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三章
思惑2・エリーside
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予想を超えて最悪の展開となった事に、私は頭を抱える。
グレインへの誘惑も不発で、あの謎の男がグレインを私が招待したパーティーに参加させると言ったのだ。
「これ……どうすればいいの?」
あの謎の男を怒らせる訳にはいかない。
不思議と本能がそう告げてくる。
しかし、グレインを招待してしまったパーティーは非常にまずい。
この国の貴族は、基本的に平民を見下して生きている。
グレインはアイゼン帝国の伯爵だが、平民上がりでは馬鹿にされるのは必然。
本来は彼を傷つけ、その傷心に取り込んで妻になろうとした計画が、今では墓穴となっていた。
「グレインを侮辱する会と知れば、あの謎の男がなにを思うか……」
得体のしれない格好をした、あの男の怒りを買ってしまうかもしれない。
そう思うだけで、身が震えた。
「どうかしたのか? エリー」
不意に背後から声をかけられた。
振り返った先には私の夫である、ローレン伯爵が居た。
彼との夫婦仲は冷え切っているが、リビングで悩む私を気にかけるぐらいはしてくれるらしい。
「関係ないわ。放っておいてよ……」
「……」
元から助けなんて求めても、聞いてくれないくせに。
グレインなら、きっと私を愛してくれたわ。
顔もかっこいいし。
グレインと比べてしまうほど、私と夫の仲は最悪だ。
だから夫も直ぐに目の前から消える……はずだったのに。
「連絡がある。君が今度開くパーティーには公爵家の方も呼んでいる。粗相のないように頼むぞ?」
「はぁ? 私は招待していないわよ!」
「僕が呼んでおいた。公爵家の方を楽しませるようにな、エリー」
「勝手なことしないでよ! 貴方は参加しないくせに!」
「公爵様は、君が呼んだ貴族派閥の中心となる方だ。招待しなければ反感を買っていたのは君だぞ?」
なんて事だ……彼は最低なことをしてくれた。
招待された公爵様は、平民嫌いで有名だ。
いや、そもそも今回招待した貴族は皆が民を見下しており、重税を強いて苦しめている。
そんな貴族派閥を大勢呼んでしまったのだ。
元平民のグレインが同じ会に居れば、どのような暴言が飛ぶか……
「せいぜい、失礼のないようにな。エリー?」
「っ……」
これは夫の嫌がらせなのだろう。
きっと招待客の中に見慣れないグレインの名を見つけ、身辺を調べたのだと思う。
それで平民嫌いの公爵様を呼べば、パーティーの主催者である私の失態となる。
私と離婚する口実にピッタリだ。
愛人を正妻にしたくて必死ね。
本当に不愉快だわ。
「それじゃ」
「ま、待ちなさ!」
止めようとしても、夫は愛人の邸へ向かうために屋敷を出て行く。
私を追い詰めるために、パーティーの支援はなにもしないつもりだろう。
あの謎の男だけでなく、夫にさえ詰められている状況には絶望しかできない。
「本当にどうすればいいの……無事にパーティを終えるなんて、もう無理よね……」
「奥様よろしいですか?」
悩みの声を漏らした時、予想外の人物から声がかかる。
昼間、謎の男に気絶させられた護衛騎士が、私の前に来たのだ。
「俺が奥様の望みも叶え、パーティーも無事に終わらせましょう」
「え……何を言って……」
「グレインとやらに、エリー様を妻とする事を受け入れさせるのです」
「は? そんなことできるはずが……」
「居るじゃないですか、人質に絶好となりそうな子供と妻が」
護衛騎士は、グレインと共にいた子供と妻らしき女性。
あれらを人質にして、私を妻にするように迫れというのだ。
「そ、そんなことをしていいはずが……」
「いえ、奥様。それしかありませんよ。今のままでは貴方はこの国での地位も、グレインも失うのですよ?」
「っ!?」
「いいのですか? 何も成せずに全てを失っても?」
「い、いいはずがないわ。でも……一時的に妻になったとして、その後はどうするのよ!」
