 
「えへへ。ぽかぽかこうげき~」

 そう言って、雪だるまを作って温かくなった手を私の両頬に当てる。
 あまりの可愛さに、冷え切った頬が一気に温まった。

「よく、おかあさんにしてもらってるの。だから今日はルウがナーちゃんにぽかぽかするよ」

「……すっごくあったっかいよ。ルウ」

「えへへ。だいすきなナーちゃんを、ポカポカにするんだ~」

 こんなにあったかい攻撃、とても耐えきれない。
 心が満たされる感覚と共に、思わずルウをギュッと抱きしめてしまう。

「わ~ナーちゃんからのぽかぽかこうげきだ」

「ふふ、私もルウをあっためてあげる」
 
 雪だるま作っていて少し冷えていた身体は、お互いのぽかぽかこうげきのお陰ですっかり温まった。
 ルウの可愛さには、本当に心癒されて。
 寒さなんて忘れてしまいそうだ。



   ◇◇◇



 その後、ルウと辺境伯邸へと戻り、リカルドの帰りを待つ。
 魔物への警戒のため哨戒に出ていた彼が帰ってきたのはルウが眠った夜中で、案の定服が雪だらけだ。
 きっと心身ともに冷え切っているだろう。

「おかえり、リカルド。今日もお疲れ様」

「ナターリア、ただいま」

「ふふ、さむい?」

「……? あぁ、さむい」

 不思議そうに首を傾げたリカルド。
 彼の両頬に、暖炉で温めていた手を当てる。

「あっためてあげる。リカルド」

「っ……」

 普段は私からこういった行為はしないから。
 少し恥ずかしい。
 だけど彼の反応は予想以上で。

 驚いたと同時に両耳が赤くなっていく。
 そして……私が両頬に当てていた手を、自らの手で包んだ。

「ずっと」
 
「え?」

「ずっとこうしてくれ。ナターリア」

 そう言いながら、私を抱きしめるリカルドは心から嬉しそうに。
 無表情の頬に、笑みを浮かべる。

 どうやら私もルウのように。
 疲れて冷え切ったリカルドを暖められれたようだ。
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