「常に俺が子供の護衛と称して、命を奪える位置におります。そうすれば妻としての生活は安泰でしょう?」
「あ、貴方にその覚悟はあるの?」
覚悟を尋ねた時、護衛は額に青筋を浮かべて頷いた。
その瞳には、深い激情が灯っている。
「もちろんですよ。むしろやらせてください」
「どうしてそこまで……」
「俺の狙いは、あのふざけた格好をした男です」
彼の言葉は、昼間に気絶まで追い込んだ謎の男を指している。
あの仮装はプライドの高い護衛を刺激するには充分だったらしい。
「グレインを脅せば、あいつが出てくるはずだ。今度こそ油断せずに殺す」
「それが目的なのね」
「この伯爵家で一番の腕を持つ俺が、あんなふざけた格好をした男にコケにされたのです。不意打ちでなければ殺せたのに……」
いつもは飄々としているくせに、こんな怒る事もあるとは。
剣では勝ち続けてきた人生を歩んだ彼だからこそ、負けは許せないのだろう。
でも……それは今の私にとって渡りに船だった。
「……貴方に任せてもいいかしら?」
「ええ……俺もこの怒りを解消するために、なんだってやりますよ」
彼の覚悟を利用しよう。
そう思い、私は来たるべきパーティーの日に向けて準備を始めた。
◇◇◇
パーティーの当日。
他の貴族達には遅れた時刻で招待状を送っていたため、グレイン達は先にやってきた。
使用人達が彼らを会場へと招く。
グレインの傍には、やはり妻らしき金色の髪の女性がいる。
見つめれば苛だつほどに美しい。
嫉妬でどうにかなりそうだ。
そして驚いたことに以前に見た男の子だけでなく、大きな娘と、二歳ほどの子供を女性が抱いている。
まさか、グレインに三人も子供が居たなんて……髪色が違うけど、どういうこと?
疑問が多いけど、今の状況で私はためらってなどいられない。
招待した会場の影に潜んでいた護衛に、声をかける。
「いける?」
「ええ。あんなに守る対象がいれば、あのグレインとやらも不自由でしょう。簡単な仕事だ」
グレインと、妻らしき女性は会場に入ってはしゃぐ子供を見守って隙だらけだ。
その背後から、護衛が音も出さずに剣を抜いて近づく。
「妻の顔に傷でもつけますか。エリー様を妻にする事を了承させるためには多少の脅しも必要です」
「ええ、やりなさい」
ごめんね、グレイン。
私は伯爵夫人という立場さえ危うい状況なの。
だから今は貴方の伯爵という地位がどうしても必要……この国を離れて、かつて過ごしていた帝国へ帰りたいの。
心の中で謝罪しながら、走っていく護衛を見つめる。
彼の剣が、ためらいくなく女性へと振り下ろされた。
はずだった……
「え……」
一瞬だ。
グレインの視線が、見たことないほど鋭くなって振り返った瞬間。
護衛の剣を持つ手が宙を舞い、血も出ずに床に落ちる。
「あ……は?」
何が起こったのか、誰も理解できない。
グレインは剣を抜いているが、剣筋を目視出来なかった。
彼は護衛を睨みつける。
「誰だよ。お前」
前に会った時の……動揺していたグレインとは違う。
鋭い視線と、荒々しくも冷徹な言動。
「が……お、おま……」
「陛下のご子息とカーティア様の御前で剣を抜くな。馬鹿が……」
「はっ!?」
ウソ……
今彼は確かに、陛下のご子息だと言った?
それに……カーティア様って……確かアイゼン帝国皇后の……
私達は大きな勘違いをしたと気付く。
彼が連れていたのは、アイゼン帝国皇帝陛下の伴侶であり、各国に影響を与えるあのカーティア妃だったのだ。
「ま、話を聞いて」
「黙ってろ」
護衛が制止の声を上げた瞬間、彼の両手首はボトリと床に落ちる。
その事実に悲鳴を上げようとした護衛の喉を裂き、会場の影へと放り投げた。
護衛は声も出せずに、呻いてもがく。
そして、グレインは私を見つめた。
「……っ!! グ、グレイン? ご……ごめんなさ……」
「片付けておけ。お前の処罰は直に下る」
グレインは剣を払って鞘に納める。
同時に、凍てつくような表情を一転させて、子供達へと笑顔を浮かべた。
彼は一連の動作に物音を立てず、護るべき対象に気付かれずに済ませたのだ。
これが、帝国皇帝の護衛としての……グレインなの?
私は、とんでもない人物に手を出そうとしていた……と気付いてしまう。
しかしその後悔は、もう遅かったのかもしれない。
彼が言った『お前の処罰は直に下る』という言葉の意味を、理解していく事になるのだから。
グレインへの誘惑も不発で、あの謎の男がグレインを私が招待したパーティーに参加させると言ったのだ。
「これ……どうすればいいの?」
あの謎の男を怒らせる訳にはいかない。
不思議と本能がそう告げてくる。
しかし、グレインを招待してしまったパーティーは非常にまずい。
この国の貴族は、基本的に平民を見下して生きている。
グレインはアイゼン帝国の伯爵だが、平民上がりでは馬鹿にされるのは必然。
本来は彼を傷つけ、その傷心に取り込んで妻になろうとした計画が、今では墓穴となっていた。
「グレインを侮辱する会と知れば、あの謎の男がなにを思うか……」
得体のしれない格好をした、あの男の怒りを買ってしまうかもしれない。
そう思うだけで、身が震えた。
「どうかしたのか? エリー」
不意に背後から声をかけられた。
振り返った先には私の夫である、ローレン伯爵が居た。
彼との夫婦仲は冷え切っているが、リビングで悩む私を気にかけるぐらいはしてくれるらしい。
「関係ないわ。放っておいてよ……」
「……」
元から助けなんて求めても、聞いてくれないくせに。
グレインなら、きっと私を愛してくれたわ。
顔もかっこいいし。
グレインと比べてしまうほど、私と夫の仲は最悪だ。
だから夫も直ぐに目の前から消える……はずだったのに。
「連絡がある。君が今度開くパーティーには公爵家の方も呼んでいる。粗相のないように頼むぞ?」
「はぁ? 私は招待していないわよ!」
「僕が呼んでおいた。公爵家の方を楽しませるようにな、エリー」
「勝手なことしないでよ! 貴方は参加しないくせに!」
「公爵様は、君が呼んだ貴族派閥の中心となる方だ。招待しなければ反感を買っていたのは君だぞ?」
なんて事だ……彼は最低なことをしてくれた。
招待された公爵様は、平民嫌いで有名だ。
いや、そもそも今回招待した貴族は皆が民を見下しており、重税を強いて苦しめている。
そんな貴族派閥を大勢呼んでしまったのだ。
元平民のグレインが同じ会に居れば、どのような暴言が飛ぶか……
「せいぜい、失礼のないようにな。エリー?」
「っ……」
これは夫の嫌がらせなのだろう。
きっと招待客の中に見慣れないグレインの名を見つけ、身辺を調べたのだと思う。
それで平民嫌いの公爵様を呼べば、パーティーの主催者である私の失態となる。
私と離婚する口実にピッタリだ。
愛人を正妻にしたくて必死ね。
本当に不愉快だわ。
「それじゃ」
「ま、待ちなさ!」
止めようとしても、夫は愛人の邸へ向かうために屋敷を出て行く。
私を追い詰めるために、パーティーの支援はなにもしないつもりだろう。
あの謎の男だけでなく、夫にさえ詰められている状況には絶望しかできない。
「本当にどうすればいいの……無事にパーティを終えるなんて、もう無理よね……」
「奥様よろしいですか?」
悩みの声を漏らした時、予想外の人物から声がかかる。
昼間、謎の男に気絶させられた護衛騎士が、私の前に来たのだ。
「俺が奥様の望みも叶え、パーティーも無事に終わらせましょう」
「え……何を言って……」
「グレインとやらに、エリー様を妻とする事を受け入れさせるのです」
「は? そんなことできるはずが……」
「居るじゃないですか、人質に絶好となりそうな子供と妻が」
護衛騎士は、グレインと共にいた子供と妻らしき女性。
あれらを人質にして、私を妻にするように迫れというのだ。
「そ、そんなことをしていいはずが……」
「いえ、奥様。それしかありませんよ。今のままでは貴方はこの国での地位も、グレインも失うのですよ?」
「っ!?」
「いいのですか? 何も成せずに全てを失っても?」
「い、いいはずがないわ。でも……一時的に妻になったとして、その後はどうするのよ!」
「常に俺が子供の護衛と称して、命を奪える位置におります。そうすれば妻としての生活は安泰でしょう?」
「あ、貴方にその覚悟はあるの?」
覚悟を尋ねた時、護衛は額に青筋を浮かべて頷いた。
その瞳には、深い激情が灯っている。
「もちろんですよ。むしろやらせてください」
「どうしてそこまで……」
「俺の狙いは、あのふざけた格好をした男です」
彼の言葉は、昼間に気絶まで追い込んだ謎の男を指している。
あの仮装はプライドの高い護衛を刺激するには充分だったらしい。
「グレインを脅せば、あいつが出てくるはずだ。今度こそ油断せずに殺す」
「それが目的なのね」
「この伯爵家で一番の腕を持つ俺が、あんなふざけた格好をした男にコケにされたのです。不意打ちでなければ殺せたのに……」
いつもは飄々としているくせに、こんな怒る事もあるとは。
剣では勝ち続けてきた人生を歩んだ彼だからこそ、負けは許せないのだろう。
でも……それは今の私にとって渡りに船だった。
「……貴方に任せてもいいかしら?」
「ええ……俺もこの怒りを解消するために、なんだってやりますよ」
彼の覚悟を利用しよう。
そう思い、私は来たるべきパーティーの日に向けて準備を始めた。
◇◇◇
パーティーの当日。
他の貴族達には遅れた時刻で招待状を送っていたため、グレイン達は先にやってきた。
使用人達が彼らを会場へと招く。
グレインの傍には、やはり妻らしき金色の髪の女性がいる。
見つめれば苛だつほどに美しい。
嫉妬でどうにかなりそうだ。
そして驚いたことに以前に見た男の子だけでなく、大きな娘と、二歳ほどの子供を女性が抱いている。
まさか、グレインに三人も子供が居たなんて……髪色が違うけど、どういうこと?
疑問が多いけど、今の状況で私はためらってなどいられない。
招待した会場の影に潜んでいた護衛に、声をかける。
「いける?」
「ええ。あんなに守る対象がいれば、あのグレインとやらも不自由でしょう。簡単な仕事だ」
グレインと、妻らしき女性は会場に入ってはしゃぐ子供を見守って隙だらけだ。
その背後から、護衛が音も出さずに剣を抜いて近づく。
「妻の顔に傷でもつけますか。エリー様を妻にする事を了承させるためには多少の脅しも必要です」
「ええ、やりなさい」
ごめんね、グレイン。
私は伯爵夫人という立場さえ危うい状況なの。
だから今は貴方の伯爵という地位がどうしても必要……この国を離れて、かつて過ごしていた帝国へ帰りたいの。
心の中で謝罪しながら、走っていく護衛を見つめる。
彼の剣が、ためらいくなく女性へと振り下ろされた。
はずだった……
「え……」
一瞬だ。
グレインの視線が、見たことないほど鋭くなって振り返った瞬間。
護衛の剣を持つ手が宙を舞い、血も出ずに床に落ちる。
「あ……は?」
何が起こったのか、誰も理解できない。
グレインは剣を抜いているが、剣筋を目視出来なかった。
彼は護衛を睨みつける。
「誰だよ。お前」
前に会った時の……動揺していたグレインとは違う。
鋭い視線と、荒々しくも冷徹な言動。
「が……お、おま……」
「陛下のご子息とカーティア様の御前で剣を抜くな。馬鹿が……」
「はっ!?」
ウソ……
今彼は確かに、陛下のご子息だと言った?
それに……カーティア様って……確かアイゼン帝国皇后の……
私達は大きな勘違いをしたと気付く。
彼が連れていたのは、アイゼン帝国皇帝陛下の伴侶であり、各国に影響を与えるあのカーティア妃だったのだ。
「ま、話を聞いて」
「黙ってろ」
護衛が制止の声を上げた瞬間、彼の両手首はボトリと床に落ちる。
その事実に悲鳴を上げようとした護衛の喉を裂き、会場の影へと放り投げた。
護衛は声も出せずに、呻いてもがく。
そして、グレインは私を見つめた。
「……っ!! グ、グレイン? ご……ごめんなさ……」
「片付けておけ。お前の処罰は直に下る」
グレインは剣を払って鞘に納める。
同時に、凍てつくような表情を一転させて、子供達へと笑顔を浮かべた。
彼は一連の動作に物音を立てず、護るべき対象に気付かれずに済ませたのだ。
これが、帝国皇帝の護衛としての……グレインなの?
私は、とんでもない人物に手を出そうとしていた……と気付いてしまう。
しかしその後悔は、もう遅かったのかもしれない。
彼が言った『お前の処罰は直に下る』という言葉の意味を、理解していく事になるのだから。
